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取得日:2024年03月19日[更新]

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                  校長室だより湘南の空                          第 32 号
 
                                                        令和6年3月7日
 
   自分と向き合い自由になること
   高校3年生の頃、人と比べてばかりいた私はもっと自分と向き合おうと決意
 した。これはとても勇気のいることだったが、広い世界への入り口であり、本当
 の自由につながることに気づいた。最近読んだ「学習する組織」(英治出版)で
 マサチューセッツ工科大学1(MIT)経営大学2院上級講師ピーター・M・センゲ
 氏が提唱する5つのディシプリン(訓練法)の1つである「自己マスタリー
 (Personal Mastery)」に近いと考えている。
   自分と向き合い継続的に自分に何が大切か明確にすることは「創造的緊張」
 (=良い緊張)を生み出し、「やってやろう」という意欲が湧く。一方で自分と
 向き合うことは、ビジョンと今の現実の乖離を知ることになり、創造的緊張だけ
 でなく「感情的緊張」(=コントロールできないストレス)も生み出す。そこで
 生じる「構造的対立」(=思い込み)に陥らないように、あるいはその構造を抜
 け出すように自分と向き合う訓練が肝要で、これを心掛けてきた。「自分と向き
 合い自由になること」は私にとって最も困難な道に挑戦することなのである。
   皆さんもご自身の自由について振り返ってみてはいかがだろうか。
 
   驚異の二刀流
   プロ野球選手を昨季限りで引退し、弁護士を目指している宮台康平さん(89
 回)が東京大学3法科大学4院に合格1した。
   現役引退後の 23 年1月から本格的に勉強をスタートさせ、それまで野球一色
 だった生活は激変。午前9時には勉強をスタートさせ、1日 10 時間をメドに机
 と向き合ったという。これまでとは対象的にランニングやウェートトレーニン
 グなど、体を動かすことが息抜きとなったと明かす。「夢へと歩む傍ら、野球界
 にも携わることが決まった。昨年から東京大学5総合文化研究科・生命環境科学系
 身体運動科学の特任研究員を務めているが、所属する研究室が東大野球部のデ
 ータ測定を担当。その縁もあり、今後はサポートに加わる予定だ。」(1月 11 日
 スポーツ報知)
   また、1月 11 日の東京スポーツによると古巣日本ハム関係者からは「翔平は
 もちろんすごいけど、宮台もやっていることは十分ヤバい(笑い)。このまま宮
 台流の『二刀流』を貫いてほしい」とエールが送られたという。
   さらに、慶應義塾高前野球部監督・上田誠さん(51 回)との湘南卒「文武両
 道」対談が「サンデー毎日1月 28 日号」に掲載された。
 編集部 宮台さんの湘南時代は上田さんの慶應の監督時代と重なります。
 上田 練習試合でうちの日吉台のグラウンドに来てもらったことがある。静
 岡高(静岡)と3校での変則ダブルヘッダーだったね。
 宮台 僕が高校2年の秋ですね。覚えていただいていて、うれしいです。
 上田 2試合目が湘南―静岡で、宮台君が投げた。静岡はうちと対戦した1試
 合目より先発メンバーを落としていたようだった。でも、宮台君が投げ始める
 と、ガラッとまた選手を代えてきた。僕は「すごく良いピッチャーだな」と思
 って試合を面白く見ていました。試合後、宮台君に「慶應大に来ない?」と声
 をかけた。そしたら「東大へ行きます」と返事が来た。「東大に行けそうなん
 です」と。
 宮台 懐かしいですね。その時はまさか東大へ本当に行けるとは思っていな
 かったので、ちょっと冗談交じりだったと思います。(中略)
 上田 僕が高校の時からそうですが、湘南の野球は基本的な考え方の部分に
 「自由」がある。指導者や先輩から言われて「はい」と従うだけではなく、先
 輩にも平気でものが言え、自分で考えて野球をしていた。僕はそういう部分を
 慶應の野球にそのまま落とし込んでいる感じでした。だから、湘南との対戦は
 プレッシャーに感じていました。
   湘南は基本に「自由」がある。指導者や先輩から言われて「はい」と従うだけ
 ではなく、先輩にも平気でものが言え、自分で考えて取り組む伝統がある。この
 「自由」は人生に地続きになった挑戦であるからこそ意味を持つ。
   近い将来、宮台さんが弁護士として世界のスポーツ振興に貢献する日を楽し
 みにしている。
 
   卒業おめでとう
   99 回生の皆さんは、入学以来、コロナ禍における学校生活を前向きに捉え、
 大いに楽しんできた。このような状況下だからこそ、学校は何のために存在する
 のか、勉強・学校行事・部活動の意味や目的について考えたのではないか。「そ
 もそも何のために」というところに立ち返り、一つひとつの活動の意味を確かめ
 ようと考え抜いて、借り物ではない、唯一性の高い活動を増やした。できる喜び
 と感謝の心に満ちた湘南生が周囲の人々を勇気づける場面が増えたように思う。
 昨年9月 18 日は、湘南生の創造力が紡いだ日本一の体育祭だった。
   湘南で完全燃焼した経験を糧に、やりたい分野から世界を動かしてほしい。
   人々の行動を変容させられる力が皆さんにはある。
   今後の活躍を心よりお祈りいたします。
 
   ―あなたは世界をどう変えますか―
   Always do what you are afraid to do.