筑波大学附属駒場高校(東京都)の公式サイト内のPDFをテキストに変換して表示しています。

このコンテンツは、受験生と保護者の皆様の利便をはかるため取得されました。
取得日:2023年12月23日[更新]

最新コンテンツは、下記の公式サイトURLにて、ご確認ください。
志望校の選定など重要な判断の際には、必ず最新の情報をご確認ください。
https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/02/2018_ssh_report.pdf

検索ワード:募集[  1   2   3   4   5   6  ]
[検索結果に戻る]
 
                    文部科学省研究開発学校
 
 
 
                 平成29(2017)年度指定
 
           スーパーサイエンスハイスクール
 
 
 研 究 開              発 実               施 報              告 書
 
                         第 二 年 次
 
 
 
 
                            研究開発課題
 
 
  国際社会に貢献する科学者・技術者の育成をめざした
           探究型学習システムの構築と教材開発
 
 
 
 
                    平成31(2019)年3月
 
 
                   筑波大学附属駒場高等学校
 
 
   〒1540001 東京都世田谷区池尻471   TEL0334118521
                 高 2 筑波大学訪問                   第 10 回マス・フェスタ(全国数学生徒研究発表会)
 
 
 
 
      SSH 生徒研究発表会(神戸国際展示場)           第 8 回高校生によるMIMS現象数理学研究発表会
 
 
 
 
      SSH 生徒研究発表会(神戸国際展示場)                保健体育科 SSH(成長期の運動と食事)
 
 
 
 
 名古屋大学教育学部附属中・高等学校 SSH 重点枠事業                 高 3 課題研究発表会
   高 3 課題研究発表会       国際交流(台湾への訪問)
 
 
 
 
 国際交流(台湾への訪問)    東京医科歯科大学見学実習
 
 
 
 
 国際交流(台湾への訪問)    東京医科歯科大学見学実習
 
 
 
 
 国際交流(台湾への訪問)   タイ国際科学フェアー2019(TISF)
  タイ国際科学フェアー2019(TISF)   技芸科 SSH(メディア虎の穴特別編)
 
 
 
 
  技芸科 SSH(メディア虎の穴)       数学オリンピックワークショップ
 
 
 
 
 保健体育科 SSH(スポーツ×AI)        国際交流(釜山からの訪問)
 
 
 
 
        英語科 SSH 講座                国際交流(釜山からの訪問)
        SSH 東京都内指定校合同発表会                      全国 SSH 数学科教員研究会
 
 
 
 
        SSH 東京都内指定校合同発表会                          中 3 筑波大学訪問
 
 
 
 
       国際科学オリンピックメダリスト                         中3筑波大学訪問
 
 
 
 
 国際科学オリンピックメダリスト都知事表敬訪問   東京都 生徒研究成果合同発表会(戸山高等学校)
                                     目     次
 1.研究開発実施報告書(要約)  1
 2.研究開発の成果と課題  4
 
 I.研究開発の概略  6
 II.研究開発の経緯  10
 III.研究開発の内容
    1 国際社会に貢献する科学者・技術者の育成をめざした探究型学習の教材開発と実践
      a. 中高一貫数学教材の開発と全国への発信  12
      b. 理科課題研究の充実と探究型教材の開発と実践  15
      c. 情報収集能力とメディア活用能力の育成  16
    2 主体的な探究活動をするための基礎力育成カリキュラムの開発と実践
      a. 理数系基礎力の充実と科学的リテラシーの涵養
        a1. 数学科 SSH 講座 18
        a2. 国語科 SSH 講座 19
        a3. 社会科 SSH 講座 20
        a4. 保健体育科 SSH 講座 21
      b. 主体的・協働的な学び(アクティブラーニング)による探究能力の開発
        b1. 環境地図作成 22
        b2. 東京地域研究 23
        b3. 東北地域研究 24
        b4. テーマ学習・理科(地学) 25
    3 探究型学習を実践するためのプログラム開発とサポート体制
      a. 高校2年生筑波大学訪問 26
      b. 中学3年生筑波大学訪問 27
      c. 東京医科歯科大学高大連携プログラム  28
      d. 日経サイエンス講座(清水建設)  29
      e. 数学オリンピックワークショップ  30
      f. 水俣実習/福島フィールドワーク  32
      g. 化学部理科実験教室 34
      h. 課題研究「障害科学:ともにいきる」  35
      i. 数学科課題研究発表活動支援 36
      j. 東京都 SSH 校合同発表会 37
      k. 高3課題研究発表会 38
      l. 台湾台中第一高級中学との交流  39
      m. 他 SSH 校重点枠プログラムへの参加(名古屋大学教育学部附属中・高等学校) 41
      n. Thailand International Science Fair 2019  43
      o. SSH プレゼンワークショップ  46
      p. テーマ学習・課題研究「サイエンス・ダイアログ」  47
      q. イングリッシュルーム 49
    4 探究型学習システムの開発と他校への発信・共有
      a. 数学科教員研修会(山口) 50
      b. 数学科教員研修会(筑波大学東京キャンパス)  51
 IV.実施の効果とその評価
      a. 講演会・実施講座生徒アンケート  53
      b. 台湾台中第一高級中学との交流プログラムの評価  55
      c. 国際交流プログラムの評価 57
      d. 卒業生アンケート 59
 V.研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及  61
 VI.校内における SSH の組織的推進体制  63
 関連資料  64
 別紙様式11
                                筑波大学附属駒場高等学校       指定第4期目     2933
 
 
           平成30年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
 
 
  1 研究開発課題
   国際社会に貢献する科学者・技術者の育成をめざした探究型学習システムの構築と教材開発
  2 研究開発の概要
 過去3期(H14-18・H19-23・H24-28)の研究開発課題
   第1期「先駆的な科学者・技術者を育成するための中高一貫カリキュラム研究と教材開発」
   第2期「国際社会で活躍する科学者・技術者を育成する中高一貫カリキュラム研究と教材開発
   中高大院の連携を生かしたサイエンスコミュニケーション能力育成の研究」
   第3期「豊かな教養と探究心あふれるグローバル・サイエンティストを育成する中高大院連携
   プログラムの研究開発」
 への取り組みを活かし、主体的・協働的な学びを通じて、自ら設定した研究課題に対して探究する
 理数系人材の育成を目的とする。そして、生徒の成長過程に即したカリキュラムと学習プログラム
 を開発・実践し、それらを連動させた学習システムの構築を目標とする。さらにその成果を積極的
 に発信し、中等教育現場との共有を図る。
   研究開発の柱は以下の4つである。
   1 国際社会に貢献する科学者・技術者を育成する探究型学習の教材開発と実践
   2 主体的な探究活動をするための基礎力育成カリキュラムの開発と実践
   3 探究型学習を実践するためのプログラム開発とサポート体制
   4 探究型学習システムの構築と他校への発信・共有
  3   平成30年度実施規模
   全校生徒(附属駒場中学校を含む)を対象に実施する
  4   研究開発内容
 ○研究計画
 【第1年次】
   準備・リサーチ段階と位置づける。新規に取り組む内容については、各種プログラムの準備、
 および試行へ向けた調整を行う。すでに実施している内容については、これまでのSSH事業の成果
 と評価を踏まえ、継続的実践・改良・再構築を進める。
 【第2年次】
   試行段階と位置づける。第1年次に準備したプログラムについては、実施規模を限定した形で
 の試行を通して、さらなる実現可能性を探る。第1年次に試行・改良したプログラムについては、
 前年度の結果を踏まえた本格実施を行う。
 【第3年次】
   研究を具体的に展開する。第2年次までに試行した内容について、再検討を行い本格的な実施
 に取り組む。また、継続的に実践している内容については、再検討・改良などを行い、成果の普及
 を進める。
 【第4年次】
   研究の深化・充実を図る。全ての研究内容について、第3年次までに開発した教育プログラム
 や教材を本格的に展開し、評価を試みる。
 【第5年次】
   研究の完結および発展期ととらえる。第4年次までの研究で得られた成果をもとに、開発した
 各種プログラムや教材、カリキュラムを、他校でも活用できるような形での普遍化に取り組む。
 ○教育課程上の特例等特記すべき事項
  なし
 
 
 ○平成30年度の教育課程の内容
  巻末・関係資料(教育課程)の通り。平成 28 年度より「理科課題研究」および「学校設定科目
 ・課題研究」を、高校2年次・3年次で実施している。
 
 
 ○具体的な研究事項・活動内容
  今年度の主な活動内容を、研究開発の柱14の順に示す。
 
 
 1 国際社会に貢献する科学者・技術者を育成する探究型学習の教材開発と実践
  1) 理科課題研究の充実と探究型教材の開発と実践
    高校2年次の必修科目「理科課題研究」(または「学校設定科目・課題研究」)において、
    理科2講座(生物・化学)を設置し、少人数での高水準な研究への取り組みを進めた。また、
    高校3年次「理科課題研究」(選択科目)では、2名の生徒が自分の研究を発表の形にまとめ、
    一般参観者も参加した、校内「高3課題研究発表会」で口頭発表(化学・数学)を行った。
  2) 情報収集能力とメディア活用能力の育成
    情報検索やメディア活用に関する能力を高め、プレゼンテーションスキルを涵養する SSH 特別
    講座「メディア虎の穴」(シリーズセミナー)・「メディア虎の穴特別編」を実施した。
  3) 学際的(教科融合型)課題研究や理数系以外での課題研究の推進
    高校2年次の必修科目「学校設定科目・課題研究」(または「理科課題研究」)において、
    理科以外の7講座(国語・地歴・公民・数学・保健体育・障害科学・英語)を設置し、探究型
    学習に取り組んだ。高校3年次「学校設定科目・課題研究」(選択科目)では、2名の生徒が
    さらに研究を進め、上述の「高3課題研究発表会」で口頭発表(障害科学・地理)を行った。
 2 主体的な探究活動をするための基礎力育成カリキュラムの開発と実践
  1) 理数系基礎力の充実と科学的リテラシーの涵養
    本校では、全教科を挙げてSSH事業に取り組んでおり、上述の「技術科・メディア虎の穴」
    の他にも、各教科でSSH講座を開き、生徒の科学的リテラシー涵養を図っている。
  2) 主体的・協働的な学び(アクティブラーニング)による探究能力の開発
    高校での「課題研究」などで必要となる探究型学習の基礎として、前段階の中学において、
    フィールドワークによる探究学習を、主に総合的な学習の時間において、全員に課している。
 3 探究型学習を実践するためのプログラム開発とサポート体制
  1) 高大連携によるプログラムの推進と実践
  ・「筑波大学研究室訪問」を、中学3年(2月)と高校2年(7月)の全員を対象に実施した。
  ・高校生希望者を対象に、東京医科歯科大学の協力のもと、高大連携プログラム「東京医科歯科
  大学研究室訪問」を実施し(12 月)、大学と附属病院での見学・実習を行った。
  2) 本校卒業生を活用した SSH 事業サポート体制の充実と育成プログラムの検証
    数学(ジュニア)オリンピック参加に資する講座「SSH 数学オリンピックワークショップ」に、
  本校卒業生5名が講師、TA、アドバイザーとして参加・協力した。
  3) 社会と連携し貢献する科学者・技術者の素養を育成するプログラムの開発と実践
  ・「科学者の社会的責任を考える」をテーマとするフィールドワークとして、熊本県水俣市で
  高2課題研究(学校設定科目)「水俣から日本社会を考える」の現地実習を行った。
  ・高校生希望者を対象として、灘高等学校と合同で、震災後の福島に関する現地研修を実施した。
  ・部活動では科学部(中学)と化学部(高校)が、茨城県大子町小学校への出前授業や、文化祭、
  筑駒アカデメイア公開講座において、実験指導を通じて子供たちと交流活動を行った。
   ・高2課題研究(学校設定科目)「障害科学:ともにいきる」では、実際に様々な形で障害に
   かかわる方々による講演を聞き、特別支援学校への訪問・交流、障害疑似体験なども行った。
   4) 国際舞台での研究発表の推進と国際科学コンクール等への派遣
   ・姉妹校協定を結んでいる台中市立第一高級中学とは今年度も相互訪問を行い、互いの研究を
   発表した。また、名古屋大学教育学部附属中・高等学校のプログラムに生徒を派遣し、国内での
   選考ステージを経て、アメリカで現地校の生徒と数学的課題を協働解決した。
   ・今年度生徒が参加した国際科学コンクール(入賞以上)は以下の通りである。
   国際化学オリンピック/国際生物学オリンピック/国際数学オリンピック/国際地理オリンピ
   ック/国際言語学オリンピック/国際情報オリンピックアジア/太平洋情報オリンピック
   ・英語プレゼンテーション能力の育成を図る取り組みとして、英語科 SSH 特別講座「プレゼン
   ワークショップ」や高2課題研究(学校設定科目)「サイエンス・ダイアログ」(英語科)を
   実施した。プレゼンの指導等には、大学予算によるイングリッシュルーム講師を活用した。
 4 探究型学習システムの開発と他校への発信・共有
   ・山口県での数学科教員研修会(8月)に本校数学科7名が参加し、実際の授業や情報交換会を
   通じて、全国の数学科教員との情報共有や発信を行った。
   ・筑波大学東京キャンパスにおいて全国 SSH 数学科教員研修会(12 月)を主催し、各校の取り
   組みや教材、指導法に関する研究協議を行った。
  5   研究開発の成果と課題
 ○実施による成果とその評価
 ・課題研究では、高2(必修)から高3(選択)への流れが、教員・生徒ともに意識できるように
 なった。高2課題研究のまとめ的活動としての、外部での発表という意識が高まり、他校での合同
 SSH 発表会などに参加する数が増えている。
 ・海外派遣プログラムで発表した自分の研究を持ち帰ってブラッシュアップし、より多くの人の目
 に触れる機会を得るために、上記発表会等にも参加するという流れが見られるようになった。
 ・海外派遣プログラムや国際オリンピックへの継続的な参加により、生徒のパフォーマンスだけで
 なく、生徒指導の手順・方法も多くの教員に共有されるようになっている。また、参加生徒が後日、
 本校中学生に情報を伝える機会を設定し、高校進学時により積極的に応募できるようになった。
 ・障害科学に関する取り組み(課題研究)は、教科融合型課題研究の一つの形を作ったと言える。
 ・従来の水俣に加えて、福島でのフィールドワークも定期的に実施できるようになり、理系だけで
 なく文系生徒が社会と密接に関わる探究活動が、一層活発になっている。
 
 
 ○実施上の課題と今後の取組
 ・学校行事や受験準備で最も多忙となる高校3年次に、「(理科)課題研究」を選択できる生徒を
 一定数確保するために、2年次での彼らへの働きかけなど工夫の余地があると考えられる。
 ・「課題研究」が充実してきたことに伴い、統一の評価方法(ルーブリック)の開発が急務である。
 ・筑波大学と東京医科歯科大学の研究室訪問は、生徒への刺激を与えるという点で有効であるが、
 今後は1日だけでなく、事前や事後の高大連携研究にもつながるよう、既存のプログラムを無理の
 ない形で発展させる形で、可能な方策を模索したい。
 ・SSH の効果を測る上で、卒業生への調査(学校独自アンケート)を今年度より開始した。継続的
 かつ効率的に行うことで十分なデータを蓄積し、なおかつ定期的に検証する必要がある。
 ・学校HPがリニューアルされたが、その中で本校の SSH 事業への取り組みや成果(物)等を、
 わかりやすく効果的に発信する方法について、関係部署とも協議の上、研究を重ねたい。
 別紙様式21
                                筑波大学附属駒場高等学校             指定第4期目   2933
 
 
              平成30年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
 
 
  1    研究開発の成果
 研究開発の柱14の順に示す。
 1 国際社会に貢献する科学者・技術者を育成する探究型学習の教材開発と実践
   1) 理科課題研究の充実と探究型教材の開発と実践
      高校2年次「理科課題研究」では「数理で「みる」物理現象」「生物の生態を探究する」の
   2講座を設置し、それぞれ約 20 名の生徒が研究に取り組んだ。3年次「理科課題研究」では、
   研究を進め、校内での高3課題研究発表会では、化学「疎水コロイドの凝析における諸条件の
   影響」と数学「半素数の逆数有限和による1の分割について」の2本の口頭発表が行われた。
   2) 情報収集能力とメディア活用能力の育成
      日本マイクロソフトやアドビシステムズなどのご協力により、シリーズセミナー「メディア
   虎の穴」を 11 月から実施し、メディアリテラシーとプレゼンテーションスキルの向上を図った。
   3) 学際的(教科融合型)課題研究や理数系以外での課題研究の推進
      高校2年次「学校設定科目・課題研究」では、「二次創作のスヽメ」「水俣から日本社会を考
   える」「法と社会」「三千年紀の数学で話そう」「スポーツ×AI」「ともに生きる」「Science
   Dialogue+D.I.Y.」を設置し、探究型学習に取り組んだ。3年次「学校設定科目・課題研究」の
   課題研究発表会では、障害科学「いきていく就労から見つめる障害の今と未来」、地理「東
   北の復興と観光復興ツーリズムを考える」の2本の口頭発表が行われた。
 2 主体的な探究活動をするための基礎力育成カリキュラムの開発と実践
   1) 理数系基礎力の充実と科学的リテラシーの涵養
     科の他にも、各教科で以下のSSH講座を開き、生徒の科学的リテラシー涵養を図った。
   実施時期は各学期期末考査終了後、対象は中学・高校問わず希望者としている。
      英語科「プレゼンテーション能力向上ワークショップ」(年3回)
      保健体育科「成長期の運動と食事がんばれる体をつくろう」
      数学科「シュレディンガー方程式を解いて、カーボンナノチューブ内の電子を探る」
      国語科「ことばの科学へご招待:自分の内なる世界へ」
     社会科「医師の社会的責任、東日本大震災を通しての経験」
  2) 主体的・協働的な学び(アクティブラーニング)による探究能力の開発
     中学においては、学年に応じたフィールドワークを課し、全員の探究学習向上に役立てた。
  主なものは以下の通りである。
   「身のまわりの環境地図作成(中学1年12学期:社会科)」
   「東京地域研究(中学1年3学期中学2年1学期:総合学習)」
   「東北地域研究(中学2年2学期中学3年1学期:総合学習)」
   「城ヶ島野外実習(中学3年生2学期:総合学習)」
     このうち「地域研究(東京・東北)」では、5月の実地調査を本番として、約半年1年前
  から班別活動計画を立てる。事後には報告集作成や発表会開催により、協働力も育成された。
 3 探究型学習を実践するためのプログラム開発とサポート体制
  1) 高大連携によるプログラムの推進と実践
    ・「筑波大学研究室訪問」中学3年(2月)では、前後半にそれぞれコース(研究室)が設定
     され、2つを選んで見学・実習を行った。高校2年(7月)では約20のコースが設置された。
     いずれの生徒にとってもこれらのプログラムは、知的好奇心を満たすだけでなく、将来の自分
     の専攻やキャリアを考えるきっかけになった。
     ・高大連携プログラム「東京医科歯科大学研究室訪問」には高校生23名が参加し、見学や実習
     を行った。特に医学系志望の生徒たちにとって大きな刺激となった。
   2) 本校卒業生を活用したSSH事業サポート体制の充実と育成プログラムの検証
       「SSH数学オリンピックワークショップ」では、講師として本校卒業生が、TAとしても本校
     卒業生4名が中学生たちに、数学オリンピックの問題を教えたり、自身のオリンピック経験に
     ついて話したりすることで、これまでのSSHの成果を母校に還元することができた。
   3) 社会と連携し貢献する科学者・技術者の素養を育成するプログラムの開発と実践
       ・課題研究「水俣から日本社会を考える」の実習(8月)や福島フィールドワーク(12月)
       では、実際の現場を肌で感じることの重要性を体験させることができた。
     ・科学部(中学)・化学部(高校)が、目黒区立駒場小学校サマースクール(7月)や茨城県
         大子町小学校への出前授業(11月)、文化祭(11月)、筑駒アカデメイア公開講座(3月)
         を行った。理科のスキルを高めるだけでなく、子供たちと触れ合うことでコミュニケーショ
         ンスキルの向上や社会貢献にもつながった。
     ・課題研究「障害科学:ともに生きる」では、実際の障害者の方々や特別支援学校教員、東京
         大学先端技術研究センターの教授や医師から学び、インクルーシブ教育と科学・技術の融合
         を図る機会となった。
   4) 国際舞台での研究発表の推進と国際科学コンクール等への派遣
     ・台中第一高級中学への訪問(12月)を例年通り行い、交流をさらに密にすることができた。
     ・名古屋大学教育学部附属中・高等学校のプログラムでは、国内での選考ステージ、アメリカ
     での最終ステージにおいて、国内他校やアメリカ現地校の生徒と課題を協働解決した。
     ・国際化学オリンピック/国際生物学オリンピック/国際数学オリンピック/国際地理オリン
      ピック/国際言語学オリンピック/国際情報オリンピックアジア/太平洋情報オリンピック
   に参加し、成果を挙げた。
   ・プレゼンワークショップや課題研究「サイエンス・ダイアログ」を今年度も実施し、より
   多くの生徒の英語プレゼンテーション能力を育成することができた。
 4 探究型学習システムの構築と他校への発信・共有
        山口県での数学科教員研修会(8月)に本校数学科教員7名が参加した。会場校の生徒への
      授業や、教材等についての報告や協議、数学教育に関する意見交換を行った。12 月の全国 SSH
      数学科教員研修会では、本校を含めた6校が発表を行い、組みや教材、指導法に関する研究協
      議を行い、こちらも本校の教育に関する情報発信・共有に寄与した。
  2    研究開発の課題
 ・高校3年次「(理科)課題研究」は選択履修科目だが、学校行事や受験準備で最も多忙な学年で
 あることを考えると、履修生徒を今以上確保することは難しい。現状の2年次「(理科)課題研究」
 の担当教員が個別に薦める形から、毎年の全国 SSH 生徒研究発表会などにおいて、2年生の模範
 となる研究をコンスタントに確保したい。
 ・「課題研究」の評価方法(ルーブリック)について引き続き検討しているが、講座が文理(その
 融合)の幅広い分野に及ぶため、望ましい統一でシンプルな形のものを設定する難しさがある。
 ・大学研究室訪問は現行の1日でなく、一定期間の高大連携研究につなげたい。当該学年の全生徒
 が参加するので、筑波大学 GFEST など既存のプログラムを用いたり、課題研究発表での大学活用
 など、無理のない形でなるべく多くの生徒が関わるように持って行きたい。
 ・今年度より、SSH の効果の調査を兼ねた統一の記述アンケートを、進路懇談会で来校する OB に
 2回実施した。データの蓄積や分析方法について検討を続ける必要がある。
 ・リニューアルされた本校HPにて、過去の SSH 研究開発実施報告書や年間 SSH 行事カレンダー、
 イベント写真などを随時公開・更新しているが、さらに効果的な発信方法について、外部の意見も
 取り入れて改良していきたい。
                                                  3探究型学習を実践するためのプログラム開発
 I.研究開発の概略
                                                  とサポート体制
 1.研究開発の実施期間                           4探究型学習システムの開発と他校への発信・
   指定を受けた日から平成 34 年 3 月 31 日まで    共有
 
 
 2.研究開発課題                                 4.現状の分析と研究の目的・目標
   国際社会に貢献する科学者・技術者の育成を         過去3期の SSH 事業では、生徒の研究発表能力
 めざした探究型学習システムの構築と教材開発       を高めるプログラムを開発・実践してきた。その
                                                  過程における課題として、SSH 事業と中学・高校
 3.研究開発の概略                               での成長の検証、通常授業と SSH 事業との関連、
   第1期(平成 1418 年度)では、研究開発課題     事業成果の発信などが挙げられていた。そこで
 「先駆的な科学者・技術者を育成するための中高     第4期では、中学の基礎力養成から高校での高度
 一貫カリキュラム研究と教材開発」
                               に取り組んだ。     な探究活動につながる育成カリキュラムの編成を
   第2期(平成 1923 年度)には、研究開発課題     図り、高大連携・卒業生の活用・社会との連携・
 「国際社会で活躍する科学者・技術者を育成する     海外校との連携という観点から各種プログラムを
 中高一貫カリキュラム研究と教材開発中高大院       開発・実践する。さらに、そのプログラムや成果
 の連携を生かしたサイエンスコミュニケーション     を広く発信し、効果を検証しつつ、探究型学習
 能力育成の研究」の下、生徒の「教え合い学び       システムの構築をめざす。
 合い」による、
             「サイエンスコミュニケーション」
 能力育成、国際交流・研究活動支援等を行った。     5.研究の仮説・内容・方法・検証
   第3期(平成 2428 年度)では、
                               「豊かな教養       研究内容の柱14の順に詳述する。
 と探究心あふれるグローバル・サイエンティスト     1国際社会に貢献する科学者・技術者の育成を
 (global scientist)を育成する中高大院連携プロ     めざした探究型学習の教材開発と実践
 グラムの研究開発」を掲げ、全員に探究型学習で       数学科における探究型学習教材開発については、
 ある「(理科)課題研究」を履修させるとともに、   全国の教員と活発な意見交換をすることで、これ
 意欲の高い生徒には、次年度も続けて履修させる     までに開発した教材を見直し、更なる教材の開発
 ことで研究や発表の能力を伸ばした。本校従来の     へとつなげることができると考えられる。
                                                                                      そこで、
 「教養」主義に則り、理数系のテーマに偏らない     SSH 全国数学科教員研修会における公開授業や
 こと、
     「グローバル」としては、従来の台中一中と     研究協議を通して、実践報告と教材の共有を図る。
 の研究交流や他 SSH 校海外派遣プログラムを目標    また、過去の SSH において実施していた、遠方
 に、英語発表(口頭・ポスター)スキルを高める     の学校において本校教材を活用した研究授業・研
 ことに留意した。
               「高大連携」では、SSH 以前から     究協議を行う取組みを復活させ、近隣の数学科教
 実施している筑波大学研究室訪問を継続し、東京     員に加わっていただくことで、より広く深く教材
 医科歯科大学・高大連携プログラムを拡充した。     の共有を図る。実施の前後に、参加した教員への
   第4期(平成 2934 年度)は、主体的・協働的     アンケート調査やメール等による意見交換を行い、
 な学びを通して、自ら設定した研究課題に対して     内容の検討に役立てる。
 探究する理数系人材を育成するとともに、中高生       理科では、中学3年総合的学習「テーマ学習」
 の成長過程に応じたカリキュラムと、それを有機     教材を、高校2年「理科課題研究」で発展・拡充
 的に連動させた学習システムの開発を目標とする。   させ、発展性のある課題に取り組んだ生徒を高校
   今期の研究開発の柱は以下の通りである。         3年「理科課題研究」に引き上げ、SSH 期卒業の
 1国際社会に貢献する科学者・技術者を育成する      OB(学部生・院生)によるサポートを引き続き
 探究型学習の教材開発と実践                       実践する。課題研究や科学系部活動のサポートは
 2主 体的な探 究活動をする ための基 礎力育 成     長期 SSH 校にのみできる利点であり、第4期
 カリキュラムの開発と実践                         SSH では、従来の理科や数学以外での実現可能性
 についても検討していきたい。また、新学習指導     第2年次は、情報教育推進校(IE-School)の実践
 要領の「理数探究」を見据えて、これまで開発・     として実施した、中学3年テーマ学習「ソフトウ
 実施してきた実験教材や生徒の研究成果を整理し、   ェア開発環境を活用したプログラミングによる問
 実践例の蓄積とテキスト作成の検討を継続する。     題解決」の授業評価・改善を行い、中学3年生で
   情報科では、情報活用能力を育成し、研究成果     の学習が高校情報科にどのようにつなげていける
 の発信技能を向上させるセミナーには、民間企業     かを検討する。
 との連携が不可欠である。第2年次は、シリーズ       保健体育科では、ヘルス&スポーツサイエンス
 セミナー「メディア虎の穴」の継続実施と、既に     の取組みとして、授業の一環として継続してきた
 試行実施済の「メディア虎の穴・特別編」の継続     プログラム「からだを測る」
                                                                          (身体姿勢と筋の発達
 に取り組む。評価については、対外的な研究発表     の縦断的観察)を発展させ、生徒が主体的に測定
 の成果や生徒へのアンケート等により検証する。     できる環境を整備する。保健の授業では健康科学
   保健体育科では、ヘルス&スポーツサイエンス     の基礎を学習し、体育の授業ではスポーツサイエ
 の取組みとして、東京オリンピック・パラリンピ     ンスの理論を学習し、測定・実験も取り入れる。
 ックを一つの有効な目標と考え、他教科との融合       国語科では、
                                                              「科学とは、科学的な態度とは何か」
 として、理科(物理)や、ゲーム分析(数学・情     と、自ら考えつづける力を養うため、通常の授業
 報)などのスポーツサイエンスや障害者スポーツ     でも主体的協働的学習を行うとともに、課題研究
 (養護)を取り入れた課題研究を試行する。         を中心にした探究学習を段階的に試行する。また、
   課題研究全般に関する取組みとしては、これま     設定目標に応じた SSH 特別講座も企画する。
 でも実施してきた中学3年総合学習
                               「テーマ学習」     中高の連携をめざす取組みとして,探究活動を
 が、高校2・3年「理科課題研究」
                               「学校設定科目:   取り入れた学習を行い,必要な基礎力を養成する
 課題研究」
         における探究学習の基礎と考えられる。     とともに,第2年次には縦のつながりを意識し,
 これらを継続するとともに、中学生と高校生の相     高校生が中学生に,中学3年生が中学2年生に指
 互交流についても試行する。実施前後には、生徒・   導する機会や,他学年合同で研究発表を行う機会
 担当教員へのアンケート調査や意見交換等を行い、   も設定する。
 講座数・内容の検討を随時行いたい。                 中高連携をめざす取組みとしては、従来の中学
 2主 体的な探 究活動をする ための基 礎力育 成     2・3年総合学習「東京地域研究」
                                                                                「東北地域研究」
 カリキュラムの開発と実践                         における探究活動を取り入れた学習を継続・改善
   数学科では、SSH 期の卒業生の在校生に及ぼす     するとともに、縦のつながりを意識し、高校生が
 影響について考察すべく、これまでの特別講座を     中学生、中学3年生が中学2年生に指導する機会
 発展させた、数学オリンピックワークショップを、   や、他学年合同での発表機会についても検討する。
 継続実施し、部活動である数学科学研究部を中心     3探究型学習を実践するためのプログラム開発
 として、事前・事後指導の拡充を模索する。SSH      とサポート体制
 特別講座も継続して実施し、より高いレベルでの     ()高大連携によるプログラムの推進と実践
 理数探究心を養成する。                             筑波大学研究室訪問、および東京医科歯科大学
   理科では、探究型学習による応用力育成につな     との高大連携プログラムを継続するとともに、受
 がる、理科(4科目)の教材開発や、高校1・2     入研究室の拡充やプログラム、事前・事後指導の
 年での必修科目における理科カリキュラムの再構     内容の充実を図る。
 築や、
     現行教材やカリキュラムの検討を継続する。       保健体育科では、筑波大学体育系等大学研究室
 また、中学3年総合学習「城ヶ島野外実習」を継     と連携したヘルス&スポーツサイエンスの一環と
 続し、グループ活動や議論を重視した主体的・協     して、
                                                      「自分のテーマ」
                                                                    を研究できる環境を整える。
 働的な学びにつなげる。                           第2年次は、研究室訪問を中心として構築した、
   情報科では、民間企業等と連携して、主として     大学との関係を活用し、探究型学習を推進する。
 プログラミング学習の教材開発、情報活用能力の     ()本校卒業生を活用した SSH 事業サポート
 育成をめざした段階的な教育課程編成を行う。       体制の充実と育成プログラムの検証
   卒業生が組織的に SSH を支援する「SSH 支援      により、上記の探究型学習システムの柱の発信を
 コミッティー」の組織化、若手研究者による特別     試行し、そのフィードバックを受けるシステムに
 講座、課題研究や探究型学習の卒業生による指導、   ついて検討する。
 国際オリンピック出場者による後輩
                               (参加希望者)       また、生徒による自己評価や、パフォーマンス
 への助言、卒業生による少人数の分科会・対話形     評価を用いた探究型学習の達成度を測る評価基準
 式で高校生と研究分野について語り合うスーパ       の作成に向けて、先進校の実践事例を継続調査す
 ー・サイエンス・カフェ構想等、可能なものにつ     るとともに、可能なところから段階的に評価方法
 いて段階的に試行する。卒業生アンケートによる     の改善を試行する。
 データの収集と蓄積を行う。
 ()社会と連携し貢献する科学者・技術者の         6.教育課程
 素養を育成するプログラムの開発と実践               巻末の関係資料を参照。教育課程の特例に該当
   科学系部活動の一環としてすでに実施している、   しない教育課程の変更(平成 28 年度完全実施)
 化学部による小学生向け化学実験教室(年3回)     については以下の通りである。
 を継続するとともに、そのプログラムを参考にし     【教科・科目名】「理科課題研究」及び学校設定
 ながら、
       生物部、
             パーソナルコンピュータ研究部、       科目「課題研究」
 数学科学研究部等による小・中学生向け実験教室     【開設する理由】理科及び理科以外の教科での
 やワークショップを試行する。                     主体的・探究的活動の支援強化
   地歴公民科では、従来の水俣フィールドワーク     【目標】理科だけでなく、数学や情報や他教科で
 の再検討を行い、より高度な研究をめざす。具体     の生徒の主体的・探究的活動の深化・発展を促進
 的には首都圏における研究者との交流を取り入れ、   させ、その成果と課題を教育課程に反映させる。
 現地で得た問題への関心をより深められるような     【内容】高校2年生では、大きなテーマを掲げた
 プログラムの構築を目指す。                       10 程度の講座を教員が用意し、オリエンテーショ
   インクルーシブ教育については、「学校設定科     ンで研究の内容と探究活動を紹介する。生徒は
 目:課題研究」障害科学講座での特別支援学校と     希望する講座を選択し、ゼミナール形式で探究型
 の 交流・協働学習を本格的に実施するとともに、    プログラムを実践する。その後、そこで身につけ
 SSH の取り組みの中で科学技術との融合を図る、     た研究手法を活かし、自ら設定した課題に、個人
 新たなプログラムの検討・準備を行う。             あるいはグループで主体的探究的に取組む。高校
 ()国際舞台での研究発表の推進と国際科学         3年では、さらにその課題を深化させ、専門性の
 コンクール等への派遣                             ある高度な研究に取組み、その成果を発表する。
   台中第一高級中学(台湾)との研究交流を継続     【履修学年】高校2・3年次/【単位数】各1
 して実施する。現在の事前・事後指導、発表の       【指導方法】個人・グループ毎に指導教員を配置
 相互評価などの細部までをプログラムとして確立     し、研究を支える理論、実験方法、先行研究の
 し、オープンにすることで校内でのさらなる周知     検索・活用方法、データ解析方法、論文のまとめ
 を目指す。また、国際科学コンクールや国際科学     方を一貫して指導する。また、大学との連携や
 オリンピックなどへの参加生徒とその成績や卒業     OB の活用等、多面的な指導方法も視野に入れる。
 生アンケートなどのデータの収集と蓄積を続ける。   【年間指導計画】集中形式での課外実施を含め、
   英語授業では引き続いて、スピーキングとリス     研究を支える理論、実験方法、先行研究の検索と
 ニングに重点を置き、総合学習や国際交流事業な     活用方法、データ解析方法、論文のまとめ方を
 どでは ALT や外部講師のさらなる活用を図ると      指導する。
 ともに、大学や卒業生との連携企画を試行する。     【既存の教科・科目との関連等】研究活動の発端
 4探究型学習システムの開発と他校への発信・        となる課題発見、研究活動を支える課題解決の
 共有                                             方法等は、高校1年次までの履修教科における
   第1年次において模索した方法、具体的には、     学習内容を基盤とする。
 各種研究会、本校 Web サイト、研究紀要、書籍等                             (研究部・山田忠弘)
                                                             数学科教員研修会(山口県)
 II.研究開発の経緯                                8/28
                                                             数学科教員7名
   5年計画の第2年次は試行段階と位置づける。                数学オリンピックワークショップ
                                                    9/8
 第1年次に準備したプログラムについては、規模                (中級編)(本校)
 を限定した形での試行を通して実現可能性を探る。
                                                   9/15      高3課題研究発表会(本校)
 また、試行や改善を行ったプログラムについては、
                                                             第 45 回教育研究会・公開授業
 その結果を踏まえて、本格実施へと移行する。
                                                             テーマ「つないで培う実践知思
                                                             考力・判断力・表現力を養う授業
 1.第2年次研究の主な活動
                                                   11/17     づくり」 (社会科・理科・英語科)
   今年度の主な活動は以下の通りである。
                                                             講演会・ワークショップ「探究する
 一部の活動については、以降の章で詳述する。
                                                             学びにつなぐ教科横断型授業を
                                                             考える」
              名古屋大学教育学部附属中高等
                                                             技芸科 SSH メディア虎の穴・
    6/2-3     学校 SSH 重点枠事業 1st Stage
                                                   11/20     特別編 「研究発表ポスターの
              高1生徒4名・引率教員1名
                                                             デザイン講座」
              第1回校内研修会
              ・講演「考え、議論する道徳科の                 技芸科 SSH メディア虎の穴シリ
                                                  11-3 月
              授業づくり」                                   ーズセミナー(全 15 回)
     6/20     ・「ハワイ大学 STEMS2 プログラ
                                                             全国 SSH 数学科教員研究会
              ム研修報告」
                                                   12/2      (本校数学科主催/筑波大学・
              ・各教科協議 「今期 SSH(2年
                                                             東京キャンパス)
              次)実施状況」
              英語科 SSH 特別講座 「プレゼン                 英語科 SSH 特別講座 「プレゼン
      7/7     テーション能力向上ワークショッ       12/8      テーション能力向上ワークショッ
              プ」(中3・高1)                             プ」(台湾研修参加生徒)
 
