校長あいさつ
本校の目指す人間像は「持って生まれたものを深くさぐって強く引き出す人」です。これは、第22代校長の小田桐孫一先生が、 高村光太郎の詩「少年に与ふ」から引用したものですが、時勢に流されず、媚びず、志を高く持って生きるべしと生徒に諭す言葉として、 本校の教育における精神的支柱となっています。
また、管理棟や第一体育館には、明治に活躍した反骨のジャーナリストである陸羯南の五言絶句「誰人天下賢」の揮毫が掲げられています。
名山出名士 此語久相傳 試問巌城下 誰人天下賢 |
生徒は、日々この揮毫を仰ぎ見ながら、天下の賢たらんと、真摯な努力を重ね、充実した日々を送っています。
本校の校章は、大鵬を図案化したものであり、荘子の「逍遥遊」からとったものです。 曰く『北冥に魚有り、其の名を鯤と為す。鯤の大いなる、其の幾千里なるを知らず。 化して鳥と為る。其の名を鵬と為す。鵬の背、其の幾千里なるを知らず。 怒して飛べば、 其の翼は垂天の雲の若し。 是の鳥や、海運れば則ち将に南冥に徙らんとす。南冥とは、天池なり。』とあるように、 本校生徒一人一人が大鵬となり、常に南を図らんとするようにというもので、スケールの大きい、伸びやかな生徒の成長を願って 制定されました。
本校の特色ある教育活動の一つに、7月の学校祭で行われる「弘高ねぷた」があります。68年にも及ぶ伝統行事1であり、各クラスで一台のねぷたを制作し、
市中を運行します。テーマ選びから設計、制作まで生徒たちだけで取り組み、方向性や手順などでの衝突や対立を繰り返しながらも、話し合いや協働により乗り越え、
完成させた時の成就感は何ものにも代え難いものとなっています。若い感性や躍動感にあふれた弘高ねぷたを運行する弘高生の姿は、
弘前の短い夏の訪れを告げる風物詩にもなっており、卒業生にとって忘れることのできない思い出ともなっています。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、令和2年度は制作及び運行とも中止、令和3年度は制作したものの市中運行はできずに運動場での展示にとどまりましたが、
令和4年度は、地域のみなさんの御協力により3年ぶりに「弘高ねぷた」の市中運行を復活することができました。
教育目標である「自学自習」、「規律ある自由」、「体力の増進」のもと、学ぶことと自らの将来とのつながりを見通した上で、
進んで学ぶ主体的な姿勢と、多様な他者との協働的な学びにより他者の生命・安全を尊重しつつ自分自身を守る能力と態度を身に付けた
「自律しかつ自立した人間」を育むため、教職員もつねに学び続け成長する師弟同行による出藍の誉れを誇れるような教職員集団となり、
一丸となって取り組んでまいります。
今年は創立140年という節目の年です。「質実剛健」の校風の中で脈々と受け継がれてきた歴史と伝統を継承し、未来へ引き継ぎます。
皆様には、弘前高校がますます飛躍するために御協力と御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
校長 古 川 浩 樹 (2023年4月)