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神奈川県立大和南高等学校
いじめ防止等対策マニュアル
平成 30 年4月1日
▲▲ も く じ ▲▲
P.12 I いじめ問題に関する基本的な考え方
1 いじめの定義 2 いじめに対する基本認識 3 いじめの構造
4 いじめにおける子供の心理 5 学校いじめ防止基本方針の策定
p.36 II いじめの未然防止
1 いじめの未然防止のための共通理解と学校体制の確立
2 生徒との信頼関係の確立
3 命や人権を尊重し、豊かな人間性を育む
4 生徒の自己有用感や自己肯定感、自浄力を育む
5 生徒の状況に応じた支援・指導
6 保護者や地域に開かれた学校づくり
p.67 III いじめの早期発見
1 いじめのサインを受け取るために 2 教育相談を通した把握
3 アンケート調査による把握
p.710 IV いじめの早期解決のための取組み
1 いじめの発見・通報を受けた時の対応
2 問題解決のための適切な指導と支援
3 いじめ対応の基本的な流れ
p.1011 V インターネット上のいじめへの対応
1 未然防止のために 2 早期発見・早期対応のために
3 事案解決後の対応
p.1113 VI いじめ防止等のための組織の設置
1 「いじめ防止会議」の設置 2 「いじめ防止会議」組織図
3 いじめ防止指導等年間計画
p.1315 VII 重大事態への対処
1 重大事態の意味 2「いじめ対策会議」の設置と構成員
3「いじめ対策会議」の活動内容 4 調査結果の提供及び報告
5 調査結果の公表
神奈川県立大和南高等学校
I いじめ問題に関する基本的な考え方
いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全
な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危
険を生じさせるおそれがあるものであり、絶対に許されない行為です。
いじめはどの子どもにも、どの学校でも、起こりうる問題として捉え、学校、家庭、
地域が連携して、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組まなければなりませ
ん。
学校はいじめ問題の取組みにあたって、常にいじめ問題の特徴について十分に認識
し、一人の教職員が抱え込むことなく、学校が一丸となって組織的に対応することが必
要です。
1 いじめの定義
「いじめ」とは、生徒に対して、一定の人間関係にある他の生徒が行う(当該生徒と
同じ学校に在籍していない場合も含む)心理的又は物理的な影響を与える行為(インタ
ーネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった生徒が心身
の苦痛を感じているものをいう。
また、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすること
なく、いじめられた生徒の立場に立つことが必要である。
○いじめの認知件数が多いことは教職員の目が行き届いていることのあかし
(いじめの認知に関する文部科学省の考え方)
法律上のいじめに該当する事象は、成長過程にある児童生徒が集団で学校生活を
送る上でどうしても発生するものであると考えています。ですから、文部科学省
は、いじめの認知件数が多い学校について、教職員の目が行き届いていることのあ
かしであると考えています。正確に認知し、しっかりと対応していくことが大切だ
と考えています。
反対に、いじめの認知がなかったり、いじめの認知件数が極めて少なかったりす
る学校は、いじめを見逃していないかと心配しています。
いじめの認知件数が増えても保護者や地域の方々が不安に思わないよう、普段か
ら「積極的に認知し( 件数は増える)、早期対応を行っている」ことを丁寧に伝え
てください。
[出典:「いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組につ
いて(平成 28 年3月 28 日【文科省通知】)」の別添資料「いじめの認知について」より]
2 いじめに対する基本認識
近年のいじめは、従来に比べ特に陰湿となっていること、一方で、遊び半分のものが
多く見られることなども指摘されており、問題が顕在化しにくく、事態が深刻化しやす
いとも言われています。
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教職員が以下の(1)から(6)までの認識を持ち、いじめ問題に適切に対応することが必
要です。
(1)「いじめは、いじめを受けた子どもの人権を著しく侵害し、尊厳を損なう人間と
して絶対に許されない行為である」
(2)「いじめは、学校や家庭、地域における生活環境や対人関係等、様々な背景か
