◇進路概況◇
令和4年度卒業生282名の進路状況2は、就職内定者91名(そのうち学校斡旋希望者の内定率は100%)、進学者187名(進学準備含む)となりました。
◎就職概況
令和4年度は、6割近くの生徒が事務職に就くことができました。授業での学びや、取得した資格を生かした商業高校らしい就職状況であったと思います。
コロナ禍の状況ではありますが、求人数が多かった前年度とほぼ同様の求人をいただき、おかげさまで、学校斡旋希望者全員が内定をいただくことができました。
一方で、マスコミ報道にもありますように、劣悪な労働条件で働かせる“ブラック企業”の存在や、貧困層の増大、一生懸命に働いても貧困のスパイラルから抜け出すことができないなど、高校生を取り巻く就職状況は決して安穏としていられない状態にあります。女子生徒が9割を占める本校にとって、単身女性の貧困率の増大や、子供の貧困率の増大は看過できない社会問題の一つです。「どこでもいいから就職させる」といった安易な就職指導をしないことが、本校の方針であります。
令和4年度の特徴は、過去最高(技術者職を除くと道内最多)の公務員合格者(20名)を出した平成29年度には及ばないものの、昨年度を上回り過去2番目となる19名の合格者を達成することができました。8年連続で二桁の生徒が公務員になっています。一人で複数の合格を勝ち取った生徒もおり、延べにして38名が公務員採用名簿に登録されました。
卒業生の中には、企業の方から「本当に良い生徒さんを推薦していただいた」「東商業高校の生徒は即戦力です」と、多くのお褒めの言葉をいただいています。これからも、職業人として、職場になくてはならない人となるために生徒並びに教職員一同、日々精進して参ります。
◎進学概況
東商業というと就職というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、平成14年度以降は就職を進学が上回っております。特に、ここ数年は卒業生の3分の2が進学です。
今春の卒業生の内訳は、大学72名、短大15名、専門学校94名、そのうち看護大学・看護学校に進学した者は13名となっています。
<大学・短大への進学>
国公立大学では、小樽商科大学1名の合格を果たしました。
道内私立大学では、北海学園大学7名、北海道文教大学6名、札幌学院大学8名、北星学園大学7名、北海商科大学4名、北翔大学4名、札幌大学6名、日本医療大学8名、札幌保健医療大学2名、北海道情報大学6名、酪農学園大学2名、札幌国際大学5名、北海道武蔵女子短期大学11名、北星学園短期大学2名を始め、札幌市近郊を中心に進学しています。
また、大阪経済法科大学、桐蔭横浜大学などの道外進学者もいました。
過去の卒業生の中には東京大学、北海道大学、室蘭工業大学、上智大学や学習院大学など超難関大学合格を勝ち取った努力家もいます。“今の力で進める大学を選ぶ”のではなく、最大限の努力をして“いきたい大学に進学する”そういう強い意志を感じます。札東商はそのような進学指導を推進しています。
札東商の大学・短大進学者の多くは、学校推薦推薦型選抜入試や総合型選抜入試制度を利用して進学しています。推薦入試制度は、学習成績はもちろん、在学中に取得した資格や部活動などの特別活動を評価されて進学する制度です。進学の希望も実現させたいけれども、高校生活も充実させたい。学校行事、委員会活動、部活動、そして資格取得などを精一杯頑張ってみたいと考えているのであれば、「商業高校の強み」を活かして充実した高校生活と志望校合格を勝ち取る方法もあります。
「商業高校の強み」を活かした進学方法の一つに、資格取得を活かした受験があります。簿記や情報処理、英語などの高度な資格を取得することで、推薦制度やAO入試制度を利用した受験が可能になります。特に「全国商業高校協会大学特別推薦制度」は、商業高校生のみが対象となる制度です。各大学から指定された推薦条件の中に英語や商業の検定資格があり、その資格を取得することで、全国商業高校協会からの推薦が受けられるという制度です。法政大学、中央大学、同志社大学、立命館大学など普通高校からでも進学することが難しい、有名大学、難関大学の経済・経営・商学部が名を連ねています。
最近では、国公立大学を始め多くの有名私立大学でも、「専門高校枠」という商業高校生に不利にならないような入試制度を設けるようになりました。札東商ではこうした「商業高校の強み」を活かした大学進学を勧めています。
<看護学校への進学>
商業高校は普通科の高校と比較して理数系の授業数が少ないため、看護学校への進学は困難であると思われていますが、確実に看護大学・専門学校への進学を果たしています。
今年度は、道内の看護学校や、北海道文教大学、日本医療大学などの四年制大学の看護学部への進学も果たしています。ここでも「商業高校の強み」を活かした進学を勧めています。
また、道外の看護学校に数多く進学しているという点が特徴的です。なぜ道外の看護学校進学者が多いのかというと、道外の看護学校は道内より難易度がやや低く、また、“働きながら正看の資格を取得できる”“奨学金制度が充実している”など経済的負担を軽減できる学校が多数あるからなのです。
看護師の仕事は重労働で大変苦労の多い職業です。国家資格を取得するのも大変ですが、労働条件などの待遇面を考えると、女性が長く勤めることができる職業でもあります。札東商では女子生徒が多いこともあり、事務職や販売職への就職指導と並行し、一人ひとりの将来のことを考えて進路指導を行っています。
<専門学校への進学>
専門学校は将来の職業に直結する学校です。「ただなんとなく」という志望理由で進学してはいけません。専門学校選択は職業選択と同義と考える必要があります。夢を追いかけるだけではなく、専門学校卒業後の職業が「生計を立てることができる職業なのか」までも考えて選択しなければなりません。
専門学校を卒業しただけ、資格を取得しただけでは道は開けません。希望の職業に必要不可欠な資格や技術を身につけると同時に、その道で生きていくという強い決意が必要です。
札東商の卒業生の多くは明確な強い意志を持って進学しています。入学生代表として挨拶をしたり、体験入学の際には学生スタッフとして活躍したりと、単に成績が優秀というだけではなく、何事にも前向きにかつ積極的に取り組む姿勢が高く評価されています。昨今は最終学歴だけではなく、出身高校での評価を就職選考のひとつにしている企業が増えているという話を耳にします。本校の卒業生にとっては大変ありがたいお話です。