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                                      巻 頭 言
 
                                                                        校長    年久
 
   平成 21 年度から経過措置も含めて9年間、文部科学省より指定を受けて様々な取組みを行って
 きた SSH(スーパーサイエンスハイスクール)研究開発も、第2期5年間の指定のうち3年目を迎
 えました。今年度におきましても、これまでの経験をもとに更なる理数系教育活動の開発をめざし
 て、
   「科学体感プロジェクトによる理工系プロフェッショナル育成プログラムの開発」を目的とし、
 多くの方々にご指導・ご支援を賜りながら、取り組んでいるところです。この度、令和元年度の活
 動を、報告書としてまとめましたので、ここにご報告申し上げます。
   第2期の活動には、大きな柱が3つあります。
   1つ目の柱として、
                   「科学的思考を楽しむ『実践科学実験』をはじめとしたアクティブラーニング
 の授業」の開発です。具体的には、新学習指導要領において求められている生徒自らが課題を発見
 し、課題解決に向けて主体的・協働的に学ぶという学習を、通常の教科授業の中で行うものです。
 昨年度の取組みを踏まえ、より発展的な課題研究を行うため、スモールステップを積み重ねながら、
 引き続き様々な形態・難度の授業を開発し検証していくこととしています。
   2つ目の柱として「協働・創意工夫を実践する探究授業(CS:Creative Solutions)
                                                                             」の開発で
 す。これまでの SSH 事業の経験と蓄積をもとに、更に充実した課題研究の指導方法や内容をめざし
 て取り組んでいます。1年生の「CSI」では、探究活動を行う基盤となる力を育成するため、自ら
 の考えをわかりやすく伝えるプレゼンテーション技術や発想力・論理的思考などを学ばせるととも
 に、大学の研究室での研修や校外のさまざまな発表会に参加し、議論や質問する力の育成を図って
 きました。2年生の「CSII」では、大学の研究機関などとも連携して調査・課題研究を行い、9月
 の中間発表そして2月の課題研究発表会へと、生徒たちが自ら考え研究する姿勢を向上させる仕組
 みを構築してきました。その研究過程においては「探究活動の過程を評価するルーブリック」や「探
 究活動を振り返る自己評価・相互評価となるポートフォリオ」などを取り入れ、評価を明確に示す
 ことで、課題研究への取組みのポイントなどがはっきりし、他者と協働して生徒が互いに成長し合
 えるシステムになっています。今後もさらに検証を重ね、内容・手法の向上や、教員の課題研究指
 導力の向上にも繋げていきます。
   3つ目の柱として「科学を感じ、高い志を育成する」取組の開発です。具体的には『体感』三丘
 セミナーや『体感』校外学習を実施しました。講義だけでなく、大学での実習や研修などを『体感』
 することにより、科学や研究への興味・関心を高めることができます。
                                                               『体感』校外学習の中の最も
 大きな取組みである「SSH 米国 NASA・FIT 海外研修」についても、事前に宇宙工学・天文学・航空
 学・生態学などの学習を実施することで、最先端、世界最高水準の研究に対する理解が深まり、よ
 り充実した研修へと繋げています。
   令和元年度につきましてもこれまで同様、大学の先生方や大学院生の皆様、SSH 運営指導委員や
 大阪府教育庁の皆様、本校同窓会の皆様、そして科学技術振興機構の皆様からのさまざまな観点
 でのご指導、ご支援により、当初の目的に向かって大変充実した SSH 事業を実施することができ
 ました。改めて感謝を申し上げますとともに、今後とも、ご指導、ご支援をいただきますよう、
 よろしくお願い申し上げます。
 
 
 
 
                                             1
                                         目次
 
 令和元年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)・・・・・・・3
 
 令和元年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題・・・・・・ ・・・7
 
 第1章     研究開発の課題・経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
 
 第2章     研究開発内容
 
   A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
 
              1探究活動を実践する Creative Solutions・・・・・・・・・・・・・・・11
 
              2実践科学実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
 
   B.高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
 
              1体感三丘セミナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
 
              2科学体感校外学習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
 
   C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
 
 第3章     実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
 
 第4章     成果の普及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
 
 第5章     研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方針 ・・・・・・・・・・・・・52
 
 第6章     校内における SSH の組織的推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
 
 関連資料
 
              運営指導委員会の記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
 
              ルーブリック・ポートフォリオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
 
              平成 31 年度の教育課程表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
 
 
 
 
                                            2
 別紙様式11
                                     大阪府立三国丘高等学校       指定第2期目         2903
 
 
               令和元年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
 
 
   1 研究開発課題
  科学体感プロジェクトによる理工系プロフェッショナル育成プログラムの開発
   2 研究開発の概要
  A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
    科学的な思考や創意工夫を楽しむ資質を育成するには、普段の授業で学ぶ内容が、世の中の様々な
  現象を理解することに役立ち利用できることを体感できる経験が重要であると考える。そこで、知識
  の活用に重点を置き、実験方法を生徒が協働してデザインできる“実践科学実験”を実施する。また、
  自身の興味関心のある現象・事象をテーマとし、定性的・定量的に理解しようとする態度・行動を促
  し質の高い探究活動を行うことも重要であると考える。そこで、探究活動において、開発したルーブ
  リックを用いた探究手法の提示および評価による到達度の明確化により、生徒の自主性を促すとと
  もに探究活動の質の向上をめざす。
  B.高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
    地球規模の共通の問題である環境やエネルギー・貧困などの容易に解決できない問題に、粘り強く
  取り組むためには、グローバルな視点で社会貢献できる高い志や使命感が不可欠である。高校生が高
  い志や使命感をもって社会に出ていく準備をするためには、科学が具体的にどのように問題解決に
  関わっているかを体感し、理想像や将来像、つまり“理工系としてのビジョン”を明確にすることが
  重要である。そこで、大学で学ぶ科学技術と社会の関係を体感できる取組みを充実させる。また、SSH
  の取組みを受けた高校生の将来像として、大学での研究者だけでなく、企業や研究機関での科学者・
  技術者を描ける取組みを開発する。
  C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
    他者と協力して目的を達成するには、自身の強み・弱みを理解することだけでなく、互いに改善を
  促す技術を獲得することが重要であると考える。そこで、探究活動に関するポートフォリオを用いた
  自己評価および生徒同士での相互評価(フィードバック)により、探究活動をともにするメンバーと
  コミュニケーションをとり、互いに成長し合えるシステムの構築をめざす。
  以上を本校での“科学体感プロジェクト”と位置付け、学校全体の取組みとして推進する。
   3 令和元年度実施規模
  1年生文理学科生徒全員 320 名
  2年生文理学科のうち理系進学希望生徒 218 名
  3年生文理学科・普通科のうち理系進学希望生徒 230 名
  各種講演会や校外学習は1・2年生全員を対象とし、希望生徒で実施する。
   4 研究開発内容
  ○研究計画
  第 1 年次(平成 29 年度)
                         :
    1 「Creative SolutionsI」では複数の教員が様々な分野の授業を実施することで探究活動を行
                                                3
      うための基盤を育成した。アンケートによる自己評価より、自身で考える習慣が付いたか、ま
      た考えを表現する技術が身に付いたかを調査した。
   2 平成 28 年度の新入生による「Creative SolutionsII」での発表会で、ルーブリックを使用し
      た評価を行い、各項目の平均点を調査した。ポートフォリオを用いた評価による効果を指導教
      員と生徒の面接およびグループ内での行動の変化で把握した。
   3 これまでに開発した理科の探究活動に特化したルーブリックの妥当性を再度確認するととも
      に、他教科へ作成方法を普及した。
   4 体感三丘セミナーおよび体感校外学習の実施による効果を評価した。
 第2年次(平成 30 年度)
                       :
   1 平成 29 年度に実施した「Creative SolutionsI」の授業が「自身の考えを表現する技術」
                                                                                    「深
      く考える技術」「科学的な発想を促す技術」を養ううえでどのような効果があったのかを
      「Creative SolutionsII」の授業担当者にアンケートを行い評価した。また、受講した生徒自
      身にもアンケートを行い評価した。
   2 平成 29 年度に用いたルーブリックに新たに、
                                             「協力して研究を行えることが出来ているかを評
      価する項目・手法」を加えることを検討した。
   3 課題研究において、指導教員や生徒の感想だけでなく、各発表会での各班のルーブリックの平
      均点の変化を比較することで各々の成長を評価した。
   4 課題研究の発表会の後ポートフォリオを用いた自己評価・相互評価(フィードバック)を実施
      し、その後アンケートや生徒の感想からその効果を調査した。
   5 体感三丘セミナーおよび体感校外学習の実施による効果を評価する。各取組みを2年間受けた
      生徒へのアンケートにより理工系としてのビジョンの明確さを調査した。
   6 他教科で試行したルーブリックの妥当性を複数の教員が使用することで検証した。
   7 「実践的な科学実験」の有効性を評価した。
 第3年次(令和元年度)
                     :
   1 「Creative SolutionsI・II・III」の授業がどのような効果があったのかを受講した生徒、授
      業担当者によるアンケートを行い評価した。
   2 開発した教材およびルーブリック、ポートフォリオを運営指導委員会等で、評価を受けた。
   3 課題研究において実験のノートの正確な利用を目的とし、ルーブリックの改定を行った。評価
      の資料の項目を作り、その中に実験ノートも評価対象に入れた。
   4 実践科学実験のさらなる教材開発を行った。
   5 体感校外学習・SSH 米国(NASA・FIT)海外研修のプログラムの改善を行った。
   6 科学オリンピックへの参加者数・予選通過者数の推移から、普段の授業内容や実践的な科学実
      験の効果を検証した。
   7 3年間の科学体感プロジェクトとしての成果を評価し、さらなる改善を行った。
 第4年次(令和2年度)
                     :
   中間評価をふまえた改善を行い、次年度の申請に向けて企画・取組みを整理する。
 第5年次(令和3年度)
                     :
   5年間の集大成として本校の取組みと効果を検証し、開発した教材をはじめとした成果を、他校へ
 普及する。
 
                                             4
 ○教育課程上の特例等特記すべき事項
 特になし
 ○令和元年度の教育課程の内容
 『Creative SolutionsI(1単位)
                              』第1学年文理学科生徒全員
   探究活動の基盤として、
                       「自身の考えを表現する技術」
                                                 「深く考える技術」
                                                                 「科学的な発想を促す技
 術」を育成する授業
 『Creative SolutionsII(1単位)
                               』第2学年文理学科全員
   探究活動を実践し、わかったこと・興味深かったことを発表する授業
 『Creative SolutionsIII(1単位)
                                』第3学年文理学科・普通科希望生徒対象
   探究活動を深化させ、留学生とのポスターディスカッションや科学コンテスト等への参加を通し
   て成果を普及する授業
 ○具体的な研究事項・活動内容
   1 学校設定科目「Creative SolutionsIIII(CSI・II・III)」
    ・Creative SolutionsIでは「自身の考えを表現する技術」
                                                       「深く考える技術」
                                                                       「科学的な発想を
    促す技術」の習得をめざした。探究活動の質向上のため、必要に応じて研究施設や実験施設を訪
    問し、実験・研修を受ける機会を設けた。学年末に生徒の変容をアンケート形式で自己評価し
    た。
    ・
    「Creative SolutionsII・III」では生徒自身が発見したテーマを元に探究活動を行うとともに、
    ルーブリック等の評価手法を検討した。得られた探究成果を発表する機会として校内外の発表
    会や科学コンテストに積極的に応募するよう促した。また、卒業生から探究活動の指導や助言を
    受けられるシステム構築のため、
                                「阪大三丘会」等による探究活動の TA(ティーチング・アシス
    タント)制(P.14 参照)の活用を拡充した。
   2 理数系教科の授業改善
    ・「実践的な科学実験」を含めたアクティブラーニング形式の授業の教材開発を行った。
   3 体感三丘セミナー
    ・大学等の研究者による講演会を実施した。講演内容は、講演者と協力し、アクティブラーニン
    グの要素を含めた形式とした。
    ・講演内容に合わせて研修を組み合わせた「体感三丘セミナー」を企画・実施した。
   4 SSH 米国(NASA・FIT)海外研修
    ・アメリカ航空宇宙局(NASA)およびフロリダ工科大学(FIT)での研修を行った。研究を通し、
    世界レベルの研究や研究施設を知り、世界の最先端の知見に触れ、理工系としてのビジョンの明
    確化をめざした。
   5   科学体感校外学習
     ・加太城ケ崎にて磯観察の生物体感校外学習を行った。
     ・(株)ハイドロエッジにて科学体感校外学習を行った。
    ・大阪大学薬学部において化学体感校外学習を行った。
    ・つくばにて物理体感校外学習を行った。
    ・大阪大学医学部において医学部体験を行った。
   6 国際性の育成
 
