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取得日:2024年03月19日
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音楽科 学習指導案
授業者: 真壁 宗太郎(神奈川県立厚木高等学校)
1 題材名 弦楽器の音色を生かして四重奏を楽しもう!
2 対 象 音楽I
3 題材設定の理由
今の社会や生活の中に存在する音や音楽を考えたとき、弦楽器は耳にする機会が多い楽器のひとつである。しかし、
それらに直接触れられる場は限られているため、身近に感じられない生徒は多い。本題材によってその壁を取り払え
たらよいと考えた。
弦楽器を演奏するには相当な訓練が必要だが、本題材では表現意図や創意工夫に基づいた技能の習得を目指し、そ
の技能は何のために活用できるのか、生徒が必要性を感じ取り、実感を伴いながら主体的に学習していく過程を重視
する。そのため、専門家による指導は一定の手順や段階を追って形式的に身に付けていくものではなく、生徒が感覚
的に捉えている「よい音」「よい表現」を論理的に理解する場として活用し、新たな知識の習得へと導いていきたい。
また、生徒の内発的な表現意図を促すため、試行錯誤の過程においてブレイン・ストーミングの手法を取り入れ、よい
音が出せたと感じたときにその技能について協働的かつ論理的に考察する活動や、表現の学習を充実させるための聴
く活動など、今までと異なる視点で音楽を捉えられるようにしたい。
本題材は、グループ内での奏者の役割が一人一人異なるため、お互いに関心をもって取り組まざるを得ない。生徒
同士が「対話」を通じて「理想の音色や表現方法」を追求する情報共有の場面を適切に設け、明確な答えをもたない音
楽表現の魅力や奥深さを感じ取らせたい。また、弦楽四重奏を演奏したり鑑賞したりする活動を通じて、音や音楽と
深く関わる資質・能力や生涯にわたって音楽を愛好する心情を育むとともに、社会における自己の存在価値や役割を
認識しながら深く学び続ける態度や、他者との関係調整能力の基盤となる力の育成を目指し、本題材を設定した。
4 題材の目標
弦楽器の音色、奏法、表現形態の特徴などに関心をもち、主体的・協働的に学習活動に取り組む中で、音楽を形づくっ
ている要素について知覚したことと感受したこととの関わりについて考え、弦楽器の音色や奏法、編成の特徴を生か
しながら表現を工夫して演奏する技能や、音色や奏法の特徴と表現上の効果との関わりを感じ取りながら鑑賞する力
を身につけるとともに、音楽を愛好する心情を養う。
5 学習指導要領の内容
1 A 表現 (2) 器楽
イ:楽器の音色や奏法の特徴を生かし、表現を工夫して演奏すること。
ウ:様々な表現形態による器楽の特徴を生かし、表現を工夫して演奏すること。
エ:音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受して演奏すること。
2 B 鑑賞
ア:声や楽器の音色の特徴と表現上の効果とのかかわりを感じ取って鑑賞すること。
イ:音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受して鑑賞すること。
6 題材の評価規準
a.音楽への関心・意欲・態度 b.音楽表現の創意工夫 c.音楽表現の技能 d.鑑賞の能力
1 弦楽器固有の音色、奏法、表 弦楽器固有の音色を知 弦楽器固有の音色、奏 弦楽器固有の音色を知覚し、
現形態(四重奏)などに関心 覚し、その働きが生み 法、表現形態(四重奏) その働きが生み出す特質や雰
をもち、それらを生かして演 出す特質や雰囲気など などの特徴を生かし 囲気などを感受しながら、弦
奏する学習に主体的・協働的 を感受しながら、その た演奏をするために 楽器の音色の特徴と表現上の
に取り組もうとしている。 特徴を生かした音楽表 必要な技能を身に付 効 果 と の関 わり を 感じ 取っ