      7/7     第1回 SSH 運営指導委員会                      台中市立台中第一高級中学との
              筑波大学研究室訪問(高2)・                   研究交流(学校訪問 12/13・14)
     7/10                                         12/11-16
              駒場連携小委員会                               高2生徒 12 名・高1生徒4名・
                                                             引率教員3名
              高2課題研究フィールドワーク
   7/30-8/2   「水俣から社会を考える」                       保健体育科 SSH 特別講座
              高2生徒 11 名・引率教員1名         12/11     「成長期の運動と食事がんば
                                                             れる体をつくろう」
              名古屋大学教育学部附属中高等
    8/2-3     学校 SSH 重点枠事業 2nd Stage                  社会科 SSH 特別講座
              高1生徒4名・引率教員1名           12/11     「医師の社会的責任、東日本大
 
              SSH 生徒研究発表会(神戸)                     震災を通しての経験」
 
              高3生徒1名(発表)・高2生徒2名               数学科 SSH 特別講座
    8/8-9     (見学)・引率教員2名                         「シュレディンガー方程式を解い
                                                   12/12
              発表テーマ「半素数の逆数有限                   て、カーボンナノチューブ内の電
              和による1の分割について」                     子を探る」
              大阪府立大手前高校マスフェスタ                 東京医科歯科大学・高大連携
     8/25     高2生徒(数学課題研究)3名・       12/13     プログラム
              引率教員1名                                   参加生徒 23 名・引率教員1名
           数学オリンピックワークショップ       2.委員会等の活動
 12/15
           (上級編)(本校)                   1SSH 運営指導委員会
           日経サイエンス講座 清水建設            校外の運営指導委員と校内推進委員が参加して、
 12/19
           技術研究所見学                       今年度も 7 月と 1 月の2回開催され、今後の SSH
 
           SSH 東京都指定校合同発表会           事業の進め方などについて意見交換を行った。
 12/23                                          2校内プロジェクト委員会
           ポスター発表7 参加生徒 20 名
                                                  校内プロジェクト3(筑駒アカデメイア・イン
           Thailand International Science
                                                クルーシブ教育担当)では、本校教員・生徒が、
 1/7-12    Fair 2019
                                                一般対象の公開講座を開き、本校教育の成果を
           高2生徒3名・引率教員1名
                                                還元した。また、本校OBによる講演会も催し、
  1/19     第2回 SSH 運営指導委員会            地域貢献を果たしている。
           国語科 SSH 特別講座                    校内プロジェクト4
                                                                  (国際交流担当)
                                                                                において、
  1/23     「ことばの科学へご招待:自分の       国際交流プログラムの検証・評価などを担当した。
           内なる世界へ」                       3研究部
           都立戸山高等学校 生徒研究成            実施計画書、事業計画書、事業経費説明書など
  2/3      果合同発表会 参加高2生徒9名        SSH 関係書類の取りまとめ、文部科学省および JST
           (口頭発表1・ポスター発表5)       との連絡協議、外部からの各種調査・アンケート
  2/7      筑波大学研究室訪問(中3)           の実施等を行った。また、研究発表の場となる
                                                教育研究会、校内研修会の企画・運営を行った。
           第2回校内研修会
                                                4その他
           ・協議「道徳の実施に向けて」
  2/20                                            本校と筑波大学との間で行われる、筑波大学・
           ・協議「つくこまの探求」
                                                附属駒場連携小委員会が、7 月に筑波大学で行わ
           (中学探究学習・高校課題研究)
                                                れ、大学側と本校教員が意見交換を行った。
           名古屋大学教育学部附属中高等
                                                  また、筑波大学附属学校群 11 校が参加する、
           学校 SSH 重点枠事業 3rd Stage
 3/2-7                                          年6回の附属学校連携委員会においても、本校
           (米国) 高1生徒4名・引率教員
                                                SSH 活動や高大連携について報告している。
           1名
                                                                         (研究部 山田忠弘)
           保健体育科特別講座 「Tsukuba
           International Academy for Sport
  3/8
           Studies による Olympic and
           Paralympic Values Project」
 
           英語科 SSH 特別講座 「プレゼン
  3/9      テーション能力向上ワークショッ
           プ」(中1・2、釜山研修参加生徒)
 
  3/11     日経サイエンス講座 セコム(株)
 
  3/13     日経サイエンス講座 エリジオン
 
           平成 30 年度 SSH 研究開発実施
  3/15
           報告書提出(文部科学省・JST)
 
           釜山国際高等学校との文化交流
 3/25-29   (学校訪問1日) 高2生徒5名・
           高1生徒7名・引率教員3名
                                                  関数のグラフの和や差について扱う教材について
 III.研究開発の内容
                                                  は,中学校での比例・反比例の学習から高校での
 1     国際社会に貢献する科学者・技術者の         微分・積分の学習までを一貫し,さらに大学にお
       育成をめざした探究型学習の教材開           ける数学をも見通した中心概念として,長年の教
       発と実践                                   材開発の蓄積が,一種のカリキュラムとして成立
                                                  しつつある。
 a.中高一貫数学教材の開発と全国への発信             ひとつの教材に対し,教師と生徒が授業の中で
                                                  ともに知恵を出し合い,さらに定例の数学科教科
 1.仮説                                         会を通して教師間でもさらに深める。この繰り返
   高等教育において探究型の学び,対話的な学び     しが,本校数学科の教材開発と実践研究の中心で
 の重要性が声高に主張され,授業改革が叫ばれて     ある。
                                                      開発教材集として提示しているものは,
                                                                                        日々
 いる昨今,中等教育において,高等教育機関での     の膨大な授業の中で試行錯誤しながら,一定の成
 学びを見通しながら教材・カリキュラムを構成す     果としてまとまったものの一部にすぎない。また,
 ることの重要性も高まっているといえる。探究的     開発教材自体も完成されたものではなく,同じ教
 な学びは決して授業の「型」のみで実現するもの     材を異なる教師が扱い,異なる生徒が取り組むこ
 ではなく,その内容である教材,そして教材と教     とで,さらに新しい視点や,深い考察が生まれて
 材をつなぐストーリーとしてのカリキュラムがあ     いく事例もある。
 ってこそ実現できると考えるからである。             第IV期を迎えた本校 SSH 事業において,今まで
   言うまでもないが,数学科としての教材研究の     以上に求められるのは,新たな教材開発はもちろ
 基盤となるのは授業である。どのような教材で生     んのこと,既に開発し共有している教材について
 徒のどのような資質・能力を引き出し,どこまで     も,本校に限らず広く他校で実践していただき,
 高めていくかという長期的な視野が求められる。     その反応をもとにさらに洗練していくことである。
   これらの要請に応えるべく,本校数学科では教     そして,個々の教材と,それを貫くカリキュラム
 材開発を進め,それらを全国へと発信する試みを     という視点で既存のカリキュラムや教材を見直し
 行っている。                                     再構成することが,研究主題として標榜する「探
                                                  究型学習システムの構築」にもつながっていくの
 2.概要                                         ではないかと考えている。
 2.1   教材開発に際しての基本姿勢
   本校数学科ではすでに 100 をこえる教材開発の    2.2   開発教材とその発信
 事例を蓄積しているが,ほとんどの教材に通底し       次ページに,過去の SSH 事業も含めて本校数学
 ているのは,扱いたい中心課題と,それに対する     科が開発した教材の一覧を掲載する。本校数学科
 生徒の発想や反応が対となっていることである。     では,教材を大きく分けて代数,解析,幾何,統
 教材によっては,生徒の発想がさらに次の課題を     計,微分方程式,確率の各分野に位置づけ,主な
 生み出し,数学的活動のサイクルが展開している     対象学年によって教材をナンバリングして整理し
 ものもある。これが,本校数学科における教材開     ている。表内の★印は,今年度「筑波大学附属駒
 発の基本姿勢として「教師と生徒との相互作用で     場論集」にて実際の内容を掲載したものである。
 築き上げること」を掲げている所以である。         また,論集以外にも,後節にて報告する SSH 数学
 教材を束ねるカリキュラムの開発に関しても,発     科教員研修会をはじめ,本校公式 Web サイトでも
 想はトップダウンではなく,ボトムアップである     専用ページを設けて閲覧できるようにしている
 と言えるだろう。すなわち教師は,日々の教材開     (Web 上ではパスワードによって閲覧制限をかけ
 発において,授業を通して生徒との相互作用で教     ているが,パスワードについては問い合わせに応
 材を磨きつつ,次にどのような教材を提示するか,   じるとともに,教員向け研究会でその都度周知)。
 どのような課題へとつなげるかを考え,理解や深
 化,
   発展や一般化への流れを組み立てる。
                                   例えば,
                         開発教材一覧(筑波大学附属駒場中・高等学校数学科)2018年度
 
 表左端のアルファベットは分野を表し,
                                   中学は小文字,高校は大文字。数字は対象学年(もしくは,
                                                                                       実際に授業をおこなった学
 年)を表す。
           学年を特定していない教材や,複数学年での取り扱いを想定している教材は,数字の代わりに「f」を用いた。
 
 A. 代数(Algebra)                                                             g3-4.     ヘロンの公式の幾何的証明と応用          2013
 a1.      整数                                                           2008   g3-5.     双心四角形の性質                        2015
 a1-2.    有理数                                                         2007   g3-6.     円を使う作図の教材                      2017
 a1-3.    剰余類の演算とウィルソンの定理                                 2014   g3-7.     作図の応用問題                        ★2018
 a1-4.    速算術                                                         2015   G1.       四面体の幾何                            2008
 a1-5.    最大公約数と差が等しい数の組み合わせ                         ★2017   G1-2.     デカルトの円定理                        2009
 a3.      暗号理論と整数論                                               2006   G1-3.     正多角形と等積な正方形の作図法          2013
 A1.      数と方程式                                                     2008   G2.       正1 7 角形の作図                        2008
 A1-2.    平方根の連分数展開について                                     2012   G2-2.     ベクトルの内積と方べきの定理            2011
 A1-3.    高校における整数問題                                           2014   G2-3.     正射影ベクトルと内積・
                                                                                                              外積                2017
 A1-4.    開平法と連分数による平方根の近似値                             2014   S. 統計(Statistics)
 A1-5.    オイラー関数について                                           2015   s1.       統計の基本                              2006
 A1-6.    集合と場合の数の導入                                           2016   s2.       標準偏差・
                                                                                                  近似直線                        2006
 A2.      離散な数列と連続な関数                                         2009   s3.       正規分布と標準化                        2006
               4
 A2-2.    Σk と区分求積法                                               2011   s3-2.     シミュレーションによる授業              2006
 A2-3.    斜交座標の薦め                                                 2015   S1.       回帰直線・
                                                                                                  近似曲線                        2006
 A2-4.    漸化式                                                         2015   S1-2.     数理統計学入門                          2009
 A2-5.    確率漸化式と課題研究                                         ★2018   S2.       残差分析によるデタ系列の関係            2007
 A3.      置換と正多面体群                                               2007   S3.       主成分分析入門                          2007
 A3-2.    1
          次変換の線形性                                                 2008   S3-2.     正規分布の平均の推定                    2008
 A3-3.    複素数と複素数平面                                             2015   S3-3.     中心極限定理                            2016
 A3-4.    複素数平面における1 次分数変換                                 2017   D. 微分方程式(Differential equation)
 An. 解析(Analysis)                                                           d1.       自然数の和,
                                                                                                    平方数の和,
                                                                                                              立方数の和          2017
 an1.     2 元1 次方程式とその応用                                       2007   d1-2.     『数える』                              2010
 an2.     合成関数とグラフ                                               2009   d2.       グラフや図形の移動・
                                                                                                            変形                  2006
 an3.     絶対値を含む関数のグラフ                                       2009   d3.       2次関数の接線                          2006
 an3-2.   絶対値とガウス記号を含む関数のソフトウエアによるグラフ描画     2010   d3-2.     面積・
                                                                                              体積                                2006
 an3-3.   中学での2 次関数の扱い                                         2017   d3-3.     最大・
                                                                                              最小                                2006
 An1.     2 次関数                                                       2007   d3-4.     放物線で囲まれる面積                    2013
 An1-2    2 次関数(2)                                                 2009   d3-5.     場合の数 樹形図から漸化式へ             2014
 An1-3    和や積のグラフ                                                 2010   D1.       包絡線                                  2006
 An1-4.   図で証明する三角関数の性質                                     2013   D2.       グラフ描画の方法 テクノロジへの挑戦     2007
 An2.     円周率の近似                                                   2007   D2-2.     3次関数の性質                          2014
 An2-2.   三角関数表を作る                                               2006   D3.       包絡線(その2)                         2006
 An2-3.   加法定理から導き出される多項式                                 2006   D3-2.     微分方程式                              2006
 An2-4.   三角関数の和と積の周期                                         2011   D3-3.     微分方程式の応用                        2006
 G. 幾何(Geometry)                                                            D3-4.     関数のグラフの描画法                    2008
 g1.      四角形の合同条件                                               2008   D3-5.     曲線と面積                              2008
 g1-2.    作図の教材                                                     2009   O. その他(Others)
 g1-3.    四角形の性質(包含関係)                                       2010   Of.       4 元数を高校数学へ                      2007
 g1-4.    正多面体の面や辺の作る角                                       2012   O2.       有限世界の数学                          2007
 g1-5.    三平方の定理                                                   2013   P. 確率(Probability)
 g2.      チェバ・
                メネラウスの定理                                         2007   p2.       身近な確率・
                                                                                                    連続変量の確率                2011
 g3.      立方体の切断                                                   2007   Pf1.      組み合わせの確率モデル                  2007
 g3-2.    反転法                                                         2007   Pf2.      E B Iと確率・
                                                                                                     統計                         2007
 g3-3.    立方体の切断(2)                                             2009   Pf3.      無限集合の確率                          2008
 
 
                                                                                筑駒数学科Webサイトより,PDFファイルを閲覧できます
                                                                                https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/ssh/math
 3.まとめと検証
   本校数学科の SSH 事業に関わる研究では,開発
 教材を中学・高校の既存のカリキュラムの中に位
 置づけることからはじめて,通常の授業で繰り返
 し実践しながら洗練してきたものである。しかし,
 前述したように,ひとつひとつの教材を完成され
 た教材と考えるのではなく,すでに実践された教
 材についても,生徒による新たな解釈や,また教
 師による新たな工夫などを盛り込んで再度実践す
 るというサイクルも含めて,教材開発ととらえる      数学科教員山口研修会での研究授業
 べきであろう。
   詳細は後節にて報告するが,本校数学科が主催
 する SSH 教員研修会では,協力校に赴き,協力校
 の生徒を対象に本校教員が研究授業を行う取組や,
 本校開発教材をベースに,協力校の先生方に,自
 校の生徒を対象に研究授業をやっていただく等の
 取組も,ここ数年来で行っている。また,ありが
 たいことに,これら学校としての枠組みを離れた
 数学科教員個人の研究活動の中からではあるが,
 各種学会での研究発表をきっかけに,
                                 「自校でもこ
 の教材を実践してみたい」という申し出を受け,      数学科教員山口研修会での教材発信
 実践した結果や生徒の感想を送っていただいたと
 いう事例もある。開発教材の有効性の検証という
 側面と並行して,より良い教材へと発展させる礎
 としても,このように教材開発のネットワークを
 広げていくことは,今後さらに重要性を増すであ
 ろう。
   公開授業・研究協議会や,SSH 数学科教員研修
 会など,従前より本校数学科では,他校の先生方
 から直接意見をいただく機会を継続的に設けてい
 る。今後フィードバックの仕組みについて,Web
 サイトを活用するなど,より集約しやすいものを
 つくっていくことも大切ではないかと考えられる。   SSH 全国数学科教員研修会での教材発信
                  (文責:数学科・須藤 雄生)
 
 
 
 
       数学科教員山口研修会での研究授業           SSH 全国数学科教員研修会での教材発信
 b. 理科課題研究の充実と探究型教材の開            3.2 中学の通常授業において
    発と実践                                        物理分野では、
                                                                「電気」
                                                                      (中学2年)をテーマに
                                                  し、以下の点に留意しながら授業を展開した。
 1.仮説                                         ・
                                                  「教え込む」ではなく、実験中に気づいたことを
   本校では、中学3年の「テーマ学習」
                                   、高校2年       発表・共有して積み上げる「発見型」で進める
 の「理科課題研究」において、探求型学習を実践     ・
                                                  「見えないもの」を科学的な思考を経て「イメー
 し、SSH 事業として開発した実験教材を核に開発       ジ」に昇華していく過程を経験させる
 型プログラムを展開してきた。一方で、その充実     ・定性的な視点で現象を説明できるようにする
 のためには普段の授業から探究型学習を意識した     ・現象に触れる時間を長くとることによって、身
 観察・実験を多く取り入れることが効果的である       体にしみこませるように「経験化」する
 との仮説のもと、通常授業における観察・実験の       「力学」や「光」などと異なり「対象が見えな
 改良を行った。                                   い」特徴をポジティブにとらえ、様々な道具を与
 2.概要                                         えて現象に触れさせ、わかったことを発表すると
   普段の授業においては、観察・実験の目的・方     いう自由な実験を実施した。ただ、自由といえど
 法等が教師から与えられ、テキストに沿って展開     も実はそれほど多くの種類の事実は出てこない。
 されるケースが多かった。教員にとって管理しや     新たなステージには、この「見えない電気」をイ
 すく、効率的に目的や方法を伝えられることなど     メージできないと進めないので、生徒たちの気付
 がメリットとして挙げられる一方、生徒の主体性     きはかなりの確率で「静電気の基本的な性質」に
 は出にくい。そこで、課題の発見・探究・解決の     収れんされていく。この分野は最初から教えずと
 一連の流れの中で、たとえ一部でも主体的に取り     も、生徒自身の気づきから学んでいくことが可能
 組む場面を設ける教材の導入を心掛けた。           な分野だといえる。
   特に、中学段階は自由な発想で臆することなく       生物分野では、自然事象に対する気付きから表
 発言する生徒が多く、高校と比べるとカリキュラ     現・伝達に至るまでの探究の一連の過程を随所に
 ムにも余裕があるメリットを活かせると考える。     散りばめ、探究型学習を意識した試みを行った。
 3.内容                                         (1) 観察から問いを立てる
 3.1 高校の通常授業について                         観察から生じる疑問や気付きから問いを立てた
   物理基礎(高校2年)では、授業内容に対する     ・「さまざまな細胞の観察」中学3年、1時間
 生徒の意識を探るべく、アンケート調査を実施し     ・
                                                  「DNA の抽出」中学3年、1時間
 た。調査前に行った授業は、
                         「実験の方法をグルー     (2) 対照実験を自分たちで考える
 プで議論する場を設け、生徒の主体性が発揮しや       生徒自身が課題、仮説、検証計画を立案した
 すい形式へ変更した生徒実験」と「大学入試で出     ・「オオカナダモと BTB 溶液で光合成を調べる実
 題されるような力学分野の典型的な問題演習」で       験を考える」中学1年、計2時間
 あり、それぞれの授業に対する意識を問うた。       ・「アルコール発酵の実験」中学3年、計2時間
   結果、全体的に「生徒実験」は「自然現象の理     (3) 実験計画を発表する
 解」
   、「仲間との議論が新しい視点の獲得」に、そ       実験計画を立案したのち、各班で発表させ、他
 れぞれ役立ち、
             「問題演習」は「理論の定着」と「受   班の仮説や検証計画を聞いた上で自分たちの計画
 験対策」に役立つと肯定的に捉えている傾向が伺     を修正する時間を設けた。
 えた。その一方、卒業後の希望進路別には、
                                       「受験     ・「唾液の働きを調べる実験を考える」中学1年、
 対策」を中心にした授業を望む傾向、逆に「実験」     計3時間
 を中心にした授業は望まない傾向が、特に医学系     (4) 表現・伝達する
 への進路を希望する群に伺えた。                     課題研究同様、スライドとポスター作成による
   「実験」が最終的には「受験対策」にも役立つ     調べ学習のまとめを行った。
 というメッセージが伝わる仕掛けを意識した教材     ・
                                                  「生態系と SDGs について調べる」中学3年、計
 開発を心掛けたい。                                 5時間      (文責:理科(物理)
                                                                                  ・真梶克彦)
 c.情報収集能力とメディア活用能力の育成             新たに講師派遣の協力を得ることができた。
                                                    この段階で、前項の改善が必要な 3 点のうち、
 1. 仮説                                         「年度内完結」は実現された。また、
                                                                                  「オンライン・
   技芸科では、SSH シリーズセミナー「メディ       プレゼンテーションの時数配分増加」
                                                                                  については、
 ア虎の穴」を構築して、生徒の研究・発表に必要     当該講座の実施間隔を詰めることで、学習の密度
 な情報検索やプレゼンテーションスキルを涵養       が上がるように工夫した。
 することを目標とした。換言すれば、「研究活動       さらに、アドビシステムズ(株)とは、同社教育
 の入口と出口の技術の修得」である。これらのス     市場営業本部 楠藤倫太郎氏、小池晴子氏と講座
 キルを養成することが、「国際社会に貢献する科     内容、
                                                      既存講座との連関、
                                                                      実施時期などを協議し、
 学者・技術者」の育成に有用と考えるからである。   ・既存のプレゼンテーション講座の終盤に、画像
   第 2 年次である今年度は、シリーズセミナーの      加工、動画作成の講座を新設する。
 第 1 期を計画し実施した。その過程を報告する。    ・既存のシリーズセミナー終了後、受講生自身の
                                                    研究進展に沿う形で、研究発表ポスター制作の
 2. 方法
                                                    講座を新設する。
 2.1 シリーズセミナー(通常講座)の実施計画
                                                  という形で協力をいただくこととなった。
 2.1.1 大枠の確認
                                                    生徒の研究実態に最適な時期に研究発表ポスタ
   第 1 年次は以下の大枠に到達した。再掲する。
                                                  ーの講座を新設したため、結果的に当該講座のみ
   201316 年度実施分の骨格、すなわち
                                                  次年度へのはみ出しとなったが、必要な箇所の改
 ・受講生…中 3・高 1 の 16 人
                                                  善は完了したと考えられる。シリーズセミナーの
 ・選抜方法…抽選
                                                  概要は表 1 のとおりである。
 ・受講環境の保証…受講期間中の機器貸与
                                                   講                 タイトル                        講師                実施日
 ・講師陣…大学・OB・協力企業(MS)の専門家          0    ガイダンス・抽選会                    本校     (植村・土井)     2018/11/13
                                                   1-1 クラウドを活用した研究スタイル          TS          杉田和久様   2018/12/07
 と、当時のカリキュラムを生かしつつ、                                                         本校    加藤志保研究員
                                                   2    学術情報の探し方                                                2018/12/10
                                                                                             図書館        渡邉朋子様
 ・講座間の実施間隔を詰め年度内での完結            1-2 クラウドを活用した研究スタイル          TS          杉田和久様   2018/12/13
                                                   3-1 プレゼンとは?                                                    2018/12/14
 ・オンライン・プレゼンテーションの配分増          3-2 シナリオの重要性                                                 2018/12/19
                                                                                               MS          西脇資哲様
 ・新たにアドビシステムズの協力を得て、スライ      3-3 スライド作成                                                     2019/01/17
                                                   3-4 魅力的な話し方                                                   2019/02/16
   ド作成・画像処理の講座新設                      4-1
                                                       スライドプレゼンテーションの
                                                                                                                        2019/02/19
                                                       魅力を高める写真加工
 の 3 点の改善を図る。                                 スライドプレゼンテーションの
                                                                                             アドビ    名久井舞子様
                                                   4-2                                                                  2019/02/21
                                                       魅力を高めるミニ映像
 2.1.2 実施に向けての準備                                                                              小宮一浩教諭
                                                   3-5 共同でスライド作成                     本校                      2019/03/12
                                                                                                       土井宏之教諭
   第 1 年次に引き続き、以下の各項を行った。       3-6 口頭発表会                              MS      西脇資哲様       2019/03/08
 
