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取得日:2023年12月23日[更新]

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海外研修座談会 | 学校法人 文化長野学園 文化学園長野中学・高等学校

21世紀型能力を育む学習
海外研修座談会

特別企画 「ユネスコスクール×ESD×SDGs」

平成31年3月に本校生徒3名が、2種類の海外研修参加者として選抜され、貴重な体験を積むことができました。以下に対談形式でその研修報告をまとめました。

 

参加したプロジェクトについて

? 長野県教育委員会主催『信州つばさプロジェクト』SDGsスタディツアー in 台湾

本事業は、長野県教育委員会と連携協定を締結した台湾・高雄市へ県内の高等学校等の生徒20名を派遣し、継続的な交流を通して国際理解を深め、現地高校生との英語による異文化交流や学習を通じて、国際的な感覚を養い視野を拡げ、グローバルな社会で活躍できる人材を育成することを目的とする。特に2030 年の社会の方向性を考えるSDGsについて理解を深める機会とするため、普段は行くことのない公的機関や企業等を訪問して現地で活躍する日本人にお話を伺うほか、女性の社会進出が著しい台湾の女性リーダー等にインタビューする機会を設定し、SDGsの要素を台湾で学ぶことを目的とする。
?派遣期間: 平成31年3月6日〜12日
?参 加 者: 堀内 駿(令和2年度卒) 舍川 ゆうか(令和2年度卒)

? 第9回「ESD国際交流プログラム」in フランス・ドイツ

日本ユネスコ協会連盟は、ユネスコスクールと持続可能な開発のための教育(ESD)の普及を目的として、高校生を対象に2010年度より本事業を実施。9回目となる。ドイツ・ハイデルベルグと、フランス・パリを訪問。ドイツ・ハイデルベルグでは、ユネスコスクールを訪問してESDに関する取り組みを視察し、フランス・パリではUNESCO本部の訪問、世界遺産の見学等を予定。全国で8人選出。内1名、文化学園長野高校より選ばれた。
?派遣期間: 平成31年3月23日〜29日
?参 加 者: 坂野 志希(令和2年度卒)

対談 「海外プロジェクト参加への取り組みと今後の展望について」

 

 

高橋前校長 本校は平成29年4月21日付けで、パリにあるユネスコ本部よりユネスコスクールへの加盟が承認され、「異文化理解プロジェクト」「環境教育・ボランティア教育プロジェクト」「地球規模の諸問題解決方策プロジェクト」の3種類のプロジェクトを基軸にして、様々な取り組みをこれまでに積み上げてきました。ユネスコスクールは、そのグローバルなネットワークを活用し、世界中の学校と交流し、生徒間、教師間で情報や体験を分かち合い、地球規模の諸問題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発、発展を目指しているネットワークです。文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールを「ESD」の推進拠点と位置づけています。

ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されます。今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があり、ESDは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す教育活動です。つまり、ESDは「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」と言えます。

この「ESD」を基軸に、「SDGs」(Sustainable Development Goals<持続可能な開発目標>)が、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で国際社会共通の目標として、世界のリーダーたちにより定められました。このサミットでは、2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいるのです。



SDGsは、普遍的な目標として「誰も置き去りにしない」という約束を掲げています。先進国と発展途上国、そして企業と私たち個人が共に手をとって目標達成のために努力をしていかないことには、貧困の解消や格差の是正といった深刻な問題は解決できないのは自明の理です。2030年の世界をより良く変え、その先の未来に引き継いでいくためには、SDGsを特別な目標としてではなく、「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透させていくことが大切なのです。

ユネスコスクールである本校が、持続可能な社会構築のために抱くべき目標がSDGsであり、その達成のための方法論がESDなのです。そしてこのSDGsに関連した具体的な開発目標や解決すべき課題は地域によって異なるので、地域に見合った複数の目標とターゲットを探究し、適切に設定することが大切になってくるのです。そしてその目標をESDという方法論により人材育成と地域ネットワークづくりによって実践していくことが求められているのです。

