校長からのメッセージ

校長室から

令和5年度 第3学期始業式 講話

令和5年度 第3学期始業式 講話

全校生徒の皆さん、おはようございます。そして、明けましておめでとうございます。皆さんは、年末・年始の休みを、どのように過ごしていましたでしょうか。

  今年は「辰年」です。辰は「振(ふ)るう」という文字に由来しており、自然万物が振動し、「変革(転機)」や「激動」が示すように、時代が動く年になるとも言われています。

  皆さんも、テレビや新聞を見て、知っていると思いますが、お正月の元旦の午後4時10分ごろ、石川県の能登半島で大きな地震があり、 多数(200人もの)死者・行方不明者が出ていて、現在も余震が続いているそうです。

この時期の北陸地方は、寒さであったり、風雪であったり、避難所での生活は、想像を絶する厳しさと思われるともに、道路の復旧が思うようにいかず、水・食料などの救援物資が、どこも不足しているそうです。

  そんな中、翌2日の午後5時すぎ、その被災地に救援物資を運搬しようとして、海上保安庁の飛行機が、羽田空港で日航機と接触する事故が発生し、日航機の乗客・乗員は、奇跡的に脱出できましたが、海保庁の職員5名が亡くなるという大惨事が起こりました。

この2つの災害・事故で亡くなられた方々へ、ご冥福をお祈りすると共に、現在も避難所生活をされている方々に、心よりお見舞い申し上げたいと思います。

  思い返すと、2011年3月に起こった「東日本大震災」(この時は2万人もの死者、行方不明者があって、今回の災害の100倍もの被害がありました。)からまもなく13年が経とうとしています。皆さんは、小学校に上がる前で、記憶に薄いかも知れませんが、災害は時を選んでくれない。「自分の命は自分で守る」、「備えあれば憂いなし」と言う 標語を今一度思い返して、災害が起こったとき、自分はどう行動すべきか、この機会に、是非、家族で話し合う場を設けて欲しいと思います。

さて、今日は勉強のことを少しお話しします。先月のことですが、ある本校の卒業生から「卒業証明書」の発行願いが出されました。その方は、平成5年に本校を卒業した女性で、理由は「ある大学の教員資格試験受験のため」と言うことでした。何歳くらいか、だいたい分かりますかね?誕生日が来ていれば、48歳になるでしょうか?大学へは、普通は高校卒業した後すぐに進学しますよね。詳しい理由は分かりませんが、その方は40歳後半くらいになって、新たに資格が必要となり、受験することとなったのかもしれません。これは想像ですが、子育ても一段落し、教員の魅力を忘れられず、授業のすばらしさを実践してみたいと思って、受験しようと考えた、のかも知れません。すごいパワーですよね。 

高校生の皆さんは、基本的に1日の大部分で、授業を受けて過ごしています。ですから、「授業が分かる」「授業が楽しい」かどうかは、卒業後の進路を含めて、とても大きな問題です。

昨年11月に、皆さんに答えてもらった「学校評価アンケート」の 結果では、「授業内容は全体として理解できる」という項目については、「そう思う」「ややそう思う」といった「概ね良好」と答えてくれた人の割合は、80%もありました。これは、10人中8人が「授業がだいたい分かる」ということでしょうか。これは皆さんが「授業内容がよく分かっているかどうか」を表す数字ですので、充分に満足できる結果であったと思っています。

さて、「楽しい授業とはどういう授業か?」ということに関して、 ある本にこんなことが書かれてありました。

「楽しい授業」には、「知的楽しさ」と「娯楽的楽しさ」の2つの 要素が揃っている必要がある。「娯楽的楽しさ」は、その場の楽しさだが、「知的楽しさ」は、継続性を備えた楽しさである。「楽しい授業」の根本は、「腑に落ちること」、すなわち「知的発見を得ること」である。

と書かれていました。

「腑に落ちる」という言葉の意味は分かるでしょうか?もともとは「腑に落ちない」という否定的な言い方が多く使われたようですが、その反対の意味になりますね。分かる人も多いと思いますが、「納得する」という意味なんです。授業で言えば、「授業内容がよく分かり、『なるほど』と思う」と言うことでしょうか。そういう実感がないと、「継続的な『楽しさ』」は、なかなか持てない、ということです。

私も「全くそのとおりだ」と思っています。個人的なことですが、私が「教師になりたい」と思った理由の一つは、ある先生の「楽しい授業」、つまり「よく分かる授業」がきっかけの1つでした。

3年生は、卒業を3月に控え、すでに進路が決まった人も少なくないと思います。2学期の終業式でもお話ししましたが、「進路が決まったら勉強は終わり」などではありません。4月以降に向けて、しっかりと勉強して、いろいろな知識を増やしてください。同時に、すぐ隣には、この後に受験を控えて、必死に頑張っている人がいます。そういう人たちに気を遣ってあげることを、絶対に忘れないように。そして、この後、受験などが控えている人は、合格1に向けて悔いのないよう、精一杯努力を続けてください。

1、2年生は、「勉強の楽しさ」が発見できて、それが1年後、あるいは、2年後の卒業後の進路につながるよう、3学期もきちんと授業を受けて欲しいと思います。 

授業をする側の先生方は、「楽しい授業・分かりやすい授業」をするよう努力してもらうことは、もちろんですが、授業を受ける皆さんの側も、「一生懸命」に取り組まなければ、なかなか「勉強の楽しさ・面白さ」は実感できないと思います。次年度に向けて、しっかり努力してください。 

最後になりますが、我々は、すぐ「ひらめく」ような天才ではありません。『普通の人の「ひらめき」は、努力をし続けた人にだけ、起こり得るものです』ということを、皆さんに伝えて、本日の講話を終わります。

以上です。 

令和6年1月9日 千葉県立千城台高等学校長 久保木 孝雄