ら、様々な場面で起こり得る」
(3)「いじめは、どの子どもにも、どの学校でも、起こり得るものである。とりわけ
嫌がらせやいじわる等「暴力を伴わないいじめ」は、多くの子どもが入れ替わ
りながら被害と加害を経験するものである」
(4)「いじめは、「被害者」や「加害者」だけでなく、「観衆」や「傍観者」といわれる周囲
の子どもも含めた学級や
部活
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動等の所属集団の構造上の問題でもある」
(5)「いじめは、大人には気付きにいくいところで行われることが多く、発見しにく
いものである」
(6)「いじめは、その行為や態様により、犯罪行為として取扱われるものもある」
3 いじめの構造
いじめられた子どもは、集団の中で他者 見て見ぬふりをする子ども
との関係を断ち切られ、絶望的な心理に追 見て面白がる子ども
い込まれていきます。そこには、意図的に
とや いじめる子ども
孤立させようとする集団の構造上の問題が 思め
うさ いじめられる
潜んでいます。いじめは当事者だけでなく、 子 せ 抑制 子ども
促進
どた
その周りには、はやしたてる「観衆」や無 もい
関心を装う「傍観者」の存在があります。 観衆(積極的是認)
「観衆」が多いと、いじめは一層エスカ
傍観者(暗黙的支持)
レートする方向に向かい、また、「傍観者
」は、いじめられている子どもから見ると、いじめに暗黙の了解を与えているように見
えることがあります。「傍観者」が仲裁者となれるような指導を行うことが大切です。
4 いじめにおける子どもの心理
(1) いじめられている子どもの気持ち
いじめられている子どもは、孤立した状態にじっと耐えていたり、誰とも親しくせ
ず防御的な態度をとったり、いじめられていると認めたくない心理になっていること
を理解し、支援することが重要です。
ア 自尊心を傷つけられたくない、親に心配をかけたくない、告げ口したとしてさら
にいじめられるのではないか等の不安な気持ちから、いじめられている事実を言わ
ない、言えないことが多くあります。
イ 屈辱をこらえ、平静を装ったり、明るく振る舞ったりすることがあります。
ウ 自分に原因があるからと自分を責め、自分の存在を否定する気持ちに陥ることが
あります。
エ ストレスや欲求不満の解消を他の子どもに向けることがあります。
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(2) いじめている子どもの気持ち
いじめている子どもが悩んでいたり、寂しい思いをしたりしている場合も多くあ
ります。その子どもの心理面や動機、背景に視点をあて、適切に指導することが重
要です。
ア いじめの深刻さを認識しないで、からかいやいたずら等の遊び感覚でいじめを行
います。
イ 自分がいじめのターゲットにならないよう、いじめに加わることがあります。
ウ いじめられる側にも問題があると考え、いじめの行為を正当化して考えているこ
とがあります。
エ 学校、家庭、地域社会にある様々な要因を背景として、子どものストレスのはけ
口の手段としていることがあります。
オ 差異(個性)を柔軟に受け入れられることができないでいることがあります。
5 学校いじめ防止基本方針の策定
学校いじめ防止基本方針は、いじめ防止等に関する学校の取組についての基本的な方
向や、いじめの情報共有の体制、方法及びそれらに基づく早期発見・事案対処等につい
て定めます。
学校いじめ防止基本方針を定める意義としては、次のようなものがあります。
・学校いじめ防止基本方針に基づく対応が徹底されることにより、教職員がいじめを
抱え込まず、かつ、学校のいじめへの対応が個々の教職員による対応ではなく組織
として一貫した対応となります。
・いじめの発生時における学校の対応をあらかじめ示すことは、生徒及びその保護者
に対し、生徒が学校生活を送る上での安心感を与えるとともに、いじめを行う行為
の抑止につながります。
・いじめを行った生徒への成長支援の観点を基本方針に位置付けることにより、いじ
めを行った生徒への支援につながります。
II いじめの未然防止
いじめを未然に防ぐには、いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意
点などについて、校内研修や職員会議等で周知を図り、平素から教職員全員の共通理解
を図ることが必要です。
また、学校の教育活動全体を通じて、豊かな心を育て、他人を思いやる心や正義を重
んじる心などの豊かな人間性をはぐくみ「いじめを生まない土壌づくり」に取り組むこ
とが大切です。
生徒が安心・安全に学校生活が送ることができるよう、周囲の友人や教職員と信頼関
係を築きながら、規則正しい態度で授業や行事、
部活