                                             5
     ・3年生が CSIIIの成果を元に、海外からの留学生とポスターセッション及び交流会を行った。
   7 科学コンテスト等への参加
     ・生徒研究発表会などの校外の発表会や科学コンテスト等への参加を促した。
 5 研究開発の成果と課題
 ○研究成果の普及について
 年3回行う学校説明会において研究発表や海外研修報告会を行い、SSH 活動の成果普及を行ってい
 る。学校 HP への掲載は行っているがまだ十分ではない。理数系クラブ生徒が、日ごろの研究を元に
 地域の小中学生を対象とする「三国丘科学教室」主催している。内容は以下の通り
 ・自作プラネタリウムの上映(天文部)              ・様々な化学実験の紹介(理化部)
 ・小動物を用いた迷路とフェロモンの実験(生物部) ・自作ゲームの紹介(コンピューター部)
 今後、蓄積してきた課題研究のノウハウ普及に尽力していく。
 ○実施による成果とその評価
 A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
   CS の授業全体を通して、
                        「現状を分析し、課題を明らかにする力が身に付いた。」
                                                                          、「原因と結果と
 いう関係で物事を考える力が身に付いた。」と考えている生徒が多く見られた。この力は将来理工系
 プロフェッショナルとなるためには必ず必要な力であるので、本校の SSH の目標の達成に近づくこ
 とができたと考えることができる。また、本年度より2年生全生徒が課題研究に取組むことになった
 が、CSIIの授業の満足度は高い評価を維持している。これは、課題研究に主体的に活動できるような
 環境づくりの準備を行ってきた成果だと考えることができる。また、実践科学実験の手法の検討を引
 き続き行い、普及をめざす。
 B.高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
   生徒自身が主体的に話を聞き、大学や研究施設の様子を見学し、生徒自身が実験を体験すること
 で、科学の面白さを理解し、自分自身の将来について考えるきっかけになっている。また、大学だけ
 でなく民間企業等での講演や体験プログラムを取り入れることの検討を行う。
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
   フィードバックを行うことで普段見ることが無い自分を客観的に見ることが出来たことが実施後
 の感想よりわかる。また、一連の活動が生徒の自己肯定感を高めることにつながっていることが、感
 想やその後の活動によりわかった。
 ○実施上の課題と今後の取組み
   理系生徒約 220 名中 190 名が理系の課題研究を行いたいと考えており,本校の課題研究の内容が
 充実していることがわかる。すべての生徒が自分の希望する分野での課題研究を行えず、動機付けが
 弱い生徒が若干ながら出てきた。また、2年生全員が課題研究を行うことになり、一人の教員が受け
 持つ生徒の数も増加し、指導が行き届かない状況になっている。そのため、引き続き教員の研修や、
 課題研究をよりスムーズに行うことができる手法の開発、TA の活用などの検討を行う。
   また、三丘セミナーや実践科学実験も効果を上げているので、それらを関連付けし、より高い効果
 が表れるよう検討を行いたい。
 
 
 
 
                                              6
 別紙様式21
                                    大阪府立三国丘高等学校        指定第2期目       2903
 
 
                令和元年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
 
 
   1 研究開発の成果
  A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
  1学校設定科目「Creative SolutionsI・II・III」
                                             (CSI・II・III)〈本文 P.11P.15 参照〉
    「CSI」では2年次の探究活動で必須となる力を育成する。問題解決に向けた基本的な技術として
  の「論理的に考える技術」を学ぶ場とした。アンケートの結果9割以上の生徒が「CSIの授業に満足
  している」
          「CSIIでの探究活動が楽しみである。」と答えているため生徒の探究活動に対する思いを強
  くさせることはできたと考えられる。
    「CSII」では1年間を通して課題研究を行い協働して研究に取り組む力を養うために5人グルー
  プでの研究を行った。発表の場は9月の中間発表、2月の課題研究発表会の2回設けた。
    最終アンケートで「現状を分析し、課題を明らかにする力が身に付いた。
                                                                    」と答えている生徒が9
  割を超えていることから課題研究を通して身に付けさせたい力がついたと判断できる。自由記述で
  は「主体的に学ぶことの楽しさを実感することができた。」や「普段授業で習っていることが課題研
  究で生かされた。」と答えている生徒もおり、課題研究を行うことが普段の授業や学ぶ姿勢に良い影
  響を及ぼしていることがわかる。課題研究を経験することで、大学での勉強や研究などへの考えを深
  める良いきっかけとなった。
    TA 制度は物理・化学・生物・数学情報の4分野8人体制で行った。中間発表会、課題研究発表会
  の審査・助言だけでなく、今年度は CSIIの授業にサポートとして入ってもらい指導・助言を行って
  もらった。研究内容を理解してもらった上で、研究の指導・助言を行ってもらうことができ、より研
  究を深めることができた。課題研究発表会では TA により研究内容の深まりも確認してもらうことが
  できた。
    「CSIII」では留学生交流会を行った。アンケートの結果より、留学生とアカデミックな内容を通し
  てコミュニケーションをとったことは、将来的に英語を用いて研究を行うことを具体的に思い描く
  機会となったと考えられる。
  2実践科学実験〈本文 P.16P.25 参照〉
    探究活動とは別の普段の理数系の授業において、知識の活用に重点を置いた授業として、実験方法
  を生徒が協働してデザインできる実験授業を検討した。本年度は下記のプログラムを行った。
    I     物理分野1 音波を用いた距離計測
    II    物理分野2 光波をもちいた構造解析
    III   化学分野1 この白い粉は何?
    IV    化学分野2 遷移金属元素の性質
    V     生物分野    プラナリアの光受容
    物理・化学・生物どの分野でも、生徒が主体的に活動を行っていた。
    実験の方法をデザインする初めての機会であるが、知識を利用することの難しさと、工夫の余地が
  ある楽しさを経験させることができたと考えている。実験レポートに対する課題があるが、探究活動
 
                                              7
 等も通して科学を楽しむ力を育成していきたい。
 3科学オリンピック等への参加〈本文 P.46 参照〉
   今年度の科学オリンピック等への参加者は前年度より大幅に増加し、近年は高水準で推移してい
 る。さらに物理チャレンジでは2名が予選を突破し本選に出場し、1名が銅賞を受賞した。これは
 SSH の事業が本校全体に浸透し、理数系への興味が全体に広がっている結果と考える。
 B. 高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
 1体感三丘セミナー〈本文 P.26P.31 参照〉
   第一線で活躍する研究者からのアクティブラーニングの要素を取り入れた講演を聴くことで、自
 身の将来への展望を描くことができると考え下記のテーマで実施した。
   I.海と生物            II.薬学への誘い           III.理系プレゼン入門   IV.せいめい誕生
   V.整形外科のお仕事 VI.暮らしに関わる植物化学 VII.金属資源の世界
   アンケートの結果全体を通してほとんどの生徒が三丘セミナーに満足していることがわかる。
 「自身の理系の進路に向けて考えを深めるきっかけになりましたか。
                                                             」の回答も肯定意見が高いの
 で理工系ビジョンを明確化する効果があるといえる。
 2体感校外学習〈本文 P.32P.42 参照〉
   最先端の科学技術や創意工夫を見学・体験すると共に、普段体験することのできない実習等や研
 究開発者から講義や説明を通して、自分の将来について改めて考える機会となると考え、下記のプ
 ログラムを行った。
   I.生物体感校外学習 磯観察
   II.物理体感校外学習 つくば
   III.化学体感校外学習1(株)ハイドロエッジ
   IV.化学体感校外学習2薬学部体験
   V.医学体感校外学習 医学部体験
   アンケートの結果、生徒の興味・関心を向上させると共に、主体的な行動へつなげられる刺激が
 得られていると考えられる。普段の学習で学んだことや、事前学習で得た知識を、実際に体験する
 ことによって、より深い学びを得ることができ、その体験が次の学びへの原動力となっている。
   また、事前学習の工夫を行いプログラムをより効果的なものにした。
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築〈本文 P.43、P.44、P56 参照〉
 「他者と協力して目的を達成できる力」を育成するための本取組みの効果は、フィードバックで使用
 したポートフォリオを分析し評価する。探究活動に関するポートフォリオを用いた自己評価および
 生徒同士での相互評価(フィードバック)の手法を、CSIIの生徒 30 名、CSIIIの生徒 32 名に対して行
 った。
  2 研究開発の課題
 A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
 1学校設定科目「Creative SolutionsI・II・III」
                                            (CSI・II・III)
   今年度は2学年全員が文理学科となり 320 名が探究活動を行うことになった。前年度から人数が
 増加することへの準備を十分に行ってきたので、生徒たちの CSIIの授業に対する満足度は高かった。
 しかし、すべての生徒が自分の希望する分野での課題研究を行えず、動機付けが弱い生徒が若干なが
 ら出てきた。また、2年生全員が課題研究を行うことになり、一人の教員が受け持つ生徒の数も増加
 
                                              8
 し指導が行き届かない状況になっている。したがって、生徒がより主体的に活動し自走できる指導技
 術の開発および環境作りを考えていかなければならない。
   課題研究の質を高める指導の一環としてルーブリックの改訂を行うとともに、運営指導委員会か
 ら実験ノートの重要性の助言を受け、実験ノートも評価対象に入れた。しかし、実験ノートの書き方
 の指導が十分でなかったため効果は限定的であった。実験ノートの書き方を指導する方法を研究す
 る必要がある。
 2実践科学実験
   生徒が実験をデザインすることによる効果(主体性の向上、理解の深化)は課題研究や普段の授業
 へ良い影響を及ぼしている。しかし、実施のための時間・設備の確保により実施不可能な場合がある
 ので短時間で行うことが出来るものなど、さらにテーマの開発を行っていきたい。また、開発した教
 材等の普及へ向け手法の検討を行う必要がある。
 B. 高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
   体感三丘セミナーはとても満足度の高いプログラムである。現在は大学との連携が主であるが、開
 催時期や、規模、内容等を考え大学だけでなく民間企業等での講演や体験プログラムを取り入れるこ
 とでより多くの生徒が自身の将来に活かせる企画になると考える。
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
   フィードバックは非常に高い効果を得ることができる。今後フィードバックを行う対象生徒を拡
 大することが望まれる。そのため、指導を行うことができる教員の増加と技術の向上のため研修等を
 行う。
 
 
 
 
                                             9
 第1章 研究開発の課題・経緯
 本校の研究歴と共に、今年度取り組んだ研究課題を述べる。
 1.研究開発の目的
   本校の生徒を、将来高い志をもって最先端の科学技術で社会を牽引できる研究者・技術者、理工系プ
 ロフェッショナルとなる人材に育成することを目的とする。このために、高校段階で育成すべき資質や
 能力とは、A.科学的な思考や創意工夫を楽しめる資質(最先端の科学技術で)、B.苦境に負けず粘り強く
 研究を続ける力(高い志をもって)
                               、C.他者と協力して目的を達成できる力(社会を牽引できる)である
 と考え、これらの力を備えた人材を育成する。
 2.具体的な研究事項・活動内容
 A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
   科学的な思考や創意工夫を楽しむ資質を育成するには、普段の授業で学ぶ内容が、世の中の様々な現
 象を理解することに役立ち、利用できることを体感できるものであることが重要であると考える。その
 ためには、より質の高い探究活動を行うとともに、普段の理数系の授業においても、知識の活用に重点
 を置いた、実験方法を生徒が協働してデザインできる実験の実施が有効であると考えた。そこで、次の
 ように取り組んだ。
   1学校設定科目 Creative SolutionsI・IIにおいて、
     問題の原因を深く考え仮説を立てる技術を習得できるカリキュラムを開発する(CSI)
     探究の手法を示し、到達度を評価するためにルーブリックを活用する(CSII)
     教員間で共通認識をもって探究活動を指導するためにルーブリックを活用する(CSII)
     上級生や卒業生から探究活動の指導や助言を受けられるシステムを構築する(CSII)
   2理科の授業において、
     知識を活用し、自身で実験方法をデザインできる実験授業「実践科学実験」を構築する
 B.高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
   地球規模の共通の問題である環境やエネルギー・貧困などに対して、国内外の企業を含む研究者・技
 術者は、総力を挙げて解決に取り組んでいく必要がある。そのような容易に解決できない問題に粘り強
 く取り組むためには、グローバルな視点で社会貢献できる高い志や使命感が不可欠である。高校生が高
 い志や使命感をもって社会に出ていく準備をするためには、科学が具体的にどのように問題解決に関わ
 っているかを体感し、理想像や将来像、つまり“理工系としてのビジョン”を明確にすることが重要で
 あると考えた。そこで、次のように取り組んだ。
   1研究者による講演会とともに研究施設での研修を組み合わせた「体感三丘セミナー」
   2研究員や技術者に直接指導していただく研修・フィールドワーク「科学体感校外学習」
   3世界最先端の研究が行われているアメリカ航空宇宙局やフロリダ工科大学での海外研修
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
   他者と協力して目的を達成するには、自身の強み・弱みを理解することだけでなく、互いに改善を促
 す技術を獲得することが重要であると考える。そこで、探究活動に関するポートフォリオを用いた自己
 評価および生徒同士での相互評価(フィードバック)により、探究活動をともにするメンバーとコミュ
 ニケーションをとり、互いに成長し合えるシステムの構築をめざす。この取組みにより、他者と協力し
 て目的を達成できる力を育成する。
 
                                                10
 A11 探究活動を実践する Creative SolutionsI(CSI)
 Creative SolutionsI(CSI)では CSIIで実施する探究活動の基盤を育成する。
 (1) 仮説
   2年次の探究活動で必須となる力を育成する CSIでは、問題解決に向けた基本的な技術としての「論
 理的に考える技術」を学ぶ場とする。論理的思考力を身につけるために下記の内容を扱うとともに、普
 段の生活でも論理的思考を意識した行動を促すことで、2年次に、より高度で充実した探究活動を実践
 できると考えた。
 (2) 実施内容
 1 日程:1単位
 2 対象生徒:1年生文理学科生徒 319 名
 3 概要:昨年に引き続き、4名の教員(理科・数学・国語・社会)が4クラス同時展開で行い、PC ル
     ーム等の特別教室を利用しない授業形式で実施した。
 【論理的思考入門(1学期前半)】
   探究活動の導入として、「主観と客観の違い」「帰納と演繹」「相関関係と因果関係」「逆・裏・対偶」
 など論理の基本的な内容に触れ、今後学ぶ大まかな枠組みを意識させる。
 【現代の諸問題(1学期後半)
                           】
   「環境」
         ・「教育」
                 ・「医療」などの社会一般の課題を班別で調べ発表させることで、現代社会の諸問題
 を意識させるとともに、自身の意見を論拠を踏まえて説明する力を育成する。
 【ディベート(2学期)
                     】
   ディベートを通じて論理的に思考し、質問・反論する方法を指導する。論題に対して準備することで、
 必要な情報を収集・活用する力を身につける。また、審判として肯定派と否定派のどちらが説得力のあ
 る立論や反論を行えているかを判断させることで、客観的に批判する力を育成する。
 【具体例を通した論理的思考の実践(2学期)】
   生徒自身の身近な課題をテーマにロジックツリーの作成を通して思考を深掘りする方法を指導し、生
 活の様々な場面で「なぜ」を意識させる。また、今後の探究活動を見据えて、
                                                                     『水のりはなぜしわがよる
 のか』というテーマでミニ課題研究を行い、
                                       「仮説・検証」の流れを学習させるとともに、普段接する自
 然現象などから疑問を生み出す流れを授業を通して体験させる。
 【データの扱い方(3学期)】
   表やグラフを用いて表現することの重要性、グラフから正しく事象を読み取る技術など、実験・調査
 結果のまとめ方・分析の方法を指導し、結果から結論を導く力を育成する。
 