 ・貸与機器整備:Microsoft Surface Pro + Type      5    判例から見る著作権法                   NV          小崎和隆様   2019/03/23
                                                   6-1 オンライン・プレゼンテーションの                                 2019/03/09
                                                                                               MS           高橋忍様
   Cover 4 台を購入し、
                     合計 14 台とした。
                                     これに、      6-2 極意                                                             2019/03/16
                                                   4-3 研究発表ポスター制作に向けて                                     19年7月未定
   前回(2015 年度)購入分で稼働するものを加え、     4-4 研究発表ポスターブラッシュUP
                                                                                             アドビ    名久井舞子様
                                                                                                                        19年9月未定
 
   受講生全員に貸与できる体制を整えた。                 TS…テック・ステート、図書館…筑波大学附属図書館
                                                        MS…日本マイクロソフト、アドビ…アドビシステムズ
 ・クラウド環境整備:日本マイクロソフトの協力           NV…NEWVERY
 
   を得て、従前の Office365 Education の使用継     表 1 シリーズセミナーの概要(通算第 4 期・2018-19)
   続が可能となった。
                                                  2.2 特別講座の実施計画
 ・カリキュラム検討:教科内スタッフ、日本マイ
                                                        …研究の仕上げの支援:高校 2 年生に向けて
   クロソフト(株)文教本部 原田英典氏、そして
                                                  2.2.1 特別講座の目的
   各回講師陣と、
               実施時期・内容などを協議した。
                                                    通常講座とは異なり、現在進行形で課題研究を
   また、
       「学術情報の探し方」担当の本校・加藤志
                                                  進め、対外的な研究ポスター発表を控えている高
   保研究員(学校図書館の司書)が、高大連携の観
                                                  校 2 年生にフォーカスを絞った講座である。
   点から本学学術情報部アカデミックサポート課
                                                  2.2.2 実施に向けての準備
   長 村上康子氏(本学附属図書館)と協議し、
   過去の本校生徒の手による研究発表ポスターを      回の講義で正しい学術情報の探し方から、信憑性の
 調べ、課題研究の指導に当っている本校教員の意      高い統計情報を手に入れる方法まで丁寧に教えてい
 見を聴取した上で、実施時期・内容・指導形態な      ただけたので、今後のレポート・プレゼン作成に生
 どを固めていった。                                かしていきたいです。
                                                                     」
 ・時期:11 月下旬…学校行事が一段落し、研究も       このほかの講座は、本校公式 web の SSH ペー
   終盤に入り、かつ海外派遣や各種発表会まで時      ジ(https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/category/ssh/)
   間的余裕がある                                  に概要を掲載したので参照してほしい。
 ・内容:聴衆が研究内容を理解しやすくなるよう
                                                   2.3.2 特別講座
   な研究発表ポスター構成やデザインを体得する
                                                   「研究発表ポスターのデザイン講座」
 ・形態:ポスターデザインに関する講義と、先輩
                                                   (2018/11/20)
   や自身の過去の研究ポスターを題材にしたデザ
                                                     受講者は高校 2 年理科課題研究と高 2 課題研究
   イン修正実習を行う
                                                   (数学)の受講生有志約 20 名であった。
   この方針をもとに、
                   『伝わるデザインの基本』著
                                                     講座では、まず研究ポスターデザインの基本的
 者である高橋佑磨氏(千葉大学大学院理学研究科)
                                                   知識を高橋氏に講義していただき、それをもとに
 に出講を依頼し、快諾を得た。
                                                   先輩方や受講生自身が作成した発表済みのポスタ
 2.3 講座の様子                                    ーをグループワークでデザイン修正をはかった。
 2.3.1 シリーズセミナー(通常講座)                  その後、その修正結果を高橋先生の Before and
   大きく内容を改訂した講座を取り上げる。          After 案と照らし合わせて、
                                                                           「伝わりやすいデザイ
 「2 学術情報の探し方」(2018/12/10)                ン」について気づきを得た。最後は、高橋氏が作
   加藤研究員(本校図書館司書)と、本学学術情報      成したポスター素材を、本日の講義の要点をもと
 部アカデミックサポート課の渡邉朋子氏(本学附       に受講生各自が PC 上でデザイン修正を加えると
 属図書館ラーニングサポート担当)が担当した。       いう「まとめワーク」を行い、定着を図った。
   講義部分の前半は加藤研究員が「検索システム
 を使い倒す」をテーマに、ブラウジング、情報の
 収集、情報の取捨選択といった手順を実例を交え
 て講義した。また後半は渡邉氏が「学術情報の探
 し方論文とデータ」をテーマに、先行研究の
 論文を効率的に探すための「CiNii Article」活用、
 論拠に使える統計データを探すための「e-Stat」
 「首相官邸 Web の白書のページ」活用について講     生徒の感想:ポスターの視覚的な改善方法はいろ
 義した。                                          いろ存在するのだなということを認識させられ
                                                   た。一見よさそうなポスターも改善点がたくさん
                                                   あるのだなということを再認識させられた。
 
                                                   3. 検証
                                                     シリーズセミナー(通常講座)については報告書
                                                   執筆時点では終了していない。終了後の受講生ア
                                                   ンケートを第三年次に検討し、内容の改善につな
   その後の検索実習では、2 人一組でテーマを定      げる。特別講座については、事後アンケードでは
 め論文検索、統計データ、白書ページの活用など      ほぼ全員が「今後の学習に役立ちそうだ」と回答
 を体験し、情報交換を行った。                      している。また受講生の多くが「東京都 SSH 指
 
 生徒の感想:「学術情報を探すのは面倒で、結局
                                                   定校合同発表会」などのポスター発表に臨んでい
 
 Google を使ってしまうことも多々ありましたが、今
                                                   る。          (文責:家庭科・情報科 植村徹)
 2   主体的な探究活動をするための基礎力           基礎となる偏微分方程式として 1926 年に登場し
     育成カリキュラムの開発と実践                 今も話題の尽きない方程式です。この講座では,
                                                  大学の微分積分学の初歩的な紹介から始めて,簡
 a1.数学科 SSH 講座                               単な微分方程式を解いてみることを体験してから,
 1.仮説                                         シュレディンガー方程式で記述される量子力学の
 今年度に実施した特別講座のテーマと日程・講師     世界にご案内します。最後には,カーボンナノチ
 は以下の通りである。回数は 15 年前からの通算,   ューブに関連するシュレディンガー方程式を解い
 テーマと内容は生徒への募集1案内に記載したもの     たらどんなことがわかるか,という最近の結果を
 である。募集2案内を配布して希望者を募り,期末     紹介しようと思っています。
                                                                          」
 考査後の特別授業期間中に講義して頂いた。         本講座では,中学生や高校 1 年生向けに,微積分
                                                  の定義や微分方程式の見方を大変丁寧に分かりや
 2.概要                                         すく解説いただいた。また,シュレディンガー方
   ○第 48 回数学特別講座                         程式の意義も,難解な内容の煩雑さを避け,本質
 『シュレーディンガー方程式を解いて,カーボン     的な意義を実に明快に分かりやすく解説してくだ
 ナノチューブ内の電子を探る』                     さった。
 日 時:平成 30 年 12 月 12 日(水)
 13:3015:30                                       3.検証
 場 所:本校オープンスペース                        アンケート結果から,参加者の中には高い興味
 講 師:新國 裕昭 氏                              関心を持って臨み,期待通りあるいは期待以上の
 (前橋工科大学 工学部 准教授)                   内容に満足し,数学に関する興味関心を深めたよ
 参加者:中 2 から高 3 までの希望者 23 名         うであった。また,自由記述では主に以下のよう
         および理科教員 2 名                      な生徒の感想が寄せられた。
                                                  ・特殊な場合だけでもすごかったが,もっと一般
                                                  化できたらすごいと思った。
                                                                          (高 1)
                                                  ・シュレディンガー方程式の名前だけは知ってい
                                                  たが,丁寧に解説してくれてとてもためになった。
                                                  (中 3)
                                                  ・正直,最後まで分からなかったが,すごい世界
                                                  があることが知れただけでも良かった。微積分の
                                                  勉強が楽しみ。
                                                              (中 2)
 
 
                                                                    (文責:数学科・吉崎健太)
 内 容:(参加募集3案内,新國先生執筆)
 「銅の 1000 倍の電流密度耐性を誇り,10 倍の熱
 伝導性を持ち,アルミニウムの半分の軽さでも鋼
 鉄の 20 倍の強度を有し,
                       ダイヤモンドをも凌駕す
 る引張強度を備えたカーボンナノチューブ。それ
 は特殊な構造を持つ炭素分子です。特に,カーボ
 ンナノチューブ内に電流が流れるということは,
 カーボンナノチューブ内に電子が存在すること,
 カーボンナノチューブの分子構造に合うシュレデ
 ィンガー方程式の解(波動関数)を見つけること
 と解釈できます。シュレディンガー方程式は,電
 子のような小さな粒子の存在に関わる量子力学の
 a2.国語科 SSH 講座                               れを評価する活動を行った。発表(生徒同士の評
                                                  価)を意識して要点を押さえる必要があったため、
                                                  生徒は内容のポイントを押さえることができてい
 1.仮説                                         た。
   第4期 SSH において、国語科は主体的な探究活    2.4    高2現代文
 動をするための基礎力育成カリキュラムの開発と       論説・エッセイを書く授業で、時期と組み合わ
 実践を目標にして取り組んでいる。今年は昨年の     せを自由にして中間段階で相互評価を行った。自
 研究に基づいて、
               「目的や年齢に応じて適切な主体     由度を高めることが狙いだったが、授業後のアン
 的・協働的活動がある」という仮説に基づき、通     ケートでは、これまでの相互評価の取り組みと比
 常授業の中で様々なバリエーションの主体的・協     べて「役に立った」
                                                                  と答えた生徒が少数であった。
 働的活動を取り入れて、どのような形式が効果を     相互評価の時期や組み合わせは厳格にして、全員
 高めるか検討した。                               が相互評価に集中できるようにしたほうが良い。
 
 
 2.概要                                         2.5    高3現代文
   協働的活動をどの領域で行うか(読むこと、書       梶井基次郎「檸檬」を教材に解釈の相互評価を
 くこと)
       、単元構成のどの段階で行うか(途中での     おこなった。
                                                            「なぜその評価になるのか」をお互い
 活動か事後の活動か)、どういう形式で行うか(書   に問うことで、初歩的な誤読に気づいたり、多様
 くか、口頭か、やり方が指定されているかどうか)   な解釈が可能な表現に注目させたりし、各自の読
 などの観点でいくつかのバリエーションを持つ協     みを深めることができた。また、各自が持ってい
 働的活動を行い、それぞれに効果をみた。効果は     る、小説に対する潜在的な評価基準を顕在化・相
 アンケートや成績などの数量的データではなく、     対化させることもできた。
 記述されたものの質や授業中の様子から総合的に
 判断した。以下は、その例である。                 3.SSH 特別講座
                                                    2019 年 1 月 23 日に広瀬友紀先生(東京大学大
 2.1   中1国語                                   学院教授)を講師にお招きし、
                                                                            「ことばの科学へご
   教科書「風呂場の散髪」で、
                           『続・岳物語』の主     招待:自分の内なる世界へ」と題した講演会を行
 人公とされた岳について意見を交流した。教室で     った。言い間違いや言語習得過程などを手掛かり
 意見を出し合うだけでなく、Gsuite のストリーム    にして、言語学の知見やその科学的研究手法につ
 に発言を書き込むことで自分の意見に責任を持っ     いてご説明いただいた。事後アンケートを見ても、
 て発言が行われる効果があった。また、人の意見     日常的に利用している言語の持つルール性に気付
 に同意したり、反論したりする前に、時間をおい     かされて新鮮さを感じた生徒が多かったようであ
 て考えることができるため、発言が特定の人に偏     る。
 ることがなくなった。
                                                  4.検証
 2.2   中2国語                                     様々なバリエーションで検証を行った結果とし
   新聞投書を書く授業において、テーマや書き出     て、協働的活動にある程度の自由度を持たせたほ
 しなどを共有しつつ、グループで相手の文章の良     うが効果が出る場面と、教員の定めた方針のもと
 い所を指摘し、相手が助言して欲しい箇所に助言     で一定程度の制約を設けたほうが良い場面がある
 する活動を行った。共有の仕方を書き手が選べ、     ことが明らかになった。どのような場合にどのよ
 コメントをもらう箇所も指定したことが、書き手     うな制約であれば、より効果的な協働的活動とな
 のニーズにあった協働的活動につながった。         り、主体的な探究活動を支える基礎力につながる
                                                  のか、今後も検討していく予定である。
 2.3   高1国語総合
   教科書教材3本の読解要旨を口頭で発表し、そ                         (文責:国語科・澤田英輔)
 a3.社会科 SSH 講座                                原発から 30km 圏外に搬送し、救急車両に乗り換え
                                                   て 200km 以上離れた新潟県まで搬送せざるを得な
 1.仮説                                          い人もいた。当院から離れた病院に転送された患
   教科で設定した「科学者の社会的責任を考える」    者は5人早期死亡した。転送で死期が早まったと
 というテーマに沿って、生徒たちが自ら課題を設      推測される。震災直後から病院に残ったスタッフ
 定して考察を加えていくためには、科学に対する      で外来診療と支援活動を行った。具体的には、避
 基礎知識の習得と共に、科学的リテラシーの涵養      難所・仮設住宅への健康支援、外部・内部被曝の
 が求められる。その取り組みの一環として、社会      測定、一般市民に対するカウンセリング、災害医
 科では毎年、同研究テーマに関連する研究を行っ      療コーディネーター、社会福祉協議会への協力、
 ている外部講師を招いて講演会を行っている。今      避難所連医療支援連絡会議の開催などである。被
 年度は、南相馬市立総合病院院長の及川友好氏を      災地といえども、医療者は震災後早期に支援者に
 お招きし、東日本大震災を通した医師の社会的責      なる必要があるという判断からであった。
 任についてご講演いただいた。                      2.3   医師に求められる社会的責任
                                                     震災 2 ヶ月後になると、住民の帰還に伴って医
 2.概要                                          療ニーズが増大したが、避難した医療者の帰還率
   演題:
       「医師の社会的責任 東日本大震災を通し       は低く、放射線被曝に対する風評被害が蔓延して
         ての経験」                                いた時期であり、各種団体からの支援は敬遠され
   講師:及川友好氏(南相馬市立総合病院院長)      た。そんな中で診療を支えたのは個人ボランティ
   日時:2018 年 12 月 11 日 13:3015:30          アだった。原発被災地受援者としては、被災直後
   対象:中学1年生高校3年生                      の支援者は皆無で放射線被曝に対する安全性が確
 2.1   原発周囲町村での事実                        立するまで誰も入らない(=必要な時期に支援が
   2011 年 3 月 11 日にM9.0 の地震が発生し、
                                           8.6m    得られない)
                                                             、離職した医療スタッフの復職率がよ
 の津波が襲来した。翌 12 日に福島第一原子力発電    くない、公的支援を受けるまでには相当の日数を
 所に水素爆発が起きた。事故後すぐに発電所から      要する、震災医療を目的とした出向支援者も数年
 20km 圏内に避難指示が出され、2030km 圏内は 3      で離職する傾向がある、支援による診療行為では
 月 15 日に屋内退避指示が出された。2030 km圏       診療報酬が得られないといった問題があった。こ
 内に位置する南相馬市立総合病院は、その影響を      れを一つ一つ根気強く解決していく必要があった。
 大きく受けた。経済活動が停止し、30km圏内に        厳しい状況の中での「医師に求められる社会的
 は医療支援、救急車両、ドクターヘリも入らなく      責任」とは、1医療復興と地域の復興は等価であ
 なったため、国、公的機関、NPO、ボランティアか     るとの認識、2医療の側面から見た震災時の記録、
 らの援助は得られなくなったのである。震災 4 日     3風評被害の払拭(被曝に対する教育、リスクコ
 後には食料、薬品、医材が枯渇し、3 月 16 日に自    ミュニケーション)の3点にまとめられる。
 衛隊の物資補給が始まった。また、震災直後は被
 曝による健康被害が懸念され風評被害が広がり、      3.生徒の感想と成果
 90%の南相馬市民が市外に避難した。                  アンケートでは次のような感想が寄せられた。
 2.2   医師はどの様に決断し、行動したか            「もし自分がリーダーで、本当に自分のことを二
   病院には重症患者を含めて 200 人近くの入院患     の次にして決断できるのかということについて、
 者がおり、屋内退避指示かつ生活物資や食料が不      自信がないができる限りのことをしたいと思う。
                                                                                             」
 十分という状況で、病院を休院や閉院にすべきだ        今回の講演は、東日本大震災発生時に現地にあ
 と主張するスタッフもいた。その中で 3 月 14 日、   る病院が行った活動を知ることのみならず、緊急
 病院として自主避難を認めることになり、全職員      時にリーダーとしてどのような社会的責任を果た
 の約 2/3 が避難した。
                    3 月 19 日3 月 20 日には病     すべきかを問いかけるものであり、生徒のあり方
 院に残っていた 107 人の入院患者をすべて転院す     生き方を問い直す重要な契機となった。
 ることを決定した。転院は過酷であり、自衛隊が                          (文責:社会科・小貫篤)
 a4.保健体育科                                    3.検証
                                                  3.1「AI によるスポーツ分析」高 2 課題研究
 1.仮説                                            台湾との研究交流プログラムと、東京都 SSH 研
   各分野で最先端の研究・事業に携わる講師によ     究発表会において研究発表をした。タイトルは
 る講演会を実施し、運動・スポーツについて科学     The present and future for basketball and its relations
 的に捉え、思考する力を高めることをねらいとし     with artificial intelligence であった。5 団体からそれ
 た。                                             ぞれ AI に関する数名の専門家を招き授業を実施
                                                  した。
                                                      国内の AI のスポーツへの活用については、
 2.方法                                          ほぼ網羅できた。課題研究のまとめとして研究発
 2.1「AI によるスポーツ分析」高 2 課題研究        表を授業内で実施した。
   「スポーツ×AI」というタイトルで高 2 課題研
 究を実施した。
             身近なスポーツをきっかけとして、     3.2「成長期の運動と食事」
 科学への興味を深めさせたい。受講者の校内・校       講演会後に生徒にアンケートを行った。アンケ
 外での研究発表を目指し取り組む。外部研究機関     ートの記述を一部記載する。その内容から科学的
 (三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社     に捉え、思考することが達成できたと考えられる。
 55 期 OB 鈴江氏・その他 5 社)に協力を得て実施   以下生徒のアンケート記述である。
 した。受講者は 26 名であった。                   ・運動後 30 分以内に炭水化物やたんぱく質をとる
                                                  ということが興味深かった。運動後の疲労が少し
                                                  改善しそうで良かった。スポーツドリンクの製作
                                                  はスポーツドリンクの役割を知る手助けとなった。
                                                  ・作ったドリンクがおいしかった。運動する際に
                                                  必要な栄養がわかった。成長期にはたくさんの養
                                                  分が必要であることがわかった。
 
 
                                                  3.3「スポーツアナリティクスの実践的取り組み」
                                                    この取り組みの前後で生徒の意識がどのように
                                                  変容するかを調べるために調査を行った結果、ス
 2.2「成長期の運動と食事」                        ポーツアナリティクスに対して肯定的に捉える割
   12 月に 1 回の SSH 講演会を実施した。概要は    合が増加し、感想文からも生徒にとって貴重な経
 次の通りである。                                 験になったことが分かった。
 12 月 11 日(火)13:0015:00                      自分の試合映像から測定アプリケーションを用
 場所:50 周年記念会館 梨麗(株式会社明治・       いてパフォーマンスを測定し、客観的な分析結果
 管理栄養士)                                     に基づいて自己分析と練習計画の立案を行うとい
 内容:中高生は第 2 次発育急進期と呼ばれる大き    うことを体験させたことに大きな意義があった。
 く体が成長する時期である。強い骨や筋肉をつく       プロレベルから大学トップレベルであれば、ス
 るために適切な運動や睡眠、それに食事から得ら     ポーツアナリストが常駐していることもあるが、
 れる必要な栄養素が重要であることを学んだ。       中高生の部活動水準でスポーツアナリティクスを
                                                  本格的に実施した報告は、存在しない。本研究は
 2.3「スポーツアナリティクスの実践的取り組み」    そういった意味でも価値があり、今後、パフォー
   本校硬式テニス部の生徒を対象として、試合映     マンス測定の簡易化と時間短縮、および生徒自身
 像から専用アプリケーションを用いてパフォーマ     の分析技能の向上といった課題の解決に向けて研
 ンスを測定し、測定されたデータからパフォーマ     究を進めていきたい。
 ンスレポートを個別に作成して自己分析と練習計
 画の立案を行った。                                                (文責:保健体育科・横尾智治)
 b. 主体的・協働的な学び(アクティブラー          が重要であることについても伝える。
    ニング)による探究能力の開発                  b.調査
 b1.「身のまわりの環境地図」の取り組み            身のまわりの環境地図作成で最も重要なのが、
 1.仮説                                         データ収集である。オリジナルな調査方法や地道
   「主体的な探究活動をするための基礎力育成カ     に足でかせぐ調査など、工夫してデータを収集す
 リキュラム」の一環として、本校中学校1年時に     ることの意義を説明する。
 実施している「身のまわりの環境地図」への取り     c.描図
 組みを紹介したい。これは中学校社会科地理的分       よいデータが集まっても、地図に表わせなけれ
 野で実施しているものである。自分の身のまわり     ば、完成とはいえない。記号や色の使い方、ベー
 の環境を地図にあらわすという一見シンプルな活     スマップの作成方法などを説明する。具体的な過
 動に、探究的活動を進める多くのポイントが備わ     去の作品も引用しながらイメージを持たせる。
 っている。今年度は現在の取り組みの状況を報告     2.3 環境地図おたすけ講座
 する。                                             近年は、夏休みの終わりに、希望者を集めて講
                                                  座を開いている。これは、筑波大学免許更新講習
 2.方法                                         の実践講座の一環として実施しているものである。
 2.1 身のまわりの環境地図とは                     希望者は、それまでに作成した地図を持ち寄り、
   「身のまわりの環境地図」作品展とは、北海道     行き詰まっている点について発表し、参加者のア
 旭川市で毎年開催されている地図コンクールであ     ドバイスを仰ぐ。免許更新講習参加者は、授業に
 る。今年度で第 28 回を数える。本校は第6回から   参加して悩んでいる生徒に対してアドバイスを与
 参加しており、毎年中学校 1 年生を中心に、夏の    えてもらうことにしている。この講座を実施する
 課題として取り組ませている。                     ようになって、改めてテーマ設定の重要性を再確
 2.2 作成のプロセス                               認し、この講座を経験した生徒の地図の質が格段
 1まず、4 月の入学当初に行う授業ガイダンスで      に上がることが見えるようになった。
 環境地図について知らせる。この時点では、夏に     2.4 環境地図発表会
 地図を作成するので、身近な環境の中からテーマ       9 月になって提出された地図は、クラスごとに
 をさがすことを促す。                             発表会で紹介される。プレゼンテーションの第一
 26 月には構想を練るプリントを配布し、各生徒      歩である。黒板に自らの地図を張り出し、地図の
 の準備状況をさぐる。具体的にはその時点で考え     目的・調査方法・表現上の工夫・感じたことなど
 ているテーマ、地域の概要、具体的な地図のイメ     を全員に向かって話すことになる。クラスで発表
 ージ、教員への質問などである。担当者はそれを     を聞いている生徒も地図作成の経験を積んでいる
 チェックしながら、生徒の問題意識がどの程度高     ので、この活動は大いに盛り上がる。労力をかけ
 まっているかを把握する。「身のまわりの環境地     て描かれた地図は、その苦労を共有できるために
 図」作品展では、自由テーマと並んで指定テーマ     概して高い評価を得る。クラスで投票を行い、推
 があり、それがこの時期に発表される。今年度の     薦された上位 3 分の 1 ほどの地図を旭川の作品展
 指定テーマは
           「身のまわりの『におい』」
                                   であった。     に送り、専門家に評価してもらっている。
 3夏休み前に、地図作成のガイダンスを行う。
 a.テーマ設定                                   3.検証
   提出されたテーマの傾向を分析し、何が不足し       今期のSSHから、この取り組みを探究型学習
 ているかを伝える。これまでの経験からテーマ設     の基礎力を養成するプログラムとして位置づける
 定が非常に重要であることはわかっているので、     こととなった。生徒がどのようなプロセスを経て
 地図を描くために、どのようなテーマが必要か、     地図作成に取り組んでいるかを今後明らかにする
 例をあげながら説明する。また、地図のレベルと     とともに、評価などについても今後研究していき
 して、
     「どこに何があるか」レベルから「なぜそこ     たい。          (文責:地歴科 宮崎 大輔)
 にあるかがわかる」レベルの地図を作成すること
 b2.東京地域研究                                   手法であろう。
                                                      フィールドワーク終了後には,班員で協力し
 1.仮説                                          て報告書・ポスターの作成を行う。
                                                                                 この報告書は,
   日常的に疑問に感じている点を大テーマとして      取材内容を要約するだけが目的ではなく,
                                                                                       「研究」
 据え,議論を通して小さなテーマに落とし込み,      として,研究動機,研究全体を総括する結論や考
 現地で調査を実施,その後報告書やポスターにま      察を提示することを意識させた。ポスターには報
 とめ発表会を行う――このフィールドワークの一      告書のエッセンスを視覚的にも分かりやすく取り
 連の流れは,今後生徒達が経験するであろう研究      入れることを課題とした。
 活動の基礎をなす。ここでは,総合学習 B として      学期末(7/12,13)には,ポスター発表を行った。
 実践している東京地域研究の活動を検証し,本校      発表会は,校外学習委員が企画・運営し,下級生
 における協働的な探究活動を報告する。              や保護者も参観した。
 
 
 2.概要
   『東京』という大テーマから自分たちの興味あ
 る小テーマを見つけ,それを研究するために訪問
 先の選定からアポ取り,取材,研究発表までの全
 ての研究活動を,生徒が主体となり,議論をしな
 がら進めていく。
 2.1 プレ東京地域研究
 時期:中学 1 年 3 学期
 活動内容:56 名一班として,都内の博物館や科
 学館等を見学に行く。そのための行動計画を立て,
 計画通りに実践し,その後,見聞内容について発        <訪問の様子(A 組 2 班:AI,AI 技術)>
 表を行う。発表会と言ってもこの段階では感想を
 言うだけ終わる班もあるが,ここから事前に問を
 立てることの大事さ,結果と考察の違い,客観的
 な事実と主観的な意見の論じ方の違いなどを学ぶ
 良い機会になる。
 2.2 東京地域研究
 時期:中学 2 年 1 学期
 活動内容:各クラスから選出された校外学習委員
 を中心に進め,研究の希望分野に応じてクラスご
 とに班分け(一班 56 名)を行う。班で相談しな
 がら,研究テーマを絞り込み,2 日間(5/23,24)のフ
 ィールドワークで訪問する取材先 45 ヶ所程度         <発表の様子(B 組 8 班:首都地震への対策>
 を選定する。アポ取りはすべて生徒だけで行い,
 取材先の了承を得られると質問票・取材依頼状を      3.検証
 送り,取材の準備を進める。行動計画や活動費な       準備から訪問まで 1 か月程度しか時間が取れな
 どを事前に調べ,質問内容の精査を行い,訪問に      いことを考えると,事前にいかにテーマについて
 備える。訪問は班員だけで協力し,取材先を回っ      広く深く考えられるかがこの活動の成否を決める
 ていく。今年度は刻一刻と変化する各班の進捗状      だろう。言い換えれば,協働的な活動の根本にあ
 況をタイムリーに理解できるように,G Suite を積    るのは,班員で顔を突き合わせてとことん議論す
 極的に用いてクラウド上で情報を集約した。今年      る時間であるということだろう。
 度のように大型連休を間に挟む場合は重宝される      (文責:中2担任団(校外学習担当)
                                                                                   ・阪田卓洋)
 b3. 東北地域研究                                  意見交換をしながら互いに評価し合った。発表会
                                                   は校外学習委員が企画・運営し、下級生や保護者
 1.仮説                                          も参観した。
   東北地域研究では、昨年度東京地域研究で取り        以下に、2018 年度の研究テーマを示す。
 組んだ主体的・協働的な探究活動をさらに掘り下             1   宮城県の森林
 げ、より広く深い学びにつなげていく力を育むこ             2   宮城県の道の駅
 とがねらいである。この数年、東北地域研究は岩             3   宮城県の観光産業
 手県を研究地域としてきたが、今年度は宮城県と             4   ずんだと東北
 した。宮城県には東北の中心都市・仙台があり、             5   観光地としての秋保
 地方と都市との関係を相対化して分析するにはよ             6   宮城県の温泉観光について
 り最適な地域であると考えたためである。                   7   宮城県におけるバス交通
                                                          8   南東北における観光列車の在り方
 2.概要                                                 9   震災を今後に伝える災害伝承
   東北地域研究は、中学 2 年 2 学期から中学 3 年      10      宮城県の観光 PR について
 1 学期までの約 1 年間にわたって取り組む。生徒        11      宮城伝統こけし
 自ら定めた研究課題に基づいて、訪問先の選定か
                                                      12      仙台市津波被災地における被災者の生活再建
 らアポ取り、現地訪問と取材をふまえ報告書作成
                                                      13      ふるさと納税の未来と可能性
 と研究発表会を行う。
                                                      14      仙台市特区における起業支援
 2.1   現地研修
                                                      15      宮城県の菓子
   2018 年 5 月 22 日25 日に実施し、初日はクラ
                                                      16      宮城県の自然保護と海岸林の復興
 ス別に震災学習(石巻、南三陸、気仙沼)
                                     、2・3 日
                                                      17      スポーツと地域振興
 目は班ごとに研究課題に関するフィールドワーク
                                                      18      野球と地域振興
 を行う。訪問先は約 80 ヶ所で、移動距離が長い班
                                                      19      東北の畜産ブランドについて
 もあり、計画面で東京地域研究と大きく異なる。
                                                      20      食材王国みやぎ
 2.2   クラウド環境の活用
                                                      21      ホヤの消費拡大
   本校では G-Suite for Education のクラウド環
                                                      22      寿司の源を探る
 境を活用している。当該学年ではこの東北地域研
                                                      23      宮城県の牡蠣養殖
 究で初めて本格的に導入したが、計画立案などク
                                                      24      ふるさと納税による復興支援
 ラウド上で多くの情報を生徒・教員間で共有しな
 がら活動を進めることができた。
 2.3   事前学習                                    3.検証
 
