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令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
                   ロイロノート・スクールの活用方法まとめ
                                                                    愛知県立熱田高等学校
 1     授業での活用方法
     ○プリント等の解説を配付する。(数学)
     ○反転授業(予習用課題)を配付する。(数学)
     ○解答の共有,考え方の共有,解答の添削をさせる。(数学)
     ○わかったことやまとめを共有し,意見の交換をする。(数学)
     ○アンケートカードを利用して,授業の振り返り(数学)
     ○授業の理解度の把握。理解できた(白),半分くらいできた(黄),全然できない(赤)の
       それぞれのカードに理解できなかったことを書き,提出。次の授業で再度解説したりする。
       (数学)
     ○言語活動(Retelling など)の音声を録音し提出する。(英語)
     ○プレゼンテーションやスピーキングテストのスライド作成(英語)
     ○現代文では,学習後に記述の課題をロイロノートで提出させる。予習の確認,学習後のノー
       ト点検をロイロノートでする。(国語)
     ○古典では,資料の提示,品詞分解など,細かい情報を一斉に送るのに役立っている。(国
     語)
     ○古典で予習ノートを提出させ,確認してから授業を行った。(国語)
     ○シンキングツールを活用して,グループ学習に取り組む。(地歴・日史)
     ○提出箱への課題提出(地歴・日史)
     ○地理院地図を用い,自宅周辺の色別標高図を作成→スクリーンショットしたものを提出(地
       歴・地理)
     ○地図ソフトの航空写真1で様々な地形の実例を探す→特徴を捉えたものをスクリーンショット
       し,提出(地歴・地理)
     ○スマートフォンの画像データの取り込みがうまくいかない生徒はロイロノートで取り込みを
       行った。(情報)
     ○課題の提出(技能テスト,動画,考察など)(保体)
     ○反転授業→事前に学習内容の配付が容易(保体)
     ○評価のルーブリックの体系化→作成し,配付できる。(保体)
     ○問題を授業でやり,解答をロイロノートで配付して取り組ませている。(理科)
     ○授業内の質問を可能な範囲で,ロイロノート内で答えている。(理科)
     ○短い授業の動画を作成して,youtube へアップロードして URL をロイロノートで配信。また
       は直接ロイロノートで動画を配信(理科)
     ○調理実習の手順動画を配信して手順を確認させた。(家庭)
 
 2    家庭学習での活用方法
     ○小テスト等を授業で配付し,ロイロで提出。添削して返却(数学)
     ○授業ノートを配信して,演習の予習・復習を行う時に役立てる。(数学)
     ○質問の受付(数学)
     ○テストの振り返り(数学)
     ○週課題の提出(英語)
     ○期限までに提出できなかった課題の提出(英語)
     ○宿題の指示(英語)
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
      ○休校中の課題をロイロノートで提出させた。3年生ではほとんどの課題をロイロノートで写
        真に撮って提出させたので,非常勤の先生や提出締め切り日に休みの先生の分も回収でき
       た。ロイロノートでなければ,教科担当者以外が提出確認,添削,返却を短時間で行うこと
       は難しかったと思う。担当者変更の引き継ぎでも役立った。(国語)
 
 3      その他の活用方法
      ○総合の調べ学習をグループでまとめさせる。
      ○部活動での活用
      ○補習での活用
      ○休校中は体調や課題の進捗状況の確認に利用(2年)
      ○修学旅行中は毎日朝夕の体調管理表を提出(2年)
      ○休校中の課題を写真2で提出させ,解答・解説を資料箱に配付した。(家庭)
      ○作品の見本,作り方動画を配付した。(家庭)
      ○作品の写真3を提出させた。(家庭)
      ○学年通信の配信(3年)
      ○保護者会の資料提示。タブレットとサブモニターで情報のやりとり(3年)
      ○総合でインターンシップ報告をロイロノートで行う予定(1年)
 
