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(別紙様式3)
 
                                                                         令和2年3月 31 日
 
                                       研究開発完了報告書
 
 
 
 
 文部科学省初等中等教育局長 殿
 
 
                                            住所       長野県長野市南長野幅下 6922
                                            管理機関名 長野県教育委員会
                                            代表者名   原 山 隆 一               印
 
 
 
 
   令和元年度スーパーグローバルハイスクールに係る研究開発完了報告書を、下記により提出し
 ます。
 
                                               記
 
 1 事業の実施期間
    平成 31 年4月1日(契約締結日)令和2年3月 31 日
 
 2 指定校名
    学校名        長野県上田高等学校
    学校長名      廣田 昌彦
 
 3 研究開発名
    長寿県 NAGANO から世界のいのち・健康を支えるグローバルリーダーの育成
 
 4 研究開発概要
   長寿県 NAGANO が世界に誇る「いのち・健康」に関わる課題研究をすすめ、その研究成果を
 発信するためにフィリピン、アメリカや台湾への海外研修を実施する中で、自律的・協働的な 21
 世紀型スキルを育成する生徒全員参加型の教育課程の研究開発を行う。
 
 5 管理機関の取組・支援実績
 (1)実施日程
         業務項目                                    実施日程
                          4  5    6       7     8    9   10   11    12   1     2      3
                          月 月   月      月   月    月 月    月    月   月    月     月
     1 運営指導委員会                          1ア            1イ             1ウ
     2 探究的な学び研究会                            2
     3 SH 校フォーラム                                        3
     4 SGH 校取組紹介
     5 ICT 環境整備
     6 外国人配置
 (2)実績の説明
   1 SGH運営指導委員会:SGH関連授業参観、取組の概要説明、意見交換及び指導
     ア 第1回 令和元年8月5日(月)(於:上田高等学校)
       イ 第2回 令和元年 11 月 18 日(月)(於:上田高等学校)
     ウ 第3回 令和2年2月8日(土)(於:上田市文化センター)
   2 「探究的な学び」研究会:令和元年9月3日(火)(於:長野県総合教育センター)
     新学習指導要領の先行実施により、本年度から「総合的な探究の時間」が実施されているこ
   とを受け、各校の探究をさらに深めるため、長野県内の高校の取組の実践を紹介し、効果的な
   カリキュラム編成に資することを目的に実施。上田高校の実践について発表の機会を設定した。
   各学校の探究的な学びを推進する担当教諭、12 月に実施の「私のプロジェクト発表大会」に出
   場を希望する学校の指導者等、希望する教職員併せて 57 名が参加。具体的な事例を通して「総
   合的な探究の時間」のイメージが描けたとして参加者から好評であった。
   3 「SH校フォーラム」の開催 令和元年 11 月 15 日(金)(於:長野市生涯学習センター)
     文部科学省事業指定(SGH、SSH、地域協働等)校の高等学校長を中心に構成する会議。
   分野を越えて、各パイロット校がその研究開発の成果を相互に報告・共有し、カリキュラム研
   究開発の水準をさらに高めるとともに、事業内容の向上を図った。SH 校の校長に加え、将来的
   に指定事業への希望のある学校の校長を中心に 23 名が参加した。
   4 SGH校取組の紹介:運営指導委員会についての広報、SGH事業について県民への周知。
   5 ICT環境整備:全教室ICT環境整備 リース契約で約 400 万円支援
     電子黒板及び実物投影機の普通教室への整備 ・探究学習用PC42 台 ・WEB会議システム
   1式・無線アクセスポイント2台
   6 グローバル講師・ALT配置 約 860 万円
     ALT1名に加え、高校で教えた経験のある外国人講師を1名 独自に雇用。
 