   宮城の地方紙(河北新報)を図書スペースに用        事前学習から現地研修、発表会と長期にわたる
 
 意し、資料として活用するとともに、委員による      活動を通じて、生徒は互いに協力し合いながら主
 
 記事紹介を行った。また、外部講師の方による講      体的に課題に取り組んできた。自ら課題をみつけ、
 
 義も実施した。                                    調査し、取材し、分析した上でそれらの成果を説
 
 ・18/02/24 高橋陽一氏(東北大学)                 明し表現する能力を育成してきた。また、東日本
 
                    「宮城の温泉史と観光政策」     大震災や復興に関する地域の現状について、実感
 
 ・18/04/21 佐藤敏郎氏(SSP 特別講師)             を伴った理解を示すことができるとともに、地域
 
                        「3.11 を学びに変える」    社会の直面している問題をふまえながら、研究テ
 
 2.4   事後発表                                    ーマそれぞれにおいて多面的・多角的に復興の意
 
   全 24 班が報告書とポスターを作成し、1 学期末    義を考えることができたのは非常に有意義であっ
 
 には研究発表会を実施した(7/10,11)
                                  。今後高校       た。
 
 生で行われるであろう SSH 発表を見越し、ポスタ       (文責:中学 3 年校外学習担当 小佐野浅子)
 
 ー形式をとり、班員全員がプレゼンを必ず行い、
 b4.テーマ学習理科(地学)                       3.検証
                                                   以下、4時間目以降の実施内容について報告・
 1.仮説                                        検証する。
   1993 年度より本校中学3年生に開設された総       4時間目:採集実施日は、午前 10 時に成田線木
 合選択学習、通称「テーマ学習」の中で、
                                     「化石の    下駅に集合したのち、現地まで徒歩で移動した。
 世界(貝化石標本による個体の成長や変異の研        現地では、一人に1本ずつ小型スコップ(移植ご
 究)
   」という地学分野の内容を度々開講してきた。    て)を渡して貝化石を採集させた。生徒 20 名を引
 野外および実験室内での主体的かつ協同的な学び    率したが、仲の良い数人ずつのグループに分かれ、
 につながる学習の例として、簡単に報告する。      コミュニケーションを取りながら貝化石を掘り出
                                                 した。採集した貝化石はビニール袋に入れ、生徒
 2.方法                                        の自宅に持ち帰らせた。
  今年度は、千葉県印西市大森 2636 番地にある浅     5時間目に、学校の地学室へ貝化石を持って来
 間神社の東側斜面に露出する下総層群木下層の砂    させ、ブラシや千枚通しを使って貝に付着した砂
 層から貝化石を採集した。                        を落としてきれいにさせた(クリーニング)。
  貝化石の採集できる露頭が印西市内にほとんど       クリーニングした後の貝化石の鑑定・分類を行
 なくなってしまい、印西市教育委員会教育部生涯    なった。二枚貝類を貝殻の特徴で分類する場合、
 学習課文化係の坂巻様に問い合わせたところ、採    最も重要なのは殻のかみ合わせ部分、歯の発達や
 集可能な露頭をご教示され、さらに地権者の方と    や配列の状態である。他に殻の外形、大きさ、表
 の連絡・許可の手配もしていただいた。ここに記    面装飾、内面の套線など様々な分類基準がある。
 して、謝意を表したい。                          ほとんど現生種なので、図鑑を利用すればだいた
   <2018 年度中学3年生テーマ学習の授業計画>     い鑑定できるので、生徒一人一人に2冊ずつ図鑑
 1時間目:6/23(土) 国立科学博物館にて各地質      を渡して調べさせた。貝化石標本はきちんと整理
    時代の化石標本の見学                         箱に入れて、ラベルを添えさせた。
 2時間目:9/22(土) 岐阜県赤坂石灰岩の研磨と        貝化石の同定・分類ができたら、採集した貝化
    フズリナ化石の観察・スケッチ                 石からどのようなことが推定できるかを考えさ
 3時間目:9/29(土) 千葉県印西市木下層貝化石      せた。まず採集した貝の種類のリストを生徒に作
    砂層中の底生有孔虫の拾い出しと観察           成させ、それぞれの種の生態(1緯度分布2生息
 4時間目:10/20(土) 千葉県印西市大森にて貝化     深度3底質)を別の化石図譜をもとに調べさせた。
    石採集 (下の写真)                              6時間目:貝は底生動物なので、気候(水温)
                                                 や生息深度など地層が堆積した環境を復元する
                                                 のに役に立つ示相化石になりうる。そこで、縦軸
                                                 に貝の種名、横軸に貝が現在分布している緯度や
                                                 生息深度をとったグラフを生徒に書かせた。全て
                                                 の貝に共通する生息緯度や深度の範囲から貝の
                                                 堆積した環境を明らかにし、現在のどのような場
                                                 所に相当するのかを生徒ごとに考察・発表させた。
 
 
                                                   4.評価
                                                   今回の結果から、すべての貝化石の共通する生
        (千葉県印西市大森での採集風景)           息緯度は北緯 34 ゜35 ゜、生息深度はN1 であるこ
 5時間目:11/24(土) 採集した貝化石のクリーニ     とから、木下層の堆積した当時の古環境は、現在
    ング・整理と貝化石の鑑定・分類               とほぼ同じ緯度か少し南方で、水深は潮間帯から
 6時間目:1/19(土) 古環境の推定と貝化石の計      2030m までと推定されることが明らかとなった。
    測(相対成長と個体変異の内容は未実施)                          (文責:理科・地学・高橋宏和)
 3 探究型学習を実践するためのプログラ                2.3    開講講座および人数一覧
   ム開発とサポート体制                              No.                        講座タイトル                       生徒数
 
 a.高校2年生筑波大学訪問                           1    犯罪社会学入門                                           48
 
 1.仮説                                             2    リベラル・グローバリズムと ネイション・ステイトの相克    54
 
                                                      3    ポライトネスとしての言語表現                              9
   大学の研究室を 1 日訪問し、大学の研究に直接
                                                      4    感覚応答研究モデルとしてのショウジョウバエ                3
 触れて研究者と対話することは、生徒たちの学問
                                                      5    化学進化・アストロバイオロジー・グレイガイト              2
 に対する意欲や関心を高め、自らが主体となって
                                                      6    イモリの再生                                              5
 行う課題研究等への有効な動機付けになるのでは         7    ”微生物の力”を発掘するにはどうすればいいのか?          5
 ないか。                                             8    生物の不思議『なんでだろう?』を化学する                  5
                                                      9    宇宙から山岳域の雨を測る                                  6
 
 2.概要                                             10   数式処理で数学の大学入試問題を解いてみよう                5
                                                      11   光の干渉と回折                                            4
   2018 年 7 月 10 日、高校 2 年生全員(160 名)を
                                                      12   身近な物・現象を科学の目で見ると                         12
 対象とした筑波大学訪問を実施した。開講時間は
                                                      13   数理最適化への招待                                        9
 原則として昼休みを挟み 10:3015:30 として行
                                                      14   コンピュータで音・音楽を創る・聴く                       12
 ったが、一部の講座では半日のみの開講となった。       15   分類を通して知識の体系をとらえる                          2
 生徒一人が一日の講座を一つ受講するか、半日開         16   環境ストレス応答                                          4
 講の講座を午前午後一つずつ受講した。                 17   iPS細胞の実用化に向けて                                   6
 
 2.1   準備                                           18   災害精神医学入門:災害に学び明日に備える                  4
 
   実施にあたっては、筑波大学社会連携課の全面         19   感性ロボットと自動運転モビリティ                         24
 
 的なご協力を頂いた。
                   日程・概要が決まった後は、
 この社会連携課より大学の先生方へ開講可能講座        2.4    事後アンケート
 の募集4が呼びかけられ、その取りまとめが行われ          終了後、WEB 入力・集計の事後アンケートを生
 た後、本校担当者へその連絡を頂いた。本校担当        徒に行わせた。自由記述の感想は各講座ごとにま
 者は、生徒の受講講座の希望調査を実施、各講座        とめ、大学の講座担当者にお知らせした。
 の受け入れ人数上限を見ながら受講者を決定して
 いった。ほとんどの生徒が第 1 希望の研究室に決
 まったが、中には希望が集中した講座もあり、講
 座担当の大学の先生へ受け入れ増員が可能か交渉
 し、最大限、生徒の希望に添うように配慮して頂
 いた。
 2.2   当日の流れ
   つくば駅での出欠点呼の後、直接各講座が指定
 する研究室、講義室等へ生徒を向かわせた。講座
 終了時にメール連絡をさせた後、流れ解散とした。
 
 
 
 
                                                     3.検証
                                                       88%の生徒が期待通り、および期待以上の内容
                                                     で、
                                                       「自分の学習に役だった」と答えており、今回
                                                     の研究室訪問は、彼らの主体的な学習への動機付
                                                     けとして有効であったと考えられる。
  講座 11「光の干渉と回折」受講風景                             (文責:高2筑波大訪問担当・秋元佐恵)
 b.中学3年生筑波大学訪問                       2.2 研究室訪問
 1.仮説                                           講義,特別実験・実習への参加など,講座によ
   高校への進学を控えた中学 3 年生にとって,大    って形式はさまざまであったが,本校中学生のた
 学を訪問して研究に触れ,学問的刺激を受けるこ     めに趣向を凝らしたプログラムが組まれていた。
 とは,生徒それぞれに意識の変化をもたらし,さ     開講講座のテーマと参加人数は次の通りである。
 まざまな興味・関心を喚起するのではないか。ま                      テーマ                     前 後 計
 た,この研究室訪問によって,高校進学後の学習     日本に渡った朝鮮人女子留学生                4         4
 活動・研究活動への意欲が高まるのではないか。     ショウジョウバエの研究から生物時計を
                                                                                              7    7    14
 そして,このこと自体が「中高大院連携プログラ     理解する
 ム」の趣旨に適う活動になるのではないか。これ     ミトコンドリアゲノム変異のインパクト        8    10   18
 らの仮説にもとづいて,プログラムを実施した。     動物の感覚受容                              5    4    9
 本プログラムは 2005 年度の開始以来 14 年目とな   細胞の生と死のふしぎ                        6         6
 るが,今年度も SSH 予算による交通費の支援を受    生物の不思議『なんでだろう?』を化学す
                                                                                              13   12   25
 けられず,生徒個人負担での実施となった。         る
 2.概要                                         ”微生物”の研究から生まれるバイオテク
                                                                                              3    3    6
 実施日:2019 年 2 月 8 日(木)                    ノロジー
 参加者:中学 3 年生 120 名                       蛍光タンパク質による個体のライブイメ
                                                                                              5         5
 日 程:                                          ージング
   10:1511:05      全体講義                       未来のエネルギー地上の太陽への挑戦          24   27   51
                   (昼食・移動)                 やわらかいロボット                          15   15   30
   12:1513:30      前半講座(各研究室)             コンピュータの中を知る:演算装置の今昔      4    4    8
   14:0015:15      後半講座(各研究室)             法学の世界と情報法                               21   21
   本校では中学から高校へと連絡進学ができるた     災害に学び、明日に備える                    8         8
 め,比較的余裕のある中学 3 年のこの時期を利用    iPS 細胞の実用化に向けて                    6    6    12
 して大学訪問を実施している。                     自動運転自動車のデザイン                    14   13   27
   実施に当たっては,筑波大学教育推進部社会連
 携課の計らいで全学的な協力が得られた。10 月下    3.検証 事後アンケートの結果より
 旬から受入依頼を始め,11 月下旬には開講可能講      事後のアンケートの結果は次の通り。9 割以上
 座を提示された。それを受けて 12 月に受講講座を   が満足したと答えており、今回の筑波大学訪問で
 決定した。当日,生徒は全体講義の後に,事前に     のプログラムが生徒の研究への興味・関心を喚起
 希望した前半・後半の 2 講座を受講した。          したと思われる。
   前半が長引いた講座もあったが、前半と後半の
 間の移動時間 30 分で概ね後半開始に間に合った     生徒の満足度 (5:期待以上1:期待はずれ)
 ようである。                                       5         4        3         2       1
 2.1 全体講義                                     45%        30%     19%     5%          1%
   筑波大学医学医療系教授の久賀圭祐先生(本校
 OB)に全体講義「大学の抱える問題点 大学のグ       生徒の記述回答より
 ローバル化と日本の大学」を実施して頂いた。       ・大学の抱える問題として何が挙げられるかを知
 講義では,大学の単位取得の仕組みや近年の学生     り、どのように対策しなければならないのか学ぶ
 の勉強時間などの実態,更にはグローバル化に伴     ことができた。特に、グローバル化については、
 う留学生の増加や海外留学の必要性,世界の大学     将来的に自分の身にも関わってくることであると
 ランキングなど,今後変貌を遂げるであろう大学     思い、この機に危機感を感じることができた。
 の姿について,時折ユーモアを交えながらお話し
 て頂いた。                                                   (文責:中学 3 年担任団・須田智之)
 c.東京医科歯科大学研究室訪問                    関する研究の講義をして頂いた。本校生徒は頂い
                                                 た資料の中で積極的に質問しており、医学に興味
 1.仮説                                        を深めていったように思われる。
   「東京医科歯科大学・高大連携プログラム」
                                         は、
 今年で7年目となる。今年度は高校1年生、2年
 生に加え、高校3年生の参加が数名見られた。普
 段接する機会のない、研究や臨床の現場を見学す
 るとともに、在学中の本校 OB へ直接質問できる
 時間は、今後の探究心や研究意欲を高めると考え
 られる。
 2.方法・内容
 日時:2018 年 12 月 13 日(木)                   腎臓内科学(医学における分子生物学研究)
       10:0016:00
 人数:生徒 23 名(高1高3)引率教員 渡邉         最後に、本校 OB の学生 5 名との質疑応答の時間
 内容:午前 スキルスラボ見学                     を設けて頂いた。医学系での生活や勉強に関する
       午後 各研究室での実習                     話、進路決定までのそれぞれの考えなどを聞いた。
              本校 OB 学生との懇談会
 受け入れ分野(6コース)
                       :
 腎臓内科学・金属生体材料学
 腫瘍放射線治療学・臨床検査医学
 臨床腫瘍学・肝胆膵外科学
 3.生徒の活動
   午前のスキルスラボラトリー見学では、内視鏡
 手術のシミュレーションや聴診器による実習を、
 行った。聴診器の使い方については、医師・スタ
 ッフの指導の下で全員が行い、喘息患者の呼吸音    4.検証
 などを確認することができた。                      医科歯科大学の高大連携プログラムでは、事前
                                                 課題・事後レポートの提出が必要となる。事前課
                                                 題では、
                                                       「大学で何にチャレンジしてみたいか」を
                                                 記入することになっている。高 2 年、3 年ともな
                                                 ると進路を視野に入れた記述が多くみられ、具体
                                                 的なビジョンが描かれていた。また、昨年に続き
                                                 2 回目の参加となる生徒も見られた。複数回参加
                                                 できるのも本プログラムの魅力といえる。
                                                   事後アンケートでは、
                                                                     「大学における実習や生活
            スキルスラボラトリー見学             観がつかめたこと。特に医学部の中身がどうなっ
                                                 ているのかを見学できることは貴重なため、有難
   午後は各コース34人に分かれ、それぞれの      かったです。
                                                           (高 3)」
                                                                   「医療の現場を生で見せてい
 研究室で、担当教員による実習体験を行った。      ただいて、医師になりたいという気持ちが強まっ
   引率した渡邉は腎臓内科学コースに帯同し、遺    た。
                                                   (高1)」などの記述があった。
 伝子を増やして解析可能にするための PCR 法の実     実際に医療の現場を見ることや研究に触れるこ
 習、タンパクや RNA を用いた実験、遺伝子情報を   とで探究心や研究意欲を十分高めることができた
 読み取るためのシークエンス法の実際などを見学    と思われる。
 させて頂いた。その後は大学研究者の方に腎臓に                       (文責:研究部 渡邉隆昌)
 d.『社会発見!サイエンス講座』                  3.検証
                                                   終了後のアンケートによると、全員が「内容は
 1.仮説                                        今後の学習に(大いに)役立つ」または「役立っ
  日本経済新聞社/日経サイエンスの全面協力の     た(役に立ちそうだ)
                                                                   」のどちらかを答えており、
 下、最先端企業の研究者・専門家による講座『SSH   科学技術への興味関心が高まったと思われる。ま
 スペシャル企画 社会発見!サイエンス講座』を     た、受講動機に関して、参加者全員が「おもしろ
 実施して、今年度で5年目になる。                そうな内容だった」と答えている。科学技術に関
  企業との連携を図り、普段見ることのできない     連した SSH 講座の必要性が確認された。
 施設や装置に触れることは、科学技術に対する生
 徒の興味・関心の幅を広げると考えられる。
 
 
 2.実施概要
   昨年度に引き続き、3つの講座を実施予定であ
 る。実施済の1つが、清水建設・技術研究所での
 「建設会社の技術開発地震防災から環境保全ま
 で」である。エリジオン、セコムとの企業連携講
 座は3学期末に実施する予定である。清水建設・
 技術研究所に関しては、研究所への訪問見学の形
 をとり、エリジオン、セコムに関しては本校で講
 義をして頂いている。ここでは、実施済の清水建
 設・技術研究所の報告を行う。
 
 
 日時:2018 年 12 月 19 日(水)14:0016:00
 場所:清水建設・技術研究所(東京都江東区)
 参加:21 名(中1高3)
 引率:渡邉(研究部、技術・家庭科、情報科)      【アンケート自由記述部分より(抜粋)
                                                                                   】
 内容:                                          ・建設会社としての地震に対しての対策に関する
 2.1 企業活動・建築一般についての講義            細かい点が分かり面白かった。未来都市について
   清水建設の実績(建築物)や免震構造、未来の    の構想について初めて知り、深く知ることができ
 建築(都市構想)などに関する講義が行われた。    てよい経験となった。
                                                                   (中2)
                                                 ・建築業について少し興味があり、
                                                                               今回の講座で、
 2.2 質疑応答                                    建築会社で行っていることや、さまざまな技術に
   講義についての質疑応答が行われ、中学 1 年生   ふれることができ、より興味が深まりました。ま
 からも積極的に、多くの質問がされた。質問に対    た、清水建設さんが建設した建物の中に、有名な
 しては、研究者の方が答えてくださった。質問は    ものから自分の生活に関わるものなど、さまざま
 多岐に渡ったが、特に「未来都市」に対する質問    なものがあり、建設会社が社会を支えているんだ
 が多くみられた。                                なぁと感じました。
                                                                 (中3)
                                                 ・様々な技術を知ることができました。親が設計
 2.3 施設見学                                    の仕事をしているので、興味のある分野できした。
   先端地震防災研究棟の見学、風洞実験棟での      設計・建築の中で特に技術面をしることができて
 強風体験、建設技術の歴史の展示ブース見学(木    面白かった。今までは、原案を考えてから設計し
 材、煉瓦、コンクリート)などを、2グループに    全体を見通す父の仕事を見ていましたが、その中
 分かれて行った。また、清水建設が携わった建物    で建設を実現するための研究を見れた。
                                                                                   (中3)
 の模型を見学し、その技術力を学んだ。                              (文責:研究部 渡邉隆昌)
 e.数学オリンピックワークショップ                   3. 問題演習
 1. 仮説                                          4. 問題解説
   本ワークショップを実施し,数学オリンピック       5. 講評、助言
 に関する問題に取り組み,TA 体験談を知ること
 を通して,純粋に数学ならではの考え方の面白さ       TA に用意してもらった分野別の事前演習問題
 を感じ,基本的・発展的な知識を得ることで,数      は,係の教員がそれぞれの TA とのやりとりで内
 学オリンピックに挑戦する生徒の意欲を喚起でき      容をまとめ,校正のうえで印刷・配布を行った。
 るであろう。この仮説のもと,SSH 第 4 期 1 年目    難易度の高いものであったが,抽選で選ばれた参
 の作年度から新たに企画し,今年度は2学期の土      加者のなかには自分なりの考えをまとめたレポー
 曜日に2回を設定した。本ワークショップでは,      トを持参した者も多数おり,この企画への生徒の
 講師も TA も数学オリンピックで活躍した本校卒      期待度は極めて高いものであることが伺えた。
 業生・現役生を招いた。TA には事前問題および        講師の大島先生は本校卒業生でもあり,本校生
 当日問題を用意してもらい,体験談や問題の解説      徒の実情を把握したうえで興味・関心を高めると
 をしていただいた。                                ともに,
                                                         「憧れの先輩」としての存在感を生徒が大
                                                   いに感じていた。大島先生が例題を提示した後,
 2.実施の概要                                    普段の授業では問題を早く解きたがる生徒たちも,
 日 時:2018 年 9 月 8 日(土)
                             ,12 月 15 日(土)   この日は真剣に話を聞いていた。大島先生が用意
 場 所:本校オープンスペース,図書スペース         してくださった例題の背景には,国際数学オリン
 講   師:大島    芳樹(大阪大学准教授・本校 52    ピックでも通用する定理や公式があり,問題に取
   期卒業生・国際数学オリンピックメダリスト)      り組んだ後に定理を味わうといった貴重な体験を
   TA 5 名(数学オリンピックで活躍した本校         することができた。
   OB・高 3 生徒)
 助言者:坂井 公(筑波大学数理物質系)
 参加者:生徒 44 名,15 名 計 59 名
 
 
 
 
                                                                    TA 体験談
                                                    さらに今回は,昨年に続き,63 期67 期の 5
                                                   名の TA にもそれぞれの体験談を大いに語ってい
                   講座の様子1                    ただいた。本校では数学オリンピックのメダリス
                                                   ト報告会のような企画は昨年まで無く,日本代表
   本ワークショップは 2 日間に分けて行い,1 回     までの道のりにどんなことがあるのか等,他では
 目は日本数学オリンピック(以下,JMO)予選程       聞けない生の話に生徒は真剣に耳を傾けていた。
 度以上,2 回目は JMO 本戦程度を対象とした。対     特に,過去問をすべて解いてしまって問題が無く
 象が異なるため問題が異なるが,2 回とも同様の      なった時に,
                                                             「問題を探す」という姿勢に感銘を受
 以下のプログラムで実施した。                      けた生徒が多かったことが印象的であった。
   1. 講師による講座
   2. TA 体験談、アドバイス
                                                 ときの考え方や,参考書,数オリの対策の話を聞
                                                 けてよかった。
                                                             (中学)
                                                 ・いわゆる受験勉強ではない学習の楽しさを改め
                                                   て感じた。数オリに出てみたい。
                                                                               (中学)
                                                 ・知らない定理や記号,計算の仕方などがたくさ
                                                   んあることを痛感した。たくさん本を読み,そ
                                                   れらの知識を増やしたい。
                                                                         (中学)
                                                 ・内容が難しすぎて理解できなかった。
                                                                                   (中学)
                                                 ・かなり難しいけど楽しめる。この時期にあると
                                                   スイッチが入るので毎年やって欲しい。
                                                                                     (高校)
                                                 ・ヤコビの三重積の導出について,箱にボールを
                講座の様子2                       入れるところから導けるのに感動した。
                                                                                     (高校)
                                                 ・オイラー線の使い方に感動した。
                                                                               (高校)
  参加した生徒のアンケートによると,全体的な     ・複数平面の証明がすごかった。
                                                                             (高校)
 満足度は極めて高く,自らすすんで数学を学習す    ・生徒の問題への反応が良くて嬉しかった。
                                                                                       (TA)
 る絶好の契機となった。中でも,難問に自力で正    ・センスのある中学生が沢山いて驚いた。ただ,
 解にたどり着けた中学 1 年生が,
                              「本当に嬉しい。     中1には内容が難しかったかもしれない。
                                                                                       (TA)
 忘れられない日になりました」と目を輝かせなが    ・生徒達が臆せず手を動かしていたのが印象的だ
 ら嬉しそうに話してくれ,準備の苦労を忘れてし      った。先生方の生徒,OB との距離感もとても
 まうほどであった。                                よいと感じた。
                                                               (他校教員)
 
