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入試当日までの勉強の進め方

Z会進学教室 橋野指導室長に聞く(2015年12月)

2015年09月15日:神奈川県公立高校を受験する中3生の10月からの過ごし方について

- いよいよ入試が近づいてきました。これから受験までの間、何に気をつけながら勉強を進めていけばよいのかについていくつかのポイントを挙げていきたいと思います。

 

 まず第一に「時間がないのにあれもやってないし、これもやらなきゃいけない。どうしよう」と焦ってしまいがちです。そうすると、時間がないからいちいち解かずに、ささっと目を通すだけという目で追う勉強になります。これは、はっきり言って時間の無駄です。
 限られた時間の中で最も効率よく勉強を進める方法は、「一度解いたけど間違えた問題を徹底的にやり直す」ことです。皆さんの手元にはたくさんの教材があるはずです。それを見直しながら何を間違えたのか、どう考えたから間違ったのか、知識があやふやな部分はどこなのかといったことをチェックします。その上で、きちんと手を動かして解き直して正解すればOK。解説もきちんと読んで、そのことがらの周辺知識についても確認をしておきましょう。

 

 次に過去問の取り組み方について考えてみましょう。そろそろ自分が受験する高校の過去問を解き始めているかと思いますが、まず一番やってはいけないことから書きます。それは、「去年の合格者平均点が○○点で、自分は○○点取ったから合格だ!」とか「合格点に達してないからもうダメだ。」などと合否の可能性の材料として使うことです。確かに、合否の目安にはなるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。過去問とは、「今年絶対に出題されない問題」なのです。2年続けて同じ問題を出題しますか?答えはノーです。皆さんが受験するときに出題されるのは別の問題なのですから、例えば「過去問で7割取れたから今年の受験で合格する」などということは絶対に分からないのです。
 では、何のために過去問に取り組むのでしょうか。それは、次の3つのことがらを確認するためです。

  •  1つ目は「形式」。例えばマークシートで答えるのか、記号選択や答えのみを書けばよいのか、記述する問題は出題されるのかといったことです。試験会場に行って「えっ、マークシートなんだ!」では困りますよね。記述問題が出題されるのにまったく練習をしていなかったでは、絶対に書けないですよね。そういった準備(心の準備も含めて)をきちんとするために過去問を解くのです。
  • 2つ目は「分量と出題分野」。各教科、それぞれ大問が何題出題され、どれくらいの分量を解かなくてはいけないのかをチェックします。何年分かを解くことで、本番での時間配分を体に覚えさせるわけです。1つの問題に時間をかけすぎて最後まで解き終わらなかったというのはまずいです。ひょっとしたら手をつけてない問題の中に簡単に解ける問題があったかもしれません。全体の分量を把握した上で各大問にどの程度時間を割けるのかを把握していれば、「これは後に回して次にいかなきゃ」と試験会場でも冷静に判断できるはずです。それと同時に出題分野の確認もきちんとやりましょう。例えばA高校の国語は、1番が論説文、2番が物語文、3番が古文だけど、B高校は大問2題で古文は出題されないといったことを知っておく必要があります。また、数学は小問集合が出て関数・平面図形・空間図形が出題されているから、まず小問集合は確実に得点しなきゃいけないといった戦略を練っておかなくてはいけません。
  •  3つ目は「難易度」。大前提は「入試において満点を取る必要はない」ということです。もちろん満点を取るに越したことはないのですが、目標は合格することです。ですから、受験する学校の問題はどの程度難しいのか、または簡単なのかを過去問演習を通して知ることが大切になります。基本問題中心の出題に対しては、ちょっとしたミスが許されません。ひとつひとつの問題を正確かつ手早く解くことを意識することが大切になります。難しい問題が出題される学校であっても、すべての問題が難問というわけではありません。中には解きやすい問題も必ず含まれています。ですから難易度を見極める力が必要となります。過去問を解いたあときちんと振り返りながら、「こっちを先にやっておけばもうちょっと得点できたはずだ」「これは飛ばすべきだった」といったことを確認して、本番に活かしていくのです。

 

 これからの学習においてもう一つ大切なことがあります。それは、「時間を意識すること」です。過去問に取り組むときだけでなく、普段の学習の中でも「この問題は10分で解く」というように自分の中で時間を決め、その時間内に解けたかどうかを必ずチェックします。解ければOKですし、時間内に解けなかったなら最後までやった上でどうして時間がかかったのかを振り返りましょう。急ぎすぎて文章を読み飛ばしてしまったとか、数学の問題で条件を見落としていたとか、いろいろな原因が考えられます。それを自分で確認しておけば、本番ではそういったことに気をつけて問題に取り組むことができるようになるはずです。何時間もかけて1つの問題を考えることも大切なことではありますが、今はそういったことをする時期ではありません。「制限時間内に合格点を取る」そのための実戦力を身につける時期なのです。1つの計算問題を解くときでも時間を意識して学習を進めていってください。

 

 そして最後に最も大切なことを。それは、「試験前日まで力がつく!」ということです。中学進学から約3年、これまで様々なことを学んできたました。今その総まとめの時期がやってきたわけです。言い換えれば、今まで生きてきた中で一番頭が良くなっているのが今なのです!ひとつひとつバラバラだった知識も、今復習をし直してみたらバラバラだったものの関連性が見えてくることもあります。そうすれば、盤石な知識としてしっかりと頭の中に入ってきます。つまり、新たな知識を手に入れるのではなく今までに身につけたものをより確実なものへと磨きをかけていく時期なのです。ということは、入試前日まできちんと学習を続けていけば自分の持っている知識の整理がすすみ、問われたことに対して適切に対応する力がぐんぐんついていくということなのです。
 残された時間は決して多くありませんが、これからの過ごし方で大きく差がつく時期でもあります。上に書いたことを念頭に置いて最後の最後まで努力を続けてください。きっといい結果が待っています。


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