 6 研究開発の実績
 (1)実施日程
       業務項目                       実施日程(31 年 4 月1日 2年 3 月 31 日)
                         4月   5月   6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月   3月
  1IR
  2GSI
  3GSII
  4GSIII
  5フィールト゛ワーク
  6台湾旅行
  7ワークショップ
  8研究発表会
  9松尾セ゛ミナール
  10フィリヒ゜ン研修
  11アメリカ研修
  12プレゼンテーション
  13外国人講師
  14留学1促進
  15留学2生交流
  16広報周知HP
  17運営指導委員会
 (2)実績の説明
   1 IR(国際関係論)[1年全員 3単位、学校設定科目]
     ・「世界史A」「現代社会」を学校設定科目とし再編成し、3単位で行った。
     ・地歴公民科の基礎知識を習得させグローバル課題の理解と考察を深めた。
     ・GSIと連携してグローバル課題についての背景まで含めた多角的な学習。
   2 GSI(グローバルスタディI)[1年全員 1単位、学校設定科目]
     ・「世界史A」「現代社会」を学校設定科目とし再編成し、1単位で行う。
     ・「IR」と「総合的な探究の時間」「英語」と科目横断・融合型授業を展開。
     ・課題研究の基礎となる学習。
   3 GSII(グローバルスタディII)[2年全員 2単位、学校設定科目]
     ・「社会と情報」2単位を学校設定科目とし再編成し実施。
     ・生徒個々の課題研究について、多角的に検討させ探究を深めた。
     ・共通の課題を持つ生徒同士がグループ学習を進めた。
     ・台湾研修旅行やSGH報告会を通して研究発表の実践的な取組を行った。
   4 GSIII(グローバルスタディIII)[3年希望者 1単位、学校設定科目]
     ・選択者は増加単位分として、放課後や休日などを利用して調査研究を行う。
     ・実情に即した政策提言でその影響評価まで含めて研究を行った。
     ・「北陸新幹線サミット」を主催。6月開催 参加者 167 名
     ・他のSGH指定校が主催する発表会でSGHの取組の成果普及共有を図った。
   5 フィールドワーク[1・2年全員]
     ア 1学年県内フィールドワーク
     ・テーマ「国際理解」「長野県におけるいのちと健康」
     ・課題設定、情報収集、整理分析を目的に実施。事前にワークショップを行った。
     ・全8コースによる調査を実施
     ・実施後は、中間発表会及び、全体の報告会において研修内容を発表した。
     イ 2学年 国内フィールドワーク及び海外フィールドワーク
     ・テーマ「世界におけるいのちと健康」
     ・国内フィールドワークは課題研究テーマに沿った全 11 コースで実施した。
     ・各地で、専門家や現地の学生や高校生との意見交換を行った。
   6 海外フィールドワーク(台湾研修旅行)[2年生全員]
     ・テーマ「台湾と平和」「世界におけるいのちと健康」
     ・課題研究のテーマに沿った研修先で学習した。
     ・現地高校生との交流も行い、草の根レベルの国際交流を行った。
   7 ワークショップ [1・2年生徒対象 計 4 回 合計 442 名]
     ・海外から研修旅行で来日した生徒との交流。(台湾から海外研修旅行4校を受入れ。)
     ・異文化理解の実践の場として、英語での積極的なコミュニケーションを図る。
   8 課題研究発表会 [1・2年全員及び、3年生 卒業生 一般 合計 736 名]
     ・課題研究の成果を2年生全員がポスターセッション形式で発表。
     ・ポスターセッションでは全員が英語でのプレゼンテーションを行う。
     ・講師、助言者として様々な分野での専門家やSGHで学んだ卒業生を招聘。
   9 松尾ゼミナール[全校生徒対象 958 名+座談会 40 名]
     ・グローバル課題をテーマに全員対象の講演会を行った。
     ・講演会の後、希望生徒による座談会を行った。
   10 フィリピン スタディツアー[選抜者 19 名(予定者)]
     ・NPOアイキャンが進める支援活動を学ぶための体験的なプログラム。
     ・NPOアイキャン、佐久総合病院国際保健医療科、JICA長野デスク等と連携。
     ・海外進学アドバイザーや各種連携機関等と連携し事前学習を進めた。
     ・本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から中止となった。
 11 アメリカ研修 ボストン スタディーツアー[選抜者 20 名(予定者)]
   ・世界最先端の治世に触れ、今後どのような学びが必要なのか理解する研修。
   ・各専門機関で、高校生がプレゼンテーションを行い、専門家から指導助言を受けるべく、
     事前学習をすすめた。
   ・本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から中止となった。
 12 校内外でのプレゼンテーション
   ア アカデミックプレゼンテーション[各学年希望者 54 名]
   イ G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合
   ・6月 15 日(土)長野県軽井沢町で開催されたG20 で高校生代表として発表。[3名派遣]
   ・「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」で、課題探究
     の成果を活かして野生生物の管理と地域の連携について政策提言を行った。
   ウ 第1回 NAGANO 英語プレゼンテーション大会[3名派遣]
   ・長野県立大学で9月 28 日(土)開催された大会に参加し研究発表を行った。
   ・発表テーマ「女性の社会進出について、上田市の母親の職場復帰を助ける子育て支援
     の在り方について考える。」
   エ 生徒の主体性を育む、県議会における高校生との意見交換会[1名派遣 100 名参加]
   ・長野県庁県議会等で行われた県会議員と高校生との意見交換会で発表。
   ・発表テーマ「牛丼が引き起こす水不足長野県で飼料用米稲作を促進しよう」
   オ 長野県高校生『私のプロジェクト』発表大会 [3名派遣 300 名参加]
   ・NPO法人「カタリバ」が主催、「マイプロ全国大会」の県予選。
   ・本年度から長野県教育委員会主催で実施され、個人部門・学校部門共に入賞。
   ・個人部門は最優秀賞にあたる県知事賞を獲得し全国大会進出。
   ・学校部門もこれまでの自分たちの学びの成果が評価されベストラーナー賞を受賞。
 13 ALTやGI(グローバル講師)と連携した英語による授業の推進[全校生徒]
   ・外国人講師2名により、生徒たちの実践的な英語力の養成に努めた。
   ・プレゼンテーションやディスカッション等の実践的なプログラムの開発を行った。
 14 海外留学3の奨励 [各学年希望者]
   ア 長野県教育委員会主催海外進学講座を本校で開催 [35 名参加]
   ・NPO留学4フェローシップと連携して開催。(毎年7月開催)
   ・海外で学ぶ日本人大学生によるセミナー形式で海外留学5の方法や研究を紹介。
   ・関心のある高校生 23 名が参加。世界で学ぶことの意義をワークショップで考えた。
   イ トビタテ留学6!JAPAN(官民協働海外留学7支援制度)の活用に努めた。
   ウ HLAB OBUSEには2名の参加者があった。[2名派遣]
   エ 上田市中央公民館、上田市多文化共生推進協会と連携し、在住外国人や留学8生との交
     流を進めた。
 15 留学9生との交流[各学年希望者 合計 62 名]
   ・フランスからの交換留学10生を1年次に1年間受入れ。
   ・文化祭において長野ビジネス外語カレッジの留学生を招待し交流イベントを行った。
   ・2月 11 日(火)には、海外の様々な国からの留学生 24 名との交流を行った。
 16 研究成果の普及について
   ・学校のHPでSGHでの研究成果を紹介。
   ・地域の市民講座やフォーラム、および小中学校で取組事例を紹介した。
   ・県教委主催高校教員対象の探究的な学び研修会で先進的事例として取組を紹介。
   ・活動報告書を域内の全県立高等学校へ配布し、研究成果の周知を図った。
   ・文化祭でも各種SGHの取組を発表した。
   ・国内外から計4件の視察を受け入れ、本校の教育システムや授業改善を紹介した。
 17 運営指導委員会の開催
   管理機関主催で、以下のとおり年間3回の運営指導委員会を開催した。
 ア 運営指導委員
   委員長    近藤誠一 氏(元文化庁長官・長野県文化振興事業団理事長)
   副委員長 滝澤 正 氏(上智大学名誉教授)
   委員      赤池 学 氏(ユニバーサルデザイン総合研究所長)
             大井恭子 氏(清泉女子大学教授)
             金子元昭 氏(シナノケンシ株式会社社長)
             中西 茂 氏(玉川大学教授)
 イ 第1回 令和元年8月5日(月)(於:上田高等学校)
   〇主な報告内容
   本年度の課題について、北陸新幹線サミットの成果、GSIII課題研究発表代表2名
   「若者の政治参加意識を高める。選挙に行こう!」「地域の観光産業の振興について」
   〇各委員からの指導・助言
   赤池委員 2人の生徒のプレゼンテーションも、報告書の進学実績も素晴らしいと感じ
     た。先生方も忙しいと思うが、もう一歩踏み込んで「取組から学べることは何か」を
     考えてほしい。報告書も拝見したが「生徒にこういうことを経験させました。」とい
     う報告に留まらず、心情的なケースタディーの分析や、教員の所感を加えることが、
     SGH事業を他校へと広げていく上で重要となる。そうすることで、SGH事業の取
     組をした生徒たちにとっても、学びがより自分事となっていくと思う。
   大井委員 今年は、全員の教員が指導に当たっているという報告があった。本事業の取
     組を他校へ汎用させていく上で、教員がどう関わり指導したのかのプロセスが参考に
     なる。探究的な学びを支援する教員の指導・関わり方の仕方をモデル化してほしい。
   金子委員 「汎用化」ということが取り上げられているが、SGH事業を汎用化させて
     長野県全体で活用していきたいという姿勢は素晴らしい。教員の関わり方・指導の仕
     方を暗黙知から形式知にしていくことが必要である。モデル化は難しいかもしれない
     が、それができれば他校での実践にも役立てられる。
   中西委員 「協働的思考力」という観点から見ると改善の余地があるのではないか。
     SGH事業の目的である「異質で多様な人と交わり、問題を解決してくことができる
     グローバル人材の育成」のためには、「協働的思考力」が重要になってくる。その点
     において「海外に行った経験を課題研究にどう活かしていくか」という視点が大切に
     なる。
   滝沢副委員長 上田高校では全員がSGH活動に取り組み、共通の部分と特殊化した部
     分をうまく組み合わせて運用している。この取組を通して、グローバルなことに興味
     のある生徒も、興味のない生徒も全員がグローバルなことについて学び、一定の共通
     認識ができる。これを土台にし、意識のある生徒を更に伸ばす指導をしてきたこと
     で、成果が上がってきているのではないか。教員全体で事業に関わるシステムを作る
     ことで、教員間でもグローバル教育に対する共通認識ができてきている。
 ウ 第2回 令和元年 11 月 15 日(月)(於:上田高等学校)
   〇主な報告内容 本年度の取組、生徒の能力育成について、来年度以降の取組について
   〇各委員からの指導・助言
   滝澤副委員長 中間報告を拝見し、優れた取り組みをしていると感じる。フィールド
       ワークにおいても、ただ実施するだけではなく、生徒のアンケート結果を分析し、よ
       り生徒たちが直接係われる企画へとステップアップしていく工夫をしているのがよ
       い。
   近藤委員長 上田高校では、既に取組を精査・改良をしているが、その中でも取組の汎
       用化の発想が素晴らしい。上田高校が率先し、日本全体の教育のレベルを上げるため
       に、他校でも汎用性のある指導法を開発していこうとしていることが評価できる。
         英語が堪能になることは極めて重要であり、英語ができれば世界で起こっているこ
       とをいち早く理解できるし、自分の言いたいことも世界に伝えられる。しかし、その
       結果として、日本語だけが持っている美しい言葉やニュアンスが、次第に使われなく
       なってきている。スマホはその典型かもしれない。便利で端的に情報を伝えられる
       が、おもむきのある言葉や日本語でなければ表現できないことを表現する場がなくな
       り、やがてその言葉の持つニュアンスすら感じられなくなっていく。英語は英語とし
       てマスターしつつ、同時に日本語(方言などローカルな言葉)に含まれているニュア
       ンスや文化を大事にするという発想を維持していかなければならない。また、英語と
       いう言語から日本語を外から理解し、日本語や日本人にしかない感性を育てていくこ
       とが大事である。今後のAI時代では、ローカルな多様性のある発想がどんどん駆逐
       されていく恐れがある。計算、論理性、効率性はAIに任せ、感性や創造性やひらめ
       きを磨いていかないと、人間はAI化していくがAIには勝てない。生徒たちの様々
       な能力を磨いていくと同時に、感性を磨いていくことも大切だと思う。
 エ 第3回 令和2年2月8日(土)(於:上田市文化センター)
   〇主な報告内容 本年度の成果と次年度以降への課題について
   〇各委員からの指導・助言
   赤池委員 研究テーマの上位にある「社会課題」に辿り着いているのか、いくつかの研究
       領域をつないでいる大きな共通課題への気づきが足りないと思った。この気づきを与
       えることこそが、課題研究をさらに深めるためには教師の重要な役割である。抽出され
       た個々の研究の課題をつなげる力や、補助線を引く力を養っていってほしい。こういう
       力こそが、解決策を導く想像力・知恵の本質だと思う。
   大井委員 地域の方々の考え方・見方が変わってきているとの報告があったが、そこま
       で影響があったということや、全教員がSGHの指導に当たっているということは素
       晴らしいと思う。5年前は「探究」という言葉が真新しかったが、今は探究的な学び
       が当たり前になっている。今後、上田高校のそれぞれの取組が、さらに他校へ波及し
       ていくことを期待している。
   金子委員 5年前とは全く違っているとつくづく感じている。「マイプロジェクト」で
       賞を取った生徒は、自分の足で地域の人々にインタビューをしたとのことだが、ネッ
       トなどの二次情報ではなく、自分の足で得た一次情報だったからこそ、発表にインパ
       クトがあったのだと思う。情報収集の仕方を指導することで、個々の研究がさらに改
       善されると思う。
   中西委員 「5年間お疲れさま」と申し上げたい。「全職員がSGHの指導に当たる」
       とあるが、どれだけ多くの大人が生徒の問題意識に答えてあげられるかがポイントで
       ある。次年度以降もこの取組を継続・発展させていってもらいたい。
   滝澤副委員長 「グローバルスタディIII」の取組について、「高校卒業後の主体的なキ
       ャリアデザインの支援ができた」とあった。探究的な学びがSGH事業を通して広が
       ったことの意義は大きい。単に既存の偏差値で大学を選ぶのではなく、高校時代に、
       自分なりの観点をもって進路を考えることは重要だ。
         今日のポスターセッションを参観して、具体的な経験を基に発表しているものは説
       得力がある。ベルギーでの経験を基に発表した生徒がいたが、よい発表だった。複眼
       的な視点から物事を考える指導すれば、研究の質がさらに向上するはずだ。
   近藤委員長 5年間の目覚ましい成果を感じた。5年前はここまで成果が上がるとは思
       っていなかった。この取組を持続可能なものにし、どう拡大することや充実させるに
       はどうしたらいいのかも考えていってほしい。生徒たちが大学生や社会人になったと
       きに、新しい組織なり環境・社会が、昔ながらの大学だったり、会社だったりもす
       る。そういった環境の中に入っていくと、課題を発見し問題提起をしていくことが難
       しくなる。そんな生徒たちを励ますためにも、卒業生同士のつながりを強くし、上田
       高校で学んでよい芽を出した生徒が、将来どんどん伸びていき、いずれ木になり花を
       咲かせられるよう応援をしていただきたい。せっかくここまでの成果を上げたので、
       縦・横にその成果を広く波及させていくことができれば、SGHは大成功の事業にな
             る。また、SGHの直接的な目的でなくても、波及効果として、生徒の政治に対する
             意識を高め、政府や自治体ができないことを市民として補っていき、社会全体をより
             よくデザインしていける社会人になっていただきたい。本来の望ましい 21 世紀の在
             り方を達成していくために、SGHで得た経験を一般の人々にも波及させていってほ
             しい。素晴らしい成果を上げていただいた。心から、お祝い申し上げたい。
 