 
 [アンケート項目・結果]                        3.評価・検証
        生徒 44 名,15 名   計 59 名が回答         TA の活躍が大きかったことは言うまでもない。
 1.講座の内容を理解できたか。                  当日の体験談や TA 業務だけでなく,事前の問題
  よく理解できた(8%)/まあ理解できた(54%)    作成と,詳細で丁寧な解答まで作成してくれた労
  /あまり理解できなかった(34%)/理解できな      力は想像を絶する。負担が大きすぎるのではない
  かった(3%)                                     かと危惧したが,TA 自身からも,
                                                                              「題材をうまく
 2.講座を受講した動機(複数回答可)
                                   。            選べ,生徒の問題への反応が良くて嬉しかった。
                                                                                           」
  受講が必修(0%)/面白そうな内容(59%)/学習    と来年に向けた意欲的で前向きな感想をいただく
  に役立つ(56%)/講師の先生にひかれて(12%)   ことができた。
  /友達に誘われて(0%)/その他(15%)            去年手探りで始めた企画だったが,今年度の参
 3.講座の内容は期待通りだったか。              加者アンケートの満足度も極めて高く,主催者側
  期待以上だった(34%)/期待通りだった(52%)   の TA も充実感を持って終えられたことからも仮
  /ほぼ期待通りだった(12%)/あまり期待通り    説は実証された。
  ではなかった(2%)/期待はずれだった(0%)       去年の課題であった開催時期が遅かったことに
 4.講座の内容は学習の役に立ったか。            ついては,比較的早い時期の 9 月に 1 回目の講座
  大いに役立った(44%)/役立った(53%)/あ     を実施できて,改善された。一方,難易度が高す
  まり役立ちそうにない(3%)/役立たなかった     ぎることについては改善できなかったが,当日課
  (0%)                                         題を発想次第で短時間で解けるものにして,当日
                                                 の時間配分を調整できた。難易度については,TA
 以下にアンケート自由記述を抜粋して紹介する      に課題作成の前に周知して,来年につなげたい。
 (一部,生徒以外のコメントを含む)
                                 。                      (文責・とりまとめ:数学科 須田学)
 ・母関数の概念について知ることができた。解く
 f.地歴・公民科                                 てきた谷洋一さんからもお話をうかがった。午後
 1水俣実習                                        は石牟礼智さん、入口紀男さんからお話をうかが
 1.仮説                                         った。この日の最後は夜、宿舎で患者家族の杉本
   「科学者の社会的責任を考える」授業づくりの     肇さんからお話をうかがった。
 一環として、第2期 SSH の後半より実施してい
 る水俣実習を今年度も行った。高校2年生で実施
 している課題研究「水俣から日本社会を考える」
 の現地実習である。課題研究となって3年目とな
 り、生徒自身に問題意識を持たせるとともに、課
 題をたてて追究することを想定した。現地実習で
 は、水俣病に関連する施設を訪問し、水俣病に関
 わっている方々から実際に聴き取りを行った。実
 習により、事前の学習で学んだことをより深く認
 識できることや、水俣病の多面性に気づき、その
 後の各自の課題探究につなげることが期待できる。     (坂本さん、谷さんからお話をうかがう)
 2.方法                                         ・4日目の午前は、課題研究への対応として、各
 2.1 事前学習                                     個人の問題関心を追究する時間とした。
   事前学習に関しては、テキストや映像資料を用       具体的には、3班に分かれて、森下誠さん(ダ
 いて進めた。それらを学習した上で、最終日には     イビングショップ経営)、吉井和久さん(久木野ま
 具体的な聴き取り先を生徒に設定させ、質問票を     るごと農場)
                                                            、元村仁美さん・富吉正一郎さん(水
 事前に送付した。今年は高校2年生の生徒 11 名     俣市役所)からお話をうかがった。
 が参加し、1 名の教員で引率した。                 2.3 実習後の活動
 2.2 実習の内容                                   ・研究内容の発信
 日程:2018 年 7 月 30 日(月)8 月 2 日(木)      実習内容を報告書にまとめるとともに、2018 年
 行先:熊本県水俣市                               12 月には、台中一中との研究交流会で水俣病に関
 ・1 日目、鹿児島経由で水俣に到着後、水俣病問     する口頭発表を行った。また、12 月 23 日に開催
 題に長く関わってこられた遠藤邦夫さん(相思社)   された都内SSH指定校合同発表会(工学院大学)
 から水俣病問題の総論について相思社でお話を伺     でポスター発表を行った。さらに、2019 年 1 月 12
 った。その後、歴史考証館の展示を職員の方に解     日に行われた校内の課題研究オープンで発表した。
 説していただきながら見学した。                   それぞれの発表の場では、自分たちの問題関心と
 ・2日目は、まず、水俣病ゆかりの場所を西和泉     現在の水俣の状況について研究成果を伝えること
 さん(環不知火プランニング)
                           の案内で見学した。     ができた。
 汚染された排水が流された百間排水口、ヘドロが     3.検証
 たまった水俣湾埋め立て地、親水護岸、水俣病の     水俣での実習とその後の活動から
 公式発見の患者さんが出た坪谷などである。そし       今年度も大変に充実した4日間となった。課題
 て市立水俣病資料館を見学した後に、熊本日日新     研究となって 3 年目、現地に行き、さまざまな立
 聞記者の隅川俊彦さんからお話をうかがった。近     場の方々からお話をうかがうことで異なった視点
 年、生徒の関心は水俣病とマスコミの関係にむけ     を得る経験を積むことができた。
 られることが多い。午後は、元チッソの組合員で       課題研究となって、個人の課題意識をより強く
 その後、水俣市議もつとめられた緒方誠也さんか     持たせたことにより、生徒が積極的に水俣病をふ
 らお話をうかがった。さらに夕方には、JNC水     くむ社会問題に関わってくれるようになった。
 俣製造所の見学も行った。                           今後は、個人の問題意識を深化させるとともに
 ・3日目は、まず患者である坂本しのぶさんから     追究の方法、評価のあり方等の研究があげられる。
 お話をうかがった。今回は、長年患者を支援され                        (文責:地歴科 大野 新)
 2福島フィールドワーク                            を見学。津波襲来前の決断の難しさを肌で感じる
 1.仮説                                         光景に生徒たちは言葉を失った。
  東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所      2.3 実習3(「対話する」
                                                                       )
 の事故から 8 年が経とうとしている。2016 年度、   1下枝浩徳氏…一般社団法人葛力創造社代表理事。
 福島県主催のモニターツアーに兵庫県灘高校の生     震災で 1500 名から 100 名に減った葛尾村であって
 徒達とともに初めて参加した。その際、復興の現     も持続していける集落の形成方法を提案。東京・
 状と課題を目の当たりにした生徒たちは多くの学     神戸に住む生徒たちにはない発想に触れた。
 びを得た。今年度は「ふくしま学宿」と銘打って、   2吉川彰浩氏…元東電社員、一般社団法人 AFW
 福島県の協力のもと学びのツアーに臨んだ。今回     代表理事。東電退職に至る葛藤と現在の活動につ
 の焦点は、各分野で復興に向けて挑戦する人々と     いて話してもらう。生徒たちは事故時とその後の
 対話すること、福島のありのままの姿(光と影)     吉川氏の生き方について質問した。
 を見ること、という二点である。この 2 泊 3 日の   3浪江町消防団…震災後、すぐに救出活動を始め
 「ふくしま学宿」を通じて、福島の現状について     た消防団の方々だったが、原発事故で避難を余儀
 理解を深めることはもちろん、震災・原発事故の     なくされ、救えた命を救えなかった忸怩たる思い
 教訓と、さらに敷衍して自分の住む地域や日本自     を語ってもらった。
 体の将来について考えを深めることが期待できる。   4坪倉正治氏…南相馬市立病院医師。震災後の放
 2.方法                                         射線量を継続的に観察し、その結果を公表した結
 2.1 事前学習                                     果、いわれのないバッシングを受ける。生徒たち
  11 月 20 日に福島県庁観光交流課の職員から約 1   はそれでも活動を続けられる強さはどこから来る
 時間、昨年・一昨年のモニターツアーの概要と、     のか質問していた。
 今年度における「ふくしま学宿」の特徴をレクチ     5高橋日出夫氏…花卉栽培農家。避難指示解除後、
 ャーしてもらった。肝要なことは、福島のありの     真っ先に帰村して花卉栽培を再開、現在の地域の
 ままの現状を「見る」ことと、福島で挑戦してい     先導的・指導的立場。誰もいない村に帰ろうとし
 る人々の話を「対話する」ことである旨を理解し     た理由などについて質問が及んだ。
 た。
   「学宿」の参加者は、中学 2 年生 2 名、高校 1
 年生 8 名、引率教員 2 名であった。
 2.2 実習1(「見る」)
 1福島県環境創造センター…福島県内の環境回復
 に向けた情報発信拠点である。放射線や環境問題
 を身近な視点から学ぶことができた。
 2東京電力廃炉資料館…廃炉進捗状況の情報発信
 施設である。東電復興本社の社員との質疑応答を
 通して、廃炉状況について理解を深めた。
 3富岡町夜の森地区…8 割が帰宅困難地域となっ
 ている。境界に隣接する地域であっても戻って住
 む人がいない現状をつぶさに観察した。             3.成果
 4富岡復興メガソーラーSAKURA…原発事故による       最終日には県立福島高校の生徒を交え、SDGsの
 遊休農地に約 11 万枚の太陽光パネルを設置。東京   目標を柱とするワークショップを行った。それを
 電力に売電していることを富岡復興エナジーの社     通じて、福島の課題は決して福島だけのものでは
 員から伺った。                                   ないこと、そして震災・原発事故を教訓に日本の
 5国道 6 号線…車窓から帰還困難地域を眺める。     将来のあり方を一人一人が考え、対話し、発表す
 延々と続くバリケードと震災時そのままの家屋が     るに至った。ここには、
                                                                      「行って見てきた」だけで
 残る、時間が止まった光景を目の当たりにした。     はない、
                                                        「学宿」の成果がみて取れよう。
 6浪江町請戸地区…半壊状態のままの請戸小学校                         (文責:社会科・早川和彦)
 g.化学部理科実験教室                           結晶は振動などによって角が取れてしまっていた。
                                                  (3) 電池を作ってみよう
 1.仮説                                         方法:ソーラーモーターを接続した直列回路に、
   目黒区・世田谷区や茨城県大子町との連携によ     炭素電極を入れた食塩水をつなげ、しばらく電気
 り始まった小学生向け理科実験教室は、同一テー     分解(充電)した。その後、乾電池をはずしてモ
 マの実験教室を年間 3 回実施することにより、準    ーターの回転の様子を観察した。
 備や講師を担当する生徒の企画力やコミュニケー     結果:モーターはしばらくすると止まった。乾電
 ション能力等の育成も期待でき、SSH プログラム     池をはずすとモーターは逆方向に回転をした。
 としても有効であると考えている。                 考察:多孔質の炭素電極内に発生した気体が吸着
 2.内容・方法                                   している。この気体が活物質となりモーターが回
   実験教室のテーマや内容の選定は、毎年 11 月     転した。
 の文化祭後から化学部高校 1 年生の新執行部を中    (4) 塩と石けん
 心に行われる。今年度は『
                       「塩」の科学』であった。   方法:食塩水に液体石けんを入れ、固体のせっけ
 2.1   実施概要                                   んを取り出し、ニンニク絞り器で水分を絞った。
 (1) 「筑駒アカデメイア」公開講座(本校主催)     結果:円盤状のせっけんが得られた。
   日時:3 月 24 日(土)13:0015:00               考察:水和していたせっけんが塩析した。
   場所:本校化学実験室                           (5)塩と氷を混ぜる
   対象:小学校 46 年生 17 名+保護者             方法:氷を入れた容器に塩を加えてよく撹拌した。
   講師:高校生:3 名,中学生:6 名               このときの温度の変化を測定した。
 (2) 目黒区立駒場小学校サマースクール             結果:10℃くらいまで温度が下がった。
   日時:7 月 27 日(金)14:0016:00               考察:氷と塩をきちんと混ぜた班は、凝固点降下
   場所:区立駒場小学校                           による温度の低下を確認できた。
   対象:46 年生 20 名+保護者
   講師:高校生:8 名,中学生:5 名
 (3) 大子町理科特別実験授業
   日時:11 月 7 日(水)午前,午後
   場所:町立だいご小(午前,午後)
   対象:5 年生,35 名(午前)
                            ・31 名(午後)
   講師:高校生:13 名
 2.2   実験内容
   小学生の頃から塩化ナトリウムとして認識をし
 ている「塩」を用いた実験をいくつか経験し、調
 味料ではない活用方法があることを知ってもらう。
 (1) 塩の結晶を見てみよう                         2.3   実験準備・指導
 方法:セロハンテープで実験台に貼り付けた塩の       過去に実施した実験を、講師となる生徒達が行
 結晶をライトスコープで観察した。                 い、実験操作の確認・改良や、安全管理上の問題
 (2) 塩の結晶を作って見てみよう                   点などの洗い出しも行った。
 方法:プラスチック製注射器内で食塩水と塩化マ     3.検証
 グネシウム水溶液を混合して、析出させた塩化ナ       小学生や保護者・教諭には大変好評であった。
 トリウムの結晶をライトスコープで観察した。       講師としての経験を重ねることで、通常授業では
 結果:(2)の塩化ナトリウムは角張っていたが、(1)   育成が難しい小学生への配慮やコミュニケーショ
 では角が取れた結晶が観察できた。                 ン能力の向上などをはかることが出来た。
 考察:塩化マグネシウムが塩化ナトリウムから水
 和水を奪って立方晶を晶出させた。運んでいった                 (文責:理科(化学)
                                                                                ・吉田哲也)
 h.課題研究「障害科学:ともにいきる」                  2.2 実践報告(一部)
 1.仮説                                                「筑波大学サイバニクス研究センター訪問」及び
   本講座は視覚・聴覚・肢体不自由・知的・発達障害     「附属大塚特別支援学校小学部との交流」
 等幅広い障害について、講義・交流・擬似体験を通し       1 月 19 日に附属大塚特別支援学校の「ミライの
 て学ぶプログラム構成になっている。年間13回の講       体育館」で小学部児童(知的障害)と交流会を行っ
 座では当事者や家族の声に耳を傾けたり、教育・研
                                                      た。この交流会の事前学習として、12 月 18 日に筑波
 究等の知識や先端研究などに触れたり、またグルー
                                                      大学サイバニクス研究センターへ訪問し、午前中は人
 プワークを元に深く考究していく。それらを通して、誰
 もが住みやすい社会について探求し、「ともにいきる」   工知能研究室の鈴木健嗣教授による「人を支援する
 社会を実現する原動力が培われることを期待してい       工学技術」を受講し、工学的な障害の支援の具体例
 る。ここではその成果について検証する。               や本質を考えることの大切さ、手段を考える前にまず
                                                      は何をしたいかを考えることの重要性などを学んだ。
 2.方法(概要)                                     午後は午前中の講義を踏まえて、実際に子どもたち
 2.1 「ともにいきる」の本年度のプログラム           の活動を支援するツールとなるプロジェクションマッピ
 1    映画「ゆずり葉」鑑賞(全日本ろうあ連盟)        ングつくりを行った。製作に当たっては筑波大学附属
 2   筑波大学 宮本信也先生による講義                 大塚特別支援学校の佐藤先生から、知的に障害が
      「障害とは」発達障害を通して理解する            ある子どもたちの様子や理解度、活動度合いなどを
 3   附属桐が丘特別支援学校 田丸秋穂先生             具体的に教えて頂いた。
      肢体不自由当事者とご家族によるお話
 4    附属聴覚特別支援学校
      鈴木牧子先生による難聴擬似体験
      高等部生徒との交流会
 5   Dialog in the Dark 暗闇(全盲)体験
 6   附属聴覚特別支援学校卒業生 柳匡裕氏
      −Social Caf−Sign with Me オーナー
      「ろう者の望む社会」日本手話通訳付き
 7    附属視覚特別支援学校 寄宿舎訪問                   まずは思いついたアイディアをどんどん出し合い、
      飯島美帆先生による弱視擬似体験                  現実性の高いもの、また子どもたちの理解度・活動度
 8   筑波大学 柘植雅義先生                           合いにあったものなどを考慮しながら付箋でグルー
      「障害とは何か?」講義とグループワーク          ピングしてアクティビティ作りの構想を練った。パワー
 9    筑波大学 鈴木健嗣先生                           ポイントで製作する前に紙面上でしっかり考えること
 
      「人を支援する工学技術」とグループワーク(プ    の大切さを身をもって体験することができた。当日は
 
      ロジェクションマッピング製作)                  子どもたちに喜んでもらえるか不安を抱えながら交
 
 10   (株)モリサワ 高田裕美氏・橋爪明代氏           流を行ったが、結果は子どもたちから「もう一度やり
 
      「ユニバーサルデザイン書体の開発背景とデザ      たい「楽しかった」という声を聴くことができ、子どもた
 
      インについて」とユニバーサルデザイン名刺作り    ちにとっても生徒にとっても楽しい一日となった。
 
 11   附属大塚特別支援学校 小学部とプロジェクシ
                                                      3.検証(まとめ)
      ョンマッピングを活用した交流会
                                                        これらの活動を通して、障害(者)に対して自分た
 12   東京大学 バリアフリー研究室 福島智先生、熊
                                                      ちが無知だったことに気づき、障害(者)の認知・理解
      谷晋一郎先生による「当事者としての視点を大
                                                      が深まった生徒が多かった。また、一人ひとりのクリエ
      事にされた講話」「指点字体験」
                                                      イティビティを出し合い、使う人のことを想像しながら
 13   もじこ塾 成田あゆみ氏
                                                      未知のアイディアを生み出す作業や、共に過ごす交流
      英語のディスレクシアについて
                                                      の時間など実体験を伴う実践は、共生社会の基盤に
                                                      繋がると期待している。 (文責:早貸千代子)
 i. 数学課題研究発表活動支援                        彼の研究を簡単に言えば「足して1になる単位
 1.仮説                                         分数の組み合わせを見つける」というもので,そ
   本校の「課題研究」「理科課題研究」は,教育     の分母が相異なる2つの素数積(=半素数)で表
 課程において,
             まず高校 2 年生に 1 単位設定され,   される数に絞った時の研究である。彼は先行研究
 各教科が開講する講座のなかから,全員がいずれ     も非常に熱心に調べ,2017 年時点ではこうした例
 かを選択して受講する。数学科では毎年講座を開     のうち,48 項の例は1つしか発見されていなかっ
 設している。本年度は,講座名を「三千年紀の数     た。
 学で話そう」とし,受講生徒自身が自らの感性で       昨年度の大きな成果は 48 項の別の例を 20 通り
 数学の様々な側面に注目して課題をそれぞれに設     構築し,それ以外には存在しないことを世界で初
 定し,各自の内容について発表や議論を通じて受     めて証明したことである。
 講生全員で考察や研究を進めることを掲げた。
 
 
 2.実施の概要
   1 学期の間は,高校 1 年時の授業で扱った発展
 課題を継続研究していた生徒の発表を中心とし,
 彼らが夏のマス・フェスタで先行して外部発表会
 に出展することとした。また,残る生徒は 10 月の
 明治大学「高校生による MIMS 現象数理学研究発
 表会」に,全員がポスターまたは口頭発表で出展
 することとした。
               さらに,
                     2 学期3 学期にかけて,         そして今年度の 2018 年 8 月,ついに 47 項から
 研究の中間発表をゼミナール形式で行い,3 学期     成るまったく新しい例を筑波大学のスーパーコン
 には研究成果を論文としてまとめ,例年通り SSH     ピューター,OakforestPacks を使って発見するに
 課題研究として,論文集を発行することにしてい     至った。
 る。時間割内で設定された「課題研究」の枠にお
 いては,筑波大学数理物質系より坂井公准教授を     3.評価・検証
 アドバイザーとして迎えるとともに,筑波大学の       本校数学科では,課題研究が学校設定科目とし
 大学院生にも加わってもらい,活発な議論を交わ     て設定されるより前から,ゼミナール形式の課題
 している。                                       学習を取り入れ,長きにわたり実践してきている。
                                                  そのなかで本年度は,外部発表会への参加をより
                                                  強化したり,生徒の希望にこたえるかたちで,ス
                                                  ーパーコンピューターの利用によって課題研究を
                                                  進展させたり,といった,これまでの実践の蓄積・
                                                  継承だけでない,新たな可能性を見いだす 1 年に
                                                  もなったといえる。今期残り 3 年の SSH 事業のな
                                                  かで,どのタイミングで,どのような指導を入れ
                                                  ることによって,生徒の課題研究が開花するかと
            MIMS で発表の様子                     いった,より実践的なノウハウが蓄積できればと
                                                  考えている。
   本校の課題研究は高校 2 年生の 1 年間で実施す     末尾に,スーパーコンピューターを高校生が使
 るが,高校 3 年生になっても希望者は 1 単位を選   用するにあたり,校長先生を始め、非常に多くの
 択することができる。2017 年度に「半素数の逆数    筑波大学関係者にご尽力いただいたこと,深く御
 有限和による1の分割について」を研究した生徒     礼申し上げます。
 が今年度も研究続行を希望した。                                  (数学科 須藤雄生,吉崎健太)
 j.平成 30 年度SSH東京都内指定校                小さくて読みにくかった。現地写真、エビの写真
 合同発表会                                        があったので分かり易かった。研究の意義が伝わ
 1.仮説                                          りにくかったように思う。
   東京都からの提案を受けて 2008 年度から開催      ・研究テーマは生活に密着していて面白いものだ
 されている。東京都内SSH指定校が、生徒の成      った。実験方法として高学年生へのアンケートと
 研究成果を発表し、意見交換を行うことで、各校      いうのは便宜上仕方ないのかもしれないが、様々
 の今後の取組の発展に資することが期待できる。      な年代の人で同じ実験をしたら、もっと研究が深
 会場の利便性から参加生徒数も多く、広い交流が      まると思う。
 期待できる。                                      ・長年のデータ蓄積で説得力が高い。少人数で
                                                   有用な結果を出している。調査地点が少ない気が
 2.方法                                          する。字が小さい。今後の「なぜ?」を解明する
 2.1 プログラムの内容                              調査が難しそう。
 日時:2018 年 12 月 23 日(日)9:0016:00
 会場:工学院大学新宿キャンパス
 幹事校:東京都立戸山高等学校
 概要:基調講演・口頭発表・ポスター発表・講評
 参加校:都内 SSH 指定校 13 校
 2.2 本校からの参加生徒の活動
   20 名の高2生徒がポスター発表 7 本を行った。
 内訳は台湾研修での研究が4本、それ以外が高2
 (理科)課題研究での研究成果となっている。
 1 Trajectory of a Magnetic Pendulum(物理)
 2 What causes Daphnia Pulex to die?(生物)
 3 The present and future for basketball and its
    relations with artificial intelligence
 4 The meaning of visiting MINAMATA
 5 それでも水俣病は終わらないのですか?
 6 多摩川河口の干潟におけるカニの分布
 7 共にいきたい(障害科学)
   発表者は1つのポスター場所につき3交代制
 (1人1時間)で発表を行った。自分の時間以外
 は他のポスターを見てコメントなどを所定の用紙
 に記入した。口頭発表の参加はなかったものの、
 それぞれ自分の興味ある分野の発表を見学した。
 
 
 3.検証
 生徒コメント(他校の発表を見た感想)より
 ・全体的に発展的な内容で興味を持てた。高校生
 にも分かるように基本的なことから説明すれば、        直前の台湾研修に引き続いて発表を行う生徒
 より理解が深まると思う。                          にとっては、自らの発表の改善や見直しの機会と
 ・自分も似たようなことを考えたことはあるが、      して、また課題研究からの生徒にとっては、自ら
 実現させることはなかったので、素直に感心した。    の研究のまとめ・校外での発表機会として、今回
 発表はわかりやすく、課題も明確になっていた。      の合同発表会は非常に有益だったと言える。
 ・継続的な研究で厚みがあった。ポスターは字が                              (研究部・山田忠弘)
 k.高3課題研究発表会                           に関係の深い、筑波大学他附属(主として特別支
                                                  援学校)の先生方 5 名が参加され、質疑の場でも
 1.仮説                                         積極的な意見を頂くことができた。保護者の方も
   課題研究発表会は、本校高 3 理科課題研究・課    9 名の参加が見られた。
 題研究受講者の発表の場として活用され、全校生     2.4   内容
 徒および外部参加者への発信の機会となっている。     4 報の発表は、科学、数学、地理、障害科学の
 SSH 校の合同発表会のような形式とは異なる、普     研究発表であった。化学「疎水コロイドの凝析に
 段接しているメンバーとの研究協議は、仲間との     おける諸条件の影響」に関しては、昨年度からの
 学び合いを深め、より研究意欲を高めていくもの     研究で、実験結果もより充実したものになってい
 と考えられる。                                   た。数学「半素数の逆数有限和による1の分割に
                                                  ついて」では、前例のない研究成果を示し、会場
 2.方法・内容                                   を沸かせた。障害科学「いきていく 就労から見
 2.1 準備                                         つめる障害の今と未来」では、専門家である他
   情報発信の方法は、本校ホームページへの掲載、   附属の先生方から多くの専門的意見を頂いた。地
 JST ホームページへの記載によって告知を行った。   理「東北の復興と観光 復興ツーリズムを考え
 また、中高とも全校生徒に案内を配布し、保護者     る」
                                                    では、発表内容が充実しているだけでなく、
 の方も含めた情報発信を行った。                   スライドの示し方・作られ方が分かりやすく、流
 2.2   プログラムの内容                           れるようなプレゼンテーションであった。
 日時:2018 年 9 月 15 日(土)13:0015:00
 場所:本校 50 周年記念会館
 研究発表内容(口頭発表 4 報)
 ●化学「疎水コロイドの凝析における諸条件の影
   響」
 ●数学「半素数の逆数有限和による1の分割につ
   いて」
 ●障害科学「いきていく 就労から見つめる障害
   の今と未来」
 ●地理「東北の復興と観光 復興ツーリズムを        3.検証
   考える」                                         本年度は発表件数が 4 報と少なかったが、1 報
 2.3   参加者について                             あたりの時間を長く設けることができ、結果的に
                                                  は有意義な活動となった。発表者の発表時間を確
                                                  保するだけでなく、参加者からの質疑の時間も十
                                                  分に取ることができた。事後のアンケートでは、
                                                  「友人の研究内容がわかり、非常に有意義だった」
                                                  や「保護者も気軽に聞くことができうれしく思い
                                                  ます」などの記述が見られた。一方で、
                                                                                    「学生の参
                                                  加者が予想外れに少なかったのが残念。最終的に
                                                  時間通りになったのは良かったと思います。
                                                                                        」と参
                                                  加者の課題点、時間配分の指摘も見られた。
                                                    本校で実施し、比較的容易に発表会を聴講でき
   中学、高校ともに研究内容に興味を持った生徒、   る課題研究発表会は、仲間の研究を知る機会とな
 本校教員の参加があった。また、他校の先生方も     り、研究意欲を十分に高めることができたと思わ
 メールや電話での申し込みがあり、3 人の先生方     れる。
 が参加された。さらに本年度は、障害科学の研究                       (文責:研究部 渡邉隆昌)
 l.台湾台中第一高級中学との交流                     2.3   プレゼンテーション事前指導の有効性
 1.初めに                                           前項の目的とも関連し,ここ数年,出発前にプ
       台中市立台中第一高級中等学校(以下、台中      レゼンテーションの専門家を迎え,実践的な指導
  一中)は,台湾の台中市に位置する,日本でい         をしてもらっている。また,放課後に定期的に実
  う高等学校に相当する教育機関である。1915 年        施されている「イングリッシュルーム」では,海
  に台湾人のための中等教育機関として創立され         外から研究で来日している大学院生に指導を受け
  た伝統校で,2017 年より台中市立に改編された。      ることもできる。これらの事前指導を経て,コミ
  本校では,2009 年より台中一中との交流事業を        ュニケーションツールとして英語を活用できる姿
  始め,今年は 11 年目の交流となる。                 勢や能力が育成できることを期待した。
       交流は主に,隔年 5 月に台中一中の生徒約 60
  名を本校に迎えるプログラムと,毎年 12 月に本
  校生徒が台中一中を訪問して行うプログラムに
  よって構成されている。本稿では,12 月の台中
  一中訪問プログラムについて述べる。本年度は,
  高校 1 年生 4 名、高校 2 年生 12 名、引率教員 3
  名で、2018 年 12 月 11 日から 16 日の 6 日間にわ
  たり台湾を訪問し,うち,13・14 日の 2 日間を
  台中一中での研究交流会とした。
 
 
                                                             専門家によるプレゼン指導の様子
 
 
                                                     3.方法
                                                     3.1   交流第 1 日目(交流授業)
                                                      訪問日初日の Welcome Ceremony の後,観測所
                                                     の見学と講義,および地学の実験に参加した。台
            両校の生徒・教職員集合写真               中一中には天体望遠鏡を備えた本格的な観測所が
                                                     あり,前半は台中一中の教員によって,天文に関
 2.仮説                                            する日本を含む海外の研究成果をも交えた講義が
 2.1    理数系交流授業における効果                   行われた。
   台中一中の生徒たちとともに理科の授業を受講
 するとともに,台中一中の充実した実験設備を体
 験し,それぞれの学校,ひいては日本と台湾の科
 学教育に対する考え方の共通点や相違点を本校生
 徒自身が体感すること,ひいては意思の疎通だけ
 でなく,異文化交流として教養や見識を広げるこ
 とを期待した。
 2.2 課題研究の発表と交流
   高校 1 年生は 4 人で協働し英語による学校紹介,
 高校 2 年生は個人やグループで日頃から行ってい        後半の実験では,様々な条件における二酸化炭
 る課題研究の成果を英語で発表することを主眼と        素の溶解度を比べる内容で,本校生徒と台中一中
 してプログラムを構成した。これにより,異文化        の生徒が混じって 45 人の実験班を組んで行わ
 交流に加え,課題解決能力やサイエンスコミュニ        れた。生徒はおたがいに英語やジェスチャーを交
 ケーション能力の伸長をも期待した。                  えながら,既有知識や実験方法について伝達しあ
                                                     っていた。
                                                     4.検証
                                                      3 点の仮説についてそれぞれ検証する。
                                                     4.1 Welcome Ceremony から,本校生徒は台中一
                                                     中生徒の手厚い歓迎を受け,理科の授業では本校
                                                     生徒が台中バディ生徒と話し合いながら課題解
                                                     決へ進む場面が顕著に見られた。また,研究発表
                                                     を通して,それぞれの生徒がどのような学習体験
                                                     や既有知識を持っているか確認しあう姿もあり,
                                                     この点でも交流事業の効果は高いと言える。
  午後は,812 人のグループで,思考型ボード           4.2 高校 2 年生が発表したそれぞれの研究テー
 ゲームなどを通して戦術検討やコミュニケーショ        マは,日頃から学校設定科目「課題研究」におい
 ンなど,会話を楽しみながら実践できるようなプ        て生徒自身がテーマを設定し,研究しているもの
 ログラムであった。                                  が大部分である。そのため,英語による発表を特
 3.2   交流第 2 日目(研究発表会)                   別なことと考えず,科学的にもしっかり時間をか
  本校と台中一中の生徒がそれぞれ持ち寄った研         けて,各教科の指導教員の下で研究した内容が揃
 究発表を英語で行った。それぞれ,報告後に質疑        った。ポスターセッションなどでも,両校の生徒
 応答の時間が設けられるとともに,本年度より会        それぞれが,自分の研究を自分の言葉で伝える姿
 場を活用してのポスターセッションも行われた。        勢が強く見られたのは印象的であった。
                                                     4.3 事前指導では,伝えたいことを効果的に伝え
                                                     るために,できるだけスライドの文字情報を少な
                                                     くすることや,
                                                                 「聴衆が欲しいと思う情報だけを
                                                     欲しいと思うタイミングで与えること」などにつ
                                                     いての指導があった。特に,発表前夜には,ホテ
                                                     ルの会議室で長時間にわたり参加生徒同士で議
                                                     論を重ねながら,より良いプレゼンテーションを
                                                     目指して直前まで工夫する姿が見られた。原稿を
                                                     見ずに聴衆に語り掛けることの大切さなど,生徒
                                                     にとって乗り越えるべきポイントが,事前指導に
  本校生徒による発表テーマは,下表のとおりで         より明確になったと言える。また,台中一中の生
 ある。                                              徒発表や司会進行のうまさに驚いたという生徒
                                                     が多かったが,これも事前指導で学んだプレゼン
 分 野              発 表 テ ー マ                   技術を台中一中の生徒が高いレベルで体得して
 地    歴   The meaning of visiting MINAMATA         いたことが,生徒自身の刺激となったと考えられ
 数    学   Research on “Cevian Triangle”          る。今後も本交流プログラムに際しては,各自の
            Consideration of the tactics of          研究内容と,プレゼンテーションスキルの両面か
 数    学
            Blackjack                                ら,事前準備を進めていくことが効果的であろう。
 生    物   What causes Daphnia Pulex to die?         (数学科・須藤 雄生,地歴科・山田 耕太)
 物    理   Trajectory of a Magnetic Pendulum
            The present and future for basket-
 保    健
            ball and its relations with Artificial
 体    育
            Intelligence
 文    化
 交    流   The Introduction of Tsukukoma
 m.他 SSH 校プログラムへの参加(名古屋大           選考の結果,6 月 2・3 日に 1st Stage に招か
 学附属中高)                                    れ,名古屋大学教育学部附属高等学校で実施され
                                                 た講義と,筆記による課題学習に参加した。その
 1.仮説                                        内容は,大学で学ぶ数学の知識も必要とするもの
   今年度は,名古屋大学教育学部附属高等学校      であり,本校生徒だけではなく,全国から集まっ
 SSH 重点枠企画「アメリカで数学をしませんか」    た生徒達も苦労をしながら課題解決を目指してい
 に連携校として参加した。この企画は公募選考か    た。18 グループが集まった 1st Stage の選考の結
 ら 1st Stage(16 チーム),2nd Stage(12 チー     果,本校のグループは 2nd Stage に進出すること
 ム),3rd Stage(4 チーム)に進むというコンテス   ができた。
 ト型の企画で,最終 3rd Stage では米国ノースカ
 ロライナ州でのフィールドワークと,数学的課題
 の協働解決を目標とするものである。
 
 
 
 
                                                                  1st Stage の様子
 
 
                                                 2.2. 2nd Stage
                                                 2.2.1.概要
                                                  8 月 25 日に実施された 2nd Stage は,名古屋
                                                 大学近隣の商店街に出向き,
                                                                         「日常の中にある数学
                                                 を探す」というフィールドワークを実施したのち,
                                                 それを研究ポスターにまとめて3日目にポスター
                 募集5要項より抜粋                セッションをするというものだった。最終日は名
                                                 古屋大学主催の日本数学コンクール団体戦へ参加
 2.概要                                        した。
 2.1. 公募  1st Stage
   4 月上旬より全国に公募があり,本校高校 1 年
 生 4 名の1グループで参加申し込みを行った。内
 容は数学の課題(公募問題)を提示されており,
 それについてのレポートを作成し,選考するとい
 うものであった。
 
 
 
 
                                                              フィールドワークの様子
 
 
                                                 2.1.2.日程
                                                 2nd Stage の日程は以下の通り。
                                                 8 月 2 日 商店街の下見
                                                 8 月 3 日 フィールドワーク/ポスター作成
                                                 8 月 4 日 ポスター作成/ポスターセッション
            公募問題(募集6要項より抜粋)         8 月 5 日 日本数学コンクール団体戦参加
 2.3. 自己成長 Stage                                加が認められ, 3 月までに実施される自己成長
 日時:2018 年 11 月 8 日2019 年 3 月 1 日          Stage に参加することとなった。
 場所:本校                                          また,団体戦に参加した日本数学コンクールでも
 概要:テレビ会議を通じて,3rd Stage 進出 4 校      優良賞を受賞した。
   (名大附属高校・東海高校・一宮高校・本校)と
   合同で英語によるコミュニケーションを,数学
   を題材にして行うというものである。全 8 回を
   予定しており,2019 年 1 月 7 日現在までに 4 回
   が終了した。
 
 
 
 
                                                               ポスターセッションの様子
 
 
 
                                                    3.検証
                                                     この企画は,海外の生徒との交流はもちろんの
                テレビ会議の様子                    こと,日本の他校生と共に参加できることにも大
 2.4. 3rd Stage (米国研修)                          きなメリットがある。参加チームを選抜されると
 日時:2019 年 3 月 2 日2019 年 3 月 7 日(予定)   いうコンテスト形式に,参加生徒は良い刺激を受
 場所:米国ノースカロライナ州                       けていた。また,他校の研究発表に共通の話題を
 概要:現地理数系高校の生徒達との協働学習を予       見つけ,これからも互いの研究内容について情報
   定している。                                     交換を続けようとしている生徒もいた。自己成長
                                                    ステージでは,テレビ会議を利用することで,離
 3.活動内容                                        れた学校が 4 校同時にコミュニケーションをとる
  本校生徒たちは「緑を増やしてストレスを無くそ      ことが可能で,互いに刺激し合いながら成長して
 う」というタイトルのポスターを作成した。商店       いくことが出来ている。これから実施される米国
 街の通りにある街路樹の緑の量に注目し,
                                     『緑視率』     研修終了後に改めて報告したい。
 というキーワードで,街路樹配置の最適化につい                              (文責 三井田 裕樹)
 て論じており,ポスターセッションでも審査の先
 生方からも好評だった。
 
 
 