2 弦楽器の音色や奏法の特徴 現を工夫し、どのよう け、創造的に表してい て、楽曲や演奏の解釈をした
と表現上の効果との関わり に演奏するかについて る。 り、それらの価値を考えたり
に関心をもち、鑑賞の学習に 表現意図をもってい しながら、音楽に対する理解
主体的に取り組もうとして る。 を深めよさや美しさを創造的
いる。 に味わって聴いている。
7 計画(全 15 時間)
時 ◇ねらい ・学習活動 ◆評価
◇楽器や演奏形態の基本的な内容を理解する。
・弦楽器や弦楽四重奏の歴史、楽器の構造、演奏技術を知る。
◇3種の弦楽器の音色や固有性、弦楽四重奏の表現の多様性について理解する。
1 ・同一の無伴奏曲をヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによる演奏で比較しながら聴く。
・曲想の異なる弦楽四重奏曲を比較しながら聴く。
3 ◇課題曲の全体像を理解する。
・ドヴォルザーク作曲 交響曲第9番「新世界より」第2楽章を聴く。
◇課題曲の旋律やリズム等を理解し、感覚を養う。
・ト音、ハ音、へ音記号による記譜の読み方を学び、課題曲の各声部を歌う。(ソルフェージュ)
【指導に生かす評価 a.12ワークシート・観察】 ※オンライン学習と対面学習の併用にて実施
◇楽器の基本的な扱い方を理解し、奏法や音色に関心を持つ。
・開放弦のみによる練習曲等を活用した楽器体験を行い、担当楽器を決定する。
4 ・実際に演奏する中で奏法と音色の関係を体感する。
◇各楽器専門の講師から奏法を学ぶ。
6 ・音色と身体の使い方の関係性(基本的奏法)について実践を通じて学習し、考察をワークシートに記述する。
また、課題曲の譜読みを行う。
【指導に生かす評価 a.12ワークシート・観察】
◇美しい音色による演奏の実現を目指す。《セクション練習》
・講師によるレッスンを振り返り、必要な内容を整理し、表現活動に生かす。
・課題曲の内容や歴史的な背景等を知り、曲や演奏に対するイメージをもつ。
・美しい音色を奏でるために必要な技能についてブレイン・ストーミングでアイディアを出し合い、講師によ
る演奏動画等を活用しながら、実践と検証を繰り返す。
・上記の過程や成果をワークシートに記録する。
7 【◆a1.b.ワークシート】
◇意図した表現による演奏の実現を目指す。《弦楽四重奏》
・八重奏(同パート 2 名)や録音で奏法や音色等を確かめながら、四重奏の実現に向けて準備を重ねる。
・課題曲の内容や歴史的な背景等を知り、曲や演奏に対するイメージをもつ。
・曲にふさわしい演奏表現に必要な技能や、四重奏における各自の役割について、ブレイン・ストーミングで
アイディアを出し合い、講師による演奏動画等を活用しながら、実践と検証を繰り返す。
・上記の過程や成果をワークシートに記録する。
・演奏会の本番を想定したリハーサルを行う。
【◆a1.b.ワークシート】
◇これまでの取組を生かし、演奏を通して弦楽四重奏を楽しむ。
・ステージマナーに配慮して、演奏を発表する。
・本題材の学習内容を振り返り、ワークシートに記入する。
◇これまでの演奏経験を生かして、弦楽四重奏を鑑賞する。
・楽器特有の奏法や音色の特徴に留意しながら、講師による弦楽四重奏の演奏を聴く。
・演奏家がどのようなことに留意しながら音楽をつくりあげているのかを知る。
・目の前で展開される生の音楽のよさを味わいながら鑑賞し、感じ取ったことをワークシートに記入する。
【◆a12.b.d.〔ワークシート〕
、c.〔演奏〕
】
8.本時の展開
■
公開授業
1
1 12 月 1 日(水)4 校時 1 年 F 組 【10 時間目】
指導内容 学習活動 ◇指導上の留意点 ◆評価
1. 本時の流れの説明 ・本時の流れを確認する。 ◇本時で取り組むことや意識すべきことを明
全体合奏 ・「速度」について確認する。 確に伝え、全体で共有する。
2.セクション練習 ・「美しい音色で演奏するために必
