高校入試の小論文では、あらかじめテーマの大枠が決められているのが一般的です。「携帯電話所持の是非」「家族について」「モラルや公共性」などなど。高得点をとりたい人はテーマを同じくする他の受験生の小論文に埋もれないよう、よりテーマを絞って明確な主張をする必要があります。
「僕は環境破壊を抑圧しなくてはならないと考えます。環境は大切にするべきであり、守らなくてはなりません。僕は皆が車に乗るのを控えて電車に乗れば良いと思います。それによって、電車は駅に行かないと乗れないので、家が駅から遠い人は不便になってしまうかもしれないので、駅をもっと沢山作ればいいと思います。そうすればお店も増えて今より便利になると思います。駅やお店が増えれば車に乗れない年配者や障害者のためにもなると思います。」
小論文講座をここまで読んだ人なら、どこが悪いか分かりますね。
続いて同じテーマで合格できる小論文の例を出しましょう。
「私は環境破壊に関心を持っています。日本は京都議定書で定められたCO2削減基準を達成できていません。これは企業側の削減努力に比べ、私たち個人の努力が足りないために生じている問題です。先日、大手スーパーがレジ袋の有料化に踏切ました。私はこれに賛同しています。なぜなら環境問題については個人の善意に頼るのは限界があると考えるためです。それは一向に減少しないCO2排出量が証明しています。個人の善意に訴えかけることも大切ですが、これからは社会的な仕組み作りを通して、環境破壊を防止していく必要があると考えます。」
最初の小論文の問題点をあげてみましょう。
×環境は大切にするべきであり、守らなくてはなりません。
1.これだけでは感想文です。
×・・・思います。それによって、電車は・・・
2.文法が間違っています。
△・・・乗れないので、家が駅から遠い人は不便になってしまうかもしれないので、
3.「ので」が続いて読みにくい。
×そうすればお店も増えて・・・車に乗れない年配者・・・
4.環境破壊から論点(テーマ)が変わっています。
△環境破壊を抑圧しなくては・・・
5.意味は間違っていませんが、おかしな表現になっています。
△僕は・・・
6.論文では男女ともに「私」を用います。
この中で特にありがちなのが1と4です。小論文を書くはずが感想文や作文になってしまう人が沢山います。また途中から論点(テーマ)が変わってしまって、結局何を言いたいのかが分からない小論文も少なくありません。