 
 
 
                                                11
 A12 探究活動を実践する Creative SolutionsII(CSII)
 Creative SolutionsII(CSII)では CSIで培った力を基に、探究活動を実践する。
 (1) 仮説
     探究活動の質をより高めるためには探究の流れを理解し、試す必要があると考えられる。そこで、
   探究の流れを評価できるルーブリックを開発し、このルーブリックを指導・評価で活用することで探
   究活動の質を向上できると考えた。
 (2) 実施内容
     1 日程:1単位
     2 対象生徒:2年生 文理学科生徒 320 名
         物理、化学、生物、数学、情報、SGP(本校で行ってきた SGH 事業の継承)、国語、社会、音楽、
         保健・体育、チャレンジ数学、チャレンジ英語 の各分野で講座を開講し活動を行う。
     3 概要:
         自身の興味ある事象をテーマに1年間で探究活動を行い、各時期の発表活動を通して自身の探
         究活動をまとめる機会とする。理系分野は 1 班基本5人で構成し、物理6班、化学6班、生物
         6班、数学3班、情報6班、の計 27 班。すべての研究班を理科・数学教員8名で指導。
 理系探究活動の1年の流れ
 
         実施月                               概要
          4月     テーマ設定
          5月
          6月     科内発表会(口頭発表(簡易的な説明資料)
                                                         )
          7月     探究活動の継続
          8月
          9月     中間発表会
          10 月    探究活動の継続
          11 月
          12 月
          1月     発表会の資料作成
          2月     課題研究発表会
 
 理系中間発表会
     1 日程:令和元年9月3日(火)6限、7限
     2 対象生徒:理系課題研究選択者2年生 120 名(27 班)
     3 場所:新三丘会館
     4 概要:各班が検討した課題をどのように解決してきたか、また      解決していくか発表し、新た
        な課題点や課題研究の方向性を見直すきっかけとする。また、他班の発表を聴き議論すること
        で、新たな視点に気づくきっかけとなる。
     5 実施形態:ポスター発表(発表4分、質疑応答2分、移動準備3分)
        ・発表は1人の生徒が行うのではなく、班員すべてが2回行う。
 
                                               12
        ・書記は質問・助言等を記録する。
        ・担当教員、TA がルーブリックにより評価を行う。
                                 A              B              C           D             E
            13:5514:00                                      諸注意
            14:0014:07          発表                                      前         書記
            14:0914:16          書記           発表                                     前
            14:1814:25           前            書記          発表
            14:2714:34                          前           書記         発表
            14:3614:43                                        前          書記       発表
            14:4315:00                                   休憩 情報交換
                                          前半部分の繰り返し
            15:43                                            閉会
 
 
    6 成果:課題研究を開始してから5ヵ月経ったところで発表会を行うことで、現在の探究活動の
        振り返りを行うことができ、今後の探究活動の再計画を行う良い機会になった。また、探究が
        進んでいる班の発表を見ることで、生徒自身に良い刺激となった。班員すべてが発表を行った
        ため、課題研究、発表を主体的に取り組む姿勢を引き出すことが出来た。
 課題研究発表会
    1 日程:令和2年2月1日(土) 8時 50 分11 時 30 分
    2 対象生徒:1、2年生(課題研究を行っていない生徒は聴衆者)
    3 場所:体育館、多目的ホル、他 13 教室
    4 概要:1年間の探究活動の成果を発表する。
    5 実施形態:理系課題研究者はポスター発表。その他はパワーポイントを用いた口頭発表。
    ・全体発表会
        1.SGP                 「uminom」
        2.GLHS 校内代表       「花言葉で辿る黄色の歴史」
        3.理系部門            「くつを遠くに飛ばしたい!!」
        4.大教大附属天王寺校舎「ピアノの音律を変化させることでより和音を綺麗に響かせる」
        5.SGP                 「PeriPeri」
     ・展示室     チャレンジ部門展示室 第2講義室
     ・分科会1 口頭発表タイムスケジュール(発表7分、質疑応答3分、移動5分)
                     多目的    物理教室        第1講義室          生物教室      地学教室
                       音楽      社会                国語          保健体育        SGP
       10:00                         1               1             1            1
                       1
       10:15                         2               2             2            2
       10:30           2            3               3             3            3
       10:45           3            4                              4            4
       11:00           4            5                              5
 
                                                    13
       11:15          ダンス
     ・分科会2 ポスター発表
        1-2       1-4      1-6   1-8   2-2   2-4    2-6    2-8
        生1        生2       化1    化3     情      数      物1     物2
 生徒感想一部抜粋
        1年生
        ● どの発表も実験、考察、発表まですごく力が入っていて、自分が来年こんな風に出来ると思
          えなかった。
        ● 思っていた以上にどの研究も深く調べることができていた。
                                                               「今後の展望」を覚えておいて、
          来年の参考にしたいと思う。
        ● 1年間協力して頑張ってきたことがよく伝わってきた。
        ● 2年生はみな自分の課題に意欲をもって取り組んでいるように感じた。
        ● 先輩方が一年間頑張ってこられたものを見ることができてよかった。来年は同じように、さ
          らにはそれ以上のものを作れるように努力したいと思った。
        2年生
        ● どの班も仮説を工夫したり、思うような結果が得られなかったから別の方法に変えてより
          正確に調査し直したりしていたりするなど、分野ごとにそれぞれ個性的で特色がある発表が
          多くみられた。
        ● どの班も完成度が高くて研究の内容がとても
          面白かったです。自分が知らない知識をたくさ
          ん知れてよかったです。
        ● どの班も自分たちに興味のあることの探求を
          していて、生き生きしているのがとても印象的
          だった。自分の発表は緊張したがとても有意義
          なものになった。
    6 成果:生徒の感想からとても充実した課題研究発表会であったことがわかる。
          1年生には来年度課題研究をどのような形で完成させなければならないのかをイメージをさ
        せることに成功し、次年度の課題研究につなげることができた。また、現在 CSIで学習してい
        る内容が来年度の CSIIで生かされることを知り、学習意欲の向上も見られた。
          2年生は1年間の成果を発表できる場を経験できとても充実した1日だった。他の生徒や先
        生との質疑応答や、アドバイスの中から研究の深化の可能性を見出すことができている生徒も
        いた。また、他の班の発表を見ることで考え方の多様性に気付く生徒もいた。課題研究を経験
        することで、大学での勉強や研究などへの考えを深める良いきっかけとなった。
 Teaching Assistant(TA)制度
    「文理学科対象の探究活動」は今年度より対象生徒の人数が大幅に増えたため、卒業生による
    Teaching Assistant を前年度よりさらに拡大した。TA として大学生・大学院生8名が探究の時間
    に参加し、生徒と議論し助言を行ってもらった。また、中間発表会、課題研究発表会にも審査員と
    して参加してもらい、指導、助言、採点を行ってもらった。
 
 
                                               14
 A13 探究活動を深化する Creative SolutionsIII
   2年生で探究活動を行った生徒が、成果を元に学校外の生徒と交流する機会として CSIIIを実施する。
 (1) 仮説
   探究活動の成果を同年代の留学生にポスター形式でプレゼンテーションする機会を設定することに
 より、国際的な場面で自身の考えを伝える技術、精神力を養うことができる。また、聴衆として参加し
 た2年生は、今後の探究活動に対するモチベーションとすることができる。
 (2) 実施内容
 1日     時:平成 31 年4月 27 日(土) 13 時 30 分16 時
 2場     所:三国丘高校 多目的ホール・視聴覚教室
 3対象生徒: 3年生 31 名、SGP プログラムを履修している3年生 36 名
               大阪日本語教育センターより、39 名の留学生
 4発表班 :SSH9班、SGP6班、大阪府立四條畷高等学校 3班
 
 
 生徒感想一部抜粋
 ● 発表するポスターの作成、原稿、実際に発表することを通して、
   英語での表現を試行錯誤し、実際に留学生からの英語での質問の
   聞き取り、返答すること等で、まだまだ英語に慣れていないと感
   じた。しかし、この活動全体で英語についても色々学べ、ゆっくり
   でも聞き取れる、答えられる楽しさが分かって、大変有意義に過
   ごせたと思う。
 ● 英語で自分の研究を伝えるのは難しかったけど、留学生が理解し
   てくれたり、質問に答えることができた時はすごくうれしかった。
 ● 会話の内容をある程度準備し、また、世界の国々についても教養を深める(相手のことをあまり知ら
   なかった)ことが必要だった。
 (3) 成果
   これまで探究活動を行ってきた3年生が成果を同年代の留学生に英語で発表し、交流する場を企画し
 た。探究内容をポスターにまとめ、展示物やタブレット等を用いて留学生に発表し、発表内容を英語で
 議論した。実験装置を会場に持ち込み説明に利用するなど、研究内容を伝える方法に創意工夫が見られ
 た。2年時に行った課題研究を課題研究発表会で出たアドバイス等を生かして研究を続け、それを使用
 言語の違う方へ説明するので、自分達の研究を見つめなおしより深く考える機会となった。
   生徒感想等から、留学生にアカデミックな内容を通してコミュニケーションをとったことは、将来的
 に英語を用いて研究を行うことを具体的に思い描く機会となったと考えられる。
 
 
 
 
                                                15
   A2 実践科学実験
   探究活動とは別の普段の理数系の授業における、知識の活用に重点を置いた授業として、実験方法を
 生徒が協働してデザインできる実験授業を検討した。新学習指導要領の「理数探究」の学習につながる
 事をめざしたいと考える。今年度、物理・生物分野で試行した授業例およびその結果を報告する
 仮説
     授業内で実施する従来の生徒実験は、座学等で学んだ知識を確認する目的で、用意された道具、
   決められた手順で実施させていた。そのため、使用する道具の特徴やその道具を使用する理由、ま
   た、なぜその手順であるか等、理解が不十分なまま実験を進めることがあった。そこで、より生徒
   が主体的に考え、取り組むことができる生徒実験の手法を検討した。
     座学で学んだ知識を実践的に用いることで、生徒は主体的に考え行動することができ、深い理解
   とともに質の高い探究活動が行えるようになると考えた。
 I.物理分野1 音速を用いた距離計測
 (1) 実施内容
     1 場所 :三国丘高校 物理実験室
     2 対象者:2年生 物理選択者(理系)(45人で1グループ)
     3 概 要:
         目 的     音波を利用して用意された筒の長さを測定し、その実験手法の精度を検証すること。
         準備物    低周波発生装置&スピーカー、PC、マイク、筒(ドレミパイプ)、定規など
         授業計画(50 分×3時間)
           1時間目:測定器具の扱い方説明・実験の計画(手法、手順、使用する道具の決定)
           2時間目:実験の実施
           3時間目:フィードバック
 (2) 実施結果
   1時間目は学校で用意できる機器の扱い方を説明した。音波測定機器として、コンデンサーマイクと
 PC を用意し、
            「理科ねっとわーく」の「振駆郎(オシロスコープ)
                                                          」を紹介した。音叉や低周波発生装置
 を用いた簡単なデモを通して、音波を測定する方法を指導した。今回の実験は生徒自身で手順・道具を
 考える実験であることを説明し、計画を考えさせた。生徒が計画した実験は次の3つであった。なお、
 すべての手法において、音速は室温を測定して算出する。
     1 反射を利用する手法
          筒の開口端付近で音をならし、他端で反射して往復する時間を測定することで筒の長さを算
        出する。この手法では音源を工夫する必要がある。音叉や発信機から出る連続波では音波が反射
        し、往復する様子は観測が難しいため、パルス波(破裂音)を利用する必要がある。試行し、失
        敗した生徒たちは、包装材のプチプチを利用し再度実験を行った。
          実験は「閉管」の状態で実施する班がほとんどで、精度が高く測定できていた。原理的にもわ
        かりやすく、実験の操作も単純なため、実験そのものはスムーズであった。実験中は、教科書通
        りパルス波が固定端反射する様子をオシロスコープで観察でき非常に驚いていた。
     2 固有振動を利用する手法I
          スピーカーから出る音の振動数を変化させ、共鳴する振動数を測定し、筒の長さを算出する。
 
                                               16
          最も多くの生徒が採用した手法であるが、今回用意したスピーカーは 350Hz 以下ではほとんど
          音が出ず、比較的長い筒で実験を行った班は、共鳴した振動数が何次の固有振動であるか明確
          でない。隣り合う場合などの2つの固有振動状態を測定する必要があり、難易度が高かったと
          思われる。また、共鳴し最も振幅が大きくなる振動数の測定に工夫が必要で、精度を悪化させ
          る要因になった。
     3 固有振動を利用する手法II
            筒で手のひら等を叩いたときに出る音の振動数から、筒の長さを算出する。この手法を採用
          した班は2班だけであった。筒の長さで叩いた時の音の高さが変化する特性をうまく使った手
          法である。筒を机などにぶつけた時に様々な倍音が発せられ、その音から基本振動の振動数を
          測定できれば筒の長さを測定できるが、現象の理解が浅く、教員の補助が必要であった。
            2とともに3の固有振動を利用する手法は開口端補正を測定しなければ、数cmの誤差が生じ
          る。開口端補正は「開管」
                                「閉管」の2つの状態で実験することで測定可能であるが、時間的に
          困難であった。
 (3) 成果
            生徒の実験レポートでは、
                                  「実験方法」の欄に「実験のコンセプト(概念)
                                                                            」は示されているも
          のの、機器の具体的な配置など“何をどのように測定するか”が示されていないことが多かった。
          また、
              「結論」の欄には、本実験の目的(精度検証)を把握していない記述が目立った。
            実験の方法をデザインする初めての機会であるが、知識を利用することの難しさと、工夫の余
          地がある楽しさを経験させることができたと考えている。実験レポートに対する課題があるが、
          探究活動等も通して科学を楽しむ力を育成していきたい。
 
