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取得日:2024年03月22日[更新]

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令和 3 年度第 2 学期始業式式辞(放送)
 
 
   おはようございます。穎明館生の皆さんにとっての夏休みはどうでしたか。1 学期の終業
 式の式辞で触れた後悔、後悔のない充実した夏休みになりましたか。本を読みましたか。行
 動しましたか。一冊の本、人との出会いはありましたか。あれこれと欲張らなくても、「こ
 れだけはできた」と言えるものがあったなら、それで十分のように思えます。6 年生、第 35
 期生の皆さん、夏の受験勉強は進みましたか。道は険しくても、実りの秋はこれからです。
 焦らず、弱気にならず、自分を信じて、やるべき課題に集中して取り組んでください。初志
 貫徹、強気の挑戦を期待しています。
   今日から 2 学期のスタート。コロナ禍は制御不能、災害レベルとまで言われ、大変厳しい
 状況です。徹底した感染防止対策、健康管理に努めていきましょう。2 学期は EMK 学校祭
 も予定されており、それぞれの立場で準備を進めていることと思います。学校祭をはじめ、
 教育活動を可能な限り実施できるように、穎明館全体で気持ちと力を合わせてやっていきた
 い。よろしくお願いします。
 
 
   さて、今、EMK 学校祭の話を出しましたが、今年のテーマ、スローガンは「星河一天」
 ですね。いろいろな星が夜空を作り出すように、一人ひとりが、それぞれの輝きを持ってい
 る学校祭を作り上げるイメージだと聞いております。コロナ禍にあっても、「夜空の星の輝
 きのごとく、穎明館生一人ひとりが、そして学校全体が輝いてほしい」という願いは、きっ
 と通じるものと信じています。そこで、今日は星にまつわる私の好きな名言、歌などを少々、
 紹介しながら願いを込めてメッセージを送ります。
 
 
   まずは、18 世紀ドイツの哲学者、カントの言葉に「わが心を満たすもの2つ。わが上な
 る星の輝く空、わが内なる道徳法則」があります。夜ごと、空には神秘な星の光が輝き、地
 上には正しく生きることを考え、悩みながら人間が生きている………自然界と人間の内面を
 称えた言葉です。カントについては日課としていた散歩も有名ですが、私が毎日、時間を決
 めて学校内を歩いて感じていることを、カントに倣って申し上げれば、「わが心満たすもの
 2つ。校舎外の木々に囲まれた新鮮な空気、校舎内の真剣な生徒と先生のやりとり」といっ
 たところです。コロナ禍にあっても、新鮮な空気をいっぱいに吸うことのできる環境こそが、
 都会・他校にない本校・穎明館の財産です。そして授業の様子、教室空間の場面を見ては、
 いつも師弟関係の強い絆を感じて嬉しく思っています。皆さんの心を満たすものは何ですか。
 身近なものに目を向けて探してみてください。
   次に、同じくドイツの文学者ゲーテの言葉、「星のごとく急がず、しかも休まず」です。
 夜空の星の多くは宇宙の大きなリズムの中で、ゆっくりと、しかも休むことなく運行してい
 る。私たち人間も急いだり、休んだりすることなく、こつこつと努力することが大切である
 という名言です。皆さんはどのようなときに努力をしますか。試験勉強、行事の成功のため
 に、部活動の試合に向けて、自分の将来の目標実現を目指して………。いずれも徹底的に続
 けることで成果が得られます。大いに努力しましょう。また、ゲーテには「人間は努力する
 限り迷うものである」とか、「努めてやまないものは救われる」といった言葉もあります。
 「迷い」と「救い」の間に人生があると言っているのでしょうか。「迷う」ということは疑
 問を持つということですね。「なぜ?」と問うことで、探究の精神が生まれてきます。迷う
 ことは成長することにもつながります。皆さんが大いに努力し、大いに迷い、成長していく
 ことを願っています。
 
 
   日本では正岡子規の歌です。
               「真砂なす数なき星の其の中に   吾に向ひて光る星あり」
   正岡子規がこの歌を作った年、1900(明治 33)年、親友の夏目漱石はイギリスに留学1
 画家の浅井忠はフランスに留学2した一方で、子規自身は脊椎カリエスで歩行もままならなか
 ったそうです。そのような境遇でも、夜空に煌めく無数の星の中から、自分の内面を照らす
 光る星を求めているところに、子規の研ぎ澄まされた感性を感じます。皆さんの中に、例え
 ば自分の境遇、能力などを卑下し、嘆いている人はいませんか。皆さんには、必ず皆さん自
 身の内に光る星があるはずです。自分を見つめ、自分を知り、皆さんそれぞれが必ず持って
 いる光るものを見出していってほしいと思います。
 
 
   星にまつわる私の好きな言葉や歌を紹介しました。しかし言葉や歌だけでなく、現実の星、
 星空にこそロマンはあります。私が実際に見て、心に残っている光景は、草原の国モンゴル
 で移動式住居ゲルに泊まった夜、馬や羊に囲まれながら見上げた星空です。寒さに震えつつ、
 見上げていた満天の星、降ってくるような星々が、今でも目に焼き付いています。コロナが
 終息したら旅に出たいものです。いつかまた、あのような星空に遭遇したいと思っています。
   穎明館生の皆さん、2 学期、まだまだしばらくは暑い毎日が続きそうです。コロナ対策、
 熱中症対策等、健康管理に十分注意し、学業と行事、部活動の両立など、充実した学校生活
 を送りましょう。そして、疲れた時、辛い時、ふっと気が向いた時、夜空を見上げてみてく
 ださい。宇宙の広大さに比べれば、自分の悩みのなんとちっぽけなことかと思えてくるかも
 しれません。傷ついた心を星、星空が癒してくれるかもしれません。
   以上、令和 3 年度穎明館中学高等学校第 2 学期始業式の式辞といたします。