 7 目標の進捗状況、成果、評価
 (1)中間報告での指摘を受けての改善・対応状況
   1 中間報告での指摘
       中間報告では、研究開発に関わるそれぞれの取組に対する評価については、当初の目的を
     達成している高評価を受けたが、評価方法についての改善が必要であるとの指摘があった。
   2 対応状況
       生徒の活動を評価するために、探究的な活動の深まりを測るルーブリックを開発し使用し
     た。課題研究の指導を全職員が担当する際に、指導の観点を明確に示し、それに基づいた評
     価を生徒にフィードバックした。生徒の能力開発における客観的なデータとしてはこれまで
     と同様、「GPSアカデミック」を採用し、継続的に生徒の能力の実態を把握し、校内で研
     究開発の改善について検討し指導方法の改善を図った。
 (2)検証・評価方法
     実施した評価
      時期     1年生対象       2年生対象       3年生対象   教職員対象   保護者対象   運営指導委員
      4月     アンケート       アンケート
      9月     アンケート       アンケート                                 アンケート   第1回助言
     12 月 GPS アカデミック   GPS アカデミック   アンケート                             第2回助言
      2月     アンケート       アンケート                    アンケート                第3回助言
   1 取組ごとの評価
    ア 生徒へのアンケートの実施
    (ア)主なアンケートの質問項目と結果
      ・SGH行事やSGHカリキュラム体験後、自己評価及び、満足度(自己評価)
      ・上田高校SGH行事をどう評価するか(事業評価)
      ・興味関心(グローバル課題・自国やローカルに関わる課題・協働性・思考力表現力等)
      ・汎用的スキル(課題研究・進路意識・海外研修・DDP・興味関心)
    (イ)5年間の変容から
      ・SGHカリキュラムの満足度は年度を重ねるごとに向上した。
        「カリキュラムを学んだ自身の自己評価:大変満足」 1期生 51%→4期生 73%
        「台湾研修旅行の満足度:大変満足」           1期生 52%→4期生 73%
        「諸行事の生徒による総合評価:大変満足」 1期生 38%→4期生 66%
        「SGH事業の総合評価:卒業時」             1期生 40%→3期生 45%
      ・卒業時の海外大学への進学意識はあまり変化しなかった。1期生 52%→3期生 52%
    イ 教員・保護者対象のアンケートの実施
      ・教員の意識も年度を追うごとに前向きな態度へ変化があった。
        「生徒の学問探究意識の向上した:肯定的態度」 H27 年度 68%→R1年度 83%
        「SGHに対する総合評価:肯定的態度」             H27 年度 86%→R1年度 92%
      ・保護者のSGH活動に対する肯定的な評価も向上した。
        「SGHの取組はお子さんの学習意欲を高めているか」H27 年度 43%→R1年度 77%
        「SGHの取組は教育活動の充実や活性化に役立つか」H27 年度 32%→R1年度 59%
   2 GPSアカデミックの実施
      生徒の汎用的スキルに係る、能力評価の客観的な指標としてGPSアカデミックを活用し、
    それぞれの指導の改善に努めた。
     ア 批判的思考力分野及び、創造的思考力分野
         検査項目の中で批判的思考力、創造的思考力の分野は順調に上位者Aランク層が増えた。
       ・批判的思考力分野A層(S層含む) H28 年度 25%→R1年度 45%
       ・創造的思考力分野A層(S層含む) H28 年度 31%→R1年度 55%
     イ 協働的思考力分野
         協働的思考力分野は伸び悩んだが、改善を加え再び上位者A層が増えた。
       ・協働的思考力分野 H28 年度 44%→H29 年度 35%→H30 年度 15%→R1年度 38%
 (3)研究開発の成果とその効果 (詳細は8以降のそれぞれの報告を参照)
   1 課題研究
     ア 対 象 全員(1年次・2年次は必修、3年次は希望者)
     イ 方 法 個別研修を基本とし、SDGsの解決に向けて政策提言を行う。
                 生徒をテーマ別のカテゴリーに分けて、効率よく研究を進める。
     ウ 効 果 探究的な学びによる研究を通じて、課題解決能力やDDPスキルが養成できた。
   2 研修・フィールドワーク
     ア 必 修 1年次 県内フィールドワーク、2年次 首都圏・台湾フィールドワーク
     イ 選 択 フィリピンスタディーツアー、ボストンスタディーツアー
     ウ 効 果 課題研究の充実やDDPスキルの向上のために、大学や研究視察の専門機関で
                 プレゼンテーションやディスカッションを行い、専門家から指導助言を受けた。
   3 各種研究成果報告会
     ア 必 修 「SGH報告会」 GSIIまでの研究成果を、全員が英語・日本語で発表する
     イ 選 択 「北陸新幹線サミット」GSIIIの研究成果を、県内外の高校生を招待して実施。
                 「アカデミックプレゼンテーション」海外での体験や研修の報告会
     ウ 効 果 課題研究の成果を発表する場を計画的に設けることで、生徒のDDPスキルを
                 大きく向上させる企画となった。
   4 域内への成果・周知活動
     ア 管理機関による研修会 「探究的な学び研究会」
       SGH5年間の取組を汎用化して、どの学校でも活用可能な学びの紹介を行った。
     イ 報告会等の公開
       上記、報告会を公開とし、域内の高等学校教員の学びの実践の視察対象とし、研修を実施。
     ウ 英語教員・ALT等のための研修
       SGH報告会では、生徒による英語プレゼンテーションについて、実際の発表を研修材料
     に指導方法や評価方法を学ぶ研修を実施した。
 