 
 II.物理分野2 光波を用いた構造解析
 (1) 実施内容
     1 場 所:物理実験室
     2 対象者:2年生 物理選択者(理系)(45人で1グループ)
     3 概 要:
     目    的
       実験1:格子定数既知の回折格子を用いてレーザー光(赤)の波長を測定する
       実験2:波長を測定したレーザーを用いて CD のピット間隔を測定する
     準備物
       レーザー、回折格子(200 本/8mm)
                                      、定規(1m、0.5m)
                                                       、ブックスタンド、スクリーン
     授業計画(50 分×1.5 時間)
       1時間目:レーザー光の波長測定
       2時間目:CD のピット間隔の測定・光の干渉計算
       3時間目:フィードバック                               ※光の干渉・回折格子は学習済
 (2) 実施結果
            今回の実験では、準備された実験器具を用いてレーザー光の波長を求める実験(実験1)の後、
          そのレーザーを用いて CD のピット間隔を測定(実験2)させる。
            実験1では、レーザー光源と格子定数が既知の回折格子をスクリーンからできるだけ離して
 
                                                17
        一直線上に配置し、回折格子で生じた明点の間隔からレーザー光の波長を求める。回折角が小
        さいと見なすことができ、明点はほぼ等間隔に生じる。実験2では実験1で用いたレーザー光
        を CD の記録面に当て、回折光の角度からピット間隔(格子定数)を測定する。CD の格子定数は
        回折格子と比較して非常に小さいため回折角が大きくなる。そのため、
                                                                      「回折角が小さい」とし
        た近似を行うと誤差が大きくなることに注意する必要がある。
          最後に、レーザー光を DVD やブルーレイディスクに当てた際の回折光の様子(本数)を計算
        により算出させる。ただし、DVD やブルーレイディスクの格子定数はインターネット等で調べて
        良いこととする。
          以上の実験や計算は、測定に必要な道具は与えるが実験手順は指示せず1グループに1セッ
        トのホワイトボードを活用して実験計画を立てさせてから行う。実験の結果得られるレーザー
        光の波長や CD のピット間隔は正解の値が知られているため、正解の値との誤差が極力小さくな
        る工夫をするよう指示した。
 実験1レーザーの波長測定
         生徒にとっては今回のような自由度の高い実験は2度目のため、動きが非常にスムーズであ
       った。実験1では、明点と回折格子間の距離を測定するなど、“経路差”の概念が誤っている生
       徒も見られたが、グループ内で議論し、全てのグループが誤差6%以内で波長を測定することが
       できていた。計算の平易さを優先して回折格子とスクリーンの距離を 1.00m として、明点間隔の
       読み取り誤差の影響が大きい状態で実験を行ったグループは、回折格子とスクリーンを最大限
       離した(1.55m)グループに比べ誤差が大きい結果となっていた。一部のグループは複数の明点
       間隔を一度に測定しその距離を間隔の個数で割り算するなど、読み取り誤差の影響を少なくす
       る工夫が行えていたが、ほとんどのグループは1箇所の明点間隔を一度だけ測定して結果を算
       出しており、読み取り誤差の影響を考慮した実験は実施できていなかった。
             ブック                                                                    スクリーン
                                                                  1.55m
             スタンド
                                                                                定規
 
 
                                       レーザー
 
                            回折格子              回折格子
 
 
                            レーザー                   明点間隔
                            モジュール
 
 
 
                               実験1回折格子を用いた干渉実験の様子
 
 実験2CD のピット間隔測定
         実験2では実験1で波長を調べたレーザーを用いて CD のピット間隔(格子定数)
                                                                               を測定する。
       CD が反射型の回折格子であることを説明した後、実験を開始させた。実験1との差は、回折角
       が大きく明点間隔を一定として考えると測定誤差が大きくなってしまうことである。おおよそ
       半分のチームが明点間隔が一定でないことに気づき、何が起こっているのか、どう考える必要が
       あるのかグループ内で議論して正しい結果が得られていた。しかし、実験1と同様に明点の間隔
 
                                                  18
       が一定であると思い込み、誤差が大きくなるグループも多く見られた。目の前で明らかに等間隔
       でない明点の様子を、正しく観察できていない生徒が数多くいることがわかった。
         この実験では光の回折・干渉を用いて CD のピット間隔(1.6μm)という非常に小さい距離を
       測定することができる(誤差が生じても1桁目は一致する)
                                                           。実験レポートの感想欄には、光を
       使って非常に小さい距離を測ることができることに感動したという記述も見られた。音と同様、
       光の波としての性質を用いて非常に目盛の細かい「物差し」として利用することを体感させるこ
       とができたと考えられる。
 
                                                   2次の回折光
                                                                    1次の回折光
 
 
 
 
                                                CD    0次の    レーザー
                                                        回折光
 
 
 
 
           分割したCDの中心にレーザー光が
           当たるようレーザーの向きを調整する
 
 計算(DVD やブルーレイディスクでの回折・干渉)
         発展的な考察問題として DVD やブルーレイディスクを用いて実験2を行った時の回折・干渉の
       様子として、出現する回折光の本数を計算させた。計算の前に、CD と DVD・ブルーレイディスク
       の違いを示す資料を配付し、ピット間隔が異なることに注意させたが、DVD やブルーレイディス
       クのピット間隔は明記しておらず、生徒にインターネット等で調べさせた。このため、難易度が
       非常に高くなり、解答できる生徒はわずかしかいなかった。
 (3) 成果
       今回の実験内容は教科書でも取り扱われるごく基本的な内容を中心としているが、手順は各グル
     ープで考えて実施するため、例題のリード文などで必要な寸法や数値を与えられる場合と比べ難易
     度が非常に高い。理解が不完全な場合は正しい計画が立てられず、実験が進まない場合がある。特
     に、実験2では回折光を見つけることにも時間を要する。また、DVD のピット間隔などヒントとな
     る情報を明記するかどうかで、大きく難易度が変化することがわかった。したがって、事前の座学
     での理解の充実とともに、実験時の声掛けがポイントになると考えられる。
       難易度が高い実験を行ったため、フィードバックの時間は非常に重要と考えられる。実験1では
     読み取り誤差の影響を小さくする実験の工夫を、実験2では近似の意味や使い方を理解させる機会
     とすることができる。その他のディスクを扱った問題では、明点位置からディスクの表面構造を測
     定でき、より短い波長の光を用いることでより細かい構造を測定できることが類推でき、課題研究
     でもしばしば用いられるX線構造解析の概要理解にも結び付けることができる。
       本生徒実験は、課題研究で実験を行う際の配慮事項を学べる機会として、また、発展的な内容と
     の橋渡しとなるテーマとして効果が高い実験と考えられる。今後、難易度の設定や生徒が陥りやす
     いポイントをまとめ、汎用性の高い教材となるよう開発を行う。
 
 
                                                       19
 III.化学分野1     この白い粉は何
 (1) 実施内容
     1 場 所:化学実験室
     2 対象者:2年生 CSII(探究活動)化学分野の生徒 30 人 (5人×6班)
     3 概 要:
     目   的
     ・課題を解決するために、綿密な実験計画を立てる手法を学ぶ。
     ・課題研究を進めるうえで必要な情報収集力・課題発見力・計画力・発表力を養う。
     ・実験器具の基本的操作を理解し、安全に班員と協力して実験を行う。
     授業計画     (50 分× 5時間)
       未知の白い粉末物質に様々な検出実験を行い、その結果からその物質が何かを同定する。各班に
     は、塩化ナトリウム・塩化バリウム・炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・グルコースの5種類
     のうち、どれか1つが与えられる。
       検出実験は、各班で作成した実験計画書に基づいて進める。実験計画書とは、使用器具・使用薬
     品・実験手順を記したものであり、資料集などの書籍をもとに作成する。
     1時間目:実験計画書の作成 (実験手順・使用器具・薬品の決定)
     2時間目:実験の実施 (各班で物質の同定)
     3時間目:実験結果の発表1 (実験結果・実験手順・考察を PP を用いて口頭で発表)
     4時間目:実験結果の発表2
     5時間目:フィードバック
     準備物
       塩化ナトリウム・塩化バリウム・炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・グルコース
     ※ その他の試薬・器具については、実験室・薬品庫内にあるものを生徒が必要に応じて使う。
 (2) 実施結果
   これまで行ってきた実験とは異なり、本実験は生徒自身で実験手順や必要な道具を考える実験である
 ことを説明し、化学的根拠に基づき丁寧に詳しく実験計画を立てることを周知した。
   5人1班として計画を立てさせたが、ホワイトボード・ノート・付箋等を用いて、互いに意見を出し
 合いメモしながら議論できるよう促した。これにより、議論が活発になり具体的な意見が次々と出るグ
 ループが見られた。
   実験計画書を提出させチェックを行ったが、使用する薬品の濃度や使用量がどれくらいなのかが明記
 されていないなど、実験計画が不十分であった。教員とのやりとりの中でより細やかなものに修正し、
 各班の実験計画を仕上げた。実験計画に実験手法と必要な薬品を記載して提出させることで、生徒は実
 際の実験を十分イメージすることができ、教員も大まかな実験概要を把握することができ、スムーズに
 準備することができた。
   2時間目の実験は全ての班が予定通り終了し、考察にかける時間を十分に確保することができた。生
 徒が計画した実験は、水への溶解性・沈殿の有無・加熱時の変化・pH の比較・炎色反応など、班によっ
 て様々であった。中には、未学習の銀鏡反応を用いて同定する班も見られた。
   結果と考察は、実験手順とともに実験ノートにまとめさせ、3時間目の発表に用いた。
 
 
                                               20
   3、4時間目には各班の実験結果をパワーポイントを用いての発表を行った。同定した物質が同じで
 も、同定へのアプローチの仕方は様々であった。変化の様子を見せるため動画を用意して説明する班や
 実際に実験装置をその場で組み立てる班があり、各所で工夫が見られた。最後に、教員が実験し作成し
 た実験レポートを生徒に配付することで、実験レポートの書き方や具体的に計画を立てておくことの重
 要性を示した。
   5時間目は、各班で本実験の振り返りを行った。班全体としての反省だけでなく、個人が一班員とし
 て何ができて何ができなかったのか・他の班員にはどうしてほしかったのかを互いに具体的に述べ合わ
 せた。その際、
             「人格を否定せず、行動を否定する」や「傾聴の姿勢をもつ」といったルールを示し、今
 回の省察が課題研究につながるように促した。
 (3) 成果
   今回、課題研究以外では初めて生徒に実験をデザインさせる機会
 となった。そのため生徒の実験計画書からは実験手順を参考文献か
 ら写しているだけのものも見られた。また、なぜそのような変化が
 起きるのかを十分に理解できていないものも見られた。課題研究に
 向けて、参考文献を十分に読み込み、反応の意味を十分に理解する
 ことを促すことの大切さを知ることができた。生徒は今回のような
 機会をより多く経験することで、より深く現象を理解でき、予測を
 立てて実験を行う癖がつくことで課題研究の質向上も期待できると考え、生徒が実験をデザインできる
 機会をもっと探っていきたい。
 
 
 IV.化学分野2      遷移金属元素の性質
 (1) 実施内容
     1 場 所:化学実験室
     2 対象者:3年生 理系選択の生徒 6 クラス(4人で1グループ)
     3 概 要:
     目   的
     ・課題を解決するために、綿密な実験計画を立てる手法を学ぶ。
     ・遷移金属元素の性質を深く理解する。
     ・実験器具の基本的操作を理解し、安全に班員と協力して実験を行う。
     授業計画     (50 分× 3時間)
       遷移金属元素の性質を確認するため実験をミッションとして生徒に3つ与え、グループごとに使
     用薬品、手順等計画を立て実験を行う。
       実験は、各グループで作成した実験計画書に基づいて進める。実験計画書とは、使用器具・使用
     薬品・実験手順を記したものであり、資料集などの書籍をもとに作成する。
     【ミッション】
      1 深青色の溶液を作りなさい。
      2 グルコースを用いて銀鏡反応を行いなさい。
      3 テープを巻いた試験管の中には NaCl,Na2SO4,ZnSO4,ZnCl2,Ag2SO4,BaCl2 のいずれかの水溶
          液が入っている。分析手順を考え,どの水溶液か確認せよ。
 