(ブレイン・ストーミング) 要なこと」を中心とした技術的な ◇各グループを巡回して指導する際、断定的
問題点について話し合い、効果的 な助言はせず、創意工夫や試行錯誤の余地
な解決策について考え、実践す を残し、生徒が自ら解決策を導き出せるよ
る。 う留意する。
3.弦楽四重奏 ・八重奏(同パート 2 名)で奏法
(ブレイン・ストーミング) 等を確かめてから四重奏に挑戦
する。 ◇ブレイン・ストーミングの際に挙げられた有
・「速度」の課題を調整しながら、 益なアイディアを具体的に指摘し、さらに発
「曲にふさわしい表現をするた 展的な取り組みに広げていけるよう促す。
めに必要なこと」や「四重奏での
自分の役割」について話し合い、
効果的な表現方法について考え、
実践する。 ◇活動が停滞しているグループには適切なタ
・お互いに演奏を聴き合うなどし イミングで声をかけ、話し合うべきポイント
ながら自分たちの演奏を客観的 や実践のヒントとなる事項を具体的に助言す
に確認し、完成度を高めていく。 る。
状況に応じて、録音も活用しなが
ら進める。
4.学習のまとめ ・片付け ◇本時の取り組み状況を振り返り、他のグルー
次時に向けて ・ワークシートに本時の学習の振 プの状況など、全体で共有できるようにする。
り返りを書き、次時の課題を確認 ◇何のために何を実践したか、本時で粘り強く
する。 取り組んだことを具体的に記入するよう促し
次時に試行錯誤すべきことを明確化させる。
◆評価規準 a1、b 〈ワークシート〉
■
公開授業
2
2 1 月 12 日(水)4 校時 1 年 A 組 【15 時間目】 視聴覚室にて実施
指導内容 学習活動 ◇指導上の留意点 ◆評価
2. 本時の流れの説明 ・本時の流れを確認する。 ◇本時で取り組むことや意識すべきことを明
・ワークシート1の内容を確認し、 確に伝え、全体で共有する。
鑑賞時の注意点を理解する。
3. 講師による弦楽四重奏の ・自分が弦楽器を演奏した経験を ◇各曲に関する基礎的な情報を解説するが、
演奏鑑賞 もとにしながら鑑賞する。 生徒が創造的かつ自由に鑑賞する幅を限定
的なものにしすぎないよう留意する。
【演奏曲】 ・目の前で繰り広げられる生演奏
・ヴィヴァルディ 『四季』よ だからこそ聴きとれる音の変化
り「春」第 1 楽章 に注意して鑑賞する。 ◇各曲を演奏する上で留意していること等に
・ハイドン 弦楽四重奏曲 ついて、講師の方に適宜インタビューをし
「ひばり」第 1 楽章 ・実技ワークシートのブレイン・ス ながら進行することで、生徒がこれまでの
・ドヴォルザーク 弦楽四重 トーミングの内容や、自分で記入 演奏経験をもとに鑑賞できるよう配慮す
奏曲「アメリカ」第 1 楽章、 した振り返りの内容も参考にし る。
第4楽章 ながら、演奏者の奏法の工夫や音
・アンダーソン 「プリンク・ 色の変化に注意して鑑賞する。
プランク・プルンク」 ◇「アメリカ」では、速度やバランス等を変化
・ プ ロ コ フ ィ エ フ バ レ エ ・気づいたことをワークシート1 させた数種類の演奏を部分的に比較しなが
『ロメオとジュリエット』 に記入しておく。 ら聴かせることで、表現と奏法の関連性や
より「モンタギュー家とキ 多様性について理解を促す。
ャピュレット家」
4. 学習の基軸となる問い ・弦楽器経験を生かした気づきや ◇生徒が創造的に思考する時間を十分確保
(ワークシート2) 生演奏の魅力について考え、ワー し、時間があれば内容を共有できるよう努
クシート2へ記入する。 める。
◆評価規準 a2 、d 〈ワークシート〉
4.学習のまとめ ・演奏者への疑問点や直接聞きた ◇録音ではなく、空気の振動を通じて直に感じ
いことがあれば質問をする。 られる生の音楽のよさや価値について、最後
【演奏曲】 にもう一度考えさせる。
・ドヴォルザーク ・授業で自分たちが演奏した課題
交響曲第9番より第2楽章 曲の模範演奏を鑑賞する。
「ラルゴ」