校長挨拶
兵庫県立宝塚北高等学校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
このたび、令和4年4月1日付けで兵庫県立宝塚北高等学校第14代校長として着任いたしました曽谷 功(そたに いさお)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本校は、昭和60年(1985年)に「普通科」と全国公立高校初の「演劇科」の2つの学科でスタートし、開校2年目に設置された理1コースが平成26年度にグローバルサイエンス科(通称、GS科)となりました。
普通科は、「知・徳・体」の調和をめざし、「確かな学力」を身につけ、部活動や学校行事など何事にも全力でチャレンジする生徒1を育成し、個々の進路実現を目指します。
演劇科は「演劇を通じた人間教育」を基本に、芸術・文化を愛する心豊かな人間を育成しています。演劇科で過ごす3年間の活動は、これからの激動の時代を悠々と乗り越えていける心の育成を仲間とともに作り上げていきます。
GS科は、課題研究や専門科目の学習を通じ、新たな価値を創出し、社会を牽引する国際的に活躍できる科学技術者の育成に力を入れています。 さらに、令和元年度に文部科学省から 「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されました。令和2年度には高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC2020)で上位入賞するなど生徒2は活躍の場をますます大きく広げています。
本校は、本年創立38年目を迎え、普通科、演劇科、グローバルサイエンス科の3つの学科がそれぞれの特色を生かすだけでなく、3科がそれぞれの高みを目指し、刺激し合い、リスペクトしながら、“3科で奏でるハーモニー”をよき友と共に、日々の学校生活を通じて一緒に作り上げています。そのために、全職員が一丸となって、生徒3をサポートし、個々の能力を最大限引き出せるように取り組んでいます。
今後とも、保護者、同窓会、地域の皆様並びにこのホームページをご覧いただいた皆様から一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和4年4月1日
第14代校長 曽谷 功
令和4年度 第38回入学式 学校長式辞
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春のさわやかな風と温かな木漏れ日に包まれたここすみれガ丘は、春爛漫の季節を迎え、校内の木々も今日の良き日を祝うように、若い息吹が溢れているように感じられます。本日はPTA会長様、同窓会会長様、並びに保護者の皆様にご臨席を賜っております。高いところからではございますが、学校を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。また、本来なら、多くのご来賓のご臨席を賜り、入学式を執り行うことになっておりましたが、感染症拡大の防止のため、本年度もこのような形で行うこととなりました。しかし、多くの方々が皆さんの入学を心より祝福してくださっている気持には変わりありません。??

ただ今入学を許可された318名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。私たち教職員はもとより、在校生とともに心から歓迎いたします。また、保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。お子様が学校の門をくぐられた姿を見られ、感慨ひとしおの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。??

さて、新型コロナウイルス感染症の影響をみなさんは中学2年生になる前から受け、様々な制限の中、中学生活を送り、今日この日を迎えていることと思います。みなさんの中には、中学生活を思いっきり楽しめなかった分、北高での高校生活で取り返してやるぞ、と希望と期待にあふれている人もいることでしょう。一方コロナ渦の中、落ち着かない日々を過ごし、少し不安な心細い気持ちで今日を迎えている人もいると思います。そんな新入生の皆さんに入学に際して一つだけ元気の出るお話しをさせていただきます。??

皆さんは、植松努さんという方を知っていますか。北海道の田舎の小さな町工場の社長さんです。しかし、民間ロケットを作った人と言えば、あの人かと思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。民間によるロケット開発や小型の人工衛星の開発などを手がけ、今では、この小さな町工場はアメリカの航空宇宙局NASAより宇宙に近い工場と言われ、世界から共同開発や見学者の希望が後を絶たない素晴らしい工場となり、さらなる目標に向かって今もなお進化している工場です。???

植松さんの仕事は、リサイクルで鉄などを集めるための磁石を製造する工場を経営していました。しかし、植松さんはロケットを打ち上げたいというという小さいころからの夢を持ち続けていましたが、民間が作るのは危ないからと言われ、あきらめていました。そんなとき、めぐり合うべき人との出会いが、人生を変えてくれました。北海道大学の永田先生でした永田先生は危なくないロケットを開発しようとしていましたが、国からは1円の補助もなかったそうです。国立大学が国から補助を受けられないというのは、あなたは必要ない人間です、と言われているような気持ちになったそうです。そこから、二人を中心とした民間ロケットの開発が始まりました。しかし、その後は失敗に次ぐ失敗の連続です。開発途中のエンジンを動かしているシーンを見ましたが、爆発シーンしかありませんでした。植松さんはこう話しています。「今までにないエンジンの開発です。教科書はありません。世の中で初めてすることは成功どころか失敗しかありませんでした。失敗をすれば「なにやってんの」「誰のせい」「どうすんの」と散々言われてきました。大切なことは、『何で失敗したんだろうね』『だったら次はこうしてみようよ』という言葉をかけ合うことです。たったそれだけのことで、その先は暗闇ではなく、未来に向けての階段を一歩上がったことになります」と植松さんは言われています。むしろ、失敗することこそ未来への階段を一歩上がった、と考えるべきかもしれません。???

植松さんは著書「空想教室」の中で次のようにも述べています。「失敗した自分を、逃げた自分を、あきらめた自分を責めないでください。自分を責めても何にもなりません。自分の心の中には「苦しい」とか「つらい」とか「きつい」とか「悔しい」とか「申し訳ない」とか「悲しい」とか「恥ずかしい」とかがぐるんぐるんして大変なことになりますが、その時はこの言葉を唱えましょう。『ただいま成長中』と。」???

2限りない失敗や他人から色々なことを言われた植松さんだからこそ重みのある言葉です。???

?みなさんも、これから始まる高校時代でも、時には失敗や挫折があるかもしれません。そんなあなたの『ただいま成長中』のときに、宝塚北高校にはあなたを応援してくれる友達、先輩、先生がたくさんいます。そんな巡り会うべき人と巡り会ってください。私もそんなあなたたちを少しでも応援したいと思っています。近いうちに、校長室前に、その時々にみなさんに伝えたい、考えてほしいメッセージを「こころの伝言板」という小さな黒板に書いて、毎日みなさんに届けたいと思います。通りすがりに見てください。もし何かあれば校長室のドアをこんこんとたたいてみてください。お話ししましょう。??

さて、今日からここ宝塚北高校で始まる皆さんの高校生活が、百花繚乱の素晴らしい青春時代となることを祈念し、式辞といたします。??

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令和4年4月8日???

兵庫県立宝塚北高等学校長 曽谷 功???