幕張総合高校の特別活動に対する加点の仕方は次のようになっています。1「部活動実績 詳細版」に載っている実績に相当すれば、すべての受験生に一律50点加点される。(したがって、「部活動実績 詳細版」に載っていない部活動実績は評価の対象にならない)20〜50点の中間点は、設定されていない。3各種検定等については、
英語科(英検2級、スピーチコンテスト優勝)、理科(科学作品展知事賞・県教育賞)にそれぞれ20点加点される。
ところで、幕張総合高校の不正入試は、すべてなくなったと思いますか。これについては、受験生も保護者も関心のあるところではないでしょうか。最近は、忘れてしまった方も多いようなので、今年度(令和2年度)の入試の実態について具体的に考えてみましょう。
1 体育系部活の50点加点の基準になっている「千葉県選抜選手、強化指定選手」などの基準は、不透明である。他の公立高校では、県大会(中体連主催)ベスト4位などと条件が透明であり、しかも、2〜10点加点が多い。同じ競技であれば、中学校の顧問と高校の顧問は、お互いに顔見知りのことも多い。高校の顧問から中学校の顧問に、自分の取りたい選手を千葉県選抜選手や強化指定選手に入れるようにあらかじめ要請することも可能である。
2 なぜ幕張総合高校では、各部活により50点加点(加点対象となる大会等)の基準が違うのか。千葉県の他の公立高校では、このような不透明なシステムはない。というのも、中学校の顧問と癒着する危険性があったり、部活動顧問の個人的な好みや選択によって受験生の将来が左右されてはいけないからである。公立高校入試では、何よりも「公平、機会の均等、透明性」が優先される。しかし、幕張総合高校では、各部活が10人ぐらいずつ有力な選手を取れるように、各部活顧問が50点加点の基準を個別的に毎年決定している。しかも、幕張総合高校では、今も部活動顧問や体育科が実質的に学校運営の実権を握っているので、これをチェックする機能はない。かつて3年ぐらい前に、密室の運営で非難された「部活動顧問会議」が各部活顧問に対して、約10人の割り当てを達成するための基準を過去の調査書の記載をもとに提出させ、そのまま学校全体で承認されるのである。
3 例えば、バスケットボール部(男女)を例にとってみよう。「U-14地区選抜対抗大会出場選手 千葉県ジュニア強化指定選手 千葉県選抜選手選考会出場」(男子、女子一部重複)となっている。実際のところ、どれも50点加点の対象としては不透明である。その中でも「千葉県選抜選手選考会出場」は、もっとも問題がある。部外者には、「千葉県選抜選手選考会出場」した選手が全県で何人いるのか実態がわからない。これでは、顧問が何人でも水増しすることも不可能ではない。また、合否のボーダーラインでは、1〜2点を争う受験生も多いのに、この程度の実績で50点も加点するのは不正入試と言われても反論できない。多くの真面目な受験生の中学校3年間の地道な努力の成果を踏みにじり、顧問の個人的な裁量や好みにより合格させるのは不公平である。このままでは、ボーダーラインの受験生は、バスケットボール部だけでも5〜30人ぐらい割を食って不合格になる可能性もある。というのも、この条件を充たす受験生が何人出願して来るのかは、前期出願締め切り最終日までわからないからである。これは、過去2年間の条件からの著しい変更点である。にもかかわらず、幕張総合高校や顧問は、受験生や保護者に対して何の説明責任もはたしていない。学校全体としての統一した透明な基準(例えば、多くの高校のように中体連主催の大会の実績を参考にする)ではなく、部活動顧問が自分の決めた条件で50点加点するシステムの弊害が明らかである。また、幕張総合高校では、部活動で優遇されて合格した130人程度の受験生に対する3年間の追跡調査を一般職員に毎年公表したり、これを資料として入試制度を検証したりするシステムになっていない。
ちなみに、大学のスポーツ推薦などでは全学的に統一した基準があり、当該の大会の表彰状やパンフレットのコピーなどを提出させる。また、大学では、(スポーツ推薦を含む)推薦入学の受験生の追跡調査を行うのは常識である。なぜなら、不合格となった受験生や保護者、社会に対して説明責任があるからである。
4 野球、サッカー、バレーボールなど団体競技については、「レギュラー」か「補欠」かにかかわらず、一律に50点加点することは適切なのか。この50点という受験生の人生を変えかねない点数を加点するなら、合理的な説明と公平性が求められる。例えば、調査書には、「レギュラー」か「補欠」かの記載を求めるなどの方法もある。そうしないと、一般の受験生とのバランスに著しく欠けることになり、適切で公平な評価はできない。(この点については、文化系のシンフォニック・オーケストラや合唱部にもあてはまる)
5 各種検定等の
英語科(英検2級、スピーチコンテスト優勝)、理科(科学作品展知事賞・県教育賞)の加点はそれぞれ20点である。文科省は、部活、ボランティア、各種資格などを同じように評価するようにという指針を出している。これらの
英語科や理科の実績も部活の実績に十分匹敵するものである。なぜ50点加点にならないのか。幕張総合高校では、部活以外の特別活動についてはあまり評価しないという方針なのだろうか。
6 幕張総合高校を含めて、高校入試の透明化のためには、特別活動の加点についても、評価方法の中で点数配分を事前に公表するべきである。(もっとも、受験報告などを通して、中学校などでもかなり実態を把握しているようである)この50点加点というのは、それだけで説明責任を問われる点数である。また、現在は行われていないが、成績開示の時に受験生に特別活動の評価の点数を開示すべきである。もし、開示できないとするなら、評価の方法が不適切で公平性に欠けるからだということになる。
7 これについては、文科省の「高等学校入学者選抜における部活動の評価」に関する平成29年11月28日付けの文書を資料として出しておく。「部活動の過熱化抑制の観点から、部活動の評価については、特に、入学者選抜における調査書を基にした加点基準や配点の明確化を求めることが必要ではないか。また、生徒や保護者が適切な判断ができるよう、明確化した 加点基準等について周知の徹底が必要ではないか」。
8 以上のことについては、県教委も十分周知のことと思われる。実態としては、幕張総合高校(管理職+一部の部活動顧問)と癒着してこのような不透明な入試が行われている。公正で透明性な高校入試について、県民に対する責任をどのように考えているのか、疑問のあるところである。