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動に主体的に参加・活躍し、学校
や地域の特性等を把握したうえで、年間を見通した予防的、開発的な取組みを実施する
ことが重要です。
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1 いじめの防止のための共通理解と学校体制の確立
いじめは人間として絶対に許されない行為であるという共通認識に立ち、全教職員で
生徒を見守っていくためには、いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留
意点などについて、校内研修や職員会議等で全教職員に周知していくとともに、いじめ
の予兆や悩みがある生徒を見逃さない仕組みづくり、教育相談がしやすい環境づくりな
どの学校体制を確立していきます。
● いじめ問題の理解と対応マニュアル作成
● 生徒指導に関する校内研修の実施
● 教育相談窓口の周知
● 教職員同士がお互いに相談しやすい雰囲気づくり
2 生徒との信頼関係の確立
生徒と温かい信頼関係を作り上げていくためには、教職員は日ごろから生徒の心に寄
り添うことを心がけ、生徒を一人の人間として尊重し、生徒の気持ちを理解できるよう、
教育相談の考え方や態度を身に付けていきます。
また、生徒と同じ目線で物事を考え、生徒たちと場を共有し、生徒の些細な言動から
個々の生徒の状況を推し量ることができる感性を高めていきます。
● カウンセリング演習等の教育相談に関する校内研修の実施
● スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとの連携強化
● 教育相談体制の構築
● ホームルーム活動の充実
● 生徒が安心できるクラス運営
3 命や人権を尊重し、豊かな人間性を育む
学校は、いじめの未然防止に向けて、人権を尊重し、道徳心や規範意識を高める教育
を通じて、“いのちを大切にするこころ”や“他者を尊重し、多様性を認め合う、思い
やる力”を育むことが重要です。
また、子ども一人ひとりが、自分の大切さとともに他者の大切さを認め、他者との関
わりの中で、自分の思いを具体的な態度や行動で表せるようにするために、コミュニケ
ーション能力等の育成に努めることが重要です。
● キャリア教育の充実
● 地域貢献活動の設定
● 人権教育・道徳教育教材の効果的活用
● 総合的な学習の時間の充実(社会体験学習等)
● 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進
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4 生徒の自己有用感や自己肯定感、自浄力を育む
学校の教育活動全体を通じ、教職員が生徒に対して愛情を持ちながら、温かい声かけ
を行い、生徒自身が認められている、満たされていると感じることができるように、生
徒の自己有用感や自己肯定感を高めていきます。また、生徒たちの自主的、主体的な活
動を推進します。
● 指導内容を明確にし、わかったことが実感できる授業の工夫
● 研究授業の充実と生徒が積極的に参加・活躍できるための授業改善
● 生徒自らが自己決定できる場の設定
● 学業不振の生徒に対する個別指導の充実
● 生徒に役割や責任を与えることができる場の設定
● 生徒会によるいじめ防止キャンペーン等の実施
●
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動や委員会活動などの集団活動の充実
5 生徒の状況に応じた支援・指導
学校として特に配慮が必要な生徒に係るいじめについて、当該生徒の特性を踏まえ、
日常的に適切な支援が必要です。また、保護者との連携や周囲の生徒に対する必要な指
導を組織的に行うことが必要です。
○ 発達障害を含む、障害のある生徒がかかわるいじめについては、教職員が個々
の生徒の障害の特性への理解を深めるとともに、個別の教育支援計画や個別の
指導計画を活用した情報共有を行いつつ、当該生徒のニーズや特性、専門家の
意見を踏まえた適切な指導及び支援を行うことが重要である。
○ 海外から帰国した生徒や外国人の生徒、国際結婚の保護者を持つなどの外国に
つながる生徒は、言語や文化の差から、学校での学びにおいて困難を抱える場
合も多いことに留意し、それらの差からいじめが行われることないよう教職
員、生徒、保護者等の外国人生徒等に対する理解を促進するとともに、学校全
体で注意深く見守り、必要な支援を行う。
○ 性同一性障害や性的指向・性自認に係る生徒に対するいじめを防止するため、
性同一障害や性的指向・性自認について、教職員への正しい理解の促進や、学
校として必要な対応について周知する。
○ 東日本大震災により被災した生徒又は原子力発電所事故により避難している生