 4     今後取り組みたいこと,こんなことができたらいいな
      ○印刷物がカラーの方がより理解できるもの(わかりやすい)が多くあるのでロイロノートで
        配信して,プリントをなくしたいが現状では生徒はスマホで見るので,画面が小さすぎて逆
        に見にくい。そのためカラーで配信できず,従来通りモノクロ印刷のプリントで配付しなけ
        ればならない。全員タブレットなら解決する。(2年)
      ○作品の相互評価に使いたい。誰が評価したか生徒にはわからないようにできればよい。(家
        庭)
      ○反転授業実施の際の動画がどこまで載せられるのか(容量が多いと見られない?)。(数
        学)
      ○Android 版や Web 版が使いにくい。(英語)
      ○1人1台タブレットがあるなら生徒のレベルに合わせた課題を送りたい。(英語)
      ○ロイロノート Web 版もちゃんと通知機能が機能してほしい。
      ○ロイロノートにスタンプ機能があるとよい。「見ました」「OK」など,日本語と英語で。
      ○ロイロノートのテストカードやアンケートカードは,学年全体やクラスなど集計の母集団を
        切り替えられるとよい。
      ○シンキングツールを用いて論理展開を図示し,ロイロノートを用いて共有する(国語)
      ○記述問題の解答共有,一斉に全員の解答を見て比較,添削する(情報量が多くなる。一覧で
        映し出すと小さすぎて見えない)。(国語)
      ○小論文添削(国語)
      ○漢文で訳文や書き下し文の並び替えや助詞,助動詞,置き字の指摘を行う。(国語)
      ○グループ設定ができるようになり,グループ間での画面配信(共有)ができるようになると
        よい。(地歴・日史)
      ○一つのカードを全員で同時編集できる機能があったらよい。(情報)
      ○生徒全員がノートではなくタブレット&ペンを持ち,ロイロノートに直接書き込むスタイル
        になったらよい。(情報)
      ○カード作成者が記録として残るシステムがあると盗作がわかるかも。(情報)
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      ○全教室に暗幕とプロジェクタ常設(情報)
      ○情報の授業としては,Google の Gsuite の方を使ってみたい。(情報)
      ○フォームなどを撮影し,ロイロノートを使って皆で分析(雨天時など)(保体)
      ○タブレットの数が増え,通信環境が整えば,グループに 1 つタブレットを配付して,グルー
        プでの活動や解答をロイロノートで提出してスクリーンで投影して共有していく。(理科)
 
 5     今後の展望
      <SAMRモデル>
 
 
 
 
         代替,増強で終わらず,変容,再定義を目指す。ロイロノート・スクールの活用はほんの
       入り口に過ぎない。“その先”に何が見えるのか。失敗を恐れず様々な角度から試してみた
       い。授業そのものがどう変わるのだろうか。デジタル端末の先には様々な世界がある。それ
       をどのような切り口で教材にするか。何と(どこと)繋がるとよいのか。一つのブームであ
       るSNSすら教材化可能ではないか。あらゆる常識を疑って授業そのものを見直してみた
       い。
 
 
          Modification(変容)→先生はさらに生徒に考えさせる時間を確保するために事前に教材
                                や情報を配信したり,生徒同士の学び合いが起こりやすいような
                                設計にしたりする。大事なのは生徒に考えさせること、演習をさ
                                せること。→現在この段階
          Redefinition(再定義)→先生が一方的に情報を与えるのではなく、生徒にいかに考えさ
                                 せることが大事かという本質に気付く。空間的、時間的にとら
                                 われない授業を再設計する。生徒が自立して学んでくれるよう
                                 な環境を作ってサポート。→この段階に移行中。目指す段階
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
                               思考力の育成に向けて
 ○トリプルシンキング正しく疑い,正しく発想し,正しく考える
 
 
 
