県外の通りすがり様
鶴丸卒業生の先生方に呼びかけられた内容については、俺の場所ではないから、そこには書き込みしていない。掲示板を変えたのはそのためだ。だが、他人への中傷や虚言でない限り、この掲示板で与えられたテーマや問題について、どなたが書こうと自由だと思うがね。まあ意見はそれぞれだから、書くなという意見そのものは尊重して聴くだけは聴いてやろうじゃないか?
お前さんの御意見は確かに正論だと思う。ここ福岡市の進学状況については大都会よりいささか田舎であるだけに東京京都大阪への進出力は強くはないが、鹿児島市よりは強い、ここには久留米付設という六年一貫があるが、俺らが高校時代よりも難関合格数を増やしておりラサールに並んでいると言われる。福岡の三年公立進学校からの九大への進学数は、今の鹿児島市の公立校とは比較にならない。
鶴丸は、ここでも笑われ者だということを書いておこう。
息子が現役帝大医学部に進学卒業し、身に染みて理解したのは、福岡市の予備校力の強さだ。駿台、河合塾はいわずもがな、北九州、あと個人指導や
家庭教師をモットーとした何とかという学び舎があるが現浪問わず、ここまでダブルスクールが進化した場所で勉強させると、田舎でコツコツ勉強していた俺なんぞよりははるかに科学的で合理的で、要領の良い勉学ができるんだと理解できた。博多と鹿児島市は新幹線でわずか一時間少し、まずはこの地の進学システムに学ぶのが良いと俺は思うんだがね。
形ばかり六年一貫を整えても内容が充実しなければ
六年間、馬耳東風で授業を受けているだけの、その他二百人の学生が生まれるばかりじゃないのか?
ちなみに、俺は高校二年生で英検二級を取得した。あの当時、甲南高校は二年生で希望者に英検二級を受けさせる習慣があったが、受験生のほぼ全員が合格し確か二百五十名ほどであったと記憶している。当時は準1級なるものがなかったから、二級も今より難しかったよね。
このあと急患を診なければならないのでここまでにしておくが、この掲示板は誰が書こうと自由だぜ。お前さんの特等席ではないことを最後に述べておく。
ここ福岡市の進学事情について、仲間の医師や看護師達から情報を伺うと、色々と興味深いお話を聴くことが出来る。実は、今年友人の主任看護師のお嬢さんが、有名県立進学高校と私立高校の進学特別クラスに双方合格されたのであるが、県立を蹴って私立に進んだとのことであった。小生とも気の合う思慮深い主任さんなので理由について尋ねてみたところ今の時代ならではの興味深い解答が戻ってきた。
高校の無償化、子供手当のおかげさまで、看護師レベルのお給料があれば中学校の教師を務めているご主人との給料を合わせれば、私立高校進学クラスでも十分に節約ができ国公立大学であればなんとか無理なく進学させられる。私立高校進学クラスは定員数が少ないので目立たないが、実は修猷館のような有名公立進学校よりも難関、中堅いずれも国公立進学率が高いのだそうだ。
実は、ここ福岡市では私立の方が高度受験予備校のような学習システムが確立しており、穏やかで教養のある先生方が少数精鋭主義で三年間過保護に教育して下さるので、落ちこぼれる危険が少ないそうだ。公立進学校は完全無償なので、極貧家庭の優秀な子供さんが数多く進学され、隠れケアラーも多いのだという。そのためご家庭の経済格差は昭和平成初期よりも著しく生徒さんらの成績格差にも大きく影響していることが社会的に問題視されているという。
そのため福岡市の公立進学校では有能な補助教員の御活用により落ちこぼれそうな生徒さんや極貧家庭のケアラーなどで苦労されている生徒さんらを学業面でサポートすることを数年前から進めているのだという。高度受験通信教育を受けられず塾や予備校にも行けない極貧家庭の生徒さんらのために補助教員らが夜なべをして補習プリントを編んで下さるシステムも復活させているそうだ。
だが補習プリントに対するご評価は、あくまで貧乏人対策であり、中流以上の御家庭では冷ややかで批判的、このような格差社会に足を引っぱられたくないというのが友人看護師さんのご意見のようだ。先輩看護師の息子さんも同じ私立高校の進学クラスから現役九大に進学されたので、お嬢さんにも同じような道程で教育を与えたいと述べられていた。
昭和の大昔に、極貧家庭育ちで家業を手伝いながら補習教材のみで医学部進学した俺には、少々違和感のある御意見ではあるが、これが現実社会なのであろう。(福岡市は労働者の立場の強い大都市である。労働者たちは常に現実に向き合いながら実務に根差した対策を考える。ここでは薩摩の精神主義なぞ無用の長物なのだ。)
いずれは鹿児島市でも起こり得る問題であろう。
ご参考までに書かせていただいた。乱筆申し訳なし。