徒に(以下「被災生徒」という。)ついては、被害生徒が受けた心身への多大
な影響や慣れない環境への不安感等を教職員が十分に理解し、当該生徒に対す
る心のケアを適切に行い、細心の注意を払いながら、被災生徒に対するいじめ
の未然防止・早期発見に取り組む。
上記の生徒を含め、学校として特に配慮が必要な生徒については、日常的に、当
該生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の生
徒に対する必要な指導を組織的に行う。
5
6 保護者や地域に開かれた学校づくり
いじめ問題は、学校や家庭だけの問題として捉えるのではなく、すべての大人たちの
問題として取り組む必要があります。日ごろから家庭や地域と共通理解を図るために、
常に開かれた学校づくりに努め、保護者研修会の開催やホームページ、学校だより等に
よる広報活動を積極的に行います。
また、学校運営協議会や学校評議員会等において、いじめに係る状況および対策につ
いて情報提供するとともに、連携・協働による取組を進めます。
● ホームページや学校だより、保護者懇談会等で学校の指導方針を明示
● 保護者が気軽に相談しやすい体制整備
● PTAと連携して、人権研修会の開催
● 町内会や自治会等への行事への参加
● 警察や児童相談所等の関係機関との日常的な連携
III いじめの早期発見
「いじめは、どの学校でも、どの子どもにも起こり得る問題である」という認識を持
ち、大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われ
たりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることを留意する必要があ
ります。また、いじめられていても、いじめを受けた生徒がいじめを訴えない場合やい
じめを否定する場合があるため、注意深く状況を把握する必要があります。
いじめの発見が遅れると、いじめの内容がエスカレートするばかりでなく、関わって
いる生徒が拡大して関係が複雑になり、解決が困難になります。たとえ、ささいな兆候
であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から複数の教職員で的確に
関わり、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知することが
大切です。
そのために、日ごろからの生徒の見守りや信頼関係の構築に努め、生徒が示す小さな
変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つとともに、教職員相互が積極的に
生徒の情報交換を行い、情報の共有を行うことが重要です。
1 いじめのサインを受け取るために
いじめは、陰湿化・潜在化し、把握しにくくなっています。そのため、教職員は日ご
ろから生徒たちをしっかりと観察し、行動や生活の様子の小さな変化も見逃さず、いじ
めではないかという視点で見直し、いじめを見逃さないよう積極的に認知します。
● 休み時間や清掃時間、放課後など、生徒たちと一緒に過ごす機会の確保
● 学級日誌や学習ノート等を活用し、生徒の変化を把握
● 定期的に生徒の情報交換会を実施し、教職員同士で生徒情報の共有
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2 教育相談を通した把握
学校全体で定期的な面談の実施や、生徒が希望する時には面談ができる教育相談体制
を確立し、いじめられている生徒や周りの生徒、保護者が相談しやすい環境を整備する
ことに努め、生徒、保護者からの相談に真摯に対応することにより、いじめの早期発見
につながるようにします。
● 年間計画に教育相談週間を位置づけ、相談する時間を計画的に確保
● いつでも利用できる相談室を整備し、相談しやすい環境の整備
● スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教育相談コーディネー
ターとの連携強化
● 保護者が気軽に相談しやすい関係の構築
3 アンケート調査による把握
定期的な学校生活アンケート調査を実施し、生徒を客観的に把握することにします。
● 学期に2回のアンケート調査実施(年間計画に位置付け、計画的に実施)
※アンケート調査や教育相談において、生徒が自らSOSを発信すること及びいじめ
の情報を教職員に報告することは、当該生徒にとっては多大な勇気を要するもので
あることを教職員は理解しなければなりません。
※アンケート終了後は、すみやかに記載内容を確認し、いじめの訴えや相談があった
際は、迅速に対応します。
※アンケート調査や教育相談の記録については、適切に保管します。
IV いじめの早期解決のための取組み
いじめの発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的
