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取得日:2023年03月22日[更新]

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別紙様式11
                                             東京都立日比谷高等学校        指定第3期目     2933
 
 
              令和元年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
 
 
  1    研究開発課題
 『幅広い知見と豊かな国際感覚を有し、卓越した高度な理数探究能力を発揮して
                                 未来の技術革新に貢献できる知的プロフェッショナル人材の育成』
  2    研究開発の概要
   SSH3期指定3年次においても引き続き、初年度に掲げた研究開発課題のもと、来るべき21
 世紀に向けて、国際競争力を高め、科学技術分野におけるイノベーション創出に貢献出来る生徒の
 育成を目指し、研究開発の柱5点を設定して、各種事業に取り組んできた。
                                 《 研究開発の5つの柱 》
      I 次期学習指導要領における新科目「理数探究」の先行実施における研究開発
      II 学際的複合的視点を重視した国内外「高大連携」の研究開発
      III 将来の技術革新に直結する国内外「産学連携」の研究開発
      IV 先進的な「理数教育」を目指した高大接続カリキュラムの研究開発
      V グローバル人材の育成を目指し、国際化に対応したSSH事業の研究開発
  3    令和元年度実施規模
 
                                1年生              2年生              3年生              3年生
      課程・学科
                       生徒数     学級数   生徒数     学級数   生徒数     学級数   生徒数     学級数
   全日制・普通科       322         8       319         8       326         8       967         24
      (備考)特に、SSHクラスや理数科等は、配置せず、全校生徒がSSHの対象である。
 
   全校生徒を対象に実施し、3学年(1 学年8クラス、全24クラス)で約967名である。
 1年次では、生徒全員が学校設定科目「SSH課題研究I」において探究活動を行う。2年次では、
 学校設定科目である選択科目「SSH課題研究II」及び「理数探究I」、3年次では、「理数探究
 II」を配置している。その他、毎年、全校生徒参加または第1学年生徒全員参加のSSH特別講演
 会を実施するとともに、全校生徒が、文系・理系に拘わりなく様々なSSH事業に、希望すれば参
 加または応募が出来る体制となっている。
  4    研究開発内容
 ○研究計画
 ・学校設定科目「理数探究I」「理数探究II」の実施の研究開発
   SSH3期指定で、研究開発の一番の柱として掲げたのが、次期学習指導要領の新科目「理数探
 究」の先行実施研究開発である。全国に先駆け本校において、この新科目を実践してその成果を文
 部科学省、JST及び全国の高等学校に実施モデルとして提案するのが目的である。3期指定にお
 ける、この取組は以下の流れになっている。
  第1年次         初年度として、実施に向けてプロジェクトチームを編成し、半年かけて、指導体
                   制、指導方法、指導内容、指導計画、ルーブリック評価の作成等を行い、職員間
                   で実施に向けての共通理解を確立した。
  第2年次         第1年次で共通理解を確立した指導体制の下、2年次の学校設定科目『理数探究
                   I』(2単位)を開講した。初年度25名の生徒が履修し、理科・情報・数学の
                   ティームティーチングのもと探究活動を行い、その研究成果を年度末の本校SS
                   H成果報告会において公開制のもとで発表した。この研究成果については、「平
                 成30年度SSH研究開発実施報告書」に20頁を割いて記載し、文部科学省、
                 JST、及び全国のSSH指定校1に報告した。
  第3年次       2年次「理数探究I」の発展科目として、3年次の学校設定科目「理数探究II」
  (本年度)     (1単位)を開講し、昨年「理数探究I」を履修した3名が、引き続き「理数探
                 究II」を履修し探究活動を行った。この3名全員が、その研究成果を日本学生科
                 学賞に応募し、その内2名が中央審査での文部科学大臣賞、東京都大会最優秀賞
                 を受賞した。
  第4年次       2年次「理数探究I」(2単位)を35名、3年次「理数探究II」(1単位)を
                 5名が履修する予定である。
  第5年次       (令和3年度)3期指定の最後の年として、この5年間、先行実施研究開発して
                 きた「理数探究」授業の導入から実施に向けての取組とその成果を総括し、改め
                 て文部科学省、JST及び全国のSSH指定校2に報告する。
 ・国内外の「高大連携」「産学連携」に関する研究
   SSH3期指定のキーワード「将来の技術革新・イノベーション創出」に向け、基礎科学、科学
   技術、学際分野等に関する全ての事業の充実を目指し、来るデジタル革命の Society5.0 社会に立
   ち向かえる生徒を育成する事業内容と指導方法について研究開発する。
 ・豊かな独創性・創造性を育む「理数教育」を目指し、その指導法・教材の研究開発
  「SSH入門」「SSH基礎」「SSH発展」として位置付けた理科の各科目において、高大連
   携を目指したカリキュラムの研究開発の継続と一層の充実を図る。また、理科、情報、数学等各
   分野の連携を深め、教科科目横断的・複合的な学習の取組を導入する。
 ・国際化に向けた取組の充実
   加速するグローバル化社会に向けて、SSH海外研修の内容や研修方法の一層の充実を目指し、
   各SSH事業においては、更に、英語をツールとして積極的に活用する場面を増やしていく。
 ○教育課程上の特例等特記すべき事項
   本校の教育課程における理科の科目については、SSHとしての位置付けで組み込み、内容や項
 目については、時には学習指導要領にとらわれず大学に接続する内容を取り入れたり、実験や観察
 を重視した探究力を高める教科学習指導ができるように設定する。また、科目間の連携により学際
 型・複合型科目としての取組の研究開発を行う。(例)「物理地学」「生物化学」「物理化学」等
 
