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取得日:2024年03月20日[更新]

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  令和5年度 校長だより2号 「子(生徒)育て」
                                    令和5年10月
 
 
  さて今回の校長1だよりは、私の子(生徒)育て論についてお話ししようかと思います。8月に
 PTA役員さんが企画してくれた「校長2を囲む会」で子育ての話題になりました。私の子育てに
 は、教員生活のアドバンテージが大きかったと思います。私たち教員は多くの生徒の成長を見
 て、成長のターニングポイントをつかみ直感的に子どもへのかかわり方を身に付けています。そ
 れが保護者の方の安心につながり、校長3として「生徒を育てる視点」になっているので、そんな
 話をつづってみようと思います。
  教員になった1年目に生徒から放たれた劇的な言葉で、大卒1年目で私の「子(生徒)育て
 論」はスタートしました。「子供っていうのは自分に不利なことを理由に自分をダメにしていく、
 だから大人はそのことを知っていてほしい。」不利とは何か、自分をダメにするとはなにか、その
 時わからず、18歳でここまでの言葉にできるその経験力に脱帽するばかりでした。でも教員と
 して様々な生徒とかかわる中で見えたことがあります。心が繊細なのは大人も同じ、でも心の体
 力が子供にはないのだということです。体力をつけるには「即効性特効薬」はなく、トレーニン
 グが必要です。教員としてしてきたことは、そのトレーニングにずっと付き合うことです。そして体
 力をつけるには本人が「望む」ことばかりではなく「ほしくないもの」を受け入れてから歩く体力
 の方が重要だと気づきました。対話と「してはいけないこと」と「どうしようもないこと」を丁寧に
 教え続け、あらたな道筋を一緒に考え、少しでもできたら褒め、できなかったら一緒に修正を考
 える。大人の考える結果は求めませんでした。結果は本人の納得と一致しない限り意味を成し
 ません。この「してはいけないこと」と「どうしようもないこと」を伝えると、体力のない心は時に
 怒りや悲鳴をあげましたが、私自身も不安を隠しながら、時間をかけ話し続けました。生徒には
 「しつこい」ともいわれましたが、そうし続けました。そして実際の子育ても同じことをしていたと
 思います。
  子育て四訓、これはとても分かりやすく気づきをくれる言葉です。「乳児は肌を離すな、幼児は
 肌を離し、手を離すな、少年は手を離して、目を離すな、青年は目を離して、心を離すな。」肌、
 手、目という感覚を使う子育てから、見えない心を探る子育てに変えるという教訓です。言葉を
 話せない乳幼児は、肌と肌を合わせて抱きしめ安心させ、その変化を知る。動き出す幼児は手
 をつなぐことで安心感と安全を、そして自己確立に向かう少年はその表情や行動の変化をとら
 え見守り、青年は人として心でつながる。一番難しいのは少年期でしょう。手を出してはダメ、目
 で変化をとらえたら、対話で心に体力をつけ行動を促す。親は手を出せないこととすぐには結
 果を得られないことに不安を感じる、不安を感じると親も苦しくなる。これが私の周りにいた親
 友達から感じた悩みでした。
  ここで冒頭の言葉です。親の苦しみが「不満」になりその不満を漏らした世界があったとした
 ら、子供にとって逃げ道になる、ということなのではないか。親は親として子供が安心する環境
 と布石を意識して作らなければならない。しかし感情に揺さぶられたとき、その環境も揺さぶら
 れ、その居心地の悪さを子供は言い訳にする。そんな風に私は解釈しています。でも子供は必
 ず成長する。これが経験上得た信念です。その成長を親の安心のために求めず、布石は与えて
 本人が手にいれる成長を信じて待つことが親としてのモットーでした。実際「信じる」はとても難
 しいです。でも、学生のうちなら目は、家庭だけでなく、学校にもあります。先生を子育ての協働
 者にしたらよいと思います。親も苦しかったら話したらいいと思います。心にゆとりがなければ
 子育ては苦しくなる。だから親も相談していいし、何とかなると待ってあげることも大事だと思い
 ます。「ただいまの一言が最高の親孝行」3年前PTA標語で賞をいただいた本校PTAの作品
 です。本当にその通りだと思います。