に対応することが必要です。また、被害生徒を守り通すとともに、教育的配慮の元、毅
然とした態度で加害生徒を指導しなくてはなりません。
また、家庭や教育委員会への連絡・相談や、いじめの内容によっては、警察等の関係
機関との連携が必要です。
このため、教職員は平素より、いじめを把握した場合の対処の在り方について、理解
を深めるとともに、実際の場面を想定した実践的な研修を行うことが重要です。
また、学校における組織的な対応を可能とするような体制整備が必要です。
7
1 いじめの発見・通報を受けた時の対応
いじめを認知した、またはその疑いがあった場合、その場で、いじめを止めるととも
に、いじめに関係している生徒に適切な指導を行い、そのいじめに対し、組織対応する
ため全教職員に周知し、多方面から的確かつ迅速に対応します。さらに保護者の対応に
ついても誠意を持ち、問題解決のために信頼関係と協力体制を確立します。
(1) いじめられた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全の確保
いじめの相談や通報に来た生徒から話を聞く場合は、他の生徒の目に触れないよ
う、時間や場所等に十分な配慮を行い、それらの生徒を徹底して守るため、休み時
間や清掃時間、放課後等においても教職員が見守る体制を整えます。
(2) 「いじめ防止会議」による対応と情報共有
発見・通報を受けた教職員は一人で抱え込まず、いじめ事案に迅速かつ適切に組
織で対応するため、「いじめ防止会議」で情報を共有し、問題解決のための方策を
検討し、全教職員の協力体制のもと対応します。
(3) 多方面からの情報収集による正確な事実の把握
正確な事実関係を把握するため、速やかに関係生徒や教職員、保護者等の第三者
からも事実確認等を行い、管理職の指示のもとに教職員間で連携して対応していき
ます。事実確認を行う場合は、複数の教職員で対応することを原則とし、当事者の
プライバシーや個人情報等の取扱いには十分に注意を払います。
(4) 関係する保護者への説明と教育委員会への連絡と相談
事実確認の結果は、校長などの管理職が責任を持って教育委員会に連絡や相談を
するとともに、関係する保護者に全ての事実を伝え、今後の学校の対応方針に理解
を求め、協力を要請します。
いじめが犯罪行為と認められる場合は、所管警察署に相談して対処します。
2 問題解決のための適切な指導と支援
様々な立場からの事実確認した情報を一元化し、いじめの全体像を把握してから、全
教職員で対応方針や指導方針を検討し、いじめを受けた生徒やいじめを行った生徒に対
する適切な指導や支援を行うとともに、いじめを再び起こさないための学校づくり、集
団づくりに取り組みます。それらの内容を関係する保護者に説明し、指導方針や支援方
針の具体策を提示し、再発防止への協力を要請します。
なお、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに
所管警察署に通報し、適切に援助を求めます。
(1) いじめられた生徒や保護者への支援
ア 生徒に対して
・ 事実確認とともに、いじめられている生徒の立場に立ち、生徒の気持ちを受容
的・共感的に受け止め、心の安定を図ります。
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・ 事実を正直に言えない場合や認めたくない場合は、最後まで全力で守り通すと
いう姿勢を示すとともに、できる限り不安を除去し、心身の安全を保障します。
・ スクールカウンセラーや関係機関との連携を図り、心のケアに努めます。
・ 生徒の意向を考えながら、必要に応じて学校生活への配慮を行います。
イ 保護者に対して
・ 保護者の心情に配慮しながら誠意をもって対応します。家庭訪問等で保護者に
事実関係を正確に説明します。
・ 学校で安心して生活できるように約束するとともに、学校の指導・支援方針を
伝え、今後の対応と経過については、継続して保護者と連携を取りながら、解決
に向かって取り組みます。解決した場合でも、継続して十分な注意を払い、折に
触れ必要な支援を行います。
(2) いじめた生徒への指導・支援や保護者への助言
ア 生徒に対して
・ 生徒が抱える課題など、いじめの背景にも目を向けて事実確認を行います。
・ いじめられた生徒の気持ちを考えさせ、いじめが他者の人権を侵す行為である
ことに気付かせ、自らの行為の責任を自覚させる指導を行います。しかし、すべ
てが厳しい指導を要するとは限らず、「いじめ」という言葉を使わず指導するこ
ともあります。例えば、好意から行った行為が意図せずに相手側の生徒に心身の
苦痛を感じさせてしまったような場合、軽い言葉で相手を傷つけたが、すぐにい
じめを行った生徒が謝罪し教職員の指導によらずして良好な関係を再び築くこと