 
               ポスター作成の様子
 
 
  選考の結果,本校グループは 3rd Stage への参
 n.Thailand International Science Fair 2019          などすべてこの HP を通じて先方と連絡を取って
 1. TISF2019 の概要                                   準備を進めた。学校の状況、生徒派遣手続き、事
   2017 年に始まった Thailand International Science   務的な連絡、旅行手配などは国際交流担当教員が
 Fair は、タイで初めての Science high school として   実施した。
 1991 年に開校された Mahidol Wittayanusorn School       理科教員による研究指導および SSH プレゼン
 (MWIT)で隔年開催される科学フェアーで、本校は         授業による指導などを受けながら、生徒自身の計
 TISF2017 に続き 2 回連続の参加となる。本校から       画で研究を進めた。引率者による指導は、12 月 17
 は高 2 生 3 名が、校長の引率で参加した。             日、12 月 21 日、12 月 29 日、1 月 6 日の計 4 回実
                                                      施し、研究の背景、意義、口頭発表およびポスタ
 2. 内容                                              ー発表における留意点、発表態度、わかりやすい
 2.1 参加国                                           発表資料の作成、各種スキルなどについて指導を
   ヨーロッパ州、オセアニアおよびアジア州から         行った。
 18 の国・地域が参加した。ヨーロッパ州からドイ        2.4   日程
 ツ連邦共和国、ロシア連邦、オセアニアからオー         日時:2019 年 1 月 7 日(月)12 日(土)
 ストラリア、東アジアから日本、ホンコン、大韓         場所:Mahidol Wittayanusorn School (MWIT)および
 民国、南アジアからインド、東南アジアからイン               その近郊
 ドネシア共和国、フィリピン共和国、ベトナム社           MWIT はスワンナプーム国際空港から車で 90
 会主義共和国、ラオス人民民主共和国、カンボジ         分程度、バンコクの西部ナコーンパトム県に所在
 ア王国、マレーシア、シンガポール、ブルネイ・         し、マヒドン大学に隣接している。1 学年 240 名、
 ダルサラーム国、タイ王国、ミャンマー連邦共和         3 学年合計 720 人の男女共学、全寮制の高等学校。
 国、西アジアからイスラエル国であった。参加校         生徒の授業料、宿舎料は全額タイ政府で賄われて
 数は 65 校で、うち、タイから 38 校が参加した。       いる。
 参加生徒数は 331 名であった。日本からは本校の        実施内容:
 ほかに愛知県立半田高等学校、立命館高等学校、            1 月 7 日(月);受付、バンコク王宮周辺視察
 早稲田大学本庄高等学院の、合計 4 校であった。           1 月 8 日(火);開会式、シリントーン妃殿下ご
 2.2    参加経費                                            列席、シリントーン妃殿下へのポスター発
   TISF2019 は MWIT による招聘プログラムで、                表、一般参加者向けポスター発表、歓迎会
 TISF2019 参加費、タイ国内における滞在費、宿泊           1 月 9 日(水);口頭発表、サイエンスアクティ
 費、
   食費、
       視察旅行のすべての経費が先方負担で、                 ビティー、ウオークラリー、クイズショー、
 参加者はタイまでの往復旅費のみの負担で参加し               校長・教員セッションなど
 た。                                                    1 月 10 日(木);カセサート大学視察:園芸、植
 2.3    参加準備                                            物病理、昆虫、動物科学、土壌科学、農業バ
   2018 年 5 月中旬に MWIT からの招聘状が届き、             イオテクノロジー、ポストハーベストテク
 本年度の国際交流プログラムとして生徒に提示し               ノロジー、米穀科学、水産養殖研究の 9 グ
 た。6 月 30 日を締め切りとして生徒からの参加希             ループ別に見学、閉会式および送別会
 望を募ったところ、高 1 から 1 名、高 2 から 6 名        1 月 11 日(金);アユタヤ視察
 の応募があり、志望動機、研究テーマ、英文サマ            1 月 12 日(土);帰国
 リーを資料として、かつ、3 名で一つの研究テー         2.5   口頭発表
 マに取り組める内容で検討を進め、派遣生徒を選           口頭発表は工学(12 課題)、化学(11 課題)、環境
 出した。今回の派遣生徒による研究課題が生物学         科学(11 課題)、生化学(11 課題)、物理学(7 課題)、
 関係であったことから、生物課題研究の一環で研         数学(8 課題)、生物学I、II、III(23 課題)の 9 会場
 究を進めることとした。                               で同時開催された。1 グループの発表時間は 10 分、
   TISF2019 の HP が 2018 年 8 月にオープンとな       質疑応答 5 分で実施された。
 り、参加登録、発表要旨の提出、渡航日程の連絡
 2.6   送別会における活動                         3.3   参加生徒の感想
   送別会では各参加校から特徴的な活動が披露さ       参加生徒から寄せられた感想文の一部を以下に
 れた。歌、ダンスが主な中にあって、日本からは     抜粋する。
 浴衣を着たダンスが 2 校から披露された。本校か    A君;
                                                      「TISF への参加は自分にとってとても大き
 らはジャグリングが披露され大変好評であった。     な刺激になりました。前から予想はしていました
                                                  が、やはり海外渡航で受ける刺激は多大なもので
                                                  す。第一に発表の準備や当日の発表は研究者とし
                                                  て非常に多くを学ばせていただき大きく進歩でき
                                                  たと思います。・・・英語論文を読み、自分たちで実
                                                  験方法を考案し、さらにそれを英語で提供するこ
                                                  とで研究者として不可欠な経験が今回の研究発表
                                                  を通して培われたと思います。第二に、周りのレ
                                                  ベルには全く頭が上がらない毎日でした。プレゼ
                                                  ンのポスターやスライドの精巧さから、日常の会
                                                  話までやはり日本にとどまっていてはなかなかで
 3.本校生徒の活躍                                あうことのできないレベルの生徒と交流できたこ
 3.1   発表課題                                   とを光栄に思っています。中でもやはり英語教育
   Spiders Get Drunk on Coffee の題目で、口頭     に関しては、日本の状況を危惧せざるを得ません
 発表およびポスター発表を実施した。               でした。・・・・日本とは大きく異なり、英語を英語
 3.2   発表の様子                                 として学ぶだけでなく、理科科目も英語で習得し
   ポスター発表ではポスターを上手に使いながら     ている生徒が多く目立ちました。個人的にはここ
 説明を行えていた。
                 また、
                     ポスターには収まらず、       が日本との一番大きな隔たりではないかと思いま
 研究の様子や結果を示す写真などを別途準備して     した。
                                                      」
 いて、この補助資料も使ってわかりやすく説明で     B君;
                                                      「発表準備には膨大な時間と労力をかけるこ
 きていた。質問者の問いにも丁寧に答えることが     とになりました。年末年始を返上して作業に明け
 できていた。誰か一人に対応を任せるのではなく、   暮れた日々が思い出されます。ただ、発表当日で
 3 人が質問事項などに応じて研究説明ならびに質     は予想を遥かに上回る人が私たちの研究に興味を
 疑に参加できていた。                             持って質問してくださり、他の国からいらした専
   口頭発表は発表時間が 10 分と短い中で、緒言・   門家の方々にもアドバイスをいただき、かけた労
 研究目的、材料および方法、結果および考察をそ     力 に見合っ ただけの もの を得られ たと思いま
 れぞれ 1 人ずつが発表を分担し、全体として 3 人   す。・・・・・TISF2019 を終え、英語の勉強をもっと
 全員が発表に参加できていた。複数の質問事項が     やらなければならない、もっとやりたいという思
 あったが、事前に想定していた質問内容もあり、     いが強くなりました。英語を介して他の国の人と
 すべて的確かつ正しく答えることができていた。     コミュニケーションをとり、自分とは異なる価値
                                                  観や文化について学びたい。そのためにも、まず
                                                  は日常会話をスラスラと、その次により高度な話
                                                  ができるように一歩ずつ英語の力を高めていきた
                                                  いと思います。また、日本の文化について外国の
                                                  人に自信をもって説明できるよう、もっと学んで
                                                  いかなくてはならないと感じています。
                                                                                    」
                                                  C君;「先行研究ほぼなしの 0 からのスタートだ
                                                  ったので、きつかった。そのため実験開始から成
                                                  果まで 5 か月もかかった。・・・・・事前指導では結
                                                  果の見せ方だったり人の印象に残す方法だったり。
 普段そういう風に見たことはなかったが、さすが       化し、統計処理も行って科学的に説明するかとい
 プロの研究者だと素直に感心することばかりだっ       う点では、工夫があり、オリジナリティーもあっ
 た。どこを伝えたいのか、何を見てほしいのか、       て、非常によくできていた。
 相手からは何が見えるのかを細かに指導していた         ポスターは全体的に統一のとれたデザインで、
 だいた。・・・タイにもっていく段階にはベストな状   使用するフォントサイズ、配色、文字情報も適切
 態になっていたと思う。・・・壮絶な日々(文化祭と   であり、掲載した図表の数、大きさも適切なもの
 かいろいろあって毎日 2 時過ぎまで起きていた)      であった。ポスター発表はポスターに記載されて
 を乗り越え、自信をもってタイへと発つことがで       いる図表だけでなく、補助的に準備した資料も使
 きた。
     ・・・発表はうまくいった。
                             うまく行き過ぎた。     いながら質問者に丁寧に説明し、相手と向き合っ
 タイトルがまずよかった。キャッチ―でみんなに       て議論が行えた。ポスター発表では発表者と質問
 わかってもらえた。そのため人が絶えず、ポスタ       者が極めて近い位置で、お互いが納得のいくまで
 ーを見て回ることはできなかったけれども。口頭       説明・議論することができるが、3 人とも適切な
 も僕が少し原稿を見た以外はうまくいった。全体       対応ができていた。ポスター発表時の姿勢もよく、
 で見ればかなり良かったと思う。
                             」                     紳士的な対応ができていた。
                                                      一方、他校を含め全体的にそうであったが、口
                                                    頭発表で一つ気になった点は、パワーポイントの
                                                    図表を説明しながら話を展開することができてい
                                                    なかったことである。他校の発表では英語の得意
                                                    な生徒が発表原稿をいっきに話す状況が目立った。
                                                    本校の場合、参加した 3 人全員が代わる代わる発
                                                    表を行ったため、生徒により英語に違いはあった
                                                    ものの、3 者とも発表態度も良く、紳士的であり、
                                                    聴衆とよく向き合って発表できていた。その一方
                                                    で、映写されている図表をいかに活用して、わか
                                                    りやすく説明するかという点ではもっと技能を磨
                                                    く必要があると感じた。この点は、特に英語を用
                                                    いた口頭発表では今後の大きな課題とみている。
                                                    パワーポイントを用いていかに聴衆と一体になっ
                                                    て口頭発表を行うか、今回の TISF2019 の参加で
                                                    はこの練習が事前に行えなかったことが反省点と
                                                    して残った。
                                                      参加生徒は TISF2019 への参加を通じて、研究
                                                    する過程、とりまとめ方など多くのことを学ぶこ
                                                    とができ、そして、国際舞台での発表という貴重
 4.検証                                            な経験と、他国のとびぬけた仲間との時間の共有
   本校では生徒自らが設定した課題に取り組み、       を介して大きく成長できたと感じている。この点
 実験を行い、理科教員の指導のもと、他大学の先       については、参加生徒の感想文からも読み取れる。
 生にも世話になりながら研究を進め、自らとりま       今後も、機会あるごとに国際舞台に出て研究発表
 とめて発表に至った。研究は参加した 3 名がそれ      を行い、生徒の能力を高めていく必要がある。そ
 ぞれ分担して実施し、とりまとめも生徒の得意分       のためには、いかに事前指導を行うか、計画的に
 野を統合する形で進められ、口頭発表も 3 名で実      準備を進めていくかという課題に向けて校内で検
 施できた点は、TISF2019 に参加した他校と違い、      討する必要があると感じている。
 多いに勝る点であった。また、現象として見た目                   (文責:引率者 校長・林 久喜)
 で明らかに異なることを、いかに数値化して一般
  o. SSH プレゼンワークショップ                       入れていく。生徒は自分の研究の原稿を読むのに
                                                      必死だが、聴衆に事前にその研究についての予備
 1.仮説                                             知識が全くないことが意識されていない。折角説
   本校生徒は理科や数学などで高い能力を示して         明を聞いても、取りつく島がないことがしばしば
 いるが,各種研究発表でそれらを発揮するには,         ある。今回は、聴衆の存在を意識せよ、との注意
 英語力とともに効果的にわかりやすく伝える力が         が印象的だった。他の点では、パワーポイント(以
 必要である。この目的のため,本校では専門家に         下、ppt)の文字の提示の仕方で、文の形で表示し
 よる指導を行っている。ワークショップに参加す         た場合にはキーワード・フレーズの単位で表示す
 ることで,生徒のプレゼン技術と自信の両面をさ         るよう注意された。フォントの大きさに言及され
 らに伸ばすことができると考えられる。                 ることもある。また、ppt を提示する際のタイミ
                                                      ン グ に も 注 意 を 向 け る 。 つ ま り
 2.方法                                             ‘show-tell-show-tell’(見せて、話す)とのこ
 2.1プレゼンテーション・ワークショップ              とだ。最後に以下のことに留意するよう言われ、
   「日本科学未来館」所属の Vierheller 夫妻を招       講義を閉じた。
 き,‘Learn to Present’と題されるプレゼン講座を,   ・Eye Contact
 今年も3回開催した。                                 ・50% Read, 50% Speak
 1 第1回(7 月 7 日/中3・高1希望生徒対象)        ・Speech is for them not for you
 「プレゼンテーション能力向上ワークショップ」
   40名程度参加。
 2 第2回(12 月 8 日/台湾派遣生徒対象)
 「台湾プレゼン 7 チームの英語ブラッシュアッ
   プ」20名参加。
 3 第3回(3 月 9 日/中1・中2希望生徒,釜山
   派遣生徒対象)ビギナーズ用。スピーチの声の
   強弱,イントネーション,アイコンタクト,身
   振りなどを実際に体験しながら細かく教わって
   いく。その後,釜山派遣生徒のプレゼン指導を
   行う。                                                           アクションを交えての講義
                                                      3.検証
                                                        プレゼン講座を初めて受講した生徒の技術・自
                                                      信の向上は驚くべきものである。英語の授業でプ
                                                      レゼンをさせたときに,この講座を受けた人と受
                                                      けていない人の差異がはっきりと出る。受講生徒
                                                      の一人は「今年は Vierheller さんたちによるプレ
                                                      ゼン講習があったので、問題があればそこで直し
                                                      ていただこうという気構えで、がむしゃらに最初
                                                      は作った。プレゼン講習では細かいミスもたくさ
                                                      ん指摘いただけましたし、プレゼンを効果的に行
                                                      うための色々なコツを教わることもできて、結果
        Mr. Vierheller の熱血指導の様子
                                                      的にとりあえず作ってみたのは正解だった。
                                                                                            」と述
 2.2 第 2 回プレゼン指導詳細
                                                      べている。このプレゼン講座により,さらに多く
   Vierheller 氏は、事前にコメント用にダブル・
                                                      の生徒が人前で自信を持って英語で伝えられるよ
 スペースのプレゼン原稿を提出させ、各生徒が発
                                                      う,今後も継続的に開催したいと思っている。
 表すると同時に、表現のわかりにくい部分に赤を
                                                                           (文責:英語科・八宮孝夫)
 p1.課題研究「サイエンス・ダイアログ」            表 1. Science Dialogue & DIY 年間計画
                                                                                     (全 32 校時)
 1.仮説                                         Date        Speaker       Topic
   プレゼンテーション技術には「論理的な構成・     1May 12            ―     全体オリエンテーション
 話し方・発表資料(スライド等)の作成法」など     2June 2            ―     講座オリエンテーション
 が含まれるが,これらを学ぶためには,具体的な     3June 16    Science Dialogue 講師    #1
 良いお手本となる機会を数多く設けることが必須     4June. 30    各受講生     構想発表
 である。本校では外国人講師による英語での専門     5Sep. 15    Science Dialogue 講師 #2
 的な研究内容のプレゼンを聴講することで,生徒     6Sep. 29     各受講生     中間報告
 のプレゼン能力を醸成できると考えた。             7Oct. 13    Science Dialogue 講師 #3
                                                  8Nov. 10     各受講生     リハ・相互評価
 2.方法                                         9Dec. 18    各受講生      native 講師による指導
 2.1   サイエンス・ダイアログの利用               10Jan. 12   研究発表1    (中3・高1に向けて)
   日本学術振興会が提供している「サイエンス・     11Jan. 26   研究発表2
 ダイアログ」プログラムを利用。これは,日本滞
                                                  12Mar. 11   総括
 在中の海外若手研究者の中高への派遣を受け,そ
                                                    1 月の本発表では下級生が聴取者となり,異学
 の方の専門分野に関する講義を受けるというもの。
                                                  年での学び合いの場にもなる。そのことを踏まえ,
 本校は土曜日に実施する中3テーマ学習と高2課
                                                  より緊張感をもって各自の設定した研究と英語に
 題研究の受講者を対象にしている。このプログラ
                                                  よる発表に向けて真摯に取り組んでいることが各
 ムに参加して9年目を迎えるが受講生徒たちには
                                                  講座でよく分かった。研究発表のテーマを設定さ
 大変良い刺激になっている。
                                                  せ,研究から発表までを生徒の主体性に委ねるだ
   今年度は4名の中学3年生と9名の高校2年生
                                                  けではなく,細かく進捗状況の報告から受講生同
 が本プログラムを選択した。
                                                  士での質疑応答(英語による)および相互評価の
                                                  回を重ねたことで研究内容も着実に refine され
 2.2   高校2年生の課題研究
                                                  ていったことが実感として強い。
   海外の若手研究者から自国の文化や専門分野に
 ついて英語による講義を聴講し,発表内容のみな
                                                  3.検証
 らず発表の仕方にも注目して学術的な内容をわか
                                                    課題研究の最終回には,これまで受講したプレ
 りやすく伝えるプレゼンテーションを習得できる
                                                  ゼン講義を踏まえて生徒自身が設定し研究を進め
 ように留意した。講義と並行して,生徒一人一人
                                                  た内容について英語によるプレゼンテーションを
 が各自テーマを設定し,研究発表する機会を年度
                                                  行った。トピックは各自の興味に応じて多岐に渡
 末に設けた。6 月の構想発表に始まり,11 月には
                                                  るが,サイエンス・ダイアログを受講しての顕著
 各自の研究の進捗状況を受講生相互にレビューし
                                                  な効果はパワーポイントの作り方だけではなく,
 て相互レビューを基に推敲を進め,12 月には東大
                                                  聞き手のレベルに応じて説明の仕方や語句を変え
 留学生による英語での研究発表について助言を受
                                                  るなど,聞き手を意識した発表に現れていた。ま
 け,1 月中旬の本発表を迎えた。独特な着眼点の
                                                  た,プレゼンという日常の会話とは異なる聞き手
 興味深いテーマも多い。以下にその例を示す。
                                                  の理解を促す必要のある話し方や質疑応答での対
   ・トロッコ問題:義務論と功利主義
                                                  応でも,聴衆を意識しアイコンタクトを取りなが
   ・負傷によるスポーツパフォーマンスへの影響
                                                  らゆっくりとはっきり話した者が多く,途中で聴
   ・日米間のシャープペンシル芯の比較
                                                  衆をテストするなどなどインタラクティブなプレ
   ・売れる小説の構造とは
                                                  ゼンとなるよう工夫されていた。本講座での経験
   ・AIの教育現場への活用
                                                  を忘れずに英語力そのものを向上させるとともに,
   ・インターネットの日常に与える影響
                                                  さらに洗練されたプレゼンができることは容易に
   ・タスマニアデビルの抱える問題
                                                  期待できる。        (文責:英語科 多尾奈央子)
   今年度の年間プログラムは次の通りである。
 p2.テーマ学習「サイエンス・ダイアログ」                          形式で講義が進められた。生徒たちは英語での専
 1.仮説                                                         門分野のお話以外にも,講師の先生方の出身国の
   高2課題研究と同様に,外国人講師による英語                     お話や日本での異文化体験などについて伺うこと
 での専門的な研究内容のプレゼンを聴講すること                     ができ,英語の講義を十分に理解し楽しんでいた
 を柱として,生徒の英語力伸長と英語でのプレゼ                     様子であった。
 ン能力育成を図る試みである。
 
 
 2.方法
 2.1       サイエンス・ダイアログの利用
   日本学術振興会が提供している「サイエンス・
 ダイアログ」プログラムを活用し,日本滞在中の
 海外若手研究者の派遣を受けている。今年度は講
 師3名の専門分野に関する講義を受け,講義後に
 英語での質疑応答を実施した。
 
 
 2.2       中学3年生のテーマ学習
 今年度の年間プログラムは以下の通りである。                              講師によるロボット操作の実演
 表 1. 実施日,講師(出身国)
                           ,プレゼン分野
   Date              Speaker                  Topic
 1June 9                 ―        全体オリエンテーション
               Angela
                                   ロボット工学
 2June 23      FARAGASSO
                                   (ロボットの開発)
               (Italy)
               Dr.       Vincent   基礎生物学・遺伝・染色
 3Sept. 22     BERTHIER            体動態
               (France)            (フランス教育と遺伝子研究)
 
               富士見中学校        英語ディベート招待試
 4Sept. 29
               文化祭を訪問        合に参加した。
 5Oct. 20      映画                Hidden Figures を鑑賞                     講義後に講師の先生と
               Dr. Joshua                                         3.検証
                                   史学・日本史
 6Nov. 24      BATTS                                               中学3年生のテーマ学習では,受講生徒たちは
                                   (江戸初期の日西外交)
               (U.S.A.)                                           「サイエンス・ダイアログ」講師の講義を毎回楽
   Jan. 19     休講                3 月の講座に振替え             しんで聞いていた様子ではあったが,受講生徒自
 
               受講生徒自身                                       らのプレゼンテーションを英語で実施するための
 7March                            各自の興味に応じた内容
               のプレゼン                                         準備を,計画的に進められるよう指導することが
                                                                  できなかったと反省している。一方,英語でのコ
 
   「サイエンス・ダイアログ」の講師派遣による                     ミュニケーションの場を設けるという趣旨から,
 
 講義は年間3回と限られているが,中学3年生で                     他校の文化祭での英語ディベート招待試合に招か
 
 は,まず英語で講義の内容を理解し・事後に可能                     れ参加するなど,講座を充実させるための新たな
 
 な限り英語での質問をする,という目標を設定し                     要素を取り入れてみた。生徒の英語力を伸ばすと
 
 た。3人の講師の専門分野の発表テーマは,ロボ                     いう観点からは,放課後に英語科で実施している
 
 ット工学,遺伝子・染色体研究,歴史学と多岐に                     イングリッシュルームの更なる活用なども必要だ
 
 渡ったが,中3テーマ学習の選択者が4名と小規                     と感じている。
 
 模であったこともあり,まさに講師の方々と対話                                       (文責:英語科 須田智之)
 q. イングリッシュルーム                            2.2 海外交流プログラム派遣生徒の指導
                                                      台中一中や釜山国際高校への派遣生徒たちを
 1.仮説                                           対象として,直前の原稿チェックやプレゼンテー
   イングリッシュルームとは,生徒たちの英語コ       ション指導も実施して頂いている。講師の多くは
 ミュニケーション力向上を目的とした、主に放課       理科系の大学院生であるため,研究者としての視
 後に実施される課外活動の総称である。特にリス       点から「科学的プレゼンテーション」について,
 ニング・スピーキング力向上には,実際に英語で       具体的なアドバイスと共に指導をしてもらえる貴
 のコミュニケーションに取り組むことが不可欠で       重な機会となっている。
 あると考え,通常授業の枠を超えて生徒が英語を
 コミュニケーションの手段として用いることので       2.3 ディスカッション・ディベート指導
 きる機会を提供している。                             昨年度に引き続き,ディスカッションやディベ
                                                    ートのための英語スピーキング力の強化を目的と
 2.概要・活動内容                                 して,専門的指導が可能な講師を招聘し指導に当
   イングリッシュルームの活動は,1外国人留学        たって頂いた。生徒たちは Skype による英語ディ
 生による英語コミュニケーション・セッション,       ベートの練習試合や大会参加を通して,他校の中
 2同留学生による海外交流プログラム派遣生徒の        学生・高校生との交流する機会を持つことができ
 指導,3ディスカッション・ディベート指導,の        た。イングリッシュルームの講師陣には,英語デ
 3 つの分野に渡り,本校の語学部生徒を活動の中       ィベート練習会・大会の会場で,まず実際の試合
 心としながらも有志生徒が参加できるよう活動を       を観察・審判して頂くことにより,生徒たちの英
 展開している。                                     語力伸長のために生かせる活動内容などの提案を
 2.1 外国人留学生による英語コミュニケーション・セ   して頂いている。
 ッション
   毎回,東京大学大学院の留学生23名を講師
 に招いて約 1 時間 30 分ほどのセッションを行う
 ため,生徒たちにとっては英語でのコミュニケー
 ションを実践する絶好の機会となっている。今年
 度は 2 学期からの開始となってしまい,昨年度ほ
 ど多くの回数を確保することができなかった。し
 かしながら,新たな実施形態を模索すべく English
 Room for Teachers といった新たな企画の実施や,
 通常の授業にもゲストとして参加して頂く機会を
 設けるなどして新たな活動形態を模索中である。
                                                             中学生英語ディベート大会の様子
 
 
                                                    3.検証
                                                      今では語学部の活動の柱となった英語ディベー
                                                    トに関しては,大会での成績(HPDU 東京都大会
                                                    第 4 位,HPDU 中学生大会第 2 位)など,昨年度
                                                    に引き続き具体的な成果を収めている。今後の課
                                                    題は,イングリッシュルームの効果をより多くの
                                                    生徒たちに普及していくことである。活動の形態
                                                    のバージョンアップを模索しつつ,今後も継続し
                                                    て実施していきたい。
            留学生とグループ・ディスカッション                           (文責:英語科・須田智之)
 4-a.数学科SSH山口教員研修会                   ■ 研究協議 13:0014:00
 1. 仮説                                        ■ SSH 教材等の報告と研究協議 14:0016:30
   本校における教材開発の基本姿勢は,
                                   「生徒と教
 員の相互作用で築き上げる」ものであると言える。   3.評価・検証
   開発した教材・カリキュラムを SSH 数学科教員      山口県立徳山高校との共催で,2 つの研究授業,
 研修会で公開、発信し,全国に広めるとともに,     研究協議会,SSH 教材等についての報告と研究協
 本校における今後の研究の指針を得ることとして     議を実施した。徳山高校の生徒たちの知的好奇心
 いる。こうした研修会を重ねることが教育実践の     の旺盛さと,初対面の本校教諭の授業にもすぐに
 中核であり,他校の教員とも議論を重ねることで,   対応できる柔軟性が特に印象に残っている。今回
 開発した教材の深化と普及が図れるであろう。       初めて本校教諭 2 名で別々の授業を行った。いず
                                                  れの授業も,
                                                            「手を動かして考える」ことを活動の
 2.実施の概要                                   主軸に据えた。生徒アンケートの自由記述では以
 日程:平成 30 年 8 月 28 日(火)                下のような感想があった。
 会場:山口県立徳山高等学校
 参加者:中高数学科教諭(25 名)
                              ,本校教員          ・友達のアイディアを聞くことが楽しかった。
                                                  ・最初は無理だと思っていた具体例が見つかった
 ■ 研究授業 10:2011:50 (40 分授業×2)            ときは感動した。
   授業 1「差と最大公約数が等しい数の組合わせ」   ・一見なぜだろうと思うような規則も、当たり前
     生徒:徳山高校 理数科 1 年生(40 名)          の説明を積み重ねているだけなのだと感じた。
     授業者:吉崎 健太(本校教諭)                ・筑駒の授業はすごかった。こういう授業につい
                                                  ていく筑駒の生徒はすごい。
 
 
                                                    また,授業クラスの担任の先生からは,以下の
                                                  ような貴重なお話を頂いた。
 
 
                                                  ・全員に活躍するチャンスがある教材である。
                                                  ・今回の授業の核となるアイディアを出した生徒
                                                  は普段あまり目立たない生徒。周囲の見る目が変
                                                  わり,本当に嬉しそうにしていた。
 
 
   授業 2「樹形図の活用」                           吉崎の授業では並べた具体例から規則を探り,
     生徒:徳山高校 理数科 1 年生(40 名)          構造に気付き,新たな具体例を構成できたときの
     授業者:三井田 裕樹(本校教諭)              達成感,三井田の授業では書いた樹形図から再帰
                                                  的な部分樹形図の構造を見抜き,漸化式の考えに
                                                  気づかせる数学本来の面白さがある。いずれの教
                                                  材も本校だけでなく,他校の生徒も夢中で取り組
                                                  めるような教材であったことを確信できた。
                                                    以上により,こうした研修会を実施する意義が
                                                  大きいことが分かり,
                                                                    仮説は実証された。
                                                                                    今後も,
                                                  数学の真髄に迫りつつも広く一般に普及できるよ
                                                  うな教材の開発に努めたい.
                                                                     (文責:数学科 吉崎健太)
 4-b. 全国SSH数学科教員研修会                    1. 山口県立徳山高等学校
   数学科 SSH 事業の取り組みの根幹は教材開発で              発表者 末谷 健志 先生
 ある。教科で開発した教材・カリキュラムを公開・     2. 名古屋大学教育学部附属中高等学校
 発信するために全国 SSH 数学科教員研修会を主催              発表者 渡辺 武志 先生
 し,今後の研究の指針を得ている。今年度は 12 月     3. 茨城県立竜ケ崎第一高等学校
 2 日に筑波大学東京キャンパスで実施した。これ               発表者 小林 徹也 先生
 について報告する。                                 4. 名城大学附属高等学校
                                                            発表者 宮田 隆徳 先生
 1.SSH数学科教員研修会                         5. 市川高等学校
 1仮説                                                      発表者 秋葉 邦彦 先生
   SSH 校の『数学』分野の取り組み事例とともに,
 生徒の知的な興味関心を刺激し,数学的思考力を
 育成するような具体的教材について報告・協議す
 ることは,SSH 校及びそれ以外の学校の数学教育
 に資するものと考える。
 
 
 2実施概要
 日程:平成 30 年 12 月 2 日(日)
 会場:筑波大学 東京キャンパス
 参加者:中高数学科教諭,大学院生,本校教員
                                        約 220 名
                                                    6. 筑波大学附属駒場中高I
                                                      「筑波大学附属駒場中・高等学校の数学科 SSH
                                                        の取組」 発表者 須藤 雄生
                                                    7. 筑波大学附属駒場中高II
                                                      「数と方程式」
                                                             発表者 鈴木 清夫/須田 学
 
 
 
