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取得日:2024年03月20日[更新]

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                  令和4年度 卒業証書授与式 式辞(令和5年3月3日)
 
                          のこぎり
      校舎の窓から臨む 鋸 山はまだ白く覆われています。しかし、お気づきでしょうか。
 山の麓の木々、街中の木々は、確実に、その新しい芽を膨らませています。着実に春が
 近づいていることを感じられる、そういう季節となりました。本日ここに、保護者の皆
 様とともに、新潟県立長岡高等学校            第七十五回卒業証書授与式を挙行するにあたり、
 同窓会長     柳   和久       様、親師会長   西澤敬介   様、副会長   土田直久   様、今井進太
 郎     様には、ご多用のところご臨席を賜り、卒業生、教職員ともに、心から厚く御礼申
 し上げます。
 
 
      只今は、普通科二百二十九名、理数科七十七名の皆さんに、卒業証書をお渡ししまし
 た。卒業おめでとう。心からお祝いいたします。
      皆さんが、ここ長岡高校で過ごした3年間は、新型コロナウィルス感染症に翻弄され
 た3年間だったと言えるでしょう。入学早々から臨時休校となり、クラスの全員が揃っ
 て登校できたのは1学期が終わろうとしている頃でした。部活動も多くの大会が中止、
 体育祭や文化祭1、SSH発表会など多くの学校行事が中止となり、思い描いていた高校
 生活とはかけ離れた1年だったのではないでしょうか。2年生以降は、感染の波は繰り
 返すものの、各種の学校行事は規模や実施方法を変えながら実施できるようになり、少
 しずつですが通常の高校生活に戻すことができました。
      これまでにも、社会情勢や自然災害で通常の高校生活を送れなかった卒業生は数多く
 います。どんな高校生活であったとしても、皆さんにとっては、多感な時期を、かけが
 えのない仲間と過ごした大切な高校生活です。ここで出会えた仲間たちをこれからも大
 切にしましょう。そして、長岡高校の卒業生であることに自信と誇りを持って、次のス
 テージで頑張って欲しいと思います。
 
 
      さて、長岡高校を卒業する皆さんへの餞として、これから二つの話をします。
 
 
      一つ目は「レジリエンス」についてです。レジリエンス、聞き慣れない言葉かもしれ
 ません。レジリエンスとは元々は物理学の用語であり、外部から圧力が加わった際に、
 それに反発する力を表します。現在では、「困難な状況に遭遇したとしても、精神的に
 大きく落ち込むことなく適応し成長する能力」を指す言葉としても使われるようになり
 ました。
      話は変わりますが、現代社会を象徴する言葉として「VUCA(ブーカ)」がありま
 す。VUCAとは、変動性、不確実性、複雑性そして曖昧性を表す英語の頭文字を繋げ
 たものであり、将来の予測が困難な状況にある現代社会を的確に表現した言葉といえる
 でしょう。これから、このような社会で生きていく皆さんですが、嬉しいこと、楽しい
 こと、充実感を味わうといった前向きな体験をたくさんして、たくさんのものを吸収し
 て欲しいと思います。一方で、先行きが見通せないがためにうまくいかない、やってい
 
 
 
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 ることが行き詰まる、成果が得られない、認めてもらえないといったことにも直面する
 でしょう。そのようなときに必要となるのが「レジリエンス力」です。
   レジリエンス力が備わっている人の特徴として、一つの考え方にとらわれず多様な考
 え方ができる、気持ちの切り替えが上手にできる、 自分にも周りの人にも優しい、周
 りの人と友好な関係を築ける、失敗してもへこたれずにチャレンジを続ける、自分の良
 い面がわかっている、といった点が上げられます。そして、既に皆さんは、この3年間、
 授業の中で、また、課題研究、ディベート、クリティカル・シンキング・トレーニング、
 サイエンス・イマージョンといったSSHの活動の中で、レジリエンス力をつけるトレ
 ーニングを経験しています。この経験を生かし、逆境に負けず、常に前を向いて、様々
 なことにチャレンジし経験を積んで、自信と実力を蓄えてください。長岡高校で、「和
 而不同(和して同ぜず)」、「剛健質樸」、「豪爽快活」という伝統精神のもと、自らを鍛
 えてきた皆さんには、それができるはずです。自信を持っていきましょう。
 
 
   二つ目は、昨年の卒業生にもお話ししたことです。昨年度行われた長岡高校創立百五
 十周年記念式典の式辞で、私は本校同窓の井上円了の漢詩を紹介しました。このときの
 漢詩は、校長室の私の後ろに今も飾ってあります。そして、その隣にはもう一つ、私自
 身が大切にしている言葉が飾ってあります。
   「やってみせて     言って聞かせて    やらせてみて      ほめてやらねば     人は動かず」
 皆さんの大先輩である山本五十六の言葉です。長岡高校を卒業する人が知らないでは済
 まされない言葉です。これには続きがあります。
     「話し合い     耳を傾け   承認し   任せてやらねば      人は育たず」
 更に続きがあります。
     「やっている     姿を感謝で見守って     信頼せねば     人は実らず」
   皆さんは、これから、大学等でさらに専門的なことを学び、その後、社会に出て、い
 ずれは人の上に立ち指導的な役割を担うことのなるでしょう。そのような立場に立った
 ときに、この言葉を常に頭に置いて、行動して欲しいと思います。皆さん一人一人が、
 世界を舞台に活躍するのと合わせて、それぞれの道で、後進の育成に力を注ぐことを期
 待します。
 
 
   最後になりましたが、保護者の皆様、お子さんのご卒業おめでとうございます。皆様
 には三年間、本校の教育活動に対しまして、陰(かげ)に日向(ひなた)に、ご協力をいた
 だきましたことに厚く御礼申し上げます。大変ありがとうございました。
 
 
   結びに、卒業生の皆さん一人一人が、それぞれの世界に向けて力強く旅立つ、その前
 途に幸多からんことを心から祈念して、式辞といたします。。
 
 
   令和5年3月3日
                                           新潟県立長岡高等学校長          鈴木   勇二
 
 
 
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