名市大の医学部推薦枠ができたので今年の受験生の代から増えていくかと思います。
これまでは理数や
英語が得意な子たちが3年間でいろいろな科学分野を体験し自分の分野を意識発見して志望大学が決まっていく感じでしょうか
菊里第1志望者の上位層も非常に優秀なので(菊里→旭丘で出願など)、そもそも誤りですが、旭丘云々を持ち出しても、それは菊里の医学部志望者が多いということをなんら否定しませんよね(笑)。菊里が気にいらないなら、東海・滝へ行けばいいだけですからね。東海・滝合格者を含め、旭丘第1志望者の菊里との併願率は極めて高いのです。
それはそれとして、尾張学区のSSHと医学部合格者に相関関係はない、むしろ低いという事実は知っておいた方がよいでしょう。
旭丘・菊里、東海・滝・南女すべてSSHではありません。逆にSSHの一宮・明和・向陽の医学部志向はむしろ低いのです。
昨今の医学部医学科人気について長いひとこと。
成績が良い人が、とりあえず医師を目指すのは、
1、手に職をつけることで、将来の安定した生活を確保する
2、高額な報酬を得て、余裕ある生活を送る
3、社会的なステータスの高さ
4、病気を癒すことで感謝される貴い仕事と認知されている
・・・などが主な要因でしょう。
高校としても、医学部医学科に何人合格し(させた)かは、教育機関としてのわかりやすい評価となっています。もちろん、医学部医学科に合格することは相当難しいことですし、大学在学中も他学部に比べても突出した勉強量を求められます。人間の生死に直結する仕事に就くことは、それなりの能力と才能が必要ですから、当然なのですが。加えて、私立大の医学部となると、親の財力も非常に高いレベルで必要です。
ところで、ペーパーテストをクリアすることしかできない医師が増え続ける今の風潮は、医師の質を下げる一方です。また、医学部医学科は、医師という非常に限られた専門職の養成機関ですから、入ってしまってからの方向転換は難しいです。専攻や、研究か臨床かを選択することはできますが、それほど自由度は高くありません。
現場で一人で判断・行動できる、いわゆる一人前の医師になるのは、卒後10年と言われます。今、医学部に入学して卒後10年経過するのは、今から何年後でしょう?高3から30代半ばは、今から17年後です。果たして、仕事はあるのでしょうか?
結論からいうと、仕事は残っているでしょう。しかし、今よりもっと狭い分野で、人間と対面して表情や感情を判断しなければならないような精神分野であったり、よりプライマリーな総合診療的な部分か病院ではない医療機関で働く場所を確保するしかなくなります。機器の操作に長けた限られた術者しか任せてもらえませんし、最新の機器は年を取ると使えなくなります。一時期もてはやされたSEも、時代の進化についていけない中高年は淘汰されていきます。更に、医師の仕事の大半は今後10年でAI化が急速に進むことが予想されています。20年後には、診断のほとんどはAIにとって代わるでしょうし、既に補助的な部分で導入されている分野もあります。
近い将来には、倫理的、哲学的に人間を診ることができる、医学に対して高尚な姿勢を保つことができるような人しか、「医師」としての仕事は回ってこなくなります。高額な報酬や社会的ステータスが欲しいといった低レベルな医師は当然どこの病院も雇わないでしょうし、コンビニより多い歯科の現状を鑑みれば、経営に余程長けていないと開業してもうまくいきません。
現状の医学部医学科の定員数から、20年以内に「医師余り」の状況が来るのは確実です。30年後(今の高校生に大学生の子供がいるころ)、「職のない、もしくは低所得医師」がゴロゴロいる状況が目に浮かびます。ちなみに、歯科医師の平均年収は650万ほど。増えすぎた歯科医師を抑制するため、国家試験の合格率を抑制しているのが現状(合格率は平均7割ほど)で、医師も数年後にはそうなると言われています。つまり、6年で医師になれるのは下手すると1学年のうち半分程度になる可能性もあります(国家試験を受けさせてもらえない留年組を含めて)
私は何も、医師を目指すことが悪いことだと言っているのではありません。
医師になる人は、これからの厳しい時代を見越したうえで、一生を医学の勉学に捧げる覚悟をもち、患者に信頼されなければなりません。思っていたほど報酬が得られなくても、患者のために尽くすことが当たり前だと思えるような志の高い人でなければ早晩、やっていけなくなると知っていてほしいのです。もちろん、当直業務は退職まで必須になるでしょうから体力的にも大変です。
最近の医学部医学科の入学試験では、学力だけではなく、
面接も重要な判断基準としている大学が多くなっています。例えば、3人の
面接官が、ひとりでも最低点をつけると、無条件で落とすような医学部もあります。なぜ、
面接を重要視するかというと、「医師になる」ことへのハードルがペーパーテストに偏ることにより、いわゆる「発達障害」もつ方が多く医師になっている現状があります。発達障害について多くは語りませんが、この傾向をもつ方は健常者に比べて突出した能力をもつことが特徴としてあげられます。同じことを反復するような根気や集中力、異常に発達した記憶力は、ペーパーテストには極めて有利な影響を与えることは明白です。このようなテストだけが得意でコミュニケーション力や他人の気持ちを推し量る能力が低い医師ばかりになると、現場のチーム医療は崩壊します。
新聞に投書されるような酷い暴言を吐くような医師は、こういった障害をかかえている一定数の医師によるものだと思いますし、実際医療機関では「困った医師」に手を焼いています。東大(東京大学コミュニケーション・サポートルーム)をはじめ、名大(名古屋大学障害学生支援室)にも、発達障害の学生向けに「専門の相談窓口」を設けているので、各大学は喫緊の課題として認識していることもこれらを証明しています。
勉強だけはできるけど、冒頭の1〜3だけを目的に医師を目指すのは、職業の将来性からもお勧めできません。ただ成績が良いだけで、とりあえず医学科受けとくか、とお考えの学生、保護者は今一度良く考え、進路をお決めいただければと思います。しっかりとした将来構想無しに医師になるのは、今はリスクが高すぎます。私たちが将来安心して生きていける社会インフラの整備に、優秀かつ志の高い医師は不可欠だと思いますが、高校の
先生方も、「こいつならいい医者になれる!」と思った学生だけを医学部に行かせるような指導をお願いしたいと思います。