 
   これまでの数学科教員研修会で配布してきた開
 発教材集をすべて電子化し,URL およびパスワ
 ードを周知することで,紹介した教材を PDF フ
 ァイル・Excel ファイルで公開し,広く共有を図
 ることを目指した。
   なお,ここで紹介したこれまでの開発教材は,
 「筑駒数学科 SSH on Web」に公開している。          8. 筑波大学附属駒場中高III
 ■ 受付 9:009:30                                     「筑駒の課題研究」
 ■ 開会行事 9:309:45                                       発表者 吉崎 健太
     本校副校長 大野 新 挨拶
 ■ SSH 教材等についての報告と研究協議              ■ 全体講評および指導・助言
                                     9:4016:20          筑波大学 坂井 公 先生
                                                  とんどすべての先生方が使ってみようと思ってい
                                                  るにも関わらず,多くの先生が活用に踏み切れず
                                                  にいることが分かった。
 
 
 
 
                                                    Q1「はい」95%        Q2「はい」8.2%
 ■ 閉会行事 16:3516:45
                                                   この差をどうにかしなければならないと感じて
 3検証                                            いる。実際に活用していただいた先生方の自由記
   各校の数学教育活動の多様な取り組みを研修で     述の中では,
 き,情報交換しながら SSH 校として協力できると    ・折れ線グラフの教材
 ても有意義な会であった。我々にとっても発表校     ・ユークリッドの互除法
 の特色ある取り組みに刺激を受け,発表者のオリ     ・三次関数の教材
 ジナルの教授法や教材は明日からすぐにでも役立     ・グラフ同士の和・差
 ちそうなものばかりで,大いに勉強になる 1 日で    ・テイラー展開
 あった。SSH 校以外の参加者も多く,SSH 校のよ     等の活用事例をご報告いただいており,関数系の
 うな数学教育が普及することが期待できる。参加     教材がどの学校の生徒も取り組みやすいようであ
 者にとっても大いに有意義な研修会であったこと     る。作図や四角形の合同といった中学幾何の教材
 は,以下のアンケートから判断することができる。   もお使いいただいていることも分かった。
                                                   学校の実情だったり,カリキュラムの課題だっ
   参加者アンケートは多岐にわたったが,156 名     たり,理由はさまざまなようである。こうしたこ
 もの先生方にご回答いただいた。そのうち,こう     とを踏まえ,さらに魅力ある教材を開発したり,
 した研修会の必要性は全員が必要と答え,98.7%      これまでの教材も教科会等で丁寧に見直し,議論
 の先生方が有意義だったと回答している。また,     して授業で磨き上げる,といった我々としての本
 今回,本校数学科がこれまで SSH 事業の主軸と      来の努力もより一層必要であろう。
 して開発してきた教材について,以下のように新      末尾になるが,回を重ねるごとに参加者が増え
 たな項目を付け加えた。                           続け,施設が限られている本校での開催は現時点
                                                  でかなり難しい。今回,本校の元副校長の濱本悟
 Q1:本校数学科が開発した教材をどれか1つで       志先生の多大なご厚意があり,初めて筑波大学東
 も使ってみようと思いますか                       京キャンパスの大きな会場を使用することができ
 Q2:どれか1つでも本校数学科教材集の教材を       た。また,社会人大学院支援室の担当者の方々に
 試してみたことはありますか                       も多大なるご協力をいただいた。
                                                   この場をお借りして,濱本先生および社会人大
 Q1 については,95%の先生方が使ってみたいと       学院支援室の皆さまに厚く御礼申し上げます。
 感じておられることが分かったが,Q2 では実際                         (文責:数学科 吉崎健太)
 に授業で使ってみた先生方は 8.2%であった。ほ
                                                       以上のアンケート調査を,次の各事業において
 IV.実施の効果とその評価
                                                     行った。なお,*印については報告書作成時点で
 a. 講演会・実施講座生徒アンケート                   未実施のため,分析の対象とはできなかった。
                                                     <国語 J>
 1.仮説                                            J: 1 月 23 日(水)
                                                                       「ことばの科学へご招待 自
   研究開発「国際社会に貢献する科学者・技術者        分の内なる世界へ」
 の育成をめざした探究型学習システムの構築と教        <社会 S>
 材開発」におけるプログラムとして,本校で実施        S:12 月 11 日(火)
                                                                       「医師の社会的責任、東日本
 した講演会・実験講座については,生徒にどの程            大震災を通しての経験」
 度効果があったかを評価するために,従前より統        <保健体育 H>
 一フォームのアンケートを実施している。ここで        H:12 月 11 日(火)
                                                                       「成長期の運動と食事」
 はそれらのアンケート結果をもとに,結果の分析        <日経サイエンス講座 N>
 を試みる。なお,各事業の内容については,本報        N:12 月 19 日(金)清水建設(技術研究所)訪問
 告書の該当項目を参照されたい。                      N1:3 月 11 日(月)社会発見!サイエンス講座
                                                                                                        (セコム)*
 2.方法                                            N2:3 月 13 日(水)社会発見!サイエンス講座
   アンケート項目は,次の通りである。                                                                   (エリジオン)*
 Q1 この講座・講演会の内容を理解できたか           調査結果(今年度)
   ア.よく理解できた                                 Q1    講座・講演会の内容を理解できたか (%)
   イ.まあ理解できた                                                                  まあ            あまり          理解
                                                                        よく理解
   ウ.あまり理解できなかった                                 参加数                   理解        理解でき            できな     無答
                                                                         できた
                                                                                      できた       なかった            かった
   エ.理解できなかった
                                                        J     13 人     61.5          38.5             0.0             0.0        0.0
 Q2 この講座・講演会を受講した動機(複数回答可)
                                                        S     44 人     63.6          34.1             0.0             0.0        0.0
   ア.受講が必修だった
                                                        H     28 人     71.4          28.6             0.0             0.0        0.0
   イ.おもしろそうな内容だった
                                                        N     21 人     95.2           4.8             0.0             0.0        0.0
   ウ.自分の学習に役立ちそうだった
                                                      全平均 26.5 人 72.9             26.5             0.0             0.0        0.0
   エ.講師の先生にひかれて
   オ.友達に誘われて                                  Q2   講座を受講した動機(複数可) (%)
   カ.その他
                                                                        受講       おもしろ    役立ち       講師に       友人に    その
                                                              参加数
 Q3.この講座・講演会の内容は,期待通りか                             必修         そう       そう       ひかれ        誘われ    他
 
   ア.期待以上だった                                   J     13 人     0.0        61.5 15.4                    0.0      15.4     7.7
   イ.期待通りだった                                   S     44 人    32.1 39.3 35.7                           0.0       0.0     14.3
   ウ.ほぼ期待通りだった                               H     28 人     0.0        80.6 47.2 13.9                         8.3     0.0
   エ.あまり期待通りではなかった                       N     21 人     0.0 100.0 19.0                          0.0       4.8     0.0
   オ.期待はずれだった                               全平均 26.5 人 8.0           70.4 29.3                    3.4      7.13     5.5
 Q4.この講座・講演会の内容は,あなたの学習
 に役立ったか                                          Q3   講座の内容は期待通りだったか (%)
   ア.大いに役立った                                                                                           少し
                                                                                               ほぼ                       期待
                                                              参加数   期待以上 期待通り                        期待              無答
   イ.役だった                                                                               期待通り                   はずれ
                                                                                                            はずれ
   ウ.あまり役立たなかった
                                                        J     13 人 30.8 38.5 30.8                              0.0       0.0     0.0
   エ.役立たなかった
                                                        S     44 人 32.1 35.7 32.1                              0.0       0.0     0.0
 Q5.この講座・講演会で興味深かった内容およ           H     28 人 69.4 19.4                  5.6              0.0       0.0     2.8
   び全体についての感想                                 N     21 人 52.4 47.6                  0.0              0.0       0.0     0.0
                                                      全平均 26.5 人 46.2 35.3 17.1                             0.0       0.0     0.7
  Q4    講座内容はあなたの学習に役立つか (%)                      3.検証
                                           あまり                        今年度は、受講必修ではなく内容そのものに関
                    大いに                           役立た
           参加数
                    役立った
                               役立った   役立た
                                                     なかった
                                                                無答   心を持った生徒が多く受講していた。講座後の自
                                          なかった
                                                                       由記述からは、普段学んでいる授業とは別の視点
   J      13 人     30.8       53.8       15.4        0.0       0.0
                                                                       から、技術・社会に目を向けた記述が多くみられ
   S      44 人     39.3       60.7        0.0        0.0       0.0
                                                                       た。特に社会科の SSH 講座では、東日本大震災を
   H      28 人     22.0       51.0       23.0        2.0       0.0
                                                                       経験された医師の判断、決断について知り、自己
   N      21 人     38.1       57.1        0.0        0.0       4.8
                                                                       の生き方や将来を考えるきっかけとなった。
 全平均 26.5 人 32.5           55.6        9.6        0.5       1.2
                                                                                                    (文責:研究部 渡邉隆昌)
                                                                       参考(5年間の全平均の推移)
 Q5の自由記述
 ・ 「日本語は文法が難しくて発音が簡単な言語である」と考                Q1    講座・講演会の内容を理解できたか (%)
    えていたが、西欧言語とは発音の仕組みや音節の構造が特                                                   まあ         あまり          理解
                                                                                            よく理解
    殊だということを知り認識を改めた。また、「外国人は俳句                        参加数                  理解         理解でき         できな     無答
                                                                                             できた
    のリズムがわからない」という話も聞いたことがあるが、                                                  できた       なかった         かった
 
    それも共通の原因を持っているのではないかと思った。(J)             2013    54.6 人     36.2         49.2         11.0              1.7        0.6
 ・ 語彙論、語用論の話題は聞いたことがなくとても新鮮でし
                                                                        2014    44.0 人     46.1         44.0          7.1              2.2        0.5
    た。言語学の面白さを再認識しました。ありがとうござい
    ました。(J)                                                       2015    24.7 人     30.5         51.4         15.4              2.7        0.0
 ・ 馬の例で、3 頭跳んだのに 2 頭と言われたときの強烈な違               2016    42.3 人     42.1         43.7         10.2              0.8        2.4
    和感と、三角形を厳密に区分けする自分の矛盾が印象的だ
    った。会話のときと問いとして出された場合の言語の含む                2017    45.4 人     52.9         33.9         10.6              0.4        2.6
    意味がかなり変わってくるのだと思う。わからないようで
    わかっているからこそ理解が難しく、新しい視点での新し
    い学びとなって面白い講座だった。(J)                                Q2   講座を受講した動機(複数可) (%)
 ・ 医療者は、地域の活性化についても考えることが大切と知                                     受講      おもしろ    役立ち    講師に       友人に
                                                                                  参加数                                                           その他
    り、奥が深いと思った。個人の幸せ、社会の幸せに対して                                     必修        そう        そう    ひかれ       誘われ
    献身的に働かなければならないところに魅力を感じた。(S)               2013    54.6 人     31.3       60.4        21.7 6.9 6.1 3.7
 ・ 最期にお話しされた「人のため」「感謝されると嬉しい」と
    いうのはとても共感できた。生の声を聴くことで 7 年前の               2014    44.0 人     35.3       54.5        18.5 5.5 5.4 5.8
    出来事について深く考えることができました。(S)                       2015    24.7 人     3.0        96.3        20.0 4.2 2.0 7.4
 ・ リーダーとしての役割についてとても興味深いお話を聞か
    せていただき、有難かったです。僕は文化祭のクラスリー                2016    42.3 人     0.4        70.9        30.3 23.6 10.6 2.8
    ダを務めたので、共感できる場面が多く、また反省もさせ                2017    45.4 人     17.6       72.7        23.3 1.8 10.6 11.0
    られました。そのような機会を与えていただき、とても感
    謝しております。ありがとうございました。(S)
 ・ もし自分がリーダーで、本当に自分のことを二の次にして
                                                                         Q3   講座の内容は期待通りだったか (%)
    決断できるのかということについて、自信がないが頑張っ
                                                                                                                               少し
    てできる限りのことをしたいと思う。(S)                                                                           ほぼ                  期待
                                                                                  参加数   期待以上 期待通り                   期待                無答
 ・ いざという時に自分は、自分のことを二の次に考えられる                                                          期待通り
                                                                                                                             はずれ
                                                                                                                                          はずれ
    か不安だ。本当に危機が迫った時に自分の本性が出るとい
    うことだ。医者は素敵な職業だと実感した。(S)                         2013    54.6 人     48.5       32.5        13.9          2.7       1.0      0.5
 ・ このような状況の時、僕は「医者」として現地に残ること                2014    44.0 人     45.5       38.7        12.6          2.9       0.0      0.3
    ができるかわからない。だから及川先生はすごく強い人だ
                                                                        2015    24.7 人     49.5       32.9        14.4          1.6       1.7      0.0
    と思った。医者が人々の健康だけでなくその先の幸せを見
    据えなければならないように、利益などを求めるのではな                2016    42.3 人     44.1       35.0        17.7          2.0       0.4      0.4
    く、幸せを求めるようなリーダーになりたい。(S)                       2017    45.4 人     35.2       40.1        20.7          4.0        0       0.9
 ・ 時と場合によってはバランスよく摂るのではなく主食と果
    物を多く摂るということが興味深かった。自分は朝が極端
    に栄養がかたよっていることがわかった(H)
 ・ 食事が運動のベースになることがわかった。これをおろそ
                                                                        Q4    講座内容はあなたの学習に役立つか (%)
    かにせず、主食、副菜、主菜、果物、乳製品を食べていき                                    大いに
                                                                                                                        あまり
                                                                                                                                       役立た
                                                                                  参加数                 役立った     役立た                       無答
    たい。(H)                                                                               役立った                                   なかった
                                                                                                                      なかった
 ・わずか 2 時間でしたが、とても興味深いものとなりました。
    特に耐風実験が行われていた建物において建築自体を水に                2013    54.6 人     45.6          47.9         4.2              1.1        0.0
    浮かべるということや、本部ビルの 1 階と 2 階の間に免震              2014    44.0 人     41.1          55.2         2.2              0.2        0.0
    構造を設置し、その構造を目視できる様にするなどのデザ
                                                                        2015    24.7 人     28.8          58.4         11.3             1.7        0.0
    インや発想には驚かされ、自分の中での建設会社のイメー
    ジがくつがえされました。地震大国である日本で自分たち                2016    42.3 人     44.9          49.6         3.9              0.0        1.6
    が安心して、安全に暮らせるのも建設会社の地道な努力や                2017    45.4 人     36.1          55.1         7.0              0.4        1.8
    研究によるものだと感じました。 (N)
 b.台湾台中第一高級中学との交流                     期待以上 81% 期待通り 19%
    プログラムの評価                               【分析】全員の生徒が高い満足度を示した。
                                                 2【事前】プログラムに期待すること(略)
 1.仮説                                          【事後】プログラムで特に面白かったこと
   今回検証したいのは、台中一中交流プログラ        ・研究発表。非常に独創的な発表ばかりで、
 ム(III3l.参照)において、「生徒の国際理解や        とても興味深かった。何人かに自分の発表
 異文化への意識が、研修の事前と事後で変化し          も興味を持ってもらえたのが嬉しかった。
 ている」という仮説である。                        ・台中一中生徒の対中めぐり。自分の見たい
   昨年度は教育局国際プロジェクトの協力を経          ものと台中生の見せたいもの(名物)をす
 て、
   「国際的資質調査」を行い、すべての項目グ          り合わせて、行程を組むのが楽しかった。
 ループで優位な変化で上昇が見られた(昨年度      3【事前】自分が力を注ぎたいこと(略)
 SSH報告書に記載)。今年度、教育局での研究      【事後】手ごたえを感じた瞬間
 終了に伴い、本校P4で作成したアンケートに        ・バディとの会話でほとんどの言葉が通じ理
 よって、同様の検証を試みた。ただし、研究の          解してくれた時。
 母数を増やした方が結果に妥当性が出ると考え、      ・練習の時は原稿を多く見てたどたどしかっ
 過去2年間の参加者に調査を行った。その結果        たプレゼンを,ほぼノーミスで原稿を見ずに
 をここに述べる。                                  発表することができたとき。
 2.方法                                        4 派遣される国や国民について、どのようなイ
 2.1 実施概要                                      メージをもっていますか?
 ・回答方法:Google Forms                        【事前】親日的/温暖な気候/独自の文化
 ・回答項目:共通する10項目(記述・数値)      【事後】とにかく良い人たち/とてもフレンドリ
 ・回答者:台湾派遣生徒2年間の参加者32名          ー/高校で高度な研究ができる
 ・回答期日:事前アンケート、出発直前まで。      【分析】事前・事後ともプラスイメージだった
              事後アンケート、帰国後2日以内。       ようだが、実際に行ってさらにプラスのイ
 2.2   アンケート項目作成                            メージが高まった印象である。
   作成にあたっては、P4部会のほか、SSH      5将来、他の国々における問題解決や援助等の
 運営指導委員会でもアドバイスをいただいた。      活動に携わってみたいと思いますか?
 筆者は当初、数値のほうが客観性を表すのでは、
 と考えていたが、運営指導委員の先生方から、
 「必ずしも数値化しなくてよい」
                             「評価の次元を
 落とさないことが大事」
                     「複数の視点があれば記
 述でも客観性が出せる」などの、貴重な提言を
 いただいた。また、昨年度の「国際的資質調査」
 は数値分析のみであった。生徒を直接引率した
 立場としては、生徒の具体的な声を聞き、来年
 度の生徒へのアドバイスを盛り込みたい、との
 意図もあった。そこで記述項目も採り入れた。
 2.3   結果
 事前・事後調査18を比較分析する。
 (910は来年度へのアドバイスのため省略)
                                      。
 1【事前】派遣を希望した理由(複数可)
 研究発表 16% 海外生徒との交流 22%               【分析】大きな変化は見られなかった。もとも
 外国訪問 35% 英語の活用          27%            と他国との問題解決に興味ある生徒がより強く
   【事後】派遣プログラム満足度                  使命感を持つようになったとは言えよう。
 6将来、自分の勉強や研究・仕事のために海外       b) 交流全般
 で活動してみたいと思いますか?
 
 
 