   学科         対象            科目名          SSHとしての位置付け      単位数      履修
 
               第1学年     地学基礎                  SSH入門              2       全員履修
               第1学年     生物基礎                  SSH基礎              3       全員履修
    普         第2学年     物理基礎                  SSH基礎              3       全員履修
    通         第2学年     化学基礎                  SSH基礎              3       全員履修
    科         第3学年         物理                  SSH発展              4      理系生徒履修
               第3学年         化学                  SSH発展              4      理系生徒履修
               第3学年         生物                  SSH発展              4      理系生徒履修
 ○令和元年度の教育課程の内容
   課題研究に関し、学校設定教科「探究活動」において、以下の学校設定科目がある。
   第1学年    「SSH課題研究I」※1          全員必履修科目(1単位)
   第2学年    「SSH課題研究II」※2         自由選択科目   (1単位)
               「理数探究I」             ※3   自由選択科目   (2単位)
   第3学年    「理数探究II」            ※4   自由選択科目   (1単位)
 ※1    生徒全員が、自ら課題テーマを見つけ、探究活動を行い、その成果を発表する探究活動の基
          礎・基本を学ぶものであり、本校では、次期学習指導要領の新科目「理数探究基礎」(1単
          位)に相当するものと位置付け、理科・情報・数学科の教員の指導体制のもと実施している。
 ※2    海外研修参加生徒が、自ら課題テーマを見つけ、十分な事前学習を踏まえ、現地での調査活
          動を行い、その研究及び体験し学んだ成果を分析し発表する。
 ※3    次期学習指導要領の新科目「理数探究」(1単位5単位)を全日制普通科高校が、2単位
          で実施するためのモデル事例となることを目指す先行研究開発の授業である。
 ※4    本校独自の設定科目であり、希望する生徒が、2年次「理数探究I」の研究を更に進め、そ
          の成果を学会レベルの論文にまとめ、学会や科学コンテストに応募することを目指す授業で
          ある。(前期で終了)
 ○具体的な研究事項・活動内容
   SSH3期指定の研究開発課題『幅広い知見と豊かな国際感覚を有し、卓越した高度な理数探究
 能力を発揮して未来の技術革新に貢献できる知的プロフェッショナル人材の育成』の解決に向け
 て、以下の《研究仮説》を立てて、各種事業を実施した。
                                  《研究仮説》
  『日本のみならず海外を含めた高大連携・産学連携及び学際分野の事業の取組を充実させ、理数
   融合の豊かな独創性や創造性及びグローバル社会における十分なコミュニケーション能力を身
   に付けさせることが、標記の本校SSH研究開発課題を達成することにつながる』
 