                                              21
     1時間目:実験計画書の作成 (実験手順・使用器具・薬品の決定)
     2時間目:実験の実施
     3時間目:フィードバック
     準備物
     器具:試験管 10 本,薬さじ,試験管立て,300mL ビーカー,ガスバーナー,四脚
         駒込ピペット(H2SO4aq 用 赤,NaOHaq 用 青 )
     薬品:
         [試薬ビン]
         硫酸銅(II)水溶液(0.1 mol/L CuSO4)
                                          、硝酸銀水溶液(0.1 mol/L AgNO3)
         塩化鉄(III)水溶液(0.1 mol/L FeCl3) 、希硫酸(1 mol/L H2SO4)
         水酸化ナトリウム水溶液(1 mol/L NaOH)
         [点眼ビン]
         アンモニア水(6 mol/L NH3)
                                  、水酸化ナトリウム水溶液(1.0 mol/L NaOH)
         ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム水溶液(0.1 mol/L K4[Fe(CN)6])
         ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム水溶液(0.1 mol/L K3[Fe(CN)6])
         チオシアン酸カリウム水溶液(0.1mol/L KSCN)
         [教卓]
         グルコース(ブドウ糖)C6H12O6   ,純水,硫酸鉄(II)結晶(FeSO4・7H2O)
     ※ その他の試薬・器具については、実験計画書に記載があるものを教員が準備。
 (2) 実施結果
   本実験は生徒自身で実験手順や必要な道具を考える実験であることを説明し、今まで学習したものに
 基づき丁寧に詳しく実験計画を立てることを周知した。
   1時間目はグループごとに実験計画を立てることにあてたが、それぞれのグループが今まで学習した
 ことを生かし教科書、図表を調べて積極的に議論し実験計画を立てていた。しかし、実験計画書をチェ
 ックすると最低限必要な濃度や使用量が明記されていないグループが少数ながら見られた。そのグルー
 プに関しては教員が指導し実験計画書を再提出し実験を行った。
   2時間目の実験では各グループが自ら立てた実験計画に基づき実験を行った。自ら実験計画を立てた
 ので普段より積極的に実験を行っていた。
   ミッション1
   ほとんどのグループがテトラアンミン銅(II)イオンの深青色を作ることができていたが、銅(II)
 イオンに水酸化ナトリウム水溶液を入れてもアンモニア水を入れても同じ沈殿が生じることを理解で
 きていない生徒が多数おり、今後はより強調して授業を行う必要があることが分かった。
   ミッション2
   アンモニア性硝酸銀水溶液の作成と還元性の確認のためにこのミッションを設けたが、ほとんどのグ
 ループで目的を達成できていた。実験の過程で試験管を湯浴で静置しなければいけないところを、振っ
 てしまうなどしっかりと実験計画を立てることができていないグループも見られた。
   ミッション3
   このミッションの目的は陽イオンの系統分析がしっかりと理解できているのかを確認することであ
 ったが、各グループしっかりと計画を立て、水溶液の薬品が何であるか確認することができていた。ま
 た、実験計画を立てることで系統分析での使用する薬品、反応の意味を再確認し、しっかりと理解する
 
                                                22
 ことができていた。
 (3) 成果
   実験計画を生徒自ら行うことで、ただの暗記になりがちな無機化学の分野を理解させることに成功し
 た。生徒の感想でも「教科書や資料集で見るよりも頭に入ってきた」などがあり、効果を確認すること
 ができた。
 
 
 IV.生物分野     プラナリアの光受容
 (1) 実施内容
     1 場所:三国丘高校 生物実験室
     2 対象者:2年生 生物選択者(理系)(45人で1グループ)
     3 概要
     目的     プラナリアが頭部(眼)で光を受容することを、光からの逃避行動を用いて検証する。
     授業計画(50 分×2時間)
       1時間目:実験計画の立案・実施(使用する道具・測定方法を決定)
       2時間目:実験の実施・発表
       3時間目:フィードバック
     準備物
       プラナリア(各班8匹)
                           、カミソリ、スポイト、シャーレ、プラスチックカップ、試験管、ライト、
     黒画用紙、黒ビニールテープ、アルミホイル、氷、双眼実体顕微鏡、ストップウォッチ
       ※その他、実験室内にあるものであれば自由に用いてよいこととした。
 (2) 実施結果
   生物における実験の多くは観察を目的とし、予め実験手順が決
 まっている。しかし今回は、仮説を証明するための実験を自ら計
 画・実行し、後に実験の妥当性を検討することを目的とした。昨
 年度まではプラナリアの再生をテーマとしていたが、再生に時間
 がかかるため、色々な方法を試すことができないことが課題であ
 った。そこで今年度は、短時間で定量的な結果が得られると予想
 される、プラナリアの光からの逃避行動をテーマとした。
   はじめにプラナリアについての概要と、今回の目的が、プラ
 ナリアが頭部(眼)で光を受容し逃避行動を起こすことを、班
 で協力して、実験結果から証明することであると説明した。そ
 の際、実験室にあるものを使って自由に実験方法を立案してよ
 いことを伝えた。また予め、プラナリアの切断方法についての
 説明を行った。
   班ごとの活動を始めてから、速やかに計画を立て実験に取り
 かかった班もあれば、計画が立てられず実験を始めるまでに時
 間がかかってしまった班もあった。このように傾向が分かれた
 のは、班に理科系の課題研究を選択している生徒の存在が一因であると考えられる。理科系の課題研究
 により、実験デザイン力が身に付いていることが見て取れた。進捗状況の悪い班には、教員とのやりと
 
                                                23
 りを通して、実験の条件を細かく考えるよう促した。
   計画の大筋として、すべての班がプラナリアを上半身、下半身に切り分け、それぞれ同じ条件下でデ
 ータをとり、結果を比較していた。具体的な条件や得られたデータは、班によって様々であった。
 (例)
   ・シャーレの一部分を黒画用紙で覆い、上からライトを照らしたときに、最初覆いのないところにい
     たプラナリアが全て画用紙の下に移動するまでの時間を比べる。
   ・試験管の上部を黒画用紙で覆い、光を当てる。このとき、下部に集めたプラナリアがそれぞれ進ん
     だ距離を比べる。
   2 時間目の後半 15 分で、班で行った方法や条件、また得られた結果を発表させた。それぞれの班の工
 夫がみられ、生徒らはうなずきながら、他班の発表を聞いていた。
   この実験後にはレポートを提出させた。どのレポートにも、自ら行った実験方法についての不備が検
 討されていた。発表を通して他班の様々な実験方法と比較することで、不備な点により気付きやすくな
 ったのではないかと考えられる。また、もう一度やりたい、時間がもう少しほしかった、実験方法の改
 善点がたくさん見つかった、他の班ごとに方法が違っていて参考になったなどの感想が多かった。
 (3) 成果
   今回の実験を通して、細かく条件設定をし、試行回数を増やすことで、より信頼性のある結果を得ら
 れると体感でき、探究活動に対する難しさ・楽しさを見出せたと考えられる。このように生徒らが主体
 的に活動できる機会を増やしていきたい。
 
 
 
 
                                              24
 B1       体感三丘セミナー
 (1)仮説
     本校の卒業生をはじめとする第一線で活躍する研究者の講演を聞くことで、自身の将来への展望
   を描くことができる。講演者と入念な事前打ち合わせ、協力体制をつくり、アクティブラーニン
   グの要素を含めることにより、生徒が主体的に考えることが出来る。また、研究室訪問や体感校
   外学習を組み合わせることで、理系としてのビジョンを明確化することがより期待できる。
 (2)実施内容・結果
  (a).講演
 I.古屋 秀隆 先生 「海と生物」
 【日時】令和元年7月8日(月)13:3015:00
 【場所】視聴覚教室
 【参加者】1、2、3年希望者 64 名
 【内容】
       「海と生物」と題されたことから、まずは海についてその成り立ちからお話が始まった。次に地
 学的な観点から地球環境としての海の役割について、そして生物が棲む生息環境としての海、海の生物
 の見つけ方、人間と海、へとお話が展開された。生物学だけでなく、地学や時に文学や民俗学のお話な
 ど、多岐にわたる内容で総合的な海についての講義であった。
 生徒感想一部抜粋
 ●海についての環境問題を解決していくことは、私たちの生活の問題を解決していくことなのだと思っ
   た。生物のつながりの維持は、人間の生命にとって重要なことだとわかった。
 ●文系の私でも十分楽しめる講義だった。特に古代生物から現生生物への紹介をされていたところがと
   ても興味深かった。文系・理系という区別に左右されず、自分が学びたいと思ったことを勉強しよう
   と思った。
 【成果】
   本講座を通して生徒は、多様な観点から海についてのお話を受け、海を身近に感じられた。また教養
 として学問を広く学ぶことの重要性も学び取った。環境問題にも目を向けた生徒も多く、今後の勉学に
 ついての励みになったと考えられる。
 II.堤     康央 先生 「薬学への誘い」
 【日時】令和元年7月9日(火)13:3015:00
 【場所】視聴覚教室
 【参加者】1、2、3年希望者 54 名
 【内容】
   はじめに、大阪大学薬学部・薬学研究科に導入された「新全6年制薬学教育システム」について、ま
 た、設定される3コースの入試やプログラム、進路などの違いを詳しく説明していただいた。
   次に、薬学と毒性学について、歴史的な事例を交えて説明していただきました。
                                                                         「毒」と「薬」には明
 確な違いはなく、生体環境や生命活動に変化を与えるものという点で本質的には同じであると言えるこ
 と。安心を確保するのは難しいが、人間の安心・不安という心理状態には理解力と情報量が大きく関わ
 っているので、安心・安全を確保するためには情報を正しく理解することが大切だということを知るこ
 とができた。
 
                                             25
 生徒感想一部抜粋
 ●ひとことで「薬学」と言っても、その学問の内容や課程、進路も多種多様で、知らなかったことがた
   くさんあり、自分の視野を広げることができた。自分が思っていたよりも「薬学」は私達の生活や健
   康、更に社会と密接な関係であり、身近なところで私達を支えてくれていることがわかった。
 ●今日、私たちは世の中の物質について様々なイメージを持っているが、それらのイメージはどのよう
   な根拠に基づいたものなのかを考え直す必要があると思った。新聞やテレビによって「作られた」イ
   メージが身の周りに溢れているということが分かったので、何を信用すべきなのか、何を基準に物事
   を判断すべきなのかを自分で考えなければならないと思った。
 【成果】
  「薬学」
        「毒性学」について詳しく知ることができ、様々な分野に関わっていることが分かった。
                                                                                      「薬」
 や「毒」に関わる現在に至る長い歴史を理解させることができた。
                                                           「情報」についての自分の姿勢を見直
 す良い機会になったと考えられる。
 
 
 III.橋爪 章仁 先生 「理系プレゼン入門」
 【日時】令和元年7月 11 日(木)13:3015:00
 【場所】視聴覚教室
 【参加者】1、2、3年希望者 63 名
 【内容】
   なぜプレゼンテーションが必要なのか、ストーリーの作り方、スライドの作り方、プレゼンテーショ
 ンの仕方、プレゼンテーション成功のコツなどをわかりやすく、具体的な事例を示しながら、丁寧に説
 明していただいた。
 生徒感想一部抜粋
 ●今までに何回かプレゼンテーションを行ってきましたが、今回の講義を受けて、その欠点や長所につ
   いて気づくことができました。探究の発表を控えているのでこの講義を受けてよりよいものにしたい
   と思います。
 ●私はプレゼンがあまり得意ではないので、とてもタメになったと思う。プレゼンテーションをする準
   備をする手順やコツを明確に教えてくださったので次のプレゼンテーションを行うときに実践して
   みたいと思う。橋爪さんの講演は笑える部分もあって、とても面白かったし、私も同じように大勢の
   人の前で面白いプレゼンテーションができるようになりたいとあこがれを感じた。
 【成果】
   生徒自身も今まで授業等でプレゼンテーションを行う機会があったもののプレゼンテーションの方
 法、スライドの作り方など具体的に学ぶ機会がなかった。今回、具体的に学べたことで探究活動の発表
 の場などで生かしていけると考えられる。
 
 
 IV.栗田   光樹夫 先生 「せいめい誕生」
 【日時】令和元年7月 12 日(金)13:3015:00
 【場所】新三丘会館
 【参加者】1、2希望者 86 名
 【内容】
 
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   世界史で習っているようなエラトステネス、プトレマイオス、ガリレオなどの地球観、宇宙観、彼ら
 の実験の話を導入にして頂き、生徒の知的好奇心が高まった中で講演が始まった。
   内容としては、東アジア最大の望遠鏡である「せいめい望遠鏡」の開発に関するものであった。
                                                                                       「長年
 にわたって望遠鏡開発の最先端を歩むアメリカに負けない国内技術を用いた望遠鏡を日本で作りたい。」
 という熱い思いがその開発を突き進めた原動力であるとのことだった。「科学者が実験装置を作る必要
 があるのか」というテーマでは、自分たちが知らないことを調べるには自分たちでアイデアを用いその
 装置さえも作る必要があるとのことで、生徒が持つ科学者のイメージが大きく変わったと思われるよう
 な講演内容であった。
 生徒感想一部抜粋
 ●自分たちの知らないことを調べるために道具さえ自分たちで作り出す研究者はすごいと思った。理論
   だけでなく科学技術の革新や発展が科学全体の発展にも関わってくるから、そういう機械開発も発展
   させないといけないと思った。
 ●専門的な用語も多かったが「マサイ族の視力が人間のレンズの構造上 10.0 などありえない」、望遠鏡
   の動作の精密さが、
                   「10km 先の五円玉に糸を通すほど繊細」など自分たちにも分かりやすい例えが多
   く、理解して聞くことができた。ウソみたいに広い宇宙を見るためにナノメートルレベルの精密さに
   挑戦していることのギャップが興味深く感じられた。
 【成果】
   「天文学」という一つの分野をとっても、そこに関わる「理論を研究する科学者」、
                                                                             「実験の機械を開
 発する技術者」、
               「その両方を併せ持つ研究者」などが存在し、広い宇宙の解明に携わっていることを学
 べた。その学びから生徒自身が「宇宙」
                                   ・「天文」に関わる研究や仕事をしたいと考えたとき、生徒自身
 がどのような分野で、どのような関わり方をしていくのかの選択肢の広がりを今回の講義で得ることが
 できた。生徒たちは「宇宙」・「天文」という世界に少しでも生徒たちに近づけた。
 