ができた場合等においては、柔軟な対応による対処も可能です。
・ 集団によるいじめの場合、集団内の力関係や個々の言動を正しく分析して指導
します。
・ 生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮しつつも、いじめの状況に応じて、
出席停止(学齢児童・生徒)や懲戒(退学・停学は、学齢児童・生徒を除く)、
特別指導(学齢児童・生徒を除く)のほか、さらに警察との連携による措置も含
め、毅然とした対応を取ります。その際、生徒のプライバシーや個人情報等の取
扱いには十分に留意します。
・ いじめの要因や背景を踏まえ、継続的に立ち直りに向けた指導や支援を行いま
す。
イ 保護者に対して
・ 正確な事実を伝え、保護者の思いも聞きながら、いじめが許されないことを理
解できるよう、学校と保護者が連携して、以後の対応を適切に行えるよう保護者
の協力を求めるとともに、今後の関わり方などについて、保護者と一緒に考え、
継続的に助言を行います。
・ 生徒が同じことを再び繰り返さないよう、学校と保護者が連携して生徒を育て
ていく姿勢で対応します。
(3) 周りの生徒たちに対しての働きかけ
・ 当事者だけの問題にとどめず、いじめを見ていた生徒にも自分の問題として捉
えさせ、いじめを抑止する仲裁者になることはできなくても、誰かに知らせる勇
気を持つよう指導します。
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・ はやし立てたり、同調したりしている生徒に対しては、それらの行為はいじめ
に加担していることを理解させるよう指導します。
・ 必要に応じて、学級や学年、学校全体の問題として考え、「いじめは人間とし
て絶対に許されない」という意識を生徒たちに広げ、再発防止へ向けた指導を行
います。
(4) 経過観察と再発防止に向けた継続した指導
・ いじめが解消している状態と見られる場合でも、引き続き保護者と連携しなが
ら生徒の経過観察を行い、必要に応じて「いじめ防止会議」で課題等の検討と事
後指導の評価を行い、追加の支援や指導を行います。
・ いじめられた生徒、いじめた生徒双方にスクールカウンセラーやスクールソー
シャルワーカー、関係機関の活用を含め、継続的な指導や支援を行います。
・ いじめの発生を契機として、事例を検証し、再発防止・未然防止のために日常
的な取組みや生徒指導体制を見直し、再構築していきます。
いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている
必要があります。
1いじめに係る行為の解消
いじめを受けた生徒に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネ
ットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が3か月を目安に継続して
いること。ただし、いじめの被害の重大性からさらに長期の期間が必要であると判
断される場合は、この目安にかかわらず、学校の判断により、より長期の期間を設
定するものとします。
2いじめを受けた生徒が心身の苦痛を受けていないこと
いじめが解消しているかどうかを判断する時点において、いじめを受けた生徒が
いじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。いじめを受けた
生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等によ
り確認します。
V インターネット上のいじめへの対応
教職員はインターネット上で発信される情報の特質を十分に理解した上で、ネット上
のトラブルについての最新の動向を把握することが大切です。
また、パスワード付きサイトやソーシャルネットワーキングサービス(LINE も含
む)、携帯電話等のメールを利用したいじめについては、大人の目に触れにくく、発見
しにくいため、学校における情報モラル教育をすすめるとともに、保護者においてもこ
れらについての理解を求めていくことが不可欠です。なお、学校は生徒が自らインター
ネット上のいじめを防止する意識を持って、望ましいSNSの利用方法を生徒が互いに
話し合うなど、生徒の主体的活動が行われる機会を設けることが重要です。
ネット上のいじめを発見した場合は、書き込みや画像の削除等の迅速な対応をとり、
事案によっては、警察等の専門的な機関と連携して対応していくことが必要です。
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1 未然防止のために
インターネット上で発信された情報の流通性、発信者の匿名性等、情報の特性を踏ま