君たちは、このようなミッションを有する本校の生徒として、今回様々なすばらしいチャレンジを成し遂げてくれました。この機会にその体験をいろいろな観点から語ってほしいと思います。それでは、まず最初に「なぜ今回のプロジェクトに挑戦しようと思ったのか」について堀内さん、聞かせください。

堀内 堀内さん 私が本校への入学を決めた理由は、国際理解教育が充実していて、様々な海外研修の機会を軸にした豊かな実績があるからでした。「信州つばさプロジェクト」への挑戦は、自分の目標でもある「国連関係機関で働くこと」に近づけるステップだと考えたからです。合格1の知らせを聞いたときは、本当に嬉しかったです。今回の挑戦を粘り強く支え、励まし続けてくださった先生方に、本当に感謝しています。

高橋前校長 次に、参加したプロジェクトで学び得たことは何か、舍川さん、聞かせてください。

舍川 舍川さん 事前学習で、県内21名の仲間がチームになってそれぞれ課題を見つけ、学習・プレゼンをしました。私はSDGs5番「ジェンダー平等」について課題を持ちました。県内の働く女性から話を聞いた上で、台湾研修に参加しました。驚いたことは、台湾では女性たちの社会進出が日本より遥かに進んでいることでした。中でも特に驚いたのは、会社や学校で働く女性が子育てしやすいように、職場で保育ができることでした。学校に授乳室があるのには、本当にびっくりしました。日本でのマイノリティーに属する方たちの権利が、台湾では日本以上に整っていることを知り、日本でできること、やらなければならないことを考え、共に学んだ仲間と協力して行動したい!と強く思っています。

高橋前校長 最後に、「学び得たことを学内や地域にどう波及させていきたいか」について、坂野さん、聞かせてください。

坂野 坂野さん SDGs4番「質の高い教育とは何か。」というゴールが、私にとって最も気にかかっていた課題です。そもそも教育の「質」とは何か。国、地域、文化背景が違う中で、価値を決定することなどできるのだろうか、そんな疑問がずっとありました。ユネスコ・パリ本部でこの質問をした時、一番印象に残った返答は、「質の高い教育とは、『地球とどう共生していくかを学ぶ事が出来ること』だ。」というものでした。これは、つまりESD(持続可能な開発のための教育)そのものなんです!質の高い教育とはこれだと一概には言えませんが、「世界の『環境問題』や、核や内戦などの『平和問題』などの様々な問題に対する自分の考えを育むこと」が、質の高い教育と言えると確信しました。改めて「私は今、日本の長野にあるここ、文化学園長野中学・高等学校という場で、質の高い教育を受けている!」ということを実感することができた瞬間でした。
信州ESDコンソーシアムの発表会で宣言した「未来の大人会議」開催について、現在本気で考えています。例えば、本校で行っている「書き損じハガキ」の収集に絡めて、ただハガキ集めの協力をお願いするだけでは実際なかなか上手くいかない現状を見直したいと思っています。カンボジアでは、ハガキ11枚で1人学校に行けるが、そのお金はどれくらいの価値があり、どんな教材が揃い、どんな教育を受けることができるのか。彼らが教育を受けられないと、どんな困難が待っているのか。もっとそういった背景を知ることを新たに加えていきたいと思っています。そしてその輪をまず近隣の小学生たちにつなげ、背景にある「問題」について「未来の大人会議」にて議論したい。次に問題解決策を探り、皆と力を合わせた活動をしたい。やってみたいことは尽きません!

高橋前校長 三人からの力強いメッセージを聞いて、本当にうれしく思います。本校がユネスコスクールへの加盟が承認されて、2年の歳月が過ぎた今年、こんなにも豊かで実り多い体験を積んだ若者たちが存在してくれていることを誇りに思います。君たちには今回の研修体験を、明るい未来創造に向けて積極的に活かしてほしいと願っています。