 8「5年間の研究開発を終えて」
 (1)教育課程の研究開発の状況について
   教育課程の特例措置に関わる学校設定科目について
     SGHの指定を受け、スーパーハイスクール事業の開発目標にあるグローバル・リーダーの
   育成に資する教育課程の研究開発を行うため、学校設定科目として以下、1から4の科目の開
   発を行った。
   1 IR(国際関係論)[1年全員 3単位、学校設定科目]
     「世界史A」「現代社会」を学校設定科目とし再編成し3単位で行った。地歴公民科の基礎
   知識を習得しながら、GSIと連携してグローバル課題について背景まで含めた多角的な学習
   を進めた。
   【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
     高校入学直後から自らが生活する世界についてこれまで以上に国内外へ視野を拡大し、世界
   で発生している出来事をジブンゴトとして捉えられるよう生徒に考えさせる内容となるよう教
   科開発の工夫を行った。
 2 GSI(グローバルスタディI)[1年全員 1単位、学校設定科目]
   「世界史A」「現代社会」を学校設定科目とし再編成し1単位分をこの科目として行った。
 「IR」と「コミュニケーション英語I」「総合的な学習の時間」を関連づけながら、科目横
 断・融合型授業をティーム・ティーチングも取り入れて展開し、課題研究を進めてきた。
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   「いのち・健康」をめぐる時事問題や県内の事象について、指定直後から従来の知識偏重の
 詰込み型の学びからの脱却をテーマに、主体的・対話的で深い学びを実践的に進め、探究的な
 学びを講義、調査、フィールドワークを通じて現状を知り、生徒各自が課題設定し、共通の課
 題を持つ同士がグループを組んでその課題研究を深めることができた。解決策を含む研究成果
 についての発表会を討論形式で行った。
   また、JICA、NPOアイキャン等の協力で国際関係ワークショップを行った。
 ○主な取組
   ア 国際理解教育「 S D G s の こ れ ま で と こ れ か ら 」
     5月 30 日(木) 講師 直井 恵 氏(海外交流アドバイザー)
         SDGsの各課題の理解を目的に、様々な国際課題の解決に向けて、今世界で起きてい
     る具体例を通して理解を深め、解決には先ず、物事の本質を知ることが重要であるという
     ことを理解した。特に、講演内で、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんのスピーチ
     が紹介され、生徒たちも同世代であるジェネレーションZの若者が世界に向けて行動を起
     こしている実践を目の当たりにし自分たちも何ができるのかを考えるきっかけとなった。
   イ 国際理解教育「世界が 100 人の村だったら」
     10 月3日(木)講師 竹内 岳 氏(JICA長野デスク)
                          直井 恵 氏(海外交流アドバイザー)
                          西坂 幸 氏(NGO法人アイキャン)
         「世界が 100 人の村だったら」を下敷きにしたクラス毎に世界の現状を理解するため
       のワークショップを実施した後、全体会でJICA長野デスクの竹内岳さん、NPOア
       イキャンの西坂幸さん、本校海外交流アドバイザーでNPOアイキャン代表の直井恵さ
       んによる講演を通じて、世界の格差や国内にある格差についても考える機会とした。
   ウ 課題研究
         本校のSGH研究開発では、生徒全員が個人で課題研究を行うことを必須とし、1年
       次には前半で探究の進め方や、社会課題についての体験的なプログラムを通して研究の
       素地を整え、後半には各自がSDGsの解決の視点を持って課題研究のテーマを見出
       し、研究する。その中で、各自の研究の設計や見通しへの指導を学校全体の教員が手分
       けして個別指導を行った。
         特に課題研究の指導では、課題発見から論文作成までの一連の流れをフローチャート
       に示し、初めて探究的な学びを行う生徒でも、研究が進められるようなガイダンスを行
       う。チャートには、自分が「どのような社会課題に問題意識を持ったのか」「その解決
       策としてどのような仮説を立てたのか」「研究を進めるためには、どのようなアプロー
       チや調査方法を採用するのか」「実際の調査には、どのような参考文献や情報を活用す
       るのか」等を考えさせる。また、仮説に対する反対意見を自らで想定させ、「自分の研
       究の客観性」や「その解決策はSDGsのどのようなターゲットの課題解決に繋がるの
       か」も当初から意識させる指導を行った。
         さらに課題研究を充実したものとするために、これまで社会人講座として各界の最前
       線で活躍する同窓生を講師として招き、キャリアガイダンス学習として行ってきた企画
       を、探究的な学びの要素を加え、課題研究の入門講座としてリニューアルして分科会方
       式で行った。分科会のカテゴリーは次の通り。
              カテゴリー                   講師名           タイトル
         1 人権・ジェンダー                岩下智太郎       ジェンダーと人権 弁護士の視点から
         2 歴史・アート                    高松 寿夫        『万葉集』―「令和」の典拠
         3 農業・資源                      吉川 友二        酪農・第一次産業が環境保護に果たす役割
         4 ビジネス・都市                  荻原 靖          企業の社会的役割とは何か?
         5 平和・貧困・国際協力            瀧澤 郁雄        健康を守る国際協力
         6 子ども・スポーツ                竹鼻ゆかり       子どものこころとからだのサインを知ろう
         7 生命・情報                      井出 浩一        情報通信技術の動向とそれが実現される時代に向けて
         8 医療                            吉澤 要          日本の医療・社会保障の現状と課題
         9 保健                            中田 覚子        看護の魅力、そして看護職に求められる役割
         10 テクノロジー1                  渡邉 博          イノベーションを起こそう!
         11 テクノロジー2                  中沢 信明        カメラを用いた非接触型インタフェースの開発
         12 地方創生                       浜村 圭一        まちづくり・むらおこしの勘所
     エ 探究的な学びスキルの習得
         課題研究をまとめる上で、ICT機器の運用スキルやプレゼンテーションの方法などを
       身に付け、協働的に学ぶ能力の養成を行った。プレゼンテーションの場として、国際理解
       教育のワークショップのまとめや、フィールドワークのレポートを行う中間発表会、課題
       研究の1年次の報告を行うSGH報告会を企画した。
 年間指導計画
    教科名         SGH           科目      GSI(グローバルスタディI)             単位数         1        履修年   1
 
                                                    学習進度計画
 
  学期・月           学     習   内   容             時間数                学   習   の   ポ   イ   ン   ト
 
             ICT機器スキルの習得                               近年の国内外の政治,経済上のグローバル課題を
       4                                               3
             グローバル課題の理解                                  1つ取り上げ,レポートを作成する。
 
             ICT機器スキルの習得                               前月のレポートに基づいてパワーポイントファ
       5                                               3
             国際理解教育                                          イルを作成し,プレゼンテーションを行う。
  前   6                                               3         プレゼンテーション以外にもテーマ討論等に取
             DDPスキルの習得
                                                                   り組むことにより,ディベート,ディスカッショ
       7    国際理解教育                               2
  期                                                               ン,プレゼンテーション能力の向上に努める。
 
       8    フィールドワーク事前学習                   2         「総合的な学習の時間」枠内で実施する「社会講
                                                                   座」(同窓会主催)とフィールドワーク(8コー
             フィールドワーク事前学習
       9                                               3          スから選択する県内バス研修)に関連した学習を
             フィールドワーク事後学習
                                                                   通じて進路意識を涵養するとともに,秋以降の課
                                                                   題研究の土台とする。終了後は自ら課題を設定し
             フィールドワーク事後学習
  後                                                               てパワーポイントファイルを作成し,プレゼンテ
       10    GSI中間発表会                            4
  期                                                               ーションを行う。
             課題研究入門
       11    課題研究入門                               3
                                                                  各自の進路目標とも連動させて,自らテーマを設
       12                                               3          定し,課題研究に取り組む。
             主に日本語レポートの作成と発表
             課題研究                                          「コミュニケーション英語I」の授業と連携しつ
       1                                               3
             主に英語レポートの作成と発表                         つ,英語レポートの土台を作る。
 
             SGH研究報告会
                                                               外部に向けフィールドワークの成果や自らの課
       2    JICA出前授業青年海外協力隊             3
                                                                  題研究を発表する。
             OBOG講演会
 
                                                               発表への評価を基に1年間の総括を行い,2年次
       3    課題研究報告書作成                         2
                                                                  の「GSII」への土台とする。
 