 
 1 クリティカルシンキング(批判的思考)10 の思考のバイアス
     物事や情報に対してまず疑問を持つ,という思考法。何でもかんでも批判するということで
   はなく,また,否定するということでもない。
     クリティカルシンキングを活用することにより,常識やバイアスに気づき,視野を広げ,で
    きることの幅が広がる。どんな人も多かれ少なかれ思考に偏りがあり,自由な思考を阻害する。
    次のような「10 の思考のバイアス」から自由になるためには,意識してバイアスから逃れる
    ことが大事になる。
    ▼10 の思考バイアス
      結論ありきで考え 初めから結論を決めつけた上で,その結論に結びつく,都合のいい事
      る                  実だけを集め,それに反するものは除外する。
      新しいものを軽視 新たな情報や事実が見つかっても,従来からの考え方に固執して,考
      する             えを変えることができない。
      新しいものを重視 新しい情報が入ってくると,それを優先しがちで,古いものは軽視,
      する             または無視してしまう。
      自分の記憶に依存 自分がすぐに思い出せることだけに頼り,人に訊いたり,関連情報を
      する             集めたりすることを怠る。
      初期情報に依存す 情報は常に入れ替わっていくものであるにもかかわらず,初期に仕入
      る               れた情報だけに依存して考えを進めてしまう。
      相関関係と因果関 何らかの相関がみられる2つのことに対して,因果関係があるとして
      係を取り違える   捉えてしまう。
      経験がじゃまをす 過去の知識や経験に縛られて,ニュートラルな視点から新たな発想を
      る               することができなくなる。
      他責で考える        上手くいったことは自信の功績と考えるが,上手くいかなかったとき
                          には,運が悪かったとか,他人のせいだと考える。
      希望的観測で考え 客観的な事実にもとづかない,将来こうなって欲しいなという希望だ
      る                  けで予測を立ててしまう。
      不確実性を過小評 ポジティブシンキングが行き過ぎて,認識しておくべき将来の不確実
      価する              性を過小評価してしまう。
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 2 ラテラルシンキング(水平思考)5つの発想法
     ラテラルシンキングとは,規制の理論や概念にとらわれず,様々な異なる角度から物事を見
    たり,物事の新しい組み合わせを考えたりすることで,自由なアイデアを生み出すための思考
    法である。
      論理的にタテ掘りして解を導き出すロジカルシンキング(別名:Vertical Thinking,垂直
    思考)に対して,発想をヨコに広げていくことで解を求めていく方法のため,水平思考と呼ば
    れる。
      代表的なラテラルシンキングのやり方としては,次の5つの発想法がある。
    ▼5つの発想法
      種類                 説明
      1 改善法             既存のサービスに関する要望(不満)を担当者や顧客からヒアリ
                           ングし,それをベースにさまざまな規格を実施すること。
      2 翻訳法             他の国,同業他社,他業界にあるものを自分の業界にあてはめる
                           こと。
                           「欧米では」「A 社では」「自動車業界では」
      3 マトリックス法     表を作成し,欠けている(弱い)エリアの商品を開発すること。
      4 定点観測法         特定サービスの利用者を一定時間観測することで,特異な行動が
                           ないか調査し,サービス開発に活かすこと。
                           (職場,窓口,工場,売り場などに一日中座ってみるなど)
      5 合体法             ある分野のものと別の分野のものを合体させること。
 3 ロジカルシンキング(論理的思考)
     三段論法に代表される「演繹法」,ここの例から共通項を見つけ出し結論を得る「帰納法」,
   テーマが間違っていると仮定することで最終的にそのテーマの正しさを証明する「背理法」な
   どが代表的な思考法である。
      ここでいう「ロジカル(論理的)である」とは,「考え方に筋道を通し,主張と根拠を論理
    的に説明するフレームワーク(枠組み)」のことをいう。物事を因果関係(原因・結果),相関
    関係,包含関係などに整理し矛盾なく考える思考法である。
      代表的なフレームワークに,MECE がある。 「全体像を捉える」ために,「モレ」や「ダブり」
    がないように要素を洗い出すことをいう。
    ▼代表的なフレームワークMECE(ミッシーあるいはミーシー)
      MECE
        M:Mutually(お互いに)
         E:Exclusive(ダブりなく)
         C:Collectively(全体的に)
         E:Exhaustive(漏れがない)
    あるいは,「だから?(So what?)」と「どうして?(why so?)」というフレームワークも有名
    である。手持ちの情報を「根拠」として「主張」を引き出すのが「だから?(So what?)」,
    「主張」を「根拠」とする情報で検証するのが「どうして?(Why so?)」。つまり両者は逆方
    向の背中合わせの関係にある。
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 4 思考力の使い方思考法のコツと留意点
   ロジカルシンキングはフレームワークという点で,限界がある。
   ア ロジカルシンキングのフレームワークの限界
     a 前提次第で結論が異なる。
        ・前提次第で結論が異なる
        ・根拠の選択次第で主張が異なる
      b ロジカルシンキングを補完するクリティカルシンキング本当か,他にないかと疑う
          ロジカルシンキングには限界があり,それを補うのが,クリティカルシンキングであ
       る。前述の「前提次第で結論が異なる」ということであれば,「前提」を批判的に検証し
        て,前提の内容を入れ替えるのがクリティカルシンキングの役割になる。
            あるいは,「根拠の選択」や「要素の分解(因数分解)」も,クリティカルシンキング
         の活用により精度が高まるかもしれない。
           結局,ロジカルシンキングにおいては,「それは,本当か(妥当か)?」「他にない
         か?」など疑う視点を持つこと,思考のバイアスから極力自由になるよう意識的に働きか
         けることが必要である。
 
