諫早高校(長崎県)の公式サイト内のPDFをテキストに変換して表示しています。

このコンテンツは、受験生と保護者の皆様の利便をはかるため取得されました。
取得日:2024年03月20日[更新]

最新コンテンツは、下記の公式サイトURLにて、ご確認ください。
志望校の選定など重要な判断の際には、必ず最新の情報をご確認ください。
http://www.news.ed.jp/isahaya-h/new/31/R01_54.pdf

検索ワード:校長[  1  ]
[検索結果に戻る]
 
   卒業生答辞
 
   校舎の窓から見える桜のつぼみが冬の厳しい寒さに耐え、花を咲かせようと
 
 しています。本日は私たち七十二回生のために厳かな卒業式をおこなっていた
 
 だきありがとうございます。また、校長1先生をはじめ、多くの方からのご祝辞や後
 
 輩の皆さんからの別れの言葉をいただき、こんなに多くの祝福に包まれながら、
 
 諫早高校を旅立つことができる幸せを、私たちは一生忘れることはないと思い
 
 ます。
 
  さて、三年という高校生活の幕が閉じようとしている今、私はこの場に立って、
 
 卒業という二文字に清々しいような、寂しいような、もどかしい気持ちを抱いてい
 
 ます。皆さんは今、何を感じ、何を思い出しているでしょうか。私は中学三年生
 
 の冬、内進生と高入生が同じ教室で学ぶことや勉強のレベルが高いことが不
 
 安で、諫早高校に進学するか、他の高校に進学するか迷った時期があります。
 
 しかし、今となっては諫高に進学したことの少しの後悔もありません。私は「The
 
 sky’s your only limit」のスローガンのように、無限に広がる青空のような可能性を
 
 信じ、何事にも果敢に七十二回生の皆さんと様々な学校行事から日常に至
 
 るまでを共に過ごしていく中で、あの時諫高を選択したのは正解だったと自信を
 
 もって、断言できます。
 
  予習や課題、模試が来るたびに伸び悩む順位や点数。高校生の私たちに
 
 は漠然とした行く末を不安に感じるつらい日々も多くありました。しかし、諫高で
 の日常は忙しさの中に友と協同する楽しさを見出せるような日々であり、もがき
 
 続ける苦しさのなかにも自分の成長輝きが感じられる日々であったのも確かで
 
 す。三年生になって初めて一、二年生での経験や学びの意味をひしひしと実
 
 感したように、私たちはこれから、長い年月を経て、そのような日々の何にも代え
 
 がたい貴重さに気付いてゆくのです。そして、諫早高校を思い出し、恋しく追慕
 
 の念を抱くのでしょう。
 
  そんなかけがえのない日々の中で得た学びの一つに主体性があります。誰
 
 かに決めてもらったレールの上を従順に歩んでいくことに疑問を持ち始めたのは
 
 まさに諫高が私に与えた影響でしょう。そうして、私は総務委員の立場として、
 
 与えられた環境を絶対的なものと考えず、常にその意義を問い直し、改善する
 
 ことを大切にしてきました。諫高もそうした主体性を受け入れてくれました。また、
 
 周りの仲間もそうでした。自分とは異なる意見を排除しようとするのではなく、他
 
 者の考えを受け入れ、そこから生まれる発見や深まる考えを大切にする姿勢、
 
 これらはすべて仲間たちに教えてもらったものです。そんな皆さんと文化祭やクラ
 
 スマッチなど学校行事の企画や運営では対話をしながら意見を交わしたり、よ
 
 りよい思考の着地点にたどり着けたことが何度もあります。皆さんなしには、生徒
 
 会はもちろん、学校生活も成立し得なかったと思います。また、部活動でも多く
 
 の学びを得ました。私は高校から硬式テニスを始め、二年生からはキャプテン
 
 となりました。キャプテンはチームの精神的支柱とならなければなりません。その
 役割を務める中で感じた学年の枠を超えて意識を同じ方向に向ける難しさ、時
 
 には自分の決断がチームの決断になる責任感、衝突する度に互いを受け入
 
 れ、許し、認め合う関係の重要性、どれもがこれからを生きる上での糧になった
 