 
 V.小橋    裕明 先生 「整形外科のお仕事」
 【日時】令和元年7月 17 日(水)13:3015:00
 【場所】視聴覚教室
 【参加者】1、2、3年希望者 61 名
 【内容】
     三国丘高校生時代のお話では、努力をすれば、学力は伸びるという励ましも含め、体育祭で応援団
   長をされた等、決して勉強ばかりをして医学の道に進んだのではなく高校生活の中で多くの事を学ん
   だという経験談であった。その後、大学のカリキュラムを詳しく説明いただいた。研修医時代の病院
   でのアルバイト、大学院、医学博士号を取得する意味、専門医の資格等、部外者では知ることのでき
   ないお話を詳しくしていただいた。
     ご専門の運動器、スポーツ医学についてのお話では、指の治療の生々しい映像を説明しつつ手術の
   方法を詳しく説明いただいた。
     最後に、看護士、薬剤師との連携のお話では、医療現場で、両者に大いに助けられた等の経験談を
   交え、看護士、薬剤師の仕事の重要性を説いていただいた。
     全体を通し、生徒は、非常に興味深く、熱心に聴いていた。医療関係に進学を希望している生徒に
   とり極めて貴重なお話であった。
 
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 生徒感想一部抜粋
 ●医学部を卒業してから病院、大学院、留学など多用な方向があることを知りました。
 ●医者には、たくさんの資格や経験が必要であることが分かりました。
 ●アメリカでの留学体験を聞いて、私は、臨床医としての海外研修に行きたいと思いました。
 ●看護師の中に特定看護士があり、薬剤師の中に病院薬剤師、薬局薬剤師など活躍の場が広いことに驚
   きました。
 【成果】
   実際の医療現場に関するお話をしていただき医療関係に進学を希望している生徒達には、極めて良い
 刺激になった。また、学生生活での体験をお話ししていただいたことで、今自分は夢をかなえるにはど
 のような行動をしなければならないのかを考えるきっかけになった。
 
 
 VI.石水    毅   先生 「暮らしに関わる植物科学」
 【日時】令和元年 12 月 10 日(火)13:3015:00
 【場所】視聴覚教室
 【参加者】1、2、3年希望者 47 名
 【内容】
    衣食住・エネルギー資源・地球環境など, 私たちの暮らしは植物の生命機能に拠っている。植物の成
 長の仕組みや生命機能を理解し, 植物の生産性を向上させることは人間にとって重大な課題である。石
 水先生は植物に特徴的な細胞壁の成分である「ペクチン」を合成する酵素の遺伝子を世界で初めて発見
 された。今回は, 10 年以上かけたこの研究内容の一端をご講義頂けた。
   また, 高校時代の勉強方法, 大学の学部選びの基準や理系学部に進学するために身に付けておくべ
 きことなど, 生徒の進路に関わる具体的なお話も拝聴できた。
 生徒感想一部抜粋
 ●石水先生と同じく, 私も物事を成立させている根本的な要素を探究するということが大好きです。今
   日は植物科学という観点から講義を聞くことができ, いい機会となりました。また, 先生の講義から
   忍耐力を持って何かに取り組むことのすばらしさ, 偉大さを学びました。私はそれを勉学という方向
   に生かせるようにしたいと思いました。
 ●石水先生は根気よく研究を続けて世界で誰もできていないことをやり遂げられてすごいと思いまし
   た。分からなくても, うまくいかなくても, あきらめずに頑張ることが本当に成果を生むのだな, と
   感動しました。
 【成果】
   最先端の研究内容を高校生に理解できるレベルでお話していただき, 植物科学に対する興味が深ま
 った。そして, 10 年以上の歳月をかけた研究に対する情熱, 根気強さに感銘を受けた生徒が多かった。
 研究するとはどういうことかを学ぶことで, 研究者を志す生徒は具体的に将来の自分の姿を描き, 研
 究者に対する憧れをより強く持つことができるようになった。また, 本校卒業生である石水先生の高校
 時代のお話を聞き, 勉強に対する意欲をあげることができた。
 
 
 VII.辻本   崇史 先生 「金属資源の世界」
 【日時】令和元年 12 月 13 日(金)13:3015:00
 
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 【場所】新三丘会館
 【参加者】1、2年希望者 28 名
 【内容】
   我々が生きる現代社会では、科学技術の発達がもたらした文明利器、IT 機器などに溢れている。これ
 らの高度な機器類には様々な金属 (メタル) が原料として使用されており、例えば銅は電気導性に優れ、
 電気自動車など数々のハイテク製品に多量に使用されている。また、銅以外にも多種・多量のレアメタ
 ル(希少金属)が高機能性を発揮するために使用されている。
   これら金属資源の日本の産業界への安定的・永続な供給は産業の維持・発展には不可欠だが、日本で
 は生産がなく、全て海外からの輸入に依存しているのが現状である。我々が豊かな生活を享受できるの
 も、これらの資源を世界の国々から日本へ持ってきているからであり、金属資源の世界とは何か、そし
 て日本政府や我々は日本への金属資源安定供給に向けてどのような努力をしているのか、更に、未来に
 向けこれらの資源を有する国々とどのような関係を築いていけばよいかについてお話していただけた。
 生徒感想一部抜粋
 ●よく話題になる「金属資源」について、詳しく話を聞く機会は今までにありませんでした。しかし、
   今回の講演を聞いてとても興味を持ちました。その中でも一番興味がわいたのが海洋資源についてで
   す。私の想像している以上に大量の資源が海底に眠っていることを知りとても驚きました。
 ●これからの時代、資源を有効的、効率的に使っていくのかが重要になっていく中で、資源を生み出す
   ことの大変さを知ることができ本当に良かった。
 【成果】
   現在の日本の地下資源の現状についてお話していただき、今直面する問題について深く考えることが
 できた。現在、我々が便利な生活を送ることができるのは様々な方の努力の上で成り立っていることを
 感じることができ、自分が将来どのような形で社会に貢献することができるのかを考えるきっかけとな
 った。
 
 
 (b).研究室訪問
 【日時】令和元年7月5日(金)
 【参加者】2年生理系生徒   217 名(引率教員 14 名)
 【内容】
   以下の研究室を訪問し、第一線で活躍する研究者や研究に勤しむ大学生から研究内容や、研究に対す
 る姿勢に関してお話いただいた。また、実際に携わっている実験等の装置・機器を見せていただくこと
 を通して、実験の目的やそれを達成する“手段としての実験”の意義を理解させる機会となった。
 
 
            研究科                                  訪問先研究室
       1理学研究科    宇宙物理専攻 物理学第二教室(高エネルギー物理学) 中家 剛 教授
                       農学専攻 園芸科学講座
       2農学研究科      蔬菜(そさい)花卉(かき)園芸学分野       土井 元章 教授
                       農学専攻 作物学研究室        白岩立彦 教授
                       材料工学専攻 量子材料学分野       田中 功 教授
       3工学研究科
                       都市環境工学専攻      高岡 昌輝 教授
 
                                               29
                         都市基盤システム工学講座    浅野 圭佑 准教授
                         材料化学専攻    宮 祐輔    准教授
                         森林圏遺伝子統御分野 矢 一史 教授
        4生存圏研究所   森林代謝機能化学分野 小嶋 浩嗣 教授
                         宇宙圏航行システム工学分野 飛松 裕基 准教授
 生徒感想一部抜粋
 ●私が興味を持った研究は、パソコンのシミュレーションを使う研究で、地震などの災害が起きた時に
   どのような被害に遭うかを数値化する研究で、これによってたくさんの人が助かると思うので、そう
   いう研究を自分もやりたいと思った。
 ●講義の内容は素粒子の基礎的なことだったので、元々知っている内容もあったが、CP 対称性の破れを
   研究するための試作機が、小型と言っていたけどすごい迫力で、そんな機械を院生が作っているとい
   うのも驚いた。自分も独学でもっともっと勉強してこの
   方々の言っていることをもっと理解したいと思った。
 ●講義は私にとって難しい内容で理解することが大変だっ
   たが、貴重な機械や試料を見せていただき興味深かった。
   大学生のお話では一人一人がやりたいことを明確にして
   いて、自ら夢のために進んで学ぶという姿勢がとても輝い
   ていた。私の予想に反し、教授も自ら顔を土で汚しながら
   学生と共に実験をしていて、生徒と教師というより、仲間
   のように学んでいる姿が印象に残った。
 【成果】
   各教授からは研究室で行っている研究紹介だけでなく、実験
 室にも入らせていただき、実験器具を見せてもらうことができ
 た。大学では市販されている測定装置を購入して実験を行うの
 ではなく、学生自身が必要に応じて設計・開発または発注する
 ことで、オリジナルの装置を用いた実験が行えている。こうい
 った事実を知れたことは、生徒にとって大きな衝撃だったよう
 だ。また、内容は難しくても、活き活きと研究内容をお話しし
 てくださる姿に憧れる生徒が、感想から多く見られたことか
 ら、研究者の方々に直接語っていただくことの必要性を感じ
 た。
 
 
 
 
                                               30
 B2    科学体感校外学習
   高校生が高い志や使命感をもって社会に出ていく準備をするためには、科学が具体的にどのように問
 題解決に関わっているかを体感し、“理工系としてのビジョン”を明確にすることが重要であると考え
 た。そこで、国内で科学を体感できる校外学習を物理・生物・化学(薬学)
                                                                   ・医学分野で実施した。また、
 アメリカ航空宇宙局(NASA)やフロリダ工科大学(FIT)での海外研修の実施内容を報告する。
 I.生物体感校外学習 磯観察
 (1) 仮説
          海洋生物学がご専門の大阪大学大学院の古屋秀隆先生の指導助言を受けながら、普段高校で
        は体験することのできない磯での観察をすることで、生物学へのさらなる興味関心を高める機
        会となる。また、自身の理系の進路に向けて考えを深めるきっかけとなり、米国 NASA・FIT 海外
        研修参加者に対しては事前学習の契機となる。
 (2) 実施内容
     1 日 程:令和元年5月5日(日)
     2 場 所:和歌山県和歌山市       加太城ケ崎
     3 参加者:本校生徒 16 名(1 年生6名 2 年生9名 3 年生1名)      本校教諭 3 名
                   大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻 古屋 秀隆 准教授
                   同   博士後期課程 学生 1 名
     4 概 要:
         ・磯観察時の注意点について
         ・磯観察
         ・報告会
 (3) 実施結果・検証
          現地到着後、磯観察時の注意点について説明において、
        触れてはならない危険生物の紹介や岩場での滑り、日焼
        けや熱中症など健康面での注意を行った。そのあと、4
        人程度を1班として観察活動を始めた。その活動の様子
        を右の写真1で示す。観察終了後は、それぞれスケッチを
        行い、図鑑で和名を調べた。その後、報告会を行った。
        各班で採集した生物を持ち寄り、活動中に見つけた生物
        のなかで興味をもったことや不思議に思ったことなどに
        ついて、班ごとに生徒に発表させた。一つの班の発表終
        了後には、古屋先生より実際に生物を示しながら形態や
        生態についての解説を行なっていただいた。
 生徒感想一部抜粋
 ●ウスイタボヤという生物を初めて見た。私の中の生物というイメージが変わり、「生物の多様性」と
   いう言葉を感じた。
 ●一見何もいないように見えても、注意深く観察すると多様な生物がいるのがわかった。古屋先生
   の、「生物のいないところはない」という言葉は印象的だった。
 
                                                  31
 ●NASA 研修では日本の生物とアメリカの生物の違いを見つけたい。そして、事前にどんな生き物がい
   るのか調べていこうと思った。
 (4) 成果
   アンケート結果や自由記述の内容より、実際に磯で生物を観察したり、触れてみたりすることで生
 物を身近に感じるとともに、生物の多様性への理解や、生物学への興味関心を深めていることがわか
 った。米国 NASA・FIT 海外研修に参加する生徒に対しては、事前学習の契機となった。
 
 
 II.物理体感校外学習 つくば
 (1) 仮説
   最先端の科学技術や創意工夫を見学・体験すると共に、研究開発者から講義や説明を聞くことで、
   現在課題となっていることなど、開発が待たれる分野や領域を理解し、興味関心を深めることがで
   きる。
 (2) 実施内容
     1 日 程:令和元年 7月 29 日(月)30 日(火)
     2 場 所:筑波宇宙センター(JAXA)
                                    、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、
                   産業技術総合研究所(AIST)、地質標本館
     3 参加者:生徒 20 名(1 年生 11 名、2 年生9名) 引率3名
     4 概要:
         【事前学習】本研修のための事前学習として以下を3時間程度実施した。
            ・JAXA で開発した衛星等の調べ学習および発表
            ・加速器を用いた素粒子の研究に関する教員による講義
         【施設見学および講義】
            講師:宇宙アドバイザー協会 三枝 博氏(元 JAXA 試験センター長)
                   産業技術総合研究所ナノチューブ実用化研究センター 副センター長 岡崎 俊也氏
 (3) 実施結果・検証
 事前学習
   筑波宇宙センターでの研修のために、
                                   「きぼう・こうのとり」「みちびき」
                                                                   「はやぶさ2」
                                                                               「宇宙ロケ
 ット」
     「宇宙開発ベンチャー」に関して調べ学習を実施した。1班5名で構成し、各班ごとに前述の中
 から1項目を決め、事前学習当日までに調べ学習を行い、事前学習当日は他の班に各生徒がプレゼン
 する形式で実施した(以下の図を参照)
                                   。この方法により、生徒は効率よく知識を得ることができると
 ともに多くの疑問・質問をもって研修に臨むことができた。
 
                                   みちびき 班     はやぶさ2 班
 
 
 
 
      こうのとり                                     宇宙開発
      きぼう 班                  宇宙ロケット 班   ベンチャー 班
 
 
 