 
   3 GSII(グローバルスタディII)[2年全員 2単位、学校設定科目]
     「社会と情報」2単位を学校設定科目とし再編成し実施した。GSIの成果を発展させ、
   「いのち・健康」に関する共通の課題を持つ生徒同士がグループ課題研究を進める。
   【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
     課題研究の中間の成果を台湾研修旅行にて発表し、現地の高校生と議論を行った。その後、
   それぞれが課題解決策を含む研究成果をまとめ、2月のSGH課題研究発表会でポスターセッ
   ション及び討論会形式で実施した。
     また、研究成果を英語で発表できるように年間を通じて実践的なプレゼンテーションの方法
   やディスカッションの方法を学び、海外フィールドワークや現地の高校生との交流会では英語
   を用いてコミュニケーションをし、SGH報告会のポスターセッションで全員が英語での説明
   を加え質疑応答も行うことで、英語の実践力も養成した。
   ○主な取組
     ア 課題研究(GSII―J:2単位のうち1単位分)
         課題研究の発展的な研究、研究を深めるための首都圏フィールドワークや台湾研修旅
       行での発表やディスカッションを通し、各自論文をまとめた。
     イ 英語での探究的な学び(GSII―E:2単位のうち1単位分)
         外国人のグローバルインストラクターと日本人の教員で担当。
         英語でのコミュニケーション能力の獲得を目指し「自己紹介」「ディベート」「プレ
       ゼンテーション」「レポート作成」等の基本を協働的、対話的に学んだ。
     ウ 中間発表会 ポスターセッション 7月 29 日(土)本校の体験入学の企画
         中学生や保護者、中学校の教員を対象に、課題研究についてポスターセッション・質
       疑応答を行い、プレゼンテーションスキルを養成するとともに、研究の見直しや軌道修
       正のヒントを得た。
 年間授業計画
   教科名      SGH      科目         GSIIJ(グローバルスタディIIJ)        単位数        1        履修年     2
 
                                                   学習進度計画
 
 
  学期・月              学     習   内   容       時間数                学   習   の   ポ   イ   ン   ト
 
 
              課題研究テーマの確認・課題研                   課題研究の日本語レポート作成。
       4                                           3
              究                                             ICT スキル、モラルの学習。
  前
              課題研究・課題研究テーマの再
       5                                           3        レポートの完成。発表に向けて、テーマの再考察。
              設定
  期   6                                           3        レポートからプレゼンテーションに起こす。
              課題研究(スライド作成)
       7                                           2        研究手法を考える      先生方より助言を頂く。
                                                                     フィールドワークに関連した学習を通じて進路意識
       8   フィールドワーク事前学習                         2       を涵養する。自己の課題研究に照らし合わせて、関
                                                                     連のあるフィールドワークを行う。終了後は自ら課
                                                                     題を設定してパワーポイントファイルを作成し,プ
            フィールドワーク事前学習                                 レゼンテーションを行う。その際、SDGsと関連
       9                                                    3
            フィールドワーク事後学習                                 させて考える。
 
       10                                                    4
                                                                     日本との共通点や違い、自分の課題研究との関連な
            台湾研修旅行事前学習
       11                                                    3       どに着目して調べる。また、実際に行って感じた事
            台湾研修旅行事後学習
                                                                     も大切にする。「GSIIE」の授業と連携する。
       12                                                    3
 後
                                                                     「GSIIE」の授業と連携しつつ,英語レポートととも
       1   課題研究まとめ                                   3
 期                                                                  に自分の課題研究をまとめる。
                                                                     内外に向けフィールドワークの成果や自らの課題研
       2   SGH 報告会                                       3
                                                                     究を発表し、助言をいただく。
 
       3   課題研究報告書作成                               2       学習の年間総括を行い,キャリアに結びつける。
 
 
 
  教科名        SGH       科目              GSIIE (グローバルスタディII-E)          単位数         1         履修年       2
 
 学期・月                 学     習    内    容            時間数              学   習   の   ポ    イ   ン    ト
 
            Presentation          Skill       Level   Up             Make a short self-introduction presentations
      4    Project                                                  with visual aids, all in English
            -         Self-Introduction                              Use critical thinking skills to research Ueda
                                                             7
                      Presentation                                   City and create a trip tailored to a specific
      5    -         A   Trip        to    Ueda   Crit.             target audience.
                      Thinking Presentation                          Make a pair presentation to share your plan with
                                                                     classmates.logical arguments in English.
                                                                     Construct
 前   6                                                             Develop their research and source- verification
            Logic and Debate Project
 期         -         Logical Organization                           skills
                                                             7       Write short logical argumentative speeches
            -         Persuasive Rhetoric
      7    -         Impromptu Team Debates                         Study    parliamentary    debate         techniques   and
                                                                     participate in simple classroom debates in small
                                                                     groups
      8                                                             Study effective presentation elements
            Taiwan School Exchange Project                           Plan and create presentations based on
      9
                  -       Research                                   fieldwork and individual research projects
      10          -       Presentations                      10      Develop communication techniques for
                  -       Discussions                                presentations and discussion
                  -       Exchange                                   Design discussion questions and formats
      11
                                                                     Hold presentations and discussions for
 後
                                                                     classmates
                                                                     Record experiences and observations from the
      12    Taiwan Trip Report                               4       Interact with other students in an
 期                                                                  school exchange and Taiwan fieldwork
                                                                     international, intercultural setting
            Independent Research Project
                                                                     Prepare English speeches for the Independent
      1    -         Research Showcase English              4
                                                                     Research Project Showcase event
                      Speech
    2   -   Research Project English
                                             Compose   and   revise   a   short   summary   of
             Summary                    2
    3                                       Independent Research Project topic
 
 
 4 GSIII(グローバルスタディIII)[3年希望者 1単位、学校設定科目]
   選択者は増加単位分として、放課後や休日などを利用して調査研究を行い、実際の政策提
 言となるように研究を行った。
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   指定以来、グローバル・リーダー育成を目指し、2年生までに取り組んだ学びを応用し、
 研究を進めることで、真の学力の更なる獲得の支援を行うことができた。
   特に、生徒たちは学びを進める中で、二次的情報の収集のみで研究を行うのではなく、自
 らの力で一次的情報を求め、調査研究を行い、高校卒業後も必要となる研究のスキルを身に
 つけることができた。また、本校主催の「北陸新幹線サミット」や他のSGH指定校が主催
 する各種発表会等のイベントや集まりでSGHの取組の成果普及、共有を図った。
 ○主な取組
 ア 北陸新幹線サミット
     6月 22 日(土)に本校が主催し、北陸新幹線沿線SGH指定校や県内のSH校の生徒を招
   き分野別に課題研究発表会を実施した。
     当日は、国際協力機構(JICA)人間開発部次長 瀧澤郁雄氏から「世界の健康を守る
   :グローバルヘルスと国際協力」と題した基調講演をいただき、その後テーマ別6分科会
   形式で政策提言型のプレゼンテーションや高校生同士のディスカッションを行った。
     特に英語によるプレゼンテーション能力の向上を目的として、サミットでは他校の参加
   者とともに英語のプレゼンテーション及びディスカッションを行う分科会を設け、お互い
   に研鑽を積んだ。
     各分科会においてはプレゼンテーション 10 分間の後、グループディスカッション 15 分
   間行い、専門分野の講師3名から助言をいただいた。長野県教育委員会や長野県総合教育
   センター、長野県立大学やJICA本部、佐久総合病院、NGO・NPO法人等から外部
   指導者として招聘した。
     また、これまでのSGH活動の成果を普及させるため一般に広く公開し、県内外から多
   くの視察者を迎えた。運営にはJR東日本長野支社の後援をいただき参加者の歓迎ムード
   を高めてもらった。
 〇各分科会のテーマ
   分科会I 「信州発いのち健康フォーラム」
   分科会II 「地域課題から地域創生を提言12」
   分科会III 「グローバル課題から解決策を提言12」
   分科会IV 「グローバル課題から解決策を英語で提言」
 〇参加校
   県外 筑波大学附属坂戸高等学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校、
          新潟県立国際情報高等学校、石川県金沢大学付属高等学校、石川県立七尾高等学校
   県内 長野県飯山高等学校、長野県長野高等学校、長野県屋代高等学校、
         長野県篠ノ井高等学校、長野県上田高等学校
 〇参加者数 来校高校生 69 名、引率教員 20 名、講師来賓 18 名、一般参加 17 名、
          本校生徒 29 名、校内運営教員 14 名、 計 167 名
 
