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取得日:2023年12月23日[更新]

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R5年度終始業式(10/2) 校長あいさつ
 
 
  全校の皆さんおはようございます。
  本日、終始業式にあたり、校長よりお話しをさせていただきます。
 
 
   さて、9月末日をもって前期が終了しました。
   前期は夏休みをはさんで 105 日の授業日がありましたが、皆さんにとってこの 105 日はど
 う過ごせたでしょうか?新しい事にチャレンジし、それまでの自分の殻から脱皮して成長でき
 た人から、様々な理由から立ち止まっていた人まで、人の数だけ様々な出来事があった 105
 日間であったと思います。皆さんのすべてを知ることは到底できませんが、その中でクラブ活
 動を中心に学校の歴史に残るような活躍ともいえる結果を残した個人やチームもあり大変う
 れしく思っています。
 
 
   本日より、後期が始まります。3年生で残り 80 日、1・2年生で 99 日の登校日があります。
 普通の高校でしたら、学年ごと行事が異なるとともに進路1や学習のねらいも異なるのですが、
 本校は「普通じゃないからオモシロイ」をキャッチフレーズとする総合学科ですので、全学年共
 通する教育上のねらいもって諸活動が進められます。それは、1年生であったら「シオジリ学」。
 2年生であったら「キャリアプラニングでの総合研究に向けた準備」。3年生は3年間の学びの
 集大成ともいえる「総合研究のまとめと発表」があるということです。このことはまさに、今、日
 本の教育が大きく方向転換を図ろうとしている「探究的な学び」を深めて行くということです。
 このことは、今の2年生から始まった新学習指導要領に基づくものですが、さかのぼること約
 30 年前から総合学科が作られた時、そのようなねらいを与えられていたことなのです。言い
 換えれば、ようやく時代が総合学科に近づいてきたとも言えます。
   では、なぜ「探究」が必要なのかということについてお話しします。探究型学習とは、「正解を
 暗記する勉強法ではなく、自ら問いを立てて、課題を解決するために情報収集をし、みんなで
 意見を出し合い、解決へと導く能力を育んでいく学習」のことを言います。このような学習が必
 要になってきた背景としては、社会の急激な変化があります。日本は 1950 年代より高度成長
 期となり、大量生産・大量消費の時代となりました。第二次世界大戦から復興した日本は、もた
 らされた平和を背景に経済発展を遂げました。人口も 2000 年に向けて急増し 8000 万人
 から 2000 年には約 12700 万人まで急増しました。わずか 50 年で人口が約 1.5 倍に増え
 ました。そんな中、工業製品は日本国内はもちろんのこと、海外でもメイドインジャパンの品質
 の高さが評価され製品は飛ぶように売れに売れました。そんな大量生産大量消費の時代に求
 められた人材は、マニュアルを短時間で理解し長く記憶し続けるとともに、高度な作業をブレ
 ずに繰り返すことができる忍耐力のある人でした。これを学校の教育に当てはめると先に述べ
 た「正解を暗記し、長時間にわたって勉強や作業を続けられる人材」となります。
 
 
   そんな時代は終わりを告げようとしています。もう皆さんが何度も耳にしている「正解が1つ
 ではない。予測も解決も困難な時代いわゆるVUCAな時代」です。デジタル技術の革新により
 AI・人口知能やVR・仮想現実によって高度な情報化社会がもたらされました。また地球温暖化
 に伴う気候変動や異常気象による自然災害、新型コロナウィルス感染症によるパンデミック、
 そしてウクライナへのロシアの侵攻に象徴されるゆらぐ安全保障。日本では、世界に例をみな
 い少子高齢化の波、あと 20 年も経たない内に人口は1億人を切り、65 歳以上の高齢者の占
 める割合は4割に近づこうとしています。そして、今一番危惧されているのが日本の有数な工
 業地帯を襲う南海トラフ地震です。今後 40 年間の内に90%の確率で発生すると言われてい
 ます。このような激動の変化に対応する柔軟性とで粘り強さをもつ国民を育成するために「探
 究型学習」が重要なのです。将来、皆さんが目の前に起こる出来事に対して自分以外の誰かに
 もたれ掛かって、「何とかなるだろう。誰かが解決してくれるだろう。」ではなく、困難に対して
 それを自分事と捉え、解決の道筋を自分なりに考えて、他者と力を合わせて解決に向かう力を
 高校でそのきっかけを学び、卒業後生涯にわたり育て続けて欲しいと思います。
 
 
   話は変わりますが、世界で最も幸福を感じている国民が多い国を知っていますか?
 答えはヨーロッパの北の方、「森と湖の国 フィンランドです。」日本と同じ位の面積の国土に対
 して、人口は日本の 20 分の1である 520 万人程度の国です。ちょうど、北海道に住む人口と
 同じです。この国の特長を語るとき無くてはならないのは、サウナ好きな人が多い国ではなく
 て、所得税は 75%と高いが、教育費・医療費は無料、つまりゆりかごから墓場までの手厚い社
 会保障を行っているという国です。かつては、世界的な大企業をもつ国でしたが今はそれもな
 く過大な利益と富をむさぼるような経済活動はみられません。したがって、長時間の残業もな
 く有給休暇日数は多く、通勤時間も少なめで、労働者は夕方4時には帰路につきます。このこ
 とも幸福度に繋がっている要因ですが、教育方針が先ほどから述べている「探究型学習を通し
 て生徒の自主性や問題解決のサポートをする教育」であります。したがって、フィンランドの子
 どもたちは、幼いころから「自分で考える」という習慣が身につき、思考力や問題解決能力を高
 めています。このことが、手厚い社会保障制度と相まって、今の職業に自分が合わなくて失業
 しても、十分な失業手当を支給されるとともに失業中の職業訓練に対する保障も充実してい
 るので、何度もやり直せて、新たな職業で働き続けられるという雰囲気になっているそうです。
 経済大国・お金持ちが多い国でなくても国民が幸せでいられる国に日本もなれたらなと思い
 ます。
   私は、少子高齢化と人口減少をマイナスと考えるのではなく、日本そのものが「いい形で縮ん
 でいくチャンスではないか」と考えたいと思います。そんな未来の社会を担っていくのは紛れ
 もなく皆さんです。是非、前向きに「探究型学習」に取り組んでください。
 
 
   最後に、感染症対策についての引き続きのお願いです。 休み明け校内の感染者数は急増し
 ました。最近は大分収まってきましたが、家庭内での感染が相変わらず続いている状況1です。
 普段と違う体調の場合は、ためらわず学校を休んでください。また、換気・手洗い等の基本的
 な感染対策を継続してください。特に、部室での飲食は集団感染のきっかけになりますのでし
 ないようにしてください。3年生は希望進路2実現のための試験、2年生は研修旅行と集団感染
 が起こると大きな影響をうける取組が間近にありますので、本日より1ヶ月は「感染防止対策
 徹底強化キャンペーン」を実施します。是非、協力をお願いします。
 
 
 以上、校長からの終始業式でのお話とします。