 
                            調べ学習の発表方法                          発表の様子
                                                   32
 筑波宇宙センターでの研修
   現地では宇宙ドームの見学・構内見学に参加した。宇宙ド
 ームでは、説明員(宇宙アドバイザー協会 三枝 博氏)にお
 願いし、解説を受けながら衛星などを見学した。特に今年から
 「はやぶさ2」が展示され、そのねらいや構造などを詳しく説
 明していただいた。宿泊地ではより詳しい宇宙開発の現場につ
 いて講義いただいた。講義では、基本的な宇宙での物理の話か
 ら、はやぶさ2の運用、火星テラフォーミング計画、民間企業の宇宙産業への参入など多岐にわたっ
 た。質疑応答の時間では、
                       「なぜ日本人は有人飛行を行わないか」や「HII-A ロケットに比べて小さい
 イプシロンロケットの目的は何か」など、様々な質問に答えていただいた。
 高エネルギー加速器研究機構での研修
   2日目の午前中は KEK での研修に臨んだ。ここでは、加速させた電子と陽電子を高速で衝突させた
 ときの反応を調べる施設『BellII』と、加速させた電子による放射光を利用した分析施設『フォトン
 ファクトリー』を重点的に見学することができた。今年は検出器の機能を詳しく学べる資料館も見学
 させていただき、超電導加速空洞や宇宙線シンチレータの原理を
 実物を基に説明していただいた。フォトンファクトリーではリチ
 ウムイオン電池の分子構造解析に関するお話のほか、リボソーム
 の構造解析、チョコレートやシャンプーの製品開発など、放射光
 が様々な分野で活用されていることを知ることができた。KEK で
 は素粒子物理とともに、放射光が生命や物質化学といった我々の
 生活に近い領域の研究が行われていることを学ぶことができたこ
 とで、物理を学ぶ利点を強く実感できたのではないだろうか。
 産業技術総合研究所での研修
   産総研の研究内容を紹介・展示する施設 「サイエンス・スク
 エアつくば」を見学した。産総研での様々な分野での研究成果が
 展示されている。また、本校 OB でカーボンナノチューブ(CNT)の
 実用化を研究している岡崎 俊也氏には、CNT の発見の歴史から電
 子の結合による性質の決まり方、そして CNT の応用技術について
 講義していただいた。高校生には高度な内容ではあったものの質
 疑応答では、フラーレンや CNT の生成の原理や、CNT の形状を二
 又などにできるかなど積極的に質問する姿が見られた。
 地質標本館での研修
   地質標本館ではプロジェクションマッピングを用いて日本の活断層そして本校周辺の活断層の実態
 を見せていただいた。知識として知っていることもこれまでにない表現での展示だったため、生徒は
 興味深く観察していた。このほか、日本の地層や様々な鉱物・宝石等の成り立ちを学ぶことができ
 た。
 生徒感想一部抜粋
        ●宇宙には興味があって今回の校外学習に参加しましたが、特に1日目の夜の講義が印象に残っ
 
                                                33
       ています。SPACE X 社のロケットが宇宙から戻ってくることができるという話、火星に移住させ
       ようとしている会社(NPO)があるということも驚きました。
     ●地質標本館で見た「生きた化石」にとても惹かれました。なぜ何億年も前に誕生した生物が現
       在も(進化せずに)生き残れるのか疑問に思いました。
     ●KEK の内容が特に興味があり、2日目は特に時間が早く過ぎたように感じました。今回の研修に
       参加して、より宇宙への興味がわきました。だから文理選択では理系に進んで、より深く疑問
       に思うこと、興味を持つことについて学びたいと思います。
     ●どの施設の方々も丁寧に説明してくださったが、自分が学習していない内容はよく理解できな
       いこともあった。今回の内容を理解できるようになるために、今後の化学や物理の勉強を頑張
       ろうという気になった。
     ●CNT についての講義を聴き、強くて軽いという特徴をもつ CNT をロケットの部品に使えば良いの
       ではないかと思いました。今回の校外学習に参加しなければ得られなかったたくさんの知識と
       体験を今後に活かしていきたいです。
 (4) 成果
     アンケートの結果、生徒の興味・関心を向上させると共に、自身の行動へつなげられる刺激が得
   られていると考えられる。
     調べ学習・発表の様子からは、多くの生徒は「物理や宇宙に興味はあるけれど知識は少ない」印
   象を受けた。今回実施した「調べ学習・発表」の結果、研修当日には生徒からの意欲的な質問が多
   数みられた。したがって、知識を習得する機会は非常に重要で、かつ“効率的に多くの知識を習得
   する方法”として今回実施した発表の方法は効果的であると考えられる。また、調べ学習だけでは
   なく、ある一定の知識を携えた上で、生徒自身が見る・聞く・触ることを通して科学を体感するこ
   とが、科学の面白さを理解すること、また自身の将来について深く考えるきっかけになると考えら
   れる。
     研修内容のレベルは高く必要とする知識も幅広いが、今後はより自己研鑽に勤しんでもらうとと
   もに事前学習等でのより適切なサポートの充実化を図っていく。
 
 
 III.化学体感校外学習 (株)ハイドロエッジ見学
 (1) 仮説
   国内最大級の水素製造プラントを有するこの工場を見学し、お話を伺うことで、ロケットの燃料に
 も使用されている水素エネルギーに関する理解を深める。また、環境・エネルギー問題についての関
 心を深め、課題研究を進めていく上でのヒントにすることができる。
 (2) 実施内容
     1 日 程:令和元年 6月 11 日(火)
     2 場 所:(株)ハイドロエッジ 大阪府堺市西区築港新町 312
     3 参加者:生徒 59 名(1年生 28 名、2年生 27 名、3年生4名) 引率2名
     4 概要:
         ・水素社会に向けて講義 代表取締役 美澤 秀敏     氏 取締役工場長 保井 義典 氏
         ・工場設備概要 DVD、説明
         ・2 班に分かれて工場見学、演示実験
 
                                              34
         ・質疑応答
 (3) 実施結果・検証
         水素社会に向けての講義では、現在日本が直面しているエネルギー問題と液体水素燃料の未
       来に関するお話をしていただいた。企業としての経済活動のためではなく、日本社会の未来を見
       据えた活動をされており、そのお話は生徒が将来、科学者となり社会に貢献する意識が芽生える
       一助になった。
         工場設備の見学では、学校で習った工業的製法だけでなく、エネルギーを無駄にすることな
       く、効率よく物質を製造するために、他の物質の製造を絡めるなど4次元的に工場が作られてい
       ることを体験することができ、学習を深める良い機会となった。
         高圧ガスを用いた実験では、学校では行うことができない実験を多数見せていただき生徒た
       ちの興味・関心を引き出す良い機会となった。
 生徒感想一部抜粋
   ● 製造の際の工夫や、土地に合わせた工夫がわかった。医療用の酸素や窒素にはゴミが入らないよ
     うにすること、食品の炭酸ガスはにおいをとることなどたくさんの配慮が一つ一つの工程で行わ
     れていて興味深かった。
   ● 液体窒素の冷熱を用いて水素を冷やすなど、環境に配慮されているところは感動した。水素エネ
     ルギーは非常に将来性のあるエネルギーであるので実用化がどんどん進んでいってほしい。自分
     自身が将来の地球のことを考える良い機会となった。
   ● 圧力の変化、化学反応式、沸点の違いなど授業で学んだ化学の知識が実際に活躍していることを
     知り、さらに化学に対する興味がわいた。
 (4) 成果
     アンケート結果から生徒たちから興味・関心を引き出すとても良いプログラムであった。
     特に化学に関する興味・関心が高まったと肯定的に答える生徒は 100%であり、これは普段学習し
   ている内容が実際の社会でどのように利用されているのかを体験できたからであろう。普段の授業で
   も体験できる内容を入れ込むことで、より主体的に考える授業が展開できることがわかった。
 IV.化学体感校外学習
 (1) 仮説
     時代の最先端の研究をしている大学の研究者から講義や説明を聞き、また、普段高校ではできない
   実験を体験することで、理科・化学へのさらなる興味・関心を高め、各生徒が自分の将来について考
   える機会となる。
 
 (2) 実施内容
     1 場所:大阪大学薬学部
     2 参加者:生徒 14 名(1年生7名、2年生7名)     引率2名
     3 概要:
       ●午前:講義「アカデミア創薬の最前線ライフサイエンスの誘い」
       ●午後:実習「創薬をめざしたタンパク質の変動解析技術の基礎」
       (1)「変動タンパク質の解析」の説明
       (2)ピペットマンの使い方
 
                                              35
        (3)試料の電気泳動
        (4)試料の染色・撮影
        (5)電気泳動後の試料の結果と考察、
 (3) 実施結果・検証
     1 日程:令和元年7月 23 日(火)
   「薬学」の意義(ヒトの健康科学し、ヒトの健康確保を考察する)から始ま
 り、創薬の過程(研究者から製薬会社まで)や薬剤が狙う場所や方法(抗原抗
 体、遺伝子、細胞、ナノレベルの薬)
                                 、DDS(ドラッグデリバリーシステム)な
 ど未来につながる治療方法について講義していただいた。また、創薬におけ
 る歴史や最前線の研究についてのお話を聞かせていただいた。企業では莫大
 な費用をかけて新薬を合成すべくしのぎを削っている。そういう社会情勢の
 中で大学が創薬の分野でどう関わっていくか、潰瘍性大腸炎の新薬アサコー
 ルのお話、大学の話など多方面にわたる講義をしていただいた。
   午後の実習では学校では見ることや、扱うことができない実験器具に触れることができ、とても貴重
 な体験となった。また、昼食時には大学生や院生に様々なお話を伺うことができた。
 生徒感想一部抜粋
 ● 研究室で実際に使われている器具に直接触れ、実験をでき
   てとても感動しました。教えてくださった先生や学生の皆
   さんは優しく指導してくださりとても良かった。
 ● 「薬学」についてわかりやすく説明していただきとても理
   解しやすかった。話の内容は知らないことが多く、薬学部
   に入っていろいろと学びたいという思いが強くなった。
 (4) 成果
   アンケート結果や自由記述の内容より、研究の最前線で研究されている方から直接話を聞くことに
 より、科学・化学に興味関心を深めていることがわかった。生徒自身が直接話を聞き、最先端の大学
 の実験室で実験の様子を見学し、生徒自身が実験を体験することで、科学・化学の面白さを理解し、
 自分自身の将来について考えるきっかけになっている。
 
 
 V.医学体感校外学習
 (1) 仮説
 医学部医学科興味を持つ生徒が実際に医療現場を見学・体験することでその思いをより強くすることが
 できる。
 (2) 実施内容
     1 日程:令和元年 12 月 26 日(木)
     2 場所:大阪大学医学部付属病院、大阪大学最先端医療イノベーションセンター
               大阪大学医学部付属病院未来医療開発部未来医療センター
     3 対象生徒:生徒 12 名(医学科希望の 2 年 5 名、1 年 7 名) 引率教員 4 名
     4 概要:
         木村 正教授、澤 芳樹教授による体感学習の導入
 
                                               36
           先端医療「iPS 細胞による心筋シート」の研究現場の見学
           医療の現場(手術室および周産期母子医療センター)の見学
           内視鏡、人工呼吸器の実技体験
 (3) 実施結果
   木村    正教授、澤 芳樹教授による体感学習の導入
     初めに、本校卒業生である木村 正病院長に、大阪大学医学部
   の成り立ちや大阪大学医学部付属病院の特色、世界の病院事情な
   ど講義していただいた。職業観について発問もしていただき、生
   徒たちも活発に自分の考えを述べていた。
     また、同じく本校卒業生で心臓外科医の澤先生に講義していた
   だいた。心臓手術の歴史から心臓移植の現状、移植の倫理的問題点、解決策として最先端の医療技
   術である iPS 細胞による心筋シートの開発の現状、医師という仕事に対しての向き合い方など多岐
   にわたりお話ししていただいた。
   先端医療「iPS 細胞による心筋シート」の研究現場の見学
     イノベーションセンター・未来医療センターにて実際に心筋シ
   ートを製作する現場を見学させていただいた。培養の途中段階の
   細胞を顕微鏡で見せていただいた。ばらばらではあるが、細胞一
   つ一つがタイミングを合わせるように一斉に伸び縮みする動きを
   確認することができた。次に、専用の容器の中に入っている、直
   径約4cm の細胞シートが実際に自律的に動く様子を肉眼で観察さ
   せていただいた。
     また、イノベーションセンターでは医師だけでなく薬学、工学、薬学などの研究者の方が最先端
   医療に関わっておられ、多様な分野からの医療への貢献という点でも生徒たちの視野が広がった。
   医療の現場(手術室および周産期母子医療センター)の見学
     医療の現場として手術室や周産期母子医療センターにて分娩
   室や NICU(新生児特定集中治療室)を見学した。
     全員が手術着に着替えて手術用の手袋のつけ方を教わり、手
   術室に案内していただいた。20 室以上の手術が常に稼働してお
   りさまざまな職種のスタッフの方も忙しく動いておられて生徒
   たちも現場の厳しさを体感できたようであった。
     今回は内視鏡での手術を見学させていただいた。手際よく進
   められる手術に圧倒されている様子だった。また別の手術室では
   da     Vinci という最新の医療ロボットを見学させていただき、ロ
   ボットの特徴や操作方法を説明していただいた。執刀している医
   師の方々が、我々を案内して下さった医師の方ともコミュニケー
   ションをとるなど、真剣ではあるが過度な緊張状態ではない様子
   が伺え、医療現場の空気を感じることができた。
     出産前後の医療を担う、周産期母子医療センターの見学では、
   まず男子生徒が錘を付け、分娩台で妊婦の気持ちを疑似体験した。大きいお腹は重い上に足元が見
 
                                                37
   えにくいなど、その苦労を感じることができた。
     NICU では、重篤な状態で生まれた乳児に対して、どのような治療が行われているか知ることがで
   きた。また、実際の出産の様子を見学させていただいた。
        最後に、内視鏡、AED、人口呼吸器の訓練を体験させていただいた。操作方法を教えていただき、
 画面を見ながら手元のリモコンとチューブを操作した。上手く空気を送るコツなど実技をまじえて教
 わった。生徒たちは実際に医学部生の行う授業を体感し、より未来のイメージをふくらませたよう
 だ。
 生徒感想一部抜粋
        ●NICU や産科を見学させてもらって、小さな赤ちゃんが懸命に生きている様子に感動した。やは
         り医師になりたいと強く思った。
 (4) 成果
     生徒感想等より、医療現場に直接赴き現場の方々の話を聞く経験は生徒のモチベーションを大き
   く向上させる効果があるとわかった。生徒が自身で体感することで、職業観・使命感を深める機会
   となった。それにより進路実現への明確な目標意識が高まったと考えられる。
 