 総合的な探究の時間での学び
 1 フィールドワーク [1・2年全員]
   ア 1学年テーマ「国際理解」「長野県におけるいのちと健康」
     県内フィールドワークのための課題設定、情報収集、整理分析を行い、9月 12 日(水)
 全8コースによる調査実施後、クラスでワークショップや討論を行い、その成果を中間発
 表会やSGH報告会において発表した。
 〇各コース及び講師一覧
   A 環境・生命(いのち・健康を、食と農業と自然環境を通じて考える)
     NPO法人 ピッキオ 井上 基 氏 他 フィールドワーク
   B 国際理解(いのち・健康を、国際理解と歴史文化を通じて考える)
     長野県立大学グローバルマネジメント学部 森本博行 教授 講義及び演習
     亀清旅館 タイラー・リンチ 氏 他1名 ワークショップ
   C ビジネス・都市(いのち・健康を、まちづくり、海外発信を通じて考える)
     長野県立大学グローバルマネジメント学部 大室悦賀 教授                ワークショップ
     小布施町役場 大宮 透 氏、間瀬海太 氏、平岡 駿 氏 フィールドワーク
   D 国際協力(いのち・健康を、国際協力、多文化共生を通じて考える)
     塩尻市 コレージオ・ロゴス 小松崎キミヨ 校長 取材・交流体験
     JICA駒ケ根青年海外協力隊訓練所 岡田妙子 氏 サヤミ 氏 語学研修
   E 子ども・スポーツ(いのち・健康を、教育問題、スポーツ振興を通じて考える)
     AC長野パルセイロ 堀江三定 社長、大橋良隆 氏 講義・ワークショップ
     青木村立児童センター 沓掛英明 教育長、高田玲子 所長 講義・演習
   F 保健・医療(いのち・健康を、長寿を支える保健福祉活動を通じて考える)
     佐久総合病院 佐久医療センター 北澤彰浩 医師 講義・ワークショップ
     佐久大学 二神真理子 助教、金古吉美 氏 講義・ワークショップ
   G 化学・材料(いのち・健康を、化学材料と医薬品開発を通じて考える)
     信州大学繊維学部 本吉谷二郎 特任教授 講義・演習
     寿製薬株式会社 冨山 泰 社長、小出智和 氏                 講義・見学
   H テクノロジー(いのち・健康を、長寿を支えるテクノロジーを通じて考える)
     信州大学工学部 遠藤守信 特任教授 講義
     シナノケンシ株式会社 小野塚明葉 氏           講義・見学
 イ 2学年テーマ「世界におけるいのちと健康」
   課題研究テーマに沿った全 11 コースによる国内フィールドワークを9月 11 日(水)12
 日(木)に実施した。
 各コース一覧
   A 食と防災(いのち・健康を、震災復興と地域づくりを通じて考える)
     1日目 ベレッシュ(農業法人)、福島県立ふたば未来学園高等学校
     2日目 いわき市観光復興防災支援センター
   B 国際協力(いのち・健康を、国際機関と国連大学交流を通じて考える)
     1日目 東京外国語大学
     2日目 国際連合大学、JICA市ヶ谷地球ひろば
   C 歴史・アート(いのち・健康を日本の歴史と芸術文化を通じて考える)
     1日目 早稲田大学文化構想学部、東京ジャーミイ・トルコ文化センター
     2日目 国立歴史民俗博物館
   D 人権・ジェンダー(いのち・健康を、法律と人権、現代政治を通じて考える)
     1日目 上智大学法学部・法科大学院
     2日目 憲政記念館、最高裁判所、ヒューマンライツウォッチ、日本弁護士連合会
   E ビジネス・都市(いのち・健康を、経済活動と都市活動を通じて考える)
     1日目 東京証券取引所
     2日目 立教大学経済学部
   F 子ども・次世代(いのち・健康を、教育問題・多文化共生を通じて考える)
     1日目 慶應義塾大学総合政策学部
     2日目 アクション、東京学芸大学附属国際中等教育学校
    G 保健・医療(いのち・健康を、長寿を支える保健福祉活動を通じて考える)
      1日目 日本赤十字血液センター、国際医療協力局
      2日目 国際医療福祉大学成田キャンパス医学科コース、看護・理学療法コース
 
     H 環境・生命(いのち・健康を、生命科学と健康と薬品を通じて考える)
        1日目 筑波大学国際統合睡眠医科学機構
        2日目 昭和大学薬学部
     I テクノロジー(いのち・健康を、長寿を支える科学技術を通じて考える)
        1日目 筑波大学プラズマ研究センター
        2日目 産業技術総合研究所
     J テクノロジー(いのち・健康を、長寿を支える科学技術を通じて考える)
        1日目 理化学研究所 RIKEN
        2日目 上智大学理工学部
 2 台湾研修旅行 [2年生全員]
   11 月 26 日(月)30 日(金)で行われた台湾研修旅行では、台湾をフィールドとした平和や
 「いのち・健康」に関する学習及び、現地高校生との意見交換を行った。
   GSII課題研究のフィールドとして、交流の深い台湾を研修旅行の場として選定し、課題
 研究テーマに従い、グローバル課題について意見交換とテーマに沿ったフィールドワークを
 実施した。
   台湾と日本との間に共通する社会課題(IT化、高齢化問題や男女共同参画社会等の課
 題)について地元の大学や医療機関・日本から進出している企業等を訪問し、台湾の実情を
 見聞したり、自分たちの考えを発表したりした。
   また、最終日には、私立新竹曙光・國立新竹女子・國立新竹高級商業職業学校・國立科学
 工業圏区実験の4校の高級中学を、分かれて訪問し、日本に関わるプレゼンテーションや現
 地高校生との文化交流を体験した。
   ○フィールドワーク先
     A 外交・国際協力コース
          研修場所 國立臺灣師範大學國語教學センター、
                   公益財団法人日本台湾交流協会台北事務所
     B 観光行政コース
          研修場所 國立臺灣師範大學國語教學センター、台北市政府觀光傳播局
     C 歴史藝術コース
          研修場所 中華民国総統府、國立故宮博物院、二二八紀念館、華山 1914 文創区
     D ビジネス都市コース
          研修場所 國立臺灣師範大學國語教學センター
                   六福客棧、剥皮寮歴史地区、東三水街市場、點水樓小籠包製作体験
     E 教育子どもコース
          研修場所 臺北市士林区福林國民小學、臺北市立大學
     F 保健医療コース
          研修場所 臺北榮民總醫院、詣居日間照雇中心、淡水義山公托老中心
     G 自然環境コース
          研修場所 野柳地質公園、淡水紅毛城、漁礁埠頭、淡水老街
     H 産業技術コース
          研修場所 科達製薬股分有限公司、大溪老街、大溪老茶廠、八徳路電脳街
 3 GSI・II課題研究発表会 [1・2年生全員]
   2月8日(土)上田市文化センターを会場に、探究的な学びの総まとめとして発表会を行っ
 た。長野県教育委員会の高校改革推進参与の内堀繁利先生による基調講演の後、2学年・1
 学年で優秀な研究を行った代表者によるプレゼンテーションやSGH卒業生によるプレゼン
 テーション及び本校職員による模範プレゼンテーション及び、2学年全員による各自課題研
 究についてのポスターセッションを行った。各発表に対して生徒たちからもたくさんの質問
 が出され、活発な質疑応答があった。充実した報告会となった。
 
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   本校の課題研究は、全員が個人課題に取り組む方式で進めてきた。2年間の研究の集大成
 として、この発表会で全員が英語と日本語の両方で発表を行うよう指導した。
   特に、ポスターセッションの分科会は課題研究のカテゴリー別に同じような系統の生徒が
 集まるグループ編成をし、背景知識を有する生徒同士が集まっているので、プレゼンテーシ
 ョンの後の討論の場面でも、ディスカッションが簡単に成立しやすいように工夫した。ま
 た、各会場には専門分野の講師や校内の教員を複数名、助言者として迎え、また全員が発表
 の冒頭で行う英語の発表部分に対しても、英語で指導助言をしてもらえるよう県内の高等学
 校や中学校に勤務するALTや英語教員を多く招いた。こうした工夫が功を奏し、発表を見
 た後の質疑応答や研究に対する改善点についても互いにアドバイスし合うことができた。
 4 松尾ゼミナール[全校講演会]
   グローバルな課題をテーマとして、全校生徒を対象に報告会と講演会を兼ねたゼミナール
 を実施した。毎回、課題研究に関する意識とキャリア意識が融合的に高まるような工夫を行
 い、本年度は5月 23 日(木)、佐久総合病院佐久医療センター小児科医長国際医療部長蓮見純
 平氏による「世界は遠いか? Think globally, act locally の考え方」と題した講演を行っ
 た。講演では、ジンバブエでの海外青年協力隊での体験の後、小児科医を志した先生の経験を
 聞いた。「世界に関わろうとすれば世界は近い。遠いか近いかは皆さん次第なので、世界の一
 員として世界と関わっているという自覚を持って生きていくことが大切である」というメッ
 セージを生徒たちは真剣に受け止めた。
   また、講演会後に、講師と希望者で、講演会の内容や自らの研究に関わることやキャリアデ
 ザインに関わる質問や講師との意見交換を行い、更に学びを深めることができた。
 