 
 
 
        c ロジカルシンキングを補完するラテラルシンキング^イノベーションを呼ぶ
            同様に,ラテラルシンキングも,ロジカルシンキングを補完する機能がある。
          前述のロジカルシンキングの「前提次第」だが,前提の選択肢を広げるのがラテ
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          ラルシンキングである。既成概念や常識にとらわれず,新たな前提を選択するこ
          とになる。
 5 その他の思考法仮説思考,アナロジー思考,デザイン思考
    ア   仮説思考
         仮説思考とは,今ある限られた情報だけで現時点で最も妥当だと思える結論を導
      き出す思考のことをいう。
        なお,仮説を迅速に立てる(仮説推論)とは,次の例で比較するとわかりやす
      い。
      ・演繹法:「雨が降ると,土が湿る。雨が降っている。その土は湿っている。」
      ・帰納法:「これまで,雨が降ると,土が湿ってきた。雨が降ると土は湿る。」
      ・仮説推論:「土が湿っている。雨が降ると,土が湿る。つまり雨が降ったに違い
      ない。」
    イ   アナロジー思考
         自分が知っている情報や経験を「未経験の分野」にあてはめると言う思考法を,
      アナロジー思考(類推)という。
    ウ   デザイン思考
         問題発見や解決のために,デザイナーが実践してきた手法を体系化したもの。
 
 
 
 
 6 思考内容の“見える化”の基本
    ア   思考内容の文字化
         文字化することは当たり前だが,その効能を4つ挙げておく。
      a 自分の考えが整理される
      b 自分の考えが俯瞰でき問題点や血管が見つけやすい
      c 自分の考えの範囲(スコープ)が明確になる
      d 他者との思考プロセスを共有しフィードバックを受ける
    イ 5W1H の順番
      a Why(理由)
      b How(方法)
      c Who(誰が)
      d What(何を)
      e When(いつ),Where(どこで)
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
                         ICT の活用とは何を目指すことか
 