え、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、また、適切に対処することがで
きるよう、保護者と緊密に連携・協力することが不可欠であり、双方で指導を行います。
● 情報科の授業を通じて、情報モラル教育の充実
● 携帯電話教室等を活用した広報啓発活動の推進
● 保護者向けリーフレットを作成し、保護者へ啓発
● 生徒主体によるインターネットを通じて行われるいじめの防止活動の推進
2 早期発見・早期対応のために
インターネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、速や
かに削除する措置をとります。措置をとるに当たり、必要に応じて法務局や地方法務局、
警察等の専門的な機関に相談・通報し、適切に援助を求めます。
● 専門的な機関の相談窓口の周知
● 書き込みや画像等の削除や対応などの具体的な方法を指導
● 保護者向けリーフレット作成や研修会を開催
● アンケート調査等にインターネットに係る項目を設定
3 事案解決後の対応
書き込みを削除できた場合でも、書き込みされた内容のキャッシュ(検索エンジンが
検索結果を表示するための索引を作る際に検索にかかった各ページの内容を保存したも
の)が残っているため、必要に応じてその後の書き込み状況の経過を見るようにします。
VI いじめ防止等のための組織の設置
いじめ問題への取組みにあたっては、学校長のリーダーシップのもとに「いじめの根
絶」という強い意志を持ち、学校全体で組織的に対応することが必要です。また、必要
に応じて外部の専門家等が参画することにより、より実効的ないじめ問題の解決に資す
ると考えられます。
このことから、いじめ問題への組織的な取組みを推進し、共有された情報から組織的
に的確に判断する、いじめに特化した「いじめ防止会議」を設置し、その委員会が中心
として、教職員全員で総合的ないじめ対策を行うことが必要です。
また、学校基本方針の策定とともに定期的な見直し等を行い、生徒の状況や地域の実
態に応じた取組みを展開することが大切です。
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1 「いじめ防止会議」の設置
学校全体でいじめ問題に対応するために、いじめ問題に取り組むに当たって中核とな
る「いじめ防止会議」を設置し、学校基本方針に基づく取組みや年間計画の作成、取組
みの見直し等を行います。《定例開催》
また、いじめ事案に対しては機動的に対応し、その情報を集約し、今後の対応方針や
指導方針について検討を行う中核的な役割を担います。《緊急開催》同組織内での検討
内容や事案の対応等については、職員会議等を通じて全教職員で情報共有します。
(1) 「いじめ防止」の構成
《定例開催》(学期に1回程度開催)
管理職、生活支援グループリーダー、生活支援担当、学年リーダー、教育相談コ
ーディネーター、学年教育相談担当、養護教諭、スクールカウンセラー、スクール
ソーシャルワーカー
※ 内容に応じて、生徒、PTA、地域(学校評議委員、近隣自治会、民生委員等)
の参加を可能な限りお願いし、構成員は柔軟に検討し学校長が任命する。
※ スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、自らその一員である
ことを生徒及びその保護者等に積極的に伝える取組を行うものとします。
《緊急開催》
管理職、生活支援グループリーダー、生活支援担当、学年リーダー、
教育相談コーディネーター、養護教諭、スクールカウンセラー、
スクールソーシャルワーカー
※ 事案内容により依頼可能な第三者の参加を教育委員会と協議し、構成員は柔軟
に検討し学校長が任命する。
(2) 活動内容
《定例開催》
・ いじめ防止等の取組み内容の検討、基本方針・年間計画作成実行・検証・修正
・ いじめに関する相談・通報への対応
・ いじめに関する実践的な教職員研修等の実施
・ いじめに関する生徒、保護者及び地域に対する情報提供・意識啓発
《緊急開催》
・ いじめの判断と情報収集
・ いじめ事案への対応検討・決定
・ いじめ事案の記録・報告
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2 「いじめ防止会議」組織図
生徒指導担当 教育相談担当
いじめ防止会議
[構成員]
管理職、生活支援グループリーダー、生活支援担当、学年リーダー、
教育相談コーディネーター、学年教育相談担当、養護教諭、
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
※事案により柔軟に編成
事案調査班 事案対応班
学年代表、学年生活支援担当 学年代表、教育相談担当
担任、養護教諭等 学年教職員、担任等
3 いじめ防止指導等年間計画
いじめの未然防止や早期発見・早期対応、早期解決にあたるためには、学校全体で年