 
 【事業1】次期学習指導要領の新科目「理数探究」(25単位)の先行実施研究開発
        2年「理数探究I」(2単位)と3年「理数探究II」(1単位)として実施
 【事業2】国内外の高大連携・産学連携・研究機関との連携
    ・ハーバード大学地球惑星科学科「地震プロジェクト」との連携の継続(本校生徒の研究成果
   がハーバード大学地球惑星科学科のホームページに氏名とともに掲載し始めている) ・第2学
   年生徒全員320名参加のSSH特別講演会( 講師:飯島澄男先生、講演テーマ:「カーボン
   ナノチューブの発見  高分解能電子顕微鏡の開発  私の歩んだ道」) ・理化学研究所和光
   キャンパス訪問     ・東京大学理学部化学科研究室訪問   ・東京医科歯科大学研究室訪問
  ・(株)セコムIS研究所「AI」についての講演会 ・(株)三菱電機先端技術総合研究所「空
   中タッチパネルディスプレー」についての講演会 ・SSH天文学講座 ・SSH地球惑星講座
   ・SSHシミュレーション天文学講座       他
 【事業3】「SSH米国シリコンバレー&ハワイ島海外派遣研修」の実施
  ・スタンフォード大学生物学研究室での英語による講義 ・UCバークレーにおいて、2011
   年度ノーベル物理学賞受賞チームメンバーで宇宙物理学部長のフィリペンコ教授に対して、事前
   研修成果の英語によるプレゼンテーションの実施 ・ハワイ大学教授とのキラウエア火山国立公
   園での英語によるトレッキング講義     ・富士通アメリカ Open Innovation Gateway での英語によ
   るシリコンバレー研修 ・すばる天文台山麓施設において最先端の研究施設現場の見学と英語に
   よる講義     ・ボタニカルガーデンにて現地ガイドによる英語によるトレッキング講義      他
 【事業4】国内の野外フィールドワーク
   ・地質巡検(三浦半島城ヶ島)・生物臨海実習2回(芝崎三ヶ下海岸)(神奈川県葉山町)、
   ・生物臨海合宿(千葉県鋸南町勝山)・校内夜間天体観測、
 【事業5】国際化に対応したSSH各種事業の実施
  ・日本分子生物学会「英語による分子生物学講座」(3日間)・JSPSサイエンスダイアログ
   事業「英語による現代物理学講座」     ・「英語による海外派遣研修成果報告会」
 【事業6】「SSH入門・基礎・発展」科目における高大連携カリキュラム研究開発
        物理、化学、生物、地学領域における指導方法、指導内容の大学接続に向けた研究開発
 【事業7】科学コンテスト、各種科学オリンピック、各種学会等への参加
  5    研究開発の成果と課題
 ○研究成果の普及について
   1本校のホームページにて、「平成30年度研究開発実施報告書」の事業に関する「要約」と「成
   果と課題」、また平成25年度より本年度までの過去7年について実施してきた全てのSSH事
   業を「SSHたより」として公開している。22月の本校SSH成果報告会の実施
 ○実施による成果とその評価    (令和元年度)
 【「理数探究I」及び「理数探究II」での研究作品】
       ・日本学生科学賞   中央審査「文部科学大臣賞」受賞 & ISEF世界大会派遣(5月)
       ・日本学生科学賞   東京都大会「最優秀賞」受賞
       ・JSEC高校生科学技術チャレンジ        入賞
       ・「AI 時代の教育学会」設立総会での研究発表・8月19日発行《日本教育新聞》に掲載
       ・全国スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会      「ポスター発表賞」受賞
 【科学オリンピック表彰】
       ・日本生物オリンピック優良賞     受賞
       ・日本地学オリンピック本選     銅賞     受賞
      ・日本情報オリンピック予選      敢闘賞    受賞(2名)
 【学校評価アンケート】
 「学校評価アンケート」の《SSHは、生徒の知的探究心の向上に役立っていると思う。》につい
 ては、下記の通り、特に保護者や本校教職員においては肯定的な回答が大多数である。
 …………………………………………………………………………………………………………………
   生徒     955 名 [そう思う…… 28%    どちらかと言えばそう思う…… 38% ]
   保護者 676 名 [そう思う…… 44%      どちらかと言えばそう思う…… 34% ]
   教職員    71 名 [そう思う…… 30%    どちらかと言えばそう思う…… 56% ] (平成 30 年度末)
 …………………………………………………………………………………………………………………
      その他、卒業後の進路結果として難関国立大学・私立大学の理系への合格者数、国公立・私立
 医学部への合格者数ともに、SSH指定前の13年前と比べ、大幅に増加している。特に、国立理
 系進学希望者は、国立文系進学希望者に対し、昨年度は1.6倍になった。ここ数年、東京大学へ
 の合格者数が全国公立高校中で最多となっており、特に、東京大学への推薦1入学生徒においては、
 SSH海外派遣研修に参加したり、SSHの活動で存分に活動した生徒達が圧倒的に多い。
 ○実施上の課題と今後の取組
 ・次期学習指導要領の新科目「理数探究」を「理数探究I・II」として教育課程に組み込み、先行
   実施研究開発していく流れが完成し、その成果も出した。この取組の継続と更なる改善を目指す
   とともに、引き続き、全国の高等学校に発信し、モデル事例としてアピールしていく。そして、
   本校においては今後、更なる履修生徒の増加を目指し、成果を一層上げることである。
 ・SSH事業は、理数教育の充実を目指すものであるが、1年生全員必履修の「SSH課題研究I」
   のテーマ設定においては、今後、来る Society 5.0 社会を見据え、理数分野に限らず、加速する文
   理融合の学際化に向け、多様なテーマ設定を可能とし、理数関係の教員のみならず、全教員が関
   わる指導体制を構築していくことが、今後の本校SSHの重要課題と考えている。
 ・1年生全員必履修「SSH課題研究I」及び2年生選択科目「理数探究I」の取組を、授業「S
   SH入門科目」「SSH基礎科目」の内容と緊密な連携をしていくことや高大連携の充実や卒業
   生の活用も取り入れ、生徒の研究レベルの高度化を目指すことが更に求められる。
 ・SSH事業を本校の進路指導の一貫として捉え、全校職員の共通理解のもと、更なる進路意識向
   上につながる取組にし、日本政府の緊急の課題である科学技術系人材の育成に、全国のリーディ
   ングスクールとして更に積極的に取り組み、大きな貢献していくことが求められている。