 1    小中学校の現状(中学校訪問をして)
       中学校訪問をして,いろいろと現状を聞いた。名古屋市,大府は iPad が導入される。豊
      明,東海市は,Windows タブレットとのことだ。因みに豊明は,本年度は各クラスに1台整備
      で,来年度に一人1台になると話だった。
     つまり,まだ ICT の活用所ではないと言うことだ。
 2 「ICT の活用=情報リテラシー」なのか
     ICT の活用とは,何をすれば活用と言えるのか。
   (1) 情報リテラシーやコンピュータリテラシーのことか
         これは間違いなく,情報リテラシーでも,コンピュータリテラシーでもない(それは情報
        科の授業で育成する)。
      (2) ICT の活用とは,そもそも”誰が”活用するのか
           では,“誰が”活用するのかと言えば,それは教師であり生徒である。全ての学習活動に
        おいて,必要に応じてと言うことになる。ただし,情報モラルはどの授業でも意識させるべ
        きことだ。
      (3) 文部科学省はどう捉えているのか
            教科指導における ICT 活用とは,教科の学習目標を達成するために教師や児童生徒が
        ICT を活用することである。学習指導要領では,各教科において随所に ICT 活用が例示さ
        れている。これらは,1)学習指導の準備と評価のための教師による ICT 活用,2)授業で
        の教師による ICT 活用,3)児童生徒による ICT 活用の 3 つに分けられる。
        1)学習指導の準備と評価のための教師による ICT 活用とは,よりよい授業を実現するため
        に教師が ICT を活用して授業の準備を進めたり,教師が学習評価を充実させるために ICT
        を活用したりすることである。
        2)授業での教師による ICT 活用とは,教師が授業のねらいを示したり,学習課題への興味
        関心を高めたり,学習内容をわかりやすく説明したりするために,教師による指導方法の一
        つとして ICT を活用することである。その際の ICT 活用の目的は,情報の提示のためが最
        も多い。学習指導要領における教師による ICT 活用の例示の多くは,映像や音声といった
        情報の提示である。
        3)児童生徒による ICT 活用とは,児童生徒が,情報を収集や選択したり,文章,図や表に
        まとめたり,表現したりする際に,或いは,繰り返し学習によって知識の定着や技能の習熟
        を図る際に,ICT を活用することによって,教科内容のより深い理解を促すことである。
          学習指導要領の総則において,教師がコンピュータや情報通信ネットワークなどの「これ
        らの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」と記
        述されている。また,学習指導要領解説総則編では,「これらの教材・教具を有効,適切に
        活用するためには,教師はそれぞれの情報手段の操作に習熟するだけでなく,それぞれの情
        報手段の特性を理解し,指導の効果を高める方法について絶えず研究することが求められ
        る」と記述されている。
          これらの記述は,学習指導における ICT 活用の必要性の根拠であり,授業の中で ICT を
        効果的に活用し,指導方法の改善を図りながら,児童生徒の学力向上につなげていくことが
        重要であると考えられる。また,ICT を「有効,適切に」活用することが示されていること
        から,ICT の教育効果や活用する上での配慮点を十分考慮することが重要であるといえる。
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
        学習指導要領解説総則編第 2 章「教育課程の基準」によれば,学習指導要領は「目標,指
      導内容」等についての基準を示すものとされている。一方,目標や指導内容をどのように教
      えるかという「指導方法」は,学校および教師が工夫改善していくものであり,学習指導要
      領の総則において配慮する事項として示されている。その中でも,教科指導での ICT 活用
      については,個別指導やグループ別指導,教師の協力的指導等の指導方法や指導体制の工夫
      改善とともに,教育効果が期待できる指導方法として取り上げられている。
        また,教科指導での ICT 活用に関する記述は,情報社会の進展などの社会の変化を踏ま
      えた特色を示すものであると考えられ,各学校が常に工夫改善を図りながら,社会の変化に
      対応した教育活動を推進することの必要性を示している。ここでは,教科の学習目標を達成
      するために教師が ICT を効果的に活用することについて述べる。
        学習指導の効果を高める ICT 活用のためには,ICT 活用と教師の授業技術との関連を意
      識することが重要となる。単に授業で ICT を活用すれば,教育効果が期待できるものでは
      なく,ICT 活用の場面やタイミング,活用する上での創意工夫が教師の授業技術に大きく関
      わっていると考えられる。つまり,「ICT そのものが児童生徒の学力を向上させる」のでは
      なく,「教師の授業技術として ICT 活用を明確に位置づけることが児童生徒の学力向上に
      つながる」といえる。
         例えば,コンピュータや実物投影機等の映像をプロジェクタ等で大きく映すだけで,学力
      が向上すると単純には考えにくい。特に,児童生徒の興味関心を高めるためであるならば,
      単に映像を見せるだけではなく,指導のねらいや児童生徒の実態に応じた題材や素材を教師
      が十分吟味して選んでいくことが重要である。また,その映像をタイミングよく教師が大き
      く映して提示したり,提示した映像などを指し示しながら発問,指示や説明をしたりするこ
      とで,ICT 活用による効果が期待できる。より高い教育効果に結びつけるためには,ICT 活
      用に加えて,指導のねらいの把握,日頃からの児童生徒の実態把握,授業におけるタイミン
      グ,発問,指示や説明といった従来からの授業技術との融合も重要となる。この観点から考
      えれば,ICT による情報の提示は,板書のそのまま代わりになるものではない。提示した情
      報について説明等をした上で,従来通り重要な点は板書をし,児童生徒にノートをとらせる
      指導も重要となる。
         一方,児童生徒の立場で考えれば,ICT によって提示された情報を見て,教師の説明や指
      示等を聞き,対応する学習活動を行って学習が進むことになる。その際に提示される情報
      は,CD−ROM で入手された教科書準拠のコンテンツなのか,実物投影機で映した教科書で
      あるのか,インターネットによって入手されたデジタルコンテンツなのか,或いは,プロジ
      ェクタなのかプラズマディスプレイなのかといった提示手段や機器の種類の違いよりも,教
      師の説明等がよりわかるための情報の提示となっているかが重要となる。また,より高次な
      情報の提示手段として,ICT の特徴の一つであるインタラクティブ性の活用がある。ICT 機
      器を操作する教師とのインタラクティブ性が高ければより授業のしやすさは向上すると考え
      られるが,学力向上といった学習指導上の効果はむしろ教師と児童生徒とのインタラクティ
      ブ性を保障することの方が重要である。つまり,高価な ICT 機器であるかどうかや,技術
      的な難易度が高いといったこと,或いは ICT の特徴を活かした機能といったことだけで
      は,学習効果を高めるために直接的な役割を果たさない可能性もある。このような点に配慮
      して ICT 活用を行う必要がある。
 3 授業に ICT を取り入れるとは
     ICT の活用で,最も効果的である場面は,次の 2 つの場面であると考える。
   (1) 様々な視点から教材を見つめ,「気づき」や「発見」をさせたい場面
   (2) 様々な意見や見方や考え方をグループ等でまとめていく場面
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
   これらの場面は,共に思考過程を ICT により視覚化することが核になっている場面である。こ
   こに適切なシンキングツールやグループ活動や実験などを加えることで,より見方や考え方が
   育つのではないか。
     だから,教員が動画コンテンツを作成すること(必要な場面ではもちろん良い)やプレゼン
   テーション資料を作成するだけでは意味はない。それらをどう授業に位置づけ,組み込む必要
   性があるのかが重要である。
   <SAMR(セイマー)モデル>
 