間を通じて組織的、計画的に取り組む必要があります。そのため、いじめ防止の観点か
ら、学校の教育活動全体を通じて、いじめ防止に資する多様な取組みを体系的・計画的
に実施します。
また、いじめへの対応に係る教職員の資質能力の向上を図るための校内研修や、いじ
め問題への取組みについての点検を定期的に行い、学校が一丸となって組織的に対応す
るため、いじめ問題についての共通理解を深めます。
VII 重大事態への対処
生命又は身体の安全がおびやかされるような重大な事態が発生した場合、速やかに県
教育委員会や警察等の関係機関へ報告し、関係機関と連携を図りながら重大事態に迅速
に対応するとともに、県教育委員会がその事態の調査を行う主体やどのような調査組織
とするかを判断します。
事実関係を明確にするための調査を実施した場合、その調査結果をいじめを受けた生
徒及びその保護者に対して、情報を適切に提供します。また、その調査結果の報告を受
けた県知事が、重大事態の対処または同種の事案の発生の防止のために必要があると認
めた場合は、第三者で構成する附属機関が再調査を行います。
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1 重大事態の意味
○ 生徒が自殺を企図したり、自殺に至った場合
○ 身体に重大な傷害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を被った場合
○ 精神性の疾患を発症した場合
○ 相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている場合(年間 30 日を目安)
※目安に関わらず、学校または教育委員会の判断による。
○ 生徒及びその保護者から重大事態に至ったという申立てがあった場合
※生徒やその保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申し立てがあ
ったときは、学校が重大事態ではないと考えたとしても、適切かつ真摯に対応
するとともに、教育委員会に連絡・相談する。
※生徒やその保護者からの申し立ては、学校が把握していない極めて重要な情報
である可能性があることから、調査をしないまま、いじめの重大事態ではない
と断言できないことに留意する必要があります。
2 「いじめ対策会議」の設置と構成員
重大事態が発生した場合、県教育委員会を通じて知事に報告し、県教育委員会はその
事案の調査を行う主体やどのような調査組織とするか判断します。調査の主体が学校と
なった場合は、県教育委員会の指導、また、人的措置も含めた適切な支援を受けて調査
を行います。
「いじめ対策会議」の構成員は、臨床心理士や社会福祉士等の専門家などの第三者の
参加を図り、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努めます。
[構成員] 管理職、生活支援グループリーダー、生活支援担当、当該学年代表、
教育相談コーディネーター、教育相談担当、養護教諭、
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
※ 事案内容により構成員については柔軟に検討し、校長が任命する。
※ 組織を構成する第三者の参加については、教育委員会と検討し構成員を決定
3 「いじめ対策会議」の活動内容
・発生した重大事態のいじめ事案に関する調査
・調査によって明らかになった事実関係について、いじめを受けた生徒やその保護者に
対して、適時・適切な方法での提供・説明
・県教育委員会への調査結果報告
・調査結果の説明について、いじめを受けた生徒又はその保護者が希望する場合は、
所見をまとめた文書を添えて、調査結果の報告を提出
※ いじめの重大事態については、国の基本方針及び「いじめの重大事態の調査に
関するガイドライン(平成 29 年 3 月文部科学省)」により適正に対応します。
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4 調査結果の提供及び報告
その調査結果の報告を受けた知事が、重大事態の対処または同種の事案の発生の防
止のために必要があると認めた場合は、第三者で構成する機関が再調査を行います。
5 調査結果の公表
学校又は県教育委員会は、いじめ重大事態に関する調査結果の公表について、事案
の内容や重大性、いじめを受けた生徒及びその保護者の意向、公表した場合の生徒へ
の影響等を総合的に勘案して、適切に判断することとし、特段の支障がなければ公表
を行います。公表を行う場合は、いじめを受けた生徒やその保護者に対して、公表の
方針について説明を行うこととします。
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