 ことは間違いありません。そして何より、部活動を通して一生の仲間と呼べる最
 
 高のメンバーに巡り合えたこと。私事ですが一言だけ言わせてください。同学年
 
 のテニス部のみんな、衝突する度に修復し、深まっていく絆は永遠です。八人
 
 でテニスができて最高でした。ありがとう。
 
  本当に多くの人に支えられた高校生活でした。先生方、家族、後輩たち、そ
 
 して友人。私たちといつも同じ目線で向き合ってくださった先生方には感謝しても
 
 しきれません。私たちが投げ出しそうになったり、諦めようとしているときには、必ず
 
 そばで信じてくださいました。元気がないときにすぐに気づいて声をかけてくれた
 
 先生。進路決定に迷う私たちに的確なアドバイスをしてくれた先生。そんな先生
 
 方には勉強だけでなく人としての在り方を背中で示していただいたような気がしま
 
 す。三年間、私たちの先生でいてくれて、本当にありがとうございました。
 
  そして、満たされた高校生活を送ることができたのは紛れもなく家族のおかげ
 
 です。十八年間、育ててくれてありがとう。母はいかなる時も私の一番の良き理
 
 解者でした。喜ばしい出来事も悲しい出来事も一番に伝えたくなるのはやはり
 
 母です。それは今までもこれからも変わることはありません。大切な決断が迫ら
 
 れているとき、決まって相談したのは父でした。私の意見を尊重した上で父が発
 す意見には説得力があり、いつも納得させられました。父はいつも厳しく、時々
 
 友達の父親をうらやましく思うこともありましたが、私の父がお父さんでよかったと
 
 心から思っています。これからはここまで成長させてくれた両親に恩返しできるよ
 
 う、立派な大人になります。
 
  在校生の皆さん。案外高校三年間はあっという間に過ぎ去っていくものです。
 
 残りの日々を、青春をぜひ謳歌してください。また、諫早高校には多くの対話の
 
 場が用意されています。まず自分とは異なる価値観や考えを持つ友人と互い
 
 に認め合い、許しあう関係を築き、たくさん意見を交わし、型にとらわれるのでは
 
 なく、多角的な考えを持つことができる人間であってほしいです。
 
  最後に家族よりも長い時を過ごした七十二回生の仲間たち。もし皆さんと出
 
 会えていなかったら、これまでに幾度となく訪れた困難も乗り越えられなかったで
 
 しょうし、頭の中にすぐに思い浮かべることができる、語りつくせないほどの思い
 
 出もなかったことでしょう。出会ってくれてありがとう。そして何より、そばで頑張る姿
 
 をみせてくれてありがとう。皆さんの一生懸命な姿は常に私を突き動かす原動
 
 力でした。
 
  いよいよ旅立ちの時がきました。私たちが明日から進んでいく未来は、グロー
 
 バル化の進展、高度情報化、急速な少子化・高齢化を要因とする人口減少
 
 と急激に変化し、かつ先が見通せず、正解が存在しない時代だといわれ、私
 
 たちの想像以上に厳しい世の中です。その中で不条理に感じられる出来事を
 経験することも避けては通れません。しかし、常に既存の価値観を疑い、時に
 
 衝突も恐れず対話を重ね、正解のない問いに立ち向かってきたように、数々の
 
 改革と挑戦を成し遂げてきた私たち。答えのない世の中なんて一ミリたりとも怖く
 
 はりません。むしろ私たちにとっては、創造の可能性に満ちた、ワクワクが止まら
 
 ない世界です。恐れることなく、毅然と胸を張って挑んでいきましょう。
 
  いつまでも名残は尽きませんが、自分の人生の輝きを予感させるこの良き日
 
 に私たち七十二回生は旅立ちます。最後になりましたが、諫早高校の今後
 
 益々の発展を祈念して、答辞とさせていただきます。
 
                                                         令和二年三月一日
 
                                                   卒業生代表 冨永 彩夏