 特別活動等での学び
 1 フィリピン スタディツアー [選抜者]
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   指定以来、フィリピンでストリートチルドレンの支援を行っているNPOアイキャンの活
 動に参加し、実際に現地の子供たちとの交流を通じて、社会における格差の現状や格差が引
 き起こす課題、ひいてはフィリピン国内の社会的課題を学んだり、支援の在り方自体につい
 て考えたりする機会を得る。子供の支援以外にも公的機関や病院も訪れ、事前学習に学習し
 ていたプレゼンテーションも行った。
   出発まで準備の段階でNPOアイキャンや佐久総合病院国際保健医療科、JICA長野デ
 スクと連携して事前学習を進め充実した研修となった。
   本年度は、3月 15 日(日)に出発の予定で、準備を進めてきた。残念ながら新型コロナウイ
 ルスの感染拡大防止の観点から中止となったが、体験的に学ぶこのようなプログラムは、感
 受性豊かな青年期の生徒たちにとっては大きな財産となることを確信している。
   帰国後、プログラムに参加した多くの生徒たちは、社会に存在する格差について従前の教
 科書で学んだ知識のみ理解にとどまらず、自分たちで行える支援の形を模索し、数種の発展
 的・実践的な課題研究に繋げられている。中でも、帰国後のツアー参加者が中心となって立
 ち上げたカンボジアでの上水道インフラが脆弱な地域の人々に、井戸を贈る「カンボジア井
 戸プロジェクト」は、自主的に校内外で広く寄付金を募り、集めた資金をもって実際に現地
 に赴き井戸を建設する活動を行い、継続的にその活動を広く周知することに努める活動が始
 まったり、自らの住む地域にも格差による貧困が存在することに気が付き、地域の子ども食
 堂に通う生徒への「学習支援」を行うボランティア活動を立ち上げる生徒たちが生まれてき
 たりしていることは、本校のSGH活動が目指す、一人ひとりのいのちや健康をささえるこ
 とのできるグローバル・リーダーの育成が順調に進んでいる証であると思われる。
 2 ボストン スタディーツアー研修 [選抜者]
   世界の地の最先端に触れるため、アメリカ合衆国ボストンを訪問し、ハーバード大学やマ
 サチューセッツ工科大学の研究室や関連施設で教授や大学院生にプレゼンテーションを行
 い、問題について討論をした後、専門家から指導助言を受け、各自の課題研究の参考にし
 た。また、パインマナーカレッジの外国人用学生寮で宿泊し、外国人向けの英語研修を受講
 したり、ボストン市内の美術館等の文化施設を訪問したりし、英語学習の実践的なトレーニ
 ングを行った。
   3月 16 日(月)からに出発の予定で、準備を進めてきた。残念ながら新型コロナウイルスの
 感染拡大防止の観点から中止となったが、参加予定の生徒は、約4か月間の事前学習を行
 い、プレゼンテーションの準備を行い、充実した準備ができた。
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   昨年度、研修に参加した生徒たちは、研修で学んだことを踏まえ、それぞれの課題研究の
 充実を図り研究を仕上げた。
   本年度も7月 22 日(月)には県教育委員会主催の海外研修報告会で英語による研修内容の
 プレゼンテーションを行ったり、6月に開催されたG20で高校生代表として環境保全に対
 する提言をしたりしている。
   また、これまで本研修に参加した生徒は、研修内容で学んだ内容に加え、各自のキャリア
 デザインを検討する際にも、グローバルな視点を持って、自らのキャリアを考える際の参考
 とすることができた。こうした点からも、本研修プログラムは、生徒たちに学びのフィール
 ドは国内のみにとどまらず、世界基準で学ぶことを気が付かせるきっかけとなる点でも教育
 的な効果が高いと言える。
 3 校内外でのプレゼンテーション
 【グローバル・リーダー育成に資する教育課程における変化、工夫】
   これからの日本の教育で求められる真の学力の養成には、自らの考えや主張を適切に相手
 に伝え、周囲と協働的に物事を進めていける力の養成も重要なポイントとなる。この点から
 も、本校のSGH活動では、様々な機会を積極的に活用し、生徒のプレゼンテーション能力
 や協働的に学ぶ姿勢の涵養に努めた。
 主な取組
   ア アカデミックプレゼンテーション
      海外研修や校外のグローバルに関わる催しに参加した生徒を中心に、研修報告会を実施
   し、聴衆との意見交換を行うことで、自分たちの研究成果やSGH事業の成果普及をはか
   った。
      本年度は4月 13 日(土)に行い、管理機関である長野県教育委員会学びの改革支援課か
   ら2名の講師を迎え「フィリピン スタディーツアー報告」「ボストン スタディーツアー
   報告」「カンボジア井戸プロジェクト報告」「オーストリア室内楽芸術研修」などのプレ
   ゼンテーションが行われた。報告会は一般にも公開し、全内容を地元のテレビ局で番組と
   して放映された。
   イ 「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」
     6月 15 日(土)に長野県軽井沢町で開催されたG20「持続可能な成長のためのエネル
   ギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」で、 課題探究の成果を活かして野生生物の管理
   と地域の連携について政策提言を行った。
     発表者は、本校の海外研修ボストン スタディーツアーに参加し、帰国後も研修を活かし
   英語でのプレゼンテーションの技術も研鑽を重ねた。
   ウ 第1回NAGANO英語プレゼンテーション大会
      9月 28 日(土)長野県立大学で開催された大会で「女性の社会進出について、上田市の
   母親の職場復帰を助ける子育て支援の在り方について考える。」と題したプレゼンテーシ
   ョンを行った。
     エ 「生徒の主体性を育む、県議会における高校生との意見交換会」
       12 月5日(木)長野県庁県議会等で行われた県会議員と高校生との意見交換会で、
     「牛丼が引き起こす水不足長野県で飼料用米稲作を促進しよう」と題し、研究発表を
     行った。出場生徒は、夏季休業中に自主的に「Future Global Leaders Camp 2019」(大阪
     大学主催)に参加したほか、11 月 23 日の予選を突破して本行事に臨んだ。当日は本生徒の
     プレゼンテーションの評価も高かったが、探究活動を通じた社会への参与意識を育むことも
     目標とされており、参加高校生による県議会傍聴や、議員も交えてのディスカッションも行
     われ、高校生たちが県政を身近に感じ、当事者意識を高める機会となった。
 
