茅ヶ崎西浜高校(神奈川県)の公式サイト内のPDFをテキストに変換して表示しています。

このコンテンツは、受験生と保護者の皆様の利便をはかるため取得されました。
取得日:2024年03月21日[更新]

最新コンテンツは、下記の公式サイトURLにて、ご確認ください。
志望校の選定など重要な判断の際には、必ず最新の情報をご確認ください。
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/chigasakinishihama-h/gaiyou/documents/r51gakkishuugyoushiki.pdf

検索ワード:生徒数[ 0 ]
分割ワード:生徒[  1  ]
分割ワード:数[  1  ]
[検索結果に戻る]
 
                 茅ケ崎西浜高等学校   令和5年度1学期終業式
 
 日   時 令和5年7月 24 日(月)9:30
 場   所 体育館
 
   皆さん、おはようございます。
   今日は、皆さんに、あるスピーチ原稿をご紹介したいと思います。
   タイトルは「知的障がい者へもバリアフリーを 3つのバリアフリーを心に置い
 て生きていきませんか」です。これは、私がかつて勤務した高校の、当時2年生だ
 った生徒1が、英語スピーチコンテストに応募した時のものです。本来は「Barrier
 frees for people with an intellectual disability」ですが、その日本語訳をご紹
 介します。
 
   バリアフリーという言葉を知っていますか。バリアフリーは高齢者や身体障がい者
 の方々が生活する上で感じる障がいを取り除くための施策のことです。では、バリア
 フリーという言葉を聞き、どのような施策を想像しますか。目の不自由な人のための
 点字ブロックですか。高齢者や足の不自由な人のためのノンステップバスですか。耳
 の不自由な人のための手話ですか。これらは高齢者や身体障がい者の方々のために作
 られていて、人々にもよく知られています。
 
   それでは、知的障がいのある方々へのバリアフリーはどうでしょうか。あなたの周
 りに、知的障がいの方はいますか。
 
   私の兄は知的障がい者です。私は知的障がいのある兄を持つ立場から、知的障がい
 のある人々のためのバリアフリーも必要なのではないかと思いました。3つのバリア
 フリーについてお話しします。これらのバリアフリーは目に見えないもので、あなた
 の心がけだけで実践できます。これらはあなたにとって簡単にできます。その上、費
 用もかからないので、お金がなくても実践できます。
 
   1つ目は、理解することです。
   何を理解するべきなのか。それは、まず知的障がいの方々の持つ特性についてです。
 彼らの特性はとてもユニークです。例えば、私の兄は会話が上手にできないため、跳
 びはねることで感情を表現します。
   ある日、兄と私はファーストフード店へ出かけました。そこに到着した1分後、兄
 が店内を跳び回り始めました。兄は喜びの感情を表現していました。周りの人々は、
 兄を不思議そうに眺め始めました。ある男性たちは兄を指さして、「あいつを見てみ
 ろよ、おかしいな」と、笑いました。
 
   兄の持つ特性が周りの人に理解されていなくて、私は悲しく思いました。
   世界には様々な個性があります。肌の色、性別、年齢、そしてハンディキャップ。
 個性を理解することが、すべての人間が平和に生きることのできる社会をつくります。
 その一つとして、どうか知的障がいのある人々の特性も理解してほしいのです。
   2つ目は、偏見を持たないことです。
   ある一つの偏見が、平成 28 年7月 26 日の悲しい事件を生みました。津久井やまゆ
 り園を利用するハンディキャップのある人々が、一人の男によって殺されました。私
 は人々が、なぜ殺されなければならなかったのかわかりません。その男は、「障がい者
 はまわりを不幸にする。死んで当然だ。」と言いました。その考えに対して、「周りを
 不幸にする人間はいない。死んでよい人間などいない」と、私は主張したい。
 
   私の兄は、絵を描くことが得意です。兄は展示会を開いたことも、似顔絵実演ショ
 ーを開催したこともあります。兄は丁寧に色を塗りながら、楽しそうに絵を描きます。
 その時、兄はいつも生き生きしています。兄の絵を見た人々は、とても幸せな気持ち
 になります。
   すべての人間は、他の人を幸せにすることができます。すべての人間に、幸せに生
 きる権利があります。これを忘れないでください。
 
   3つ目は、平等に思うことです。
   健常者が、障がい者より優っているわけではありません。障がい者が健常者より劣
 っているわけではありません。すべての人々は、平等です。
   兄と同じ知的障がいのある男の子が書いた本を読み、知的障がいについて学びまし
 た。本には、
            「僕は、障がい者だという理由で特別扱いされたくない」と書いてありま
 した。その特別扱いは、
                      「えこひいき」と「仲間はずれ」の両方を意味していました。
 これを読んだ後、私は彼らと温かく、対等に接するべきだとわかりました。また、お
 互いを補い合うことも必要です。
   「人はみな平等」と多くの人が口にします。でも、それを言うことができても、実
 際に思うことができない人々が多いです。お互いを補い合い、対等な関係を心がけて
 ください。
 
   「理解すること」「偏見を持たないこと」
                                       「平等に思うこと」この3つのバリアフリ
 ーは、あなたの心がけだけで実践できます。一人ひとりの心がけが、知的障がいの方々、
 そしてすべての人々にとって心地よい社会をつくります。私はそのような社会に生き
 ることを願っています。そのために、私はこの3つのバリアフリーを心に置いて生き
 ていきます。
 
   スピーチの内容は以上です。今週は、「ともに生きるかながわ推進週間」です。
   まずは、自分を大切に。そして、次に、周りの人も大切に。
   今日で1学期が終わります。明日からはいよいよ夏休みです。けがや事故のないよ
 う有意義な夏を過ごしてください。
 
   これで私の話を終わります。