2018年の大学受験動向を総括します。
前年度に比べ、2000名以上合格者数を減らした大学は、東洋大学、日本大学、法政大学、南山大学、京都産業大学、立命館大学、関西大学、関西学院大学の8大学。これ以外にも1000名以上合格者数を減らした大学が10校近くあります。
毎年、約8000人の合格者を出している京都産業大学では、2018年度の合格者数は約5800人で、約2300人も少ない結果となっています。例年なら、合格していたはずの人の約3割が今年は落ちたのですから、驚きは隠せません。
受験本番までに十分準備を重ねてきた受験生でも落ちるというこの現実は、塾や予備校関係者の間でも衝撃が走りました。中には、
模試でA判定(合格可能性80%以上)でも落ちた生徒がいるというのですから、関係者もショックだったことでしょう。
安田常務は、安全志向が強まっているもう1つの理由として、今年は例年以上に指定校推薦やAO入試・推薦入試を利用して合格した受験生が大幅に増えた可能性があることを挙げる。
「大学関係者に話を聞くと、例年以上に指定校推薦の応募がたくさんきたと話しています。これまでは大学から高校に指定校推薦の枠を出していても、
進学校の場合は応募がないという状況が当たり前でした。それが、今年は応募してくる学校が増えたそうです」
指定校推薦の場合は、受験すればほぼ100%合格できる。
偏差値で中堅から下位の大学は、これまで推薦を出しても、受験する学生は多くなかった。それが、推薦を利用する受験生が増えると、一般受験での合格者を減らさなければならなくなる。その結果、それらの大学でも狭き門になってしまうのだという。
前出の高校でも、すべり止めとして受験を薦めた大学が、指定校推薦でかなりの人数を合格させていたことを、あとから知ったという。
「ある大学は例年合格している
偏差値帯の生徒が受けても、今年はことごとく不合格になりました。その原因は、今年は定員の半分近くを指定校推薦で確保していたためだ、と聞き、なるほどと思いました。MARCHを含め、多くの大学が推薦を増やす傾向にありますし、一般入試だけでの進路指導はこれから難しくなると感じています」
大学通信の安田常務も、高校から悩みを聞いている。
「中堅クラスの
進学校では、特進クラスの生徒はほとんど一般入試で受験をします。しかし、今年は、指定校推薦やAO入試などを積極的に活用した一般クラスの方が、最終的に特進クラスの進学成績を上回る、というケースも出てきているようです」