     オ 長野県高校生『私のプロジェクト』発表大会
       12 月 14 日(土)15 日(日)長野県総合教育センター及び、長野県塩尻志学館高等学校
     にて開催された。NPO法人「カタリバ」が主催し、高校生自身の学びの成果を発表する
     「マイプロ全国大会」の県予選が、本年度から長野県教育委員会主催で実施され、個人部
     門、学校部門ともに予選ラウンドを通過し、決勝ラウンドでは個人部門で最優秀賞にあた
     る県知事賞を獲得し全国大会への切符を手にした。また、学校部門もこれまでの自分たち
     の学びの成果が評価されベストラーナー賞を受賞した。SGHでの学びの成果が、生徒た
     ちの主体的な学びにつながり結実を見せた実践事例として大いに評価したい。
   4 ALTやGI(グローバル講師)と連携し英語による授業を推進する。
     管理機関から外国人講師2名の配置を受け、英語やGSの授業で、生徒たちの実践的な英
   語力の養成に努めた。
     特に、前述のとおりGSIIでは年間を通じて、すべての生徒が英語によるプレゼンテーシ
   ョンやディスカッション、自己紹介等の実践的なプログラムのもと英語力の養成に努めた。
 (2)高大接続の状況について
     SGHの研究開発には、指定以来、多くの大学の協力を得て多くの企画を進めてきた。
   1 東京外国語大学との連携協定
     平成 29 年には、東京外国語大学と連携し、2年次の国内フィールドワーク先としての受け
   入れや、留学生が多く在籍するゼミナールの本校への訪問時の特別授業の実施。全校生徒対象
   の講演会に大学の教授を講師として招聘するなど、様々な支援をしていただいた。また、毎年、
   本校からは将来のグローバルで活躍する人材を目指し同大学へ進学し、さらに研究をつづけ
   る生徒がいる。
   2 フィールドワークの受け入れ先としての大学の協力
     生徒のフィールドワークの受け入れ先として、県内の信州大学、長野県立大学、佐久大学等
   の各大学や県外の筑波大学、早稲田大学、慶応大学、国際医療福祉大学、立教大学、法政大学
   等の多くの大学が、本校の生徒の受け入れ生徒に対し課題研究の指導や支援をしていただい
   た。
   3 大学の単位履修制度の設置の有無について
     5か年では、単位履修制度の設置はなかったが、次年度以降、WWLの構築を目指し、県内
   の大学との単位履修制度設置に向けて準備中。
 (3)生徒の変化について
   1 生徒のSGH活動に対する意識の共時的な変化
     SGH活動の学びを重ねるにつれて、自身の成長を実感するようになる。
     ・日本語プレゼンテーション、英語の論文作成、プレゼンテーション意欲に向上が見られる。
     ・プレゼンテーション後、他からのフィードバックを得て自己肯定感が高まる。
     ・全体的に、学年が進むにつれて、SGH活動に対する肯定的な評価が高まる。
     ・海外留学に対する意識も学年が進むにつれて高まる。
   2 生徒の汎用的な能力に関わる通時的な変化
     GPSアカデミックの各能力の結果から、社会で必要とされる3つの思考力について、本
   校の生徒には以下の傾向が見られた。
     ・「批判的思考力」及び、「創造的思考力」については、指定以来年度を重ねるにつれて、
     その能力の向上が見られた。
     ・「協働的思考力」は、1年次から2年次になると下がる傾向が見られた。この背景には、
     学年が進むにつれて本校では課題研究が個人研究中心のスタイルになるためではないかと
     の仮説を立て、本年度は4月以来、授業で周囲の仲間との協働的な学びを、これまで以上に
     意識した指導を取り入れ、本年度の調査では、その数字に改善傾向が見られた。
 (4)教師の変化について
   〇 SGH活動の有用性 主体的・対話的な協働的学びに対する意識の変容
     指定前は、従前の知識・技能の習得を強調した指導に慣れていた教師にとって「アクティブ
   ラーニング」や「探究的な学び」の取組はなじみが薄く、高校教育の現場では特別なものとし
   て捉えられていたが、指定後に全員がSGH的な学びを理解すると、対話的で協働的に学ぶ生
   徒たちが、それまでより主体的に学ぶ姿が観察されるようになり、スタッフはこうした学びの
   効果を実感しながら、多くの教員が授業改善に取り組むようになった。当初は、対話的な学び
   合いのスタイルを採用し、授業内容の定着や生徒の汎用的な能力を養成していたが、一つの授
   業で取り扱うべき内容が多く、時間的な課題が指摘されていた。試行錯誤が続く中、指定の2
   年後の平成 29 年度には、管理機関により全ての普通教室に電子黒板等のICT機器の導入が
   なされた後は、板書の時間の短縮等で、協働的な学びの場面を生み出すことができるようにな
   り、加速度的に授業改善が進んだ。
     その後、学び合いのスタイルが定着し、多くの生徒の成長を目の当たりにするようになる
   と、教科内で主体的に授業改善に取り組む教師のグループが生まれた。
     本年度の職員対象のアンケートにも「スタートした頃に比べて、生徒も意欲的・積極的に取
   り組んでいるように感じる」「生徒たちの自分の意見を堂々と述べる姿勢に成長を感じる」
                                                                                    「上
   田高校は大きな変革を遂げたと思う」「生徒が自分は何に興味があるのか発見したり、関心を
   広げたりする機会になっていたと思う」「現代社会における様々な課題について、生徒の意識
   が高まっている」等の高い評価が大半を占め、否定的意見の比率はほとんどの調査項目できわ
   めて少ない。また「改善点・アドバイス」における個々のコメントも、建設的、未来志向的な
   ものが多くなり、SGH活動に対する総合評価も「賛同する」「どちらかというと賛同する」
   の評価で 100%となり、教育効果は、スタッフの共通認識となった。今後も、教員の意識の変
   化は、生徒の指導・支援に多角的でスパイラル状の発展を遂げると思われる。
 (5)学校における他の要素の変化について
   1 学校改革への積極的な参加
     SGH関連の科目以外の科目においても、授業改善が進んだばかりでなく、生徒会活動やク
   ラブ活動のみならず、PTAの活動にいたるまで、生徒の主体性などの汎用的な力を育成しよ
   うとする機運が高まっている。あらゆる機会をとらえて生徒の思考力や判断力、表現力を鍛え
   る観点で生徒に接しながら、教員の柔軟な試行錯誤がはじまっている。
     生徒会活動では、生徒総会の持ち方や役員の決め方を工夫することで、生徒の協働力や多様
   な意見を生かそうとしたり、クラブ活動では生徒の意見を取り入れて自主管理させたりする
   指導が増えてきた。また、考査問題の質の転換も進んだ。すべての教科が、毎回の考査に、生
   徒の表現力や思考力を測る問題を出題し、考査後には優良な評価問題は、すべての教員が共有
   できる仕組みと取り入れた。本年度の職員アンケートでも「知識技能だけでなく、思考力や判
   断力を問う考査を作問・実施できたか」についても「十分取り組めた」「取り組めた」が 81%
   で「取り組めなかった」と回答する教員はなくなり、考査の問題に思考力を問う問題を出題す
   ることも定着してきた。
     これらの変化は、本校での教育活動全般について、生徒の「学び」という視点で再検討し、
   前例にとらわれず、積極的に改善を行おうとする態度が生まれていることの証明と言える。
   2 保護者の意識の変化
     保護者のSGH活動に対する意識にも変化が見られ、本校のSGH活動の充実が進むにつ
   れて、保護者対象アンケートにおけるSGH関連項目の回答も高い評価の比率が増加した。特
   に「SGHの取組は上田高校の教育活動の充実や活性化に役立つと思いますか」という質問項
   目に対しては、3学年の保護者が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」という肯定的な
   回答も、平成 28 年度には 69%であったが、令和元年度には 83%まで向上している。
       また、「SGHの取組はお子さんの進路に対する意識を高めていますか」という質問項目で
   も、肯定的な評価が平成 28 年度には 32%であったが、令和元年度には 59%まで向上した。
 (6)課題や問題点について
   ○ 研究開発・実践の過程で生じた課題や失敗だったと感じている点
     ・海外進学の意識の涵養について
     生徒のアンケートの結果を分析すると「海外留学や海外大学への進学を考えている。」の項
     目で「高い」「普通」と回答した生徒の割合は、それぞれ指定された平成 27 年度当時 18%,
     65%、5年間を経過した令和元年度の調査の結果でも 18%,68%と大きな差はなかった。
         毎年、希望者対象の海外留学進学講座を開催したり、海外大学へ実際に進学した現役大学
     生を全校集会に招聘し、海外での大学生活の様子等を伝えたりしたが、海外進学の意識の向
     上をすることはできなかった。意識の向上が見られなかった理由について、抽出調査からは
     海外大学に進学する費用が高額となる点が主な理由と考えられる。
         一方、海外留学への意識は向上しており、校内で企画している海外研修への参加希望者は
     増加の傾向が見られることからも、今後、高校卒業後のキャリアを海外に見出す生徒につい
     ては、進学に対する資金面の支援等について、これまで以上に外部機関と連携し情報提供を
     する必要がある。
 (7)今後の持続可能性について
   1 研究開発の継続
       これまで本校で研究開発を行ってきた各種の取り組みについては、以下の通り継続する。
   ア 教育課程に関わる研究開発
       SGHで開発してきた教育課程上の特別な科目については、引き続き教科「グローバルスタ
   ディーズ」として次年度以降も継続して全生徒を対象に行う。(継続については文部科学省の
   認可済み)
   イ 総合的な探究の時間や特別活動に関わる研究開発
       総合的な探究の時間や特別活動として展開してきた各種の取り組みについては、次年度以
   降も継続して行う。特に「探究的な学び(課題研究)」関わる取組については、更に充実した
   ものとなるように改善を図る。
   2 海外研修の取組について
       これまで開発してきた海外研修(台湾研修旅行、フィリピン スタディーツアー、ボストン
     スタディーツアー)は引き続き継続して行う。この他の海外研修についても実施の検討を行
     う。
   3 管理機関の関わりについて
       管理機関として長野県教育委員会は、今後も高等学校等におけるグローバル・リーダー育成
   に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、
   問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育
   成を図ること目指し、県内の高等学校での教育改革を推進する。
       その際、上田高等学校については、文部科学省が進めるWWLコンソーシアム構築支援事業
   の基幹校として申請し、引き続き支援をする予定。
 
 【担当者】
              長野県教育委員会事務局
   担当課                                    TEL   026-235-7435
              学びの改革支援課
   氏 名      長嶋 幸恵                      FAX   026-235-7495
   職 名      指導主事                       e-mail   kyogaku-koko@pref.nagano.lg.jp