ま き び と
 
 
              カルデアの牧人                        校長だより No.21
 
                            礼儀正しさ        2学期終業式 
   2学期になって、3年生の皆さんの中で、進学や就職のための受験に出かけてい
 った人がたくさんいました。私も何人かの人の面接練習のお手伝いをしました。す
 でに来春の進路¹を決定した人もいますが、私のところにも受験を終えて報告に来て
 くれました。校長室に生徒の皆さんが来てくれることはたいへん嬉しいことです
 し、きちんとノックをして挨拶をして入ってきてくれてたいへん気持ちが良いで
 す。「ありがとうございました」と言葉を添えて礼儀を尽くしてくれると本当に嬉
 しく思いますし、教員としてのやる気もみなぎってくるものです。
   どのような形であれ、礼儀を尽くすことは、社会において大きなプラスの効果をもたらすと言われま
 す。仕事をしている人の職場においては、お互いに挨拶を交わし、きちんと敬語で会話をする。上司や目
 上の人を敬い、同僚や部下を思いやること、仕事をする上での連絡や報告や相談（一般に「ほうれんそう」
 と言いますが）を怠らないことなども、礼儀を尽くすという意味でも重要なことです。このようなことが
 きちんと行われている組織は業績が上がり、発展していくとの研究結果も報告されています。
   「『礼儀正しさ』こそ最強の生存戦略である」という著書を著した、クリスティーン・ポラス氏という
 大学の先生がいます。彼女はアメリカのジョージタウン大学の准教授として活躍していますが、約 20 年
 間にわたり、世界中のあらゆる業種や種類の組織に所属する数十万人を対象に、
                                                                       「職場の無礼」について
 研究し、職場における無礼な態度がいかに多くの人の意欲や能力を損ない、結果的に会社に大きな損失
 をもたらすということを明らかにしています。そして、この研究の過程で、どのような立場の人であって
 も、仕事で成果を上げて成功するために最も重要なのは、職場の人間関係を良好に保つことであり、その
 基礎になるのが「礼儀正しさ」であるという結論に至っています。
   視点を変えると、礼節をわきまえず、相手に対する配慮を欠く発言や、傷つける発言をするといった
 「無礼」な集団の中では、仕事で成功することは難しいということです。そのような集団では、その言動
 を受けた人はもとより周囲の人の思考力を低下させ、ストレスを与え、持てる能力を発揮できなくして
 しまい、多くの人を不幸にしてしまいます。これは職場に限ったことではなく、学校生活においても当然
 あてはまることです。クラスや部活動において多少なりとも感じたことがあるのではないかと思います。
 校内でも人間関係のトラブルはよくありますが、少しだけ考えて、相手や周囲の人々に対して配慮のあ
 る言動ができていれば良かったのにと思われるものばかりではないかと思います。
   2学期は「性の多様性」をテーマに人権学習をしてきました。織部祭では「ここいろ hirosima」さん
                                  から講師の先生をお招きして講演を聞き、LHRでも「性の多様性」
                                  について理解し意識を高めてくれたと思います。生徒の皆さんが書
                                  いてくれた感想からは、講演を聞いてきちんと理解し考えてくれた
                                  様子がわかりました。そうした学校での「学び」が理解にとどまら
                                  ず、本当に自分事として心の中に落とし込め、自分の生活にきちん
                                  と置き換えられているかを今一度考えて見てほしいと思います。