式辞、暖かな春の日差しがようやく訪れてきた今日、PTA会長、城野様、PTA副会長、篠田様、稲田様。楠見様のご臨席を賜り、ここに、普通科第51回、理数科第50回の卒業4証書授与式を挙行できますことは、職員一同、大きな喜びであります。
ただ今、呼名のあった312名の卒業5生諸君、ご卒業6おめでとうございます。諸君は、本校普通科、そして理数科の教育課程を修了し、本日、千葉県立柏高等学校をめでたく卒業7することとなりました。諸君の輝かしい門出を心から祝福いたします。
在学中は、日々の授業をはじめ、学校行事、生徒会活動、部活動など本校生徒としての3年間を経て進路決定に至るまで、その過程は決して平穏無事ばかりではなかったことと思います。特に、今年度の卒業8生諸君は、入学当初から、臨時休校となり、6月からのスタートとなりました。その後も、授業形態や授業方法の変更、学校行事の中止、部活動の大会中止など、教育活動全体に多くの制限が課せられ、我慢が求められた高校生活となりました。
現在は、減少傾向にありますが、未だ感染防止対策を講じている状況下であります。そのようななかでも、卒業9生諸君は、「健全・誠実・謙虚」を三位一体とした「人間性豊かな、社会に有為な、人材育成」という本校創立以来の教育方針の下、日々、知識を深め、技術を磨き、互いに競い、互いに支え合うことの大切さを学びました。
卒業10生諸君が、今後、活躍する社会は、人工知能やビッグデーター、ロボット技術が、あらゆる産業界に取り入れられ、現在とは大きく異なった世の中になっていくと思います。
このような、いわゆるソサエティ5.0と言われる高度情報化社会で、何をどうしたらよいか戸惑うことがあるかもしれません。
そんな時こそ、より豊かな感性を働かせ、新たな価値を創出し、自然災害や、現在でも人と人との争いが絶えないこの世界で、持続可能な自然環境や国際平和を作り上げていくこと。答えも正義も一つでない多面体構造の問題に対して、多様な意見を持つ他者と話し合い、力を合わせ、あるいは譲歩しあい、時を一にして皆が納得できなくとも、せめて共存でき得る方策を見い出していくことが、いよいよ求められます。
そのためには、より多くの知識とより多くの経験を前提とした、高度な判断能力が必要であると同時に、人類の真の幸福とは何かを考えていくこと。これこそ、県立柏高等学校の3年間で学んだことであり、今後も希求し続けるものなのです。学問を学ぶ、その意義は、単に個人の知的好奇心を満たすということだけではなく、人類の知的認識領域の拡大と、人類共有の知的財産を拡大することにあります。そして、社会生活上の便宜と利得の確保と同時に、国際平和の実現と、格差の是正を推進していく、いわゆる国際的視野を持った教養人としての人間形成であります。
四月からは、一人ひとりの夢や希望に向かって自らが選択した道筋を、自信と勇気をもって、少しずつでも前へ、明日へ、歩み出してください。そして世の中に「一隅を照らす存在」となって長く活躍することを願っています。
さて、本日、ご臨席賜わりました保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様のご成長に、親としての喜びと安堵を感じられておられることと思います。
今となっては、またたく間に過ぎたように感じられることかと思います。学習面や健康面、友人関係、進路など、親として、様々な心配も、あったことと思いますが、本日、このように、大きな一つの節目を迎えることができました。
ご承知のとおり昨年4月から民法の改正により成人年齢が18歳に引き下げられ、自己決定や社会的責任をお子様本人が追うこととなりました。今後は成人として、互いの意見を尊重しつつ、温かく成長を見守っていただきたいと思います。
結びとなりますが、これまで、本校の教育活動に、新型コロナウイルス感染防止対策にご理解とご協力いただきましたことに改めて心より感謝申し上げるとともに、お子様のご多幸と益々のご活躍を祈念し、式辞とします。
令和 5 年 3 月 8 日 千葉県立柏高等学校長 鈴 木 実