首都圏地区
上智大(7%増)は、全学部統一日程の「TEAP利用型入試」(
英語検定試験「TEAP」の受験が必須、各学科が設定した基準点を出願資格とし、
英語以外の2教科で合否判定)が47%増と人気を集め、従来型の一般入試の微減(1%減)をカバーした。昨年から全学部・学科で「4技能」利用に移行したが、
英語外部検定で4技能判定が標準化したことが追い風になった模様。また、学習院大(11%増)は、全学部(一部学科を除く)で「コア試験日・プラス試験日」を設定、一般入試の募集を「1→2回」に増やしたことが大幅増の要因となった。
この他、準難関〜中堅上位校では、芝浦工業大(8%増)・成城大(27%増)・津田塾大(24%増)・東京女子大(19%増)・武蔵大(8%増)・明治学院大(13%増)など軒並み志願者増。一方、志願者減は國學院大(1%減)・成蹊大(10%減)・日本女子大(7%減)など少数に留まる。
また、中堅グループでも、獨協大(23%増)・国士舘大(12%増)・大東文化大(22%増)・東海大(6%増)・東京都市大(52%増)など、安全志向による志願者増が目立つ。一方、志願者減は、工学院大(9%減)・東京電機大(2%減)・東京農業大(7%減)など、やはり少数に留まる。
2018年の大学受験動向を総括します。
前年度に比べ、2000名以上合格者数を減らした大学は、東洋大学、日本大学、法政大学、南山大学、京都産業大学、立命館大学、関西大学、関西学院大学の8大学。これ以外にも1000名以上合格者数を減らした大学が10校近くあります。
毎年、約8000人の合格者を出している京都産業大学では、2018年度の合格者数は約5800人で、約2300人も少ない結果となっています。例年なら、合格していたはずの人の約3割が今年は落ちたのですから、驚きは隠せません。
受験本番までに十分準備を重ねてきた受験生でも落ちるというこの現実は、塾や予備校関係者の間でも衝撃が走りました。中には、
模試でA判定(合格可能性80%以上)でも落ちた生徒がいるというのですから、関係者もショックだったことでしょう。
安田常務は、安全志向が強まっているもう1つの理由として、今年は例年以上に指定校推薦やAO入試・推薦入試を利用して合格した受験生が大幅に増えた可能性があることを挙げる。
「大学関係者に話を聞くと、例年以上に指定校推薦の応募がたくさんきたと話しています。これまでは大学から高校に指定校推薦の枠を出していても、進学校の場合は応募がないという状況が当たり前でした。それが、今年は応募してくる学校が増えたそうです」
指定校推薦の場合は、受験すればほぼ100%合格できる。
偏差値で中堅から下位の大学は、これまで推薦を出しても、受験する学生は多くなかった。それが、推薦を利用する受験生が増えると、一般受験での合格者を減らさなければならなくなる。その結果、それらの大学でも狭き門になってしまうのだという。
前出の高校でも、すべり止めとして受験を薦めた大学が、指定校推薦でかなりの人数を合格させていたことを、あとから知ったという。
「ある大学は例年合格している
偏差値帯の生徒が受けても、今年はことごとく不合格になりました。その原因は、今年は定員の半分近くを指定校推薦で確保していたためだ、と聞き、なるほどと思いました。MARCHを含め、多くの大学が推薦を増やす傾向にありますし、一般入試だけでの進路指導はこれから難しくなると感じています」
大学通信の安田常務も、高校から悩みを聞いている。
「中堅クラスの進学校では、特進クラスの生徒はほとんど一般入試で受験をします。しかし、今年は、指定校推薦やAO入試などを積極的に活用した一般クラスの方が、最終的に特進クラスの進学成績を上回る、というケースも出てきているようです」