「生徒、保護者、地域から信頼される田川高校を作るために」
 
 
   体罰・セクハラ・パワハラ・飲酒運転・酒気帯び運転・猥褻行為…、相次ぐ教職員の非行
 行為・違法行為の報道に、同じく教職に身をおく者として、悲しみと憤り、さらには自分が
 同様の立場におかれるかもしれないという不安を禁じえません。何が彼らをしてそのよう
 な行為に至らしめたのか、こうした事態の発生を未然に防ぐ手立てはなかったのか、解明す
 べき課題は数¹多くあります。私たちは教員である以前に生身の人間であり、人間として多く
 の欠点や弱さをもっていることは当然です。
                                       「非違行為」のいくつかは、そうした個人の性
 格上の弱点や性癖に起因しているのかもしれません。しかし、事は個人の資質・性向の問題
 にとどまるものではありません。今考えるべきは、私たちの行為が及ぼす影響と結果への想
 像力、私たちの内面に生じた歪み、教員としてのあり方の問題ではないでしょうか。
 
 
 〔生徒¹を傷つけないために〕
   なぜ「教員の非違行為」が社会問題となるのでしょうか。言うまでもなく私たちが向き合
 っているのは、豊な未来と人生を保障されるべき生徒²たちだからです。私たちの一挙手一投
 足は、生徒³たちに想像以上の影響を与えています。何気ない言動ですら生徒⁴を傷つけること
 があるのですから、まして私たちの「非違行為」は時に生徒⁵の人生まで狂わしかねません。
 また「大好きだった先生」
                       「信頼していた先生」の非行がどれほど大きな失望と哀しみを生
 徒に与えることになるのか…。私たちの行為によって傷つく生徒⁶の心情にまで思いをめぐ
 らせたいものです。私たち教員の責務は生徒⁷たちに人生の素晴らしさを伝えること、それを
 心に刻んで日々の教育活動に励みましょう。もちろん、田川高校のみならず教育そのものへ
 の保護者・地域・県民の信頼、そして自身の家族の幸せを守るためにも。
 
 
 〔何でも言い合える職場を〕
   平成 30 年度版厚生労働省発行「過労死等防止対策白書」において、教職員は5つの重点
 業種・職種にあがるなどかつてないほど私たちの職場は多忙化しています。放課後の教員同
 士の語らいや交流の時間は望むべくもありません。そんな中で多くの仲間が孤立し吐き出
 す場のないストレスを溜め込んでいるのではないでしょうか。「非違行為」の背景にあるこ
 うした問題は、職場の中での工夫と改善が可能です。効率的な校務の運営、お互いがお互い
 の心と身体の状態を気遣える、職場のゆとりを協力して取り戻しましょう。
 
 
 〔生身の人間として生徒⁸とぶつかりたい〕
   私たち教員は、弱さも強さも併せもつ一人の人間であり、生徒⁹が求めているのは聖人君子
 ではなく、生身の教師の姿そのものである。ともすれば忘れがちなこのことを再確認し、あ
 りのままに生徒¹⁰と向き合うことで生徒の琴線に触れられれば、教員として本望ではないで
 しょうか。教職を志した原点に立ち戻って元気を取り返しましょう。
 
 
   以上、私たちは共通する課題を確認し、生徒・保護者・地域から信頼される田川高校を作
 るために共同して取組みます。
                                令和元（2019）年5月 29日   長野県田川高校教職員一同