 
 
 
   1 Substitution 代替
     紙に書いていたものを,ワープロソフトなどを利用して電子化する。
     (先生の視点)板書をプロジェクタ投影でやってみる。
     (生徒の視点)ICT は先生の道具。
   2 Augmentation 増強
     ワープロソフトや表計算ソフトなどの機能を十分に活用して利用できる。
     (先生の視点)動画を見せるなどすると生徒の理解度も上がるのではないかと考える。
     (生徒の視点)タブレットを利用してみよう。こんな風に使うと良いな。
   3 Modification 変容
       生徒同士の学び合いが起こりやすいような設計を行う。反転授業が一例。
       (先生の視点)生徒に考えさせること,演習をさせることだと気づく。
     (生徒の視点)タブレットを高利用するとより効果的で効率的だ。
   4 Redefinition 再定義
       生徒にいかに考えさせることが大事かという本質に気づく。
       (先生の視点)生徒のサポートに回ろう。
      (生徒の視点)自分から周囲に影響を与えられるし,チャレンジできる。
   ICT の活用を推進するには,どのような学びの空間を設計するかの議論に移るかが重要。4の
 段階に入ろうとしている。ここで,もう一度 ICT の活用を再考する必要がある。紙ベースに戻っ
 た方が効果的な場合もある。ICT の活用が効果的な場面に絞り込んで利用できることが重要。
 令和2年度あいちラーニング推進事業資料
 
 4   今後推進すべきこと
       今後推進すべきことは,1学校間で情報共有し,できれば教材化を進め共有する,2中学校
     に高等学校での指導事例を広め,発達段階に合わせた ICT の活用を研究する,3将来的には 1
   クラス 32 人学級を実現すべきである(32 名が理想なのは,グループ活動する場面において
   は,4 名で 1 グループとし,8 グループでき,その 8 グループを 2 グループずつカテゴリーに
   分けることが可能だからだ)。
 5 まとめ
       教え込もうとするから時間が足りなくなる。その結果は,目指す目標は達成できているの
     か,定着しているのか。何を考えさせ,何を「知る」必要があるかが大切だ。