 
                                                 【分析】プレゼン・交流いずれも、事前に自信
 【分析】将来海外で勉強や仕事をしたい、とい      がある生徒は 50%未満だったものが、実際に体
 う生徒が 58%から 91%に増えた。今回の海外交     験してみて 80%以上の生徒が達成感を持ったと
 流が、彼らに大きな影響を与えたことがわかる。    分かる。
   なお、
       「具体的にどのような活動をしてみたい      ※なおプレゼンの客観評価(台中生徒による)
 ですか?」という問いの答えは以下の通り。        はIV-b. 八宮教諭の分析を参照のこと。
 ・貧困層を病から救う薬の開発事業                8Mr.& Ms.Vierheller の直前プレゼン講座に参
 ・現地に行くボランティアにも積極的に行って      加して、どうでしたか?
 みたい
 ・双方の話を理解し、協調を生むこと。例えば、
   国際裁判での調停など
 ・海外の教育システムの整備
 ・大気汚染を少なくする
 7英語でのコミュニケーションにどの程度自信
  がありますか?
 a) プレゼンテーション                           毎年開催されるこのプレゼン講座には全員が参
                                                 加、現地での発表に役立ったと答えている。
                                                (講座内容についてはIII3o. 参照)
                                                 4.検証
                                                 今回の調査により、台湾プログラムは、生徒の
                                                 研究心の向上や「使える英語」への自信に大い
                                                 に寄与することがわかった。一方で、英語のよ
                                                 うに即効性のあるものと、卒業していつか役立
                                                 つ経験もあるだろう。大学卒業後に大学院で留
                                                 学した生徒が、「あのとき台湾に行ったことが、
                                                 自分の海外へのハードルを下げた」と話してい
                                                 たことが思い出される。今後もより良い形でプ
                                                 ログラムを続けてゆきたい。
                                                 (文責:P4 国際交流プロジェクト 秋元佐恵)
 c. 国際交流プログラムの評価
                                                 3.研究発表評価表について
 1.仮説                                          本校では、プロジェクト委員会の国際交流委員
   研究部国際交流担当として、4 月の SSH 関連の   会を中心に、国際交流を通じての人間的成長があ
 複数のプログラムを生徒に提示した。その中には    ったかどうかなどアンケート調査を実施している。
 本校独自のものと、他の SSH 校の協力の下、実施   人格面だけでなく、実際のプレゼン技術などの向
 したものがある。
               「国際交流プログラムの評価」と    上の意味も含めて、研究発表する際にテーマを除
 いうことであるから、まず、実施したプログラム    く以下の 3 点を柱にして、5 段階評価とコメント
 を紹介する。そのすべての評価というのはあまり    を相手先の台中一中生にお願いしている
                                                                                   (これは、
 に広範にわたるので、ここでは、台中第一高級中    相互に評価しあう年もある)
                                                                         。
 学(以下、台中一中)との交流に限る。ただし、    0. Theme
 台中現地での総合的な交流は VI-b.でまとめてい    1. Organization
 るので、ここでは、本校生徒が研究発表した際の        (全体の構成が分かり易いか)
 台中一中生徒の行った評価について見ていく。          Statement
                                                     (ロジカルなまとめになっているか)
 2.今年度の「国際交流プログラム」とその実施    2. Speech Mechanics
   昨年までは SSH の協力関係にあった基幹校と        (発音が利きやすく聴衆を引き付けるか)
 のプログラムがいくつかあったが、今回は諸々の       Physical Composure
 理由で、それらのプログラムがなくなってしまっ        (アイコンタクト、適切なジェスチャー、立ち
 た。したがって、数的には少し寂しい。                位置などができているか)
 1 台中一中との研究交流→前項で詳述              3. Visual Support
 2 タイ国際サイエンスフェア 2019                     (パワーポイント、
                                                                    ハンドアウトなど視覚的な
   2019 年 1 月 7 日12 日に開催。隔年で開催さ        補助資料は適切か)
 れ、会場はマヒドン高校。マヒドン大学の付属校      いわば、プレゼンテーションにおける what と
 ではなく。タイ文科省直属のタイで最高レベルの    how を評価してもらおうという訳である。
 高等学校とのこと。18 カ国から 65 校が参加し、     以下が発表者のテーマであった:
 331 名の参加者で開催されるサイエンスフェアで                            テーマ
 ある。本校からは 3 名の生徒が招待され、
                                      「クモの    Trajectory of a Magnetic Pendulum
 糸」についての研究発表をした。                   Research on “Cevian Triangle”
 3 釜山派遣の日程(3/25(月)3/29(金)、26(火)     What causes Daphnia Pulex to die?
     KSA、27(水)釜山国際、の予定)              The meaning of visiting MINAMATA
   以上は、本校から海外に派遣、またはそれに関     Consideration of the tactics of Blackjack
 連したプログラムである。                         The present and future for basketball and its
   今年度は、
           海外から本校訪問が 1 校あったので、    relations with artificial intelligence
 それをあげる:                                    それぞれの項目の 5 段階平均の数値をあげる:
 1 韓国・釜山国際高校から本校訪問。                   研究分野           項目 1     項目 2        項目 3
   1 月 15 日(火)10:0014:30                          物理             4.4         3.6          4.3
   生徒・高校生 10 名(男子 2、女子 8)
                                                         数学             4.4         4.9          4.6
   引率教員 3 名が来校。
                      釜山派遣予定生徒が対応。
                                                         生物             4.7         3.6          4.2
   学校紹介およびグループ・ディスカッション、
                                                         環境             4.5         3.8          4.7
   授業参加。
                                                         数学             4.3         3.7          4.3
   以上示したように、海外派遣と本校訪問のプロ
                                                     保健体育・AI       4.2         4.8          4.4
 グラムが両輪となって、本校の国際交流プログラ
                                                      評価平均            4.4         4.1          4.4
 ムを形成していると言ってよい。
   これを見ると、項目 1 の内容のわかり易さと項     景写真を工夫した点が大きかったと自負している。
 目 3 の視覚的資料の評価は高く、項目 2 の音声的    背景には僕が撮影したものを中心に水俣含め日本
 な発音面、アイコンタクト、ジェスチャーなど、      各地の美しい風景を入れることができ、当初の個
                                                   人目標の一つを達成できたようにも感じた。撮影
 聴衆とのインタラクション
                       (やりとり)
                                 の部分で、
                                                   したときはまさかここで採用できるとは思ってい
 更なる精進が必要、ということになる。
                                                   なかっただけに、良い機会となっただろう。
                                                                                         」
   これは、考えてみると無理もなく、一番 oral に      やはり、このようなフィードバックにより努力
 関連しており、慣れを必要とし、これまでも日本      が報われたことへの自信が感じられる。この点を
 人学習者の弱点と言われてきた面である。ただ、      考えても、プレゼンテーションへの方かフィード
 参加した生徒のみならず、英語教師である筆者に      バックは継続すべきだろう。
 とっても、相変わらずの課題を突き付けられたと
 いってよい。
   具体的なコメントをいくつか見てみよう:
 ・The biggest problem is the speech mechanics.
 ズバリ書かれているものもある。
 一方で、
 ・Examples help us easily to follow article.
 これは、内容の工夫次第で、わかり易さは向上す
 ることを示している。
   やや例外的に項目 2 が一番高かったチームが 2
 つある。それについてのコメントは以下の通り:                   三角形の研究発表
 ・ The lively body language indeed make the
                                                   4.おわりに
 presentation more engaging.
                                                     今回は、生徒のプレゼンテーションへのフィー
 ・The speech just flowed, and the pronunciation   ドバックとしての評価を見てきた。ただ発表やっ
 was great that I can clearly understand.          ただけで終わるのでなく、項目別に評価していた
  やはり、自信をもって躍動感があると、聴衆はそ     だくことは、今後の目標としても励みになり大変
 れだけで惹きつけられる、ということがわかる。      意味のあることであることが分かった。海外での
 やはり、
       ”engaging”という言葉がカギであろう。      発表は非常に刺激を受けるものである。
   項目 3 で高評価であった、Minamata disease の      台湾での研究交流もその一つであるが、今年度
                                                   はタイの国際サイエンスフェアでも、貴重な体験
 コメントを見てみよう:
                                                   をしてきた生徒がいるので、最後に引用して終わ
 ・ppt slides are really beautiful!
                                                   りとしたい。
   発表者が実際このようなフィードバックでどう      「第一に発表の準備や当日の発表は研究者とし
 感じているのか、
               『台湾研修実施報告書 2018』か       て非常に多くを学ばせていただき大きく進歩でき
 ら引用してみる:                                  たと思います。校長先生からは主に研究の決まり
 「課題研究で水俣をとったこともあり、
                                   「水俣を訪      ごとやスタイルについてプロの研究者からの視点
 れる意味」というテーマで発表を行った。意味と      で非常に素早く、かつ的確な指導をしていただき
 いう抽象的で文系的な内容であったため、理系が      ました。宇田川先生にもお世話になり、大学の先
 ほとんどと聞く臺中一中生が興味を持ってくれる      生からも非常に親切にご指導をいただきました。
 か不安であったが、感想用紙を見る限りでは楽し      英語論文を読み、自分たちで実験方法を考案し、
 んでくれたように感じた。とはいえ、水俣病の発      さらにそれを英語で提供することで研究者として
 生過程がわかりづらいなどの指摘があったので、      不可欠な経験が今回の研究発表を通して培われた
 生物濃縮や脳神経を蝕む生物学的な側面からの発      と思います。」
 表も加えると良かったかもしれない。また、スラ        なお、本稿を書くにあたって国際交流プロジェ
 イドのデザインでよく褒められたのも嬉しかった。    クト委員長の秋元佐恵先生に資料提供していただ
 日本での講習や前日夜のリハーサルでいただいた      いた。感謝申し上げる。
 指摘を基に文字や写真などの改善をしたほか、背                (研究部国際交流担当 八宮孝夫)
 d.卒業生アンケート                              の要望があれば、自由に書いてください。
                                                 2.2 回答例
 1.仮説                                        【1自分の進路選択に影響を与えた、学校の授業
    本校で実践した SSH 特別講座では、生徒にど    があればその授業の特徴を簡単に書いて下さい。
                                                                                           】
  の程度の効果があったか調べるため、統一した     (高2進路懇談会)
  アンケート調査を実施している。今年度はこの     ・技術家庭科のマイコン作りで、既存のものも創
  点に加え、SSH 講座を在学中に受講し、その後数   意次第で何にでも活かせることを学びました。
  年経った卒業生を対象に、
                        SSH の意識調査を行っ     ・古文や漢文等のとっつきづらい科目だったが興
  た。長期的な分析を行うことにより、今後の SSH   味をもたせてくれた。
  の活動に必要な点、課題点等を見出せると考え     ・世界史や日本史で本質的な授業を受けたことは
  ている。また、卒業してから在学中に学んだこ     経済を考えるきっかけになった。
  とがその後どのように生かされているのか、ま     ・世界史や地理は、
                                                                 「国際」を始めて意識する非常
  たは影響したか検証する。                       に良い機会でした。
                                                 ・見たことも聞いたこともないような問題につい
 2.方法                                        て、既存の知識を活用しながら取り組む姿勢を学
    今年度は2度、卒業生に対し SSH アンケート    んだ。
  を実施した。1回目は平成30年5月26日の     ・実験が面白く、また高校3年で原著論文を読ん
  高校3年生進路懇談会(アンケート対象33名)   で発表する授業で、生物研究の面白さを感じた
  で実施し、2回目は平成30年度10月13日     ・生物学で当時最先端の構造生物学の片鱗を紹介
  の高校2年生進路懇談会(アンケート対象32     してくれた。
  名)で実施した。アンケートの方法は、本校大     (高3進路懇談会)
  会議室に 35 台程度の ChromeBook(Google ノー   ・先生が語りたいことを語る(そしてその内容が
  ト PC)を用意し、Google Forms(アンケート用    面白い自分の好奇心をかきたててくれるテーマが
  のアプリケーション)を用いて調査を行った。     多かった)
                                                         。
  アンケートは、進路懇談会終了時に入力して頂     ・化学の滴定、生物で扱った植生について多くの
  いた。                                         解法を考える。
 2.1 質問内容                                 ・現代思想のような倫理の授業であったり、ケイ
   アンケートは授業に関すること、SSH に関する    ンズ経済学に立脚した経済の授業(公民)はとても
 こと等、様々な項目で実施した。卒業生アンケー    面白く、現在の興味関心を形作っていると思う。
 トは、今回が初めてということもあり、どの様な    ・今になってみるとだいぶ詳しいところまで生物
 質問項目が良いかについても検討しながら進めて    系の知識を入れてくれた。というかまたタイムマ
 いる。本項では、自由記述の質問の一部を紹介す    シーンで筑駒の授業を受け直したい。
 る(回答についても一部を紹介)
                             。                  ・実験が多い化学と、ベクトル形式で統一されて
 【質問項目】                                    いた物理(力学)。
 1自分の進路選択に影響を与えた、学校の授業が     【2SSH において、覚えていることや印象深かっ
 あれば、その授業の特徴を簡単に書いて下さい。    たことなどがあれば、書いて下さい。
                                                                                 】
 2SSH において、覚えていることや印象深かった     (高2進路懇談会)
 ことなどがあれば書いて下さい。                  ・三井田先生の恩師が統計のビッグデータの最前
 3SSH や授業の中で、現在の自分の仕事や研究に     線について分布を幾何学的に捉えることでうまく
 役立っていることがあれば、書いて下さい。        いったというのを聞いて様々な視点があるのと思
 4本校はこれからも SSH を続けた方が良いと思      った。その他、宇宙エレベータの研究している先
 いますか。続けた方が良いと思う場合、その理由    生の講演会を聞いて、空想のみのものではないの
 をお書きください。                              だなと感じた。
 5後輩のために、保護者、教員、学校、国などへ     ・数学のテーマ学習。ひたすら平方数を集めて法
 則を確かめようとしていました。                   ・今後の時代の変化を鑑みると、トップレベルの
 (高3進路懇談会)                               大学水準のプログラミング・コンピュータサイエ
 ・英語での発表に限らず、研究自体でも苦労した     ンス教育に力をいれてみることを検討してみてほ
 記憶。だが良い経験に。                           しいです。
 ・台中一中の生徒と、学業面に限らず、文化的な     ・
                                                  「自由闊達」な筑駒の校風を是非引き継いでいっ
 側面でも有意義な交流をすることができた。         てください。
 ・教わったプレゼンテーションの方法論は、高校     (高3進路懇談会)
 だけではなく大学でも役立っています。             ・生徒の知的好奇心を満たすようなプログラムを
 【3SSH や授業の中で、現在の自分の仕事や研究      多く用意していただけると嬉しいです。
 に役立っていることがあれば、書いて下さい。
                                         】       ・受験制度改革などありますが、文化祭は本当に
 (高2進路懇談会)                               大事な経験だったと感じるので文化祭に熱を注げ
 ・物理で微分やベクトルを使っていたので、大学     る環境を維持してほしいです。
 の授業への順応は早かった。                       ・二年から三年と協力した課題研究があるとレベ
 ・今思えば、英語の重要さを学ぶ海外交流の機会     ルが上がると思う。
 を在学中に持てたら良かったと思います。           ・好きなことをとことんできる環境を残してくだ
 (高3進路懇談会)                               さい。
 ・原理を突き詰めるということが今の自分の化学
 に向き合う態度の礎であるとは思う。               3.検証
 ・現代文や倫理の授業が社会学を学ぶ上での思考       今回の卒業生アンケートを通して以下のこと
 の基礎を形作ってくれた。                         が分かった。一つ目は在学中に受講した本校での
 【4本校はこれからも SSH を続けた方が良いと       授業が、進路指導に繋がっている点である。例え
 思いますか。その理由。
                     】                           ば、
                                                    「技術家庭科のマイコン作りで、既存のものも
 (高2進路懇談会)                               創意次第で何にでも活かせることを学びました」
 ・大学進路実績も大切だが、SSH を続けていくこ     や「世界史や地理は、
                                                                    「国際」を始めて意識する非
 とで筑駒の教育の素晴らしさをアピールする事が     常に良い機会でした」など、中学時代に実施した
 出来る。                                         内容も含めて、数年たった時期でも覚えているこ
 ・早い段階で最先端のものに触れられるのは、将     とが多く見られた。また「実験が面白く、また高
 来の我が国を担う力を培う上で重要だと思うから。   校3年で原著論文を読んで発表する授業で、生物
 (高3進路懇談会)                               研究の面白さを感じた」など、大学進学後の専門
 ・授業の範囲を超えた領域のことを知る機会にな     的内容にまで影響を与えている授業も見られた。
 るから。                                         二つ目はプレゼンテーション能力の重要性を述べ
 ・優秀な学生が自分の興味関心を広げ、自力で得     ている点である。研究に至るまでの研究情報への
 るのが難しい機会を得るために重要だと思うため。   アクセスや研究発表の手法といったメタの部分は
 ・特に理数系の場合、ここまで興味を突き詰めら     SSH ならではの学びである。三つ目は SSH の予算
 れる環境は他ではないため。                       的バックアップ、施設面での補助を、卒業生が引
 【5後輩のために、保護者、教員、学校、国など      き続き求めている点である。通常行われる個性的
 への要望があれば、自由に書いてください。
                                       】         な授業に加え、大学レベルの特別講座や実験・実
 (高2進路懇談会)                               習を加えることは、カリキュラム全体の質の向上
 ・今後は国際感覚が必須だと思いますので、ぜひ     に繋がると考えられる。
 海外との交流を増やして、将来の「日本代表」を       次年度以降も卒業生アンケートを継続し、
                                                                                        特に、
 増やしていただきたい。                           各教科で実施している SSH 特別講座と学びの関
 ・中高のカリキュラムにとらわれず、学生たちが     係性について分析したい。
 より自由な活動を行いと多様な進路をとれるなど、
 支援をしてほしいです。                                             (文責:研究部・渡邉隆昌)
 V.研究開発実施上の課題及び                      作成に向け、先進校の実践事例などについても
                                                  SSH 情報交換会などを利用し、研究していきたい。
 今後の研究開発の方向・成果の普及
                                                  2主 体的な探 究活動をする ための基 礎力育 成
 1.今年度研究開発の評価・課題について
                                                  カリキュラムの開発と実践
   研究内容の柱14の順に述べる。
                                                    理数系基礎力の充実と科学的リテラシーの涵養
 1国際社会に貢献する科学者・技術者の育成を
                                                  を目標とした SSH 特別講座を、数学科・国語科・
 めざした探究型学習の教材開発と実践
                                                  社会科・保健体育科でそれぞれ実施した。統一の
   数学科では、数学科教員研修会(8月・山口/
                                                  アンケートも行い、受講生徒には概ね好評であっ
 12 月東京)において、各校の授業実践や開発した
                                                  た。自由記述欄には、通常授業や課題研究、部活
 探究型学習教材に関する報告や意見交換を行った。
                                                  動との関連で参加したという声があり、参加者を
 12 月の東京開催は、従来は本校で行っていたが、
                                                  さらに増やすため、それらについても検証したい。
 広い筑波大学東京キャンパスに移すことで、より
                                                    主体的・協働的な学びによる探究能力の開発と
 多くの全国数学科教員が参加することができた。
                                                  しては、中学社会科「環境地図作成」、総合学習
 本校HPでも行っている教材公開と併せて、全国
                                                  「東京地域研究」「東北地域研究」「城ヶ島野外
 への発信ができたと考えられる。今後は、教材の
                                                  実習」を実施し、グループ活動や議論を重視した
 さらなる共有を図り、また、アンケート調査等に
                                                  活動を引き続き行った。今後はアンケートなどに
 よる評価も確立したい。
                                                  よってその効果の検証を図っていきたい。
   理科では、高2「理科課題研究」→校外発表会
 参加→高3「理科課題研究」選択→校内発表会
                                                  3探究型学習を実践するためのプログラム開発
 という流れができ、今年度も数は少ないが、数学
                                                  とサポート体制
 と理科において、教員が自主研究のヒントとなる
                                                  ()高大連携によるプログラムの推進と実践
 ようなテーマや教材を提示する形での探究型学習
                                                    今年度も筑波大学研究室訪問が2学年(中3・
 の実践は一定程度できたと考える。今後の課題と
                                                  高2)で実施され、
                                                                  「中高大院連携プログラム」と
 しては、高3課題研究選択者の数を確保すること
                                                  して、高校・大学進学後の学習・研究への意欲を
 と、生徒の研究と大学、研究機関との連携などが
                                                  高めることができた。東京医科歯科大学高大連携
 引き続き挙げられる。
                                                  プログラムにおいても、研究や臨床の現場を実際
   情報科では今年度も、民間企業との連携による
                                                  に見ることで、探究心や研究意欲を高めることが
 シリーズセミナー「メディア虎の穴」と「メディ
                                                  できた。今後は各1日だけでなく、一定期間の
 ア虎の穴・特別編」を実施し、生徒の情報収集能
                                                  高大連携研究につながるよう、既存のプログラム
 力とメディア活用能力を向上させることができた。
                                                  を発展させる形での可能な方策を模索したい。
 希望生徒が所定のコース(日時)に全て参加する
                                                  ()本校卒業生を活用した SSH 事業サポート
 形式の技術科特別講座だが、
                         「特別編」では、
                                       「ポ
                                                  体制の充実と育成プログラムの検証
 スターの作り方」をテーマに、教科を超えたプレ
                                                    数学科では、
                                                              「数学オリンピックワークショップ」
 ゼンテーション能力育成に役立つ指導が行われた。
                                                  を2回実施し、数学オリンピックに挑戦する生徒
   課題研究に関しては、中学3年「テーマ学習」
                                                  の意欲を高め、数学の面白さを感じさせることが
 から、高校2・3年「
                   (理科)課題研究」という流
                                                  できた。講師・TAには本校卒業生のメダリスト
 れで、探究学習を引き続き実施することができた。
                                                  を招いて指導を行い、参加生徒に好評であった。
 高2「課題研究」のまとめとして、外部や他校の
                                                  実施時期や事前問題の難易度調整、当日のタイム
 SSH 発表会を利用する講座も増えている。また、
                                                  スケジュールについては、引き続き検討したい。
 各講座での統一的評価となるようなルーブリック
                                                    SSH の効果を測る上で、卒業生への調査は必須
 の開発を目指す。文理の幅広い分野をカバーし、
                                                  だが、本校では分科会形式で卒業生が在校生と話
 成績の評定にも使えるシンプルな形を模索したい。
                                                  をする進路懇談会が毎年2回行われており、今年
 また、生徒による自己評価や、パフォーマンス評
                                                  度初めて、統一フォームでのアンケートを行った。
 価を用いた探究型学習の達成度を測る評価基準の
 今後もデータの蓄積およびアンケートの改善に取     1)の成果を挙げた。それ以外のコンテストや各
 り組んでいきたい。                               種 SSH 事業への参加生徒や卒業生についてもデ
 ()社会と連携し貢献する科学者・技術者の         ータの収集を続け、方法についても検討する。
 素養を育成するプログラムの開発と実践               英語科は、プレゼンワークショップを年間3回
   科学部・化学部による小学生向け理科実験教室     開催し、分かりやすく伝える技術と自信の両方を
 を地域貢献プログラムとして、校内や校外で数回     伸ばすことができた。課題研究「サイエンス・
 実施し、生徒の企画力やコミュニケーション能力     ダイアログ」では、外国人講師による専門的研究
 が大いに育成された。                             内容の英語プレゼンを聴講することで、
                                                                                    「論理的な
   地歴公民科では、課題研究「水俣から日本社会     構成・話し方・発表資料の作成法」について学び、
 を考える」の現地実習を行い、生徒自身に問題意     実践することができた。イングリッシュルームで
 識を持たせるとともに、課題を立てて追究させる     は、通常授業以外に英語を用いる機会を提供する
 ことができた。実習内容については報告書にまと     ことで、参加生徒の発話量が増加し、英語ディベ
 め、校内・校外・国内・海外の各種発表会でもポ     ート等への取り組みも積極的になった。
 スターなどの形で報告した。
   福島フィールドワークも昨年度に続けて実施し、   4探究型学習システムの開発と他校への発信・
 理系だけでなく文系生徒も、社会と密接に関わる     共有
 探究活動に携わることができるようになった。現       数学科教員研修会では、教員のみによる報告や
 地の高校や参加の他校とのワークショップが大変     協議だけでなく、会場校の生徒と実際に研究授業
 有意義であったと言える。                         をすることにより、効果的な教材やカリキュラム
   課題研究の障害科学講座「ともにいきる」では、   についてわかりやすく議論することができた。
 特別支援学校生徒等との交流・協働学習を通じて、     また、これまで本校で行っていた12月の数学科
 これからのインクルーシブ教育で必須のコミュニ     教員研修会を筑波大学東京キャンパスで開催する
 ケーションスキルが育成された。他の様々な教科     ことで、200名を超える参加者を受け入れることが
 とも融合しやすく、今後求められる、教科横断型     できた。
 課題研究の一つの形と言える。
 ()国際舞台での研究発表の推進と国際科学         2.今後の研究開発の方向・成果の普及
 コンクール等への派遣                               「課題研究」では、必修の高2「(理科)課題研
   台中第一高級中学(台湾)との研究交流を継続     究」のまとめとして、東京都 SSH 合同発表会など
 実施し、理数系交流授業等における意思疎通能力     への参加が増えてきたことが挙げられる。従来は
 促進、連続派遣生徒のイニシアティブ効果、専門     海外(台湾)派遣組の参加にとどまっていたが、
 家による事前プレゼン指導の有効性が示された。     ここで一定の成果をまとめておくことで、高3
 事前事後指導や、発表の相互評価については既に     「(理科)課題研究」
                                                                    (選択)の履修がしやすくな
 行っているが、それらをプログラムの一部として     ると言える。また生徒アンケートによれば、全国
 確立し、さらに改善したい。また、海外派遣プロ     SSH 生徒研究発表会に帯同した高2生徒が、他校
 グラムや国際オリンピックへの継続的な参加によ     の研究・発表など大いに刺激を受けており、実際
 り、生徒のパフォーマンスだけでなく、生徒指導     に発表をしなくても参加させる重要性について、
 の方法についても多くの教員に共有され、レベル     改めて感じた。
 アップした。また、参加生徒が後日、本校中学生       「発信(普及)
                                                                」    学校 HP を大幅に刷新し、
                                                                  では、
 に海外派遣について話す機会を作り、生徒の応募     現在、過去の SSH 研究開発実施報告書や年間
 意欲を高めた。                                   SSH 行事カレンダー、イベント写真等を公開して
   国際科学オリンピックにおいては、国際数学オ     いるが、HP において重要な、情報の見やすさと
 リンピック(銀1)
                 ・国際情報オリンピック(金1・   即時性(更新の頻度)については、外部の意見も
 銅1)
     ・国際化学オリンピック(金1)
                                 ・国際生物       取り入れ、さらに改良を加えていく必要がある。
 学オリンピック
             (銀1)
                   ・国際地学オリンピック
                                       (金                         (文責:研究部 山田忠弘)
 VI.校内におけるSSHの組織的                     内容:社会・理科・英語の公開授業、研究協議会
                                                    および講演会
     推進体制
                                                    テーマ:つないで培う実践知思考力・判断力・
                                                    表現力を養う授業づくり
   本校の SSH は、以下の組織を活用して研究開発
                                                    講演会:探究する学びにつなぐ教科横断型授業を
 の企画・評価を推進する。
                                                    考える(米田 謙三氏
                                                                     (関西学院千里国際高校教諭)
                                                                                               )
 
 1.SSH 校内推進委員会
                                                    (2) 校内研修会
   全教科より選出された教員を含む計 14 名の
                                                      今年度は2回実施し、第1回は道徳、第2回は
 構成員によって、実施計画書、事業計画書、事業
                                                    道徳・探究学習に関する研修や協議を行った。
 経費説明書等書類の作成および事業の評価方法の
 検討などを担当する。
                                                    6.筑波大学・附属学校連携委員会・駒場連携
                                                        小委員会
 2.校内プロジェクト会議
                                                      連携委員会は筑波大学附属学校 11 校と大学、
   全教員が下記のいずれかに所属する。
                                                      駒場連携小委員会は本校と大学をつなぐ役割を
   プロジェクトI(生徒の成長支援プロジェクト)
                                                    果たしている。両委員会において、SSH に関する
   プロジェクトII(教育活動支援プロジェクト)
                                                    報告をしている。
   プロジェクトIII(「つながる」プロジェクト)
   プロジェクトIV(国際交流研究プロジェクト)
                                                    7. 筑波大学附属学校教育局(管理機関)
   プロジェクトIIIは社会貢献事業「筑駒アカデメ
 イア」
     (「筑駒人材バンク」を活かした地域貢献)         各附属学校の管理機関として、本校と筑波大学
 
 の計画・立案、運営・実践を行っている。             および関係機関等との連携にあたり、指導助言や
 
   プロジェクトIVは、研究内容の柱3を担当し、        事業推進のための支援を行っている。
 
 国際交流企画の研究を進める。                                                  (研究部 山田忠弘)
 
   プロジェクトI・IIも必要に応じて研究開発に          2018 年度 運営指導委員
 
 関わる。                                                氏    名              所             属
                                                                          東京海洋大学 海洋科学部
                                                      吉 田    次 郎
 3.運営指導委員会                                                       海洋環境学科
   筑波大学および外部研究者等 10 名(右表)で                             東京大学大学院 総合文化
                                                      真 船    文 隆
 構成される、研究推進のため設置された委員会で、                           研究科
 年2回開催される。SSH 事業報告の後に、各運営                             東京医科歯科大学 難治
                                                      古 川     哲 史
 指導委員から助言や指導を受け、事業推進に活用                             疾患研究所
 している。                                                               東京学芸大学 理科教員
                                                      吉 原     伸 敏
                                                                          高度支援センター
 4.研究部                                                               昭和女子大学 総合教育
                                                      緩 利          誠
   校内の既設の分掌で、5名で構成される。実施                             センター
 計画書、事業計画書、事業経費説明書のとりまと                             筑波大学 教育イニシア
                                                      野 村     港 二
 め、文部科学省および JST との連絡協議、外部か                            ティブ機構
 らの各種調査・アンケートの実施と取りまとめ等
                                                      坂 井          公 筑波大学 数理物質系
 とともに、
         各研究・プロジェクト間の調整を行う。
 また、研究発表の場である教育研究会、校内研修         星 野     貴 行 筑波大学 生命環境系
 
 会の企画・運営を中心になって進める。                                     東京大学 先端科学技術
                                                      児 玉     龍 彦
                                                                          研究センター
 5.教育研究会・校内研修会                                               特定非営利活動法人
                                                      近 藤     玄 大
 (1) 第 45 回教育研究会 2018 年 11 月 17 日(土)                         Mission ARM Japan
 関係資料 (2018 年度)                              面に映せばみんな参加できる。
                                                    →GPS でデータを取るよりも、取ったデータを
 ■SSH運営指導委員会の記録                         分析する手法が難しい。MIT の先生が自分の
                                                      子供の 3 歳までの成長を分析した。壁中にビ
 2018 年度 第1回 SSH運営指導委員会                デオを設置した。言葉は環境が育つことが分
 日時:2018. 7. 14(土) 15:0017:00                 かった。スーパーサイエンスハイスクールは
 場所:本校大会議室                                   成果を求めるが、考え方を学ばせる方が大切。
 出席者                                             →卒業生へのアンケートの話。
                                                                              素晴らしいと考え
 運営指導委員:                                      ている。アンケートの数が多くない。バイアス
 吉田次郎(東京海洋大学)
                       ,真船文隆(東京大学)
                                           ,        がかかっているかもしれないが、継続的にする
 古川哲史(東京医科歯科大学)
                           ,吉原伸敏(東京学        ことで SSH の意味が見いだされると思う。将
 芸大学)
       ,緩利誠(昭和女子大学)
                             ,坂井公(筑波          来的に、外部に公表することがあると一文つけ
 大学), 児玉龍彦(東京大学)
                           , 近藤玄太(特定         ていくといいのでは。JST の意図とも合うので
 非営利活動法人 Mission ARM Japan)                  はないか。駒場に期待している部分がある。こ
 校内推進委員:                                      ういう成果があったというのを外に。卒業する
 大野(高校副校長)
                 ,富岡(事務長)
                               ,山田忠(研          ときに必ず一回するとか、博士課程から調査す
 究部長)
       ,秋元(国際交流P4 長・英語),渡邉(研       るなどの仕組みを作るととてもいいと思いま
 究情報係・技術家庭芸術)
                       ,八宮(国際交流係・英        した。
 語)
   ,澤田(国語)
               ,吉崎(数学)
                           ,真梶(理科)
                                       ,           →アンケート内容を整理してデータを取れるよ
 横尾(保健体育)
               ,土井(技芸)                         うにした方が良い。属性などを考慮して、ア
 次第                                                 ンケートを工夫するとよい。SSH 校を見てい
 1.学校長あいさつ                                   ると効果が高いのも課題研究であるが、苦戦
 2.事業報告と意見交換                               しているのも課題研究と感じている。教科と
 (1)全般 研究部報告…事業計画書の説明,今          総合的な学習の時間、課題研究等の繋がりが
        年度これまでの事業の概略について。            分からない学校が多い。繋がりのプロセスを
   →第 3 期の中間評価で、発信が弱いと指摘を受        どの学校も知りたがっている。駒場はそのノ
        けた。この部分に関して重きを置いてやって      ウハウが沢山ある。教科を越えるという意味
        いきたい。それに関連して学校のホームペー      では、高校に関してはほとんどない。そこに
        ジを強化した。今期加えたことは、中高一貫      切り込めるのは筑駒の事例ではないだろうか。
        校として、中学生も SSH の活動に加えたいと   →雑談をもっとしてもらった方が良いと考えて
        考えている。また、卒業生から SSH のアンケ     いる。筑駒の生徒は上手く成果が出るが、5
        ートを取るようにした。                        年後、10 年後で活躍できるのが理想の形と考
 (2)国際交流係より…今年度の国際交流生徒派         えている。うらやましいほどのカリキュラム
        遣企画一覧に基づいて説明。                    が用意されている。予測できない動きを増や
 (3)各教科報告(数学,理科,情報・芸術科,         してほしい。
     国語科,地歴公民科,保体科,英語科)           →SSH として学年を越えての取り組みが少ない。
 (4)各事業に対する指導・助言・意見交換             科学哲学、社会哲学はどこで教えているの
   →国語では、
             教科間の連携をしてほしい。
                                     古文、           か?ソクラテスなど?倫理のみ。見方考え方
     漢文の中で、古い科学の文献を発掘していっ         はサイエンスが影響を与える。先生方も考え
     て、それを理解する数学科、もっと発展して         ておかないといけない。サイエンスに対する
     いくと英語で訳すなど、教科を越えた話にな         熱意に繋がらない。仏教は哲学的。福島の理
     っていく。もう一つ、国際交流はスカイプ、         解は電磁波を理解しないといけない。本来は
     大学では毎週やっている。実際に 1 回会うか、      課題解決を学ぶためには、色々な学問領域を
     代表が一回行くかの形をしている。テレビ画         知ってもらわないといけない。日本の大学は
    ここが弱い。色々な課題に対して大学が機能し       っていい環境ではあるが、それ以外の生徒に
    ていない。                                       とって何が必要か。例えば投資など、メダリ
  →雑談を通じて、科学をする意味が分かったりす       ストとのちの投資家になる生徒たちの結び付
    る。高校時代に分からなくてもよい。駒場は男       け等はできないか。
    子校だし、学力的にも偏りがある中で仲良くし     →国語、音楽など感性を含めたところまでサイ
    ても、これからは上手くいかない。自分の発表       エンスだと考える発想が必要。「いかに」で
    していることが本当に理解されているのかを         はなく、「何をやるのか」をいれていくこと
    考えるのは大切だと思う。                         が大事。2 つの教科がいっしょにやるだけじ
                                                     ゃなくて、1 人ずつ違うものを探す、インテ
 2018 年度 第2回 SSH運営指導委員会               グレーションしていくことが求められる。枠
 日時:2019. 1.12(土) 16:0018:00                 を超えるというと張り合わせればよいわけで
 場所:本校大会議室                                  はない。先生方が違うものを取り入れること
 出席者                                              が大事。
 運営指導委員:                                    →課題研究に関して探求が広まってきている。
 吉田次郎(東京海洋大学),古川哲史(東京医科        そこに至る舞台裏が描かれていない。先生が
 歯科大学),吉原伸敏(東京学芸大学),緩利誠        きっかけをつくっているのか、ゼロベースで
 (昭和女子大学),坂井公(筑波大学), 児玉龍        進めているのか、または生徒同士で話してい
 彦(東京大学), 近藤玄太(特定非営利活動法人       る中でできているのか、上手くいくコツが分
  Mission ARM Japan)                                かると他校の先生方も助かるのではないか。
 校内推進委員:                                      また、国語科でもでたが、メタで捉えている
 林(学校長)大野(高校副校長),梶山(中学副        方法を整理していきたい。
 校長),富岡(事務長),山田忠(研究部長),      →10 年後におこる社会問題を考えることも必
 秋元(国際交流P4 長・英語),渡邉(研究情報係・     要ではないか。過去を知ることは勿論必要。
 技術家庭芸術),八宮(国際交流係・英語),          例えば、過疎化でタクシードライバーすらい
 澤田(国語),鈴木(数学),真梶(理科),          ない。自動運転が本当にできるのかなど。水
 横尾(保健体育),土井(技芸)                      俣病のころの日本と、10 年後の日本は全然違
 次第                                                う。2 つの視点から考えるとよい。
 1.学校長あいさつ                                →水俣で思った。ここから他の内容に結び付け
 2.事業報告と意見交換                              る生徒はでてこないのかなと思った。他の災
 (1)全般 研究部報告…事業報告概略。今年           害でも研究を広げられるのでは。
     度より SSH 卒業生アンケートを実施した。       →10 年後におこる社会問題を考えることも必
 (2)国際交流係より…生徒派遣企画について…        要ではないか。過去を知ることは勿論必要。
     タイ国際サイエンスフェアに関しては、18 か       例えば、過疎化でタクシードライバーすらい
        国 65 校が参加。                             ない。自動運転が本当にできるのかなど。水
 (3)国際交流プロジェクトより…中学生向けに        俣病のころの日本と、10 年後の日本は全然違
     台湾や釜山、タイの取り組みを発信。もう一        う。2 つの視点から考えるとよいのでは。
     つの課題は海外大学進学に関してのノウハウ。    →数学しか見ていないが、数学を選んで何をす
 (4)各教科報告(数学,理科,情報・芸術科,        るかについては先生方も縛りを加えていない。
     国語科,地歴公民科,保体科,英語科)            私も分からないようなものを持ってくる場合
 (5)各教科事業に対する指導・助言                  もある。駒場だからの部分もいいのではない
   →サイエンスからもれた視点で 1 つ提案。実験       だろうか。
     か理論、スキルかセンスか、メダリストにと                     (文責:研究部 渡邉 隆昌)
 ■教育課程 高等学校(2018年度入学生)
 
                 高校1年                        高校2年                                  高校3年
   1
                                               現代文 B(2)                            現代文 B(2)
   2
               国語総合(4)
   3
                                                                                         ★古典B(2)
   4                                            古典B(3)
   5
                地理 A(2)                                                               倫理(2)
   6
                                               政治経済(2)
   7
               世界史 A(2)                                                            ★数学II(2)
   8
                                               日本史A(2)
   9
                                                                                                          ★数学 B(2)
  10            数学I(3)
  11                                            数学II(3)                                              ★古典講読
                                                                               ★数学III(6)
  12                                                                                                      (2)
                数学A(2)
  13                                             数学B(1)                                              ★地学基礎
  14                                                                                                      (2)
               生物基礎(2)          ◆物理基礎 or 地学基礎(2)
  15                                                                                                      ★
  16                                                                    ★        ★          ★          地理概論(3)
               化学基礎(2)             ◆化学 or 生命科学(2)
  17                                                                    物理(4) 生物(4) 地学(4) 世界史概論
  18                                                                                                      (3)
  19             体育(3)                      体育(3)                      ★化学(2)             日本史概論
  20                                                                         高2化学選択者のみ           (3)
  21             保健(1)                      保健(1)
  22                                                                                       体育(3)
               ◆芸術I(2)                   ◆芸術II(2)
  23
  24          情報の科学(1)                情報の科学(1)                           家庭基礎(1)
  25                                           家庭基礎(1)
  26   コミュニケーション英語I(3)                                          ★コミュニケーション英語III(3)
  27
                                       コミュニケーション英語II(4)
  28
              英語表現I(2)                                                         ★英語表現II(2)
  29
                                           ◆理科課題研究 or
  30    総合的な学習の時間(1)                                                 総合的な学習の時間(1)
                                       学校設定科目「課題研究」(1)
  31              HR(1)                        HR(1)                                  HR(1)
  32           特別活動(1)                  特別活動(1)                            特別活動(1)
                                                                                  ★理科課題研究 or
  33
                                                                              学校設定科目「課題研究」(1)
 
 無印:必修         ◆:選択必修        ★:選択可能な範囲で自由選択
 卒業に必要な教科科目の修得単位は,77 単位以上(総合学習を含む)
                                                              (平成 30 年度高校 1・2・3 年)
 
 
 その他,ホームルームおよび特別活動に参加し,活動しなければならない。
 ※SSH の研究開発に係る変更:
   高校2・3年「理科課題研究」および「学校設定科目『課題研究』」の設置
 ■教育課程 中学校(2018年度入学生)
 
                    教科等            1 年    2 年              3 年           計
                    国 語                4        5                 4             13
                    社 会                4        3                 4             11
                    数 学                4        4                 4             12
                    理 科                3        4                 4             11
                    音 楽                2       1.5               1.5            5
                    美 術                2       1.5               1.5            5
                   保健体育              3        3                 3             9
                 技術・家庭              2        2                 2             6
               外国語(英語)            4        4                 4             12
                    道 徳                1        1                 1             3
                   特別活動              1        1                 1             3
              総合的な学習の時間         2        2                 2             6
                    合 計               32       32                32             96
   (備考)
      1 表の数字は,週当たりの授業時数を示している。
      2 総合的な学習の時間には,以下の内容,及び学年行事や学校行事に関わる活動を実施する。
              総合学習A 水田稲作              中学1年1・2学期
              総合学習B 地域研究(東京)      中学1年3学期・中学2年1学期
              総合学習C 地域研究(東北)      中学2年2・3学期
              総合学習D 個別課題(テーマ学習)中学3年
              総合学習E 共通課題(集中講座) 中学3年(年2回程度)
 
 
 ■平成30年度 「理科課題研究」「課題研究」テーマ一覧
 
 高校2年「理科課題研究」                         高校3年「理科課題研究」
  理科(生物) 生物の生態を探究する                   理科(化学) 疎水コロイドの凝析における
  理科(物理) 数理で「みる」物理現象                                    諸条件の影響
 
 
 高校2年「課題研究」                             高校3年「課題研究」
  国語            二次創作ノスヽメ                     数学              半素数の逆数有限和による1
  地理歴史        水俣から日本社会を考える                               の分割について
   公民           法と社会                             地理歴史          東北の復興と観光
  数学            三千年紀の数学で話そう                                 復興ツーリズムを考える
  保健体育        スポーツ×AI                         保健(障害科学)いきていく 就労から見つ
  保健(障害科学) ともにいきる                                          める障害の今と未来
  英語            Science Dialogue+D.I.Y.
              平成 29(2017)年度指定
          スーパーサイエンスハイスクール
        研究開発実施報告書・第二年次
 
                   研究開発課題
 国際社会に貢献する科学者・技術者の育成をめざした
       探究型学習システムの構築と教材開発
 
 
          平成31(2019)年3月発行
 
           発行:筑波大学附属駒場高等学校
                   学校長 林 久喜
     ( http://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/)
 編集:スーパーサイエンスハイスクール校内推進委員会
 
     〒154-0001 東京都世田谷区池尻471
           電話 0334118521
           FAX 0334118977