 
 
 B3       SSH 米国(NASA・FIT)海外研修
 (1) 仮説
   世界的に卓越した研究施設であるアメリカ航空宇宙局(NASA)および NASA の宇宙開発プロジェクト
 に携わる科学者によって設立された大学であるフロリダ工科大学(FIT)での研修を通し、世界レベルの
 研究や研究施設や世界の最先端の知見に触れ、理工系としてのビジョンを明確化させることができると
 考えた。また、事前・事後学習を行うことで研修をより効果にすることができる。
 (2) 実施内容
          1日程:令和元年7月 15 日(月)7月 22 日(月)【6泊8日】
          2主な研修場所:アメリカ合衆国 フロリダ州 オーランド
                            ・アメリカ航空宇宙局(NASA)
                            ・ケネディー宇宙センター(KSC)
                            ・フロリダ工科大学(FIT)
          3参加生徒:希望者 26 名(男子 14 名/女子 12 名)   引率者2名
          4事前学習
          (1) 事前研究
           班ごとに、以下の AF テーマに関して調べ学習を行い、パワーポイントを用いた口頭発表を
         行うことで、研修で学ぶことの基礎を理解する。また、学んだことについて発表を行うことで、
         理解を深めるとともに、より良いプレゼンテーションにするための技術を学ぶ。
         テーマ: A.太陽系について          B.アポロ計画              C.スペースシャトル
                    D.宇宙での植物栽培      E.現在の宇宙開発          F.飛行機はなぜ飛ぶのか
            (2) 磯観察
            加太城ケ崎で磯での観察を行い、生物の観察に関する基礎的な技術を学び、生物学へのさらな
         る興味関心を高める。
 
                                                 38
         (3) 工場見学
       (株)ハイドロエッジの見学を行い、水素に関する理解を深める。
         (4) ネイティブの講師により、天文学、航空学、宇宙学について講義を受けることにより、現地
        での理解をより深いものにする。
        5事後学習
        (1) 事後研究
           班ごとに現地で学んだことについて、より深く学び
           たいことを考え、テーマを決め口頭発表を行う。
        (2) 学校説明会等での発表
           研修での体験や、得たことの発表を行う。
        (3) 講演
          アメリカ航空宇宙局(NASA)Garvey
          McIntosh 氏の英語による講演
        6概要:本海外研修の内容は大きく3つに分けられる。
         A.航空宇宙工学および宇宙環境(@ケネディ宇宙センター)
         .レプリカ工場の見学(@Guard Lee)
         .SLSL の見学・火星での植物栽培に関する講演
         .宇宙飛行士による講演(@FIT)
         .American Space Museum で NASA の研究歴学習
         .ケネディ宇宙センターでの博物館見学
           B.フロリダ工科大学
         .航空学の講義・シミュレーション
         .天文学の講義・天体観測
         C.海洋学(@フロリダ工科大学、セバスチャン・インレット)
         .セバスチャン・インレットの地形に関する講義とフィールドワーク
         . ウミガメの生態に関する講義とウミガメの産卵観察
 (3) 実施結果
  .レプリカ工場の見学
  レプリカ工場である Guard Lee を訪問した。ここでは、NASA
 や空軍で使用される実機のレプリカの製造や修理を行ってい
 る。そこで技術者から製品を作成する上で何が大切かお話を
 していただいた。また、実際にスペースシャトルで使用されて
 いた耐熱パネルに触れることができ、宇宙開発の技術のすご
 さを理解することができた。
  .SLSL の見学・火星での植物栽培に関する講演
   SLSL では二人の研究者から講義をしていただいた。まず宇宙での植物栽培研究の第一人者である
 Gioia Massa 氏から植物学の講義をしていただいた。講義では”Vegge”に関する様々な興味深いお話を
 聞くことができた。宇宙での植物育成には、光や温度、水、湿度などの環境を植物に適したものに合わ
 せる必要があり、現在でも無重力下での水のやり方など様々な課題があることを知ることができた。ロ
 
                                              39
 メインレタスや水菜など成長の早い野菜を中心に育成を行われており、特殊な環境で育てる必要のある
 花もジニア(百日草)が成功例として映像を見ることができた。食物の確保という意義だけでなく、純
 粋な水の確保や見ること育てることでの心理的な癒しを得る効果もある植物育成は、これからも育成
 可能な種類を増やしていくことが目的であること知ることができた。
   次に日本の企業である Nitto の研究者 Anna Balenko 氏から講義をしていただいた。ここでの講義の
 中心は Nitto が開発したテープは水素ガスで変色するテープについてであった。ロケットの燃料に使わ
 れている水素ガスは無色・無臭で漏れていたとしても気付きにくいが、可燃性が非常に高いので重大な
 事故につながる。そのため、漏れに素早く気づくことができるこのテープが開発されたと伺った。また
 現在はアンモニアを感知するテープに関しても研究が進められていることを伺った。
   SLSL では始めに宇宙ステーションとの通信室を見学した。そこでは宇宙飛行士が運動したり実験した
 りするところや宇宙ステーションの周りの映像を見ることができた。
   その後は研究室を見学させていただき、そこでは実際に宇宙に打ち上げられる予定の器具に触れたり、
 宇宙から帰ってきた植物に触れることができた。
   SLSL での研修で、生徒は宇宙を身近に感じることができたとともに、最先端の科学に触れ自らの進路
 に関して深く考える良い機会となった。また、SLSL の研究者は女性の割合がとても多く、女子生徒は自
 らの進路決定にとても励みになった。
 .宇宙飛行士による講演(@FIT)
   宇宙飛行士の Winston E. Scott 氏に、宇宙での活動実体
 験を伺った。
   講義の後、質疑応答の時間を多くとって頂き、ほとんど全
 ての生徒が事前に準備していた質問をすることができた。
 「宇宙で一番興奮したことは何か。」という質問に対して
 は、貴校出身の土井隆雄氏と行った ISS の船外活動である
 と返答され、どのように ISS を修理したかという貴重なエ
 ピソードから、個々の能力が優秀な宇宙飛行士であっても、
 仲間との協力が不可欠であると学ぶことができた。また、スコット氏の身振り手振りを交えた話し方や、
 笑顔で質問に答えて下さる姿勢に対して、スコット氏の人としての偉大さに感銘を受けた生徒が多くい
 た。
   「宇宙飛行士になるために一番大切なものは何か。
                                               」という質問に対しては、
                                                                     「教養である。
                                                                                 」と即答
 された。研究者としての実務経験があることが必須であり、向学心が強く、高い志をもつことが大切だ
 と述べられ、生徒らは、日頃の学業に対するモチベーションを高めることができた。
 .American Space Museum で NASA の研究歴学習
   展示物のほとんどは実際に宇宙開発で使用されたもので、
 それに触れたり、説明を受けることで、事前に学習してきた
 アメリカの宇宙開発の歴史に関して理解を深めることができ
 た。
 .ケネディ宇宙センターでの博物館見学
   ケネディ宇宙センターでは、ロケットを組み立てる工場や
 発射するプラットホームなどロケットに関わる多くの設備を
 見学した。スケールの大きさを感じることができた。
 
                                                40
   NASA はロケットを作るとき、2つ同じものを作り1つは打ち上げ、もう1つは今後の技術につなげる
 ためにストックしており、それを見学できた。
   ケネディ宇宙センターでの見学でロケットのスケールの大きさに圧倒されていたが、なぜそのように
 大きいものが飛ぶことができるのか考える機会になった。また、このようなスケールの大きいものを作
 ってまで、宇宙開発がどうして必要なのかを話し合うことにより科学の進歩についてより考えを深める
 機会となった。
 .航空学の講義・シミュレーション
   FIT(フロリダ工科大学)では、航空機の構造について講義を受けた後、それまでの学習内容を踏まえ、
 輪ゴムによってプロペラを回すタイプの飛行機のモデルを作り、どれだけの距離・時間を飛ばすことが
 できるかを競った。生徒はそれぞれ学んだことを生かし独自のアレンジを加えていた。自分で仮説を立
 て、それを検証することを楽しみながら体験することができ、課題研究を行う上での必要な力を養うこ
 とができた。
   FIT 内の施設で飛行機の操縦席が忠実に再現されたシミュレ
 ーターや、ドローンなどの6つの航空機に関する体験をした。
   シミュレーターを使って、風が吹いている状況下での飛行機
 の着陸を体験できる装置があり、実際に体験し、突風が吹いた
 時崩れた飛行機の姿勢をもとに戻すことがとても難しいなど、
 自然が飛行機にどのような影響を及ぼすのかを体験すること
 ができた。
   また、他にも飛行機の動きにあわせて装置が動くものなど、
 様々な体験をし、飛行機の離着陸がいかに難しいことかを身をもって感じることができた。パイロット
 はさまざまな状況に対応して飛行機を操作できる高い技術をもっており、とても魅力ある職業であるこ
 とも実感できた。
 .天文学の講義・天体観測
   フロリダ工科大学の天文台では、はじめに、ブラックホールや、小惑星、彗星、純惑星の違いなどを
 クイズ形式で学び、天文学についての知識を深めた。次に、月や様々な太陽系の惑星を望遠鏡で観察し
 ました。木星は縞の模様やガリレオ衛星まで観察することができ、感動した生徒が多くいた。また、ISS
 が夜空を縦断する場面にも遭遇し、宇宙を身近に感じることができた。
 .セバスチャン・インレットの地形に関する講義とフィールドワーク
   フロリダ州の汽水域であるセバスチャン・インレットにて、海
 洋生物の観察を行った。小さな網を使って小魚やヤドカリを捕
 獲し、大きい網を使い、23人がかりで動きの素早い魚や深い
 場所にいる生き物を砂浜まで引き上げ、それらを観察した。ま
 た、それらの生物に関して現地の方から説明を受けた。生徒らは
 日本では全く見たことのない生物に驚き、それらを同定しよう
 と試みていた。
   また、汽水域で採集した水を顕微鏡で観察し、水中に多様なプ
 ランクトンが生息していることを確認した。汽水域という淡水と海水が混ざり合う環境においてプラン
 クトンが豊富になり、様々な魚類やマナティーなどが集まってくるなど、生物の多様性とその関係性に
 
                                               41
 ついて学んだ。
 
 
 .ウミガメの生態に関する講義とウミガメの産卵観察
   ウミガメ博物館においてフロリダに生息する3種類のウミガメ(アカウミガメ、オサガメ、アオウミ
 ガメ)について、生態や産卵するときの行動をについて講義を受けた夜、ウミガメが産卵しているとこ
 ろを探し、産卵中のウミガメを見つけることができた。ウミガメはとても音や光に敏感なので、浜辺の
 建物はすべて夜になると電気を赤やオレンジにする決まりがあり、地域の人がウミガメのために環境保
 全に取り組んでいることを学んだ。
   この活動を通して人間が自然と共存し、生物を守っていくためにはどのようなことが必要なのか考え
 る機会になった。
 生徒感想一部抜粋
 ●数々の貴重な体験ができてとても良かった。この研修を経て私は宇宙に関係する仕事に就きたいと強
   く考えるようになった。
 ●三国丘高校を受験する決め手の 1 つのこの研修に参加できて本当によかった。考えていた以上の多く
   の刺激を受けこれからもさらに勉強をがんばろうと思うことができた。
 ●事前学習で知ったつもりで研修に挑んだが、すべてが新鮮に思われた。特に宇宙飛行士の方からの講
   義では、実際に宇宙にいったことのある方からしか聞くことができないような話を聞くことができた。
   いろんな新しいことを学ぶことができ、知識を蓄えて自分の進路の視野を広げることができたと実感
   できた。
 ●はじめは消極的なところがあったけれど、研修を通して積極的に活動することができて自分自身成長
   したと感じることができました。
 ●今回出会った研究者の方や技術者の方に共通していることは「自分のしていることに誇りを持ってい
   て、熱心で気さくで親切である。」ということがいえると感じた。誇りを持って働くことができる仕事
   に就きたいと思った。
 ●難しいと思っていたロケットや航空学の勉強も自分で見て、触れて、聞いて、感じることで解り、も
   っと知りたいと思い、とても興味が深まりました。
 (4) 成果
   アンケートや感想から、とても充実した内容で、生徒が大きく変容する研修になっていたことがわか
 る。世界レベルの研究や研究施設や世界の最先端の知見に触れることにより、知識を蓄えるだけでなく
 自分の進路について考える大きなきっかけになっている。また一流の研究者と接することにより、研究
 者になるために必要な資質についても大きく考える機会となった。
 
 
 
 
                                              42
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
   本項では探究活動で実施するフィードバック(自己評価・相互評価)の実施結果を詳細に示す。
                                                                                       「他者
 と協力して目的を達成できる力」を育成するための本取組みの効果は、フィードバックで使用したポー
 トフォリオを分析し評価する。他者と協力して目的を達成するには、自身の強み・弱みを理解するだけ
 でなく、互いに改善を促す技術を獲得することが重要であると考える。そこで、探究活動に関するポー
 トフォリオを用いた自己評価および生徒同士での相互評価(フィードバック)の手法を、CSIIの生徒 30
 名、CSIIIの生徒 32 名に対して行った。CSIIIの生徒は 2 回目の実施になる。
 (1) 仮説
     探究活動を通して養った力・能力を自己評価するとともに、他者から指摘してもらうことで、自
   身の改善につなげる糸口を見つけることができる。また、12 種類の能力や力から5個を選択して評
   価させることで、生徒の意識を把握し、今後の指導方針を検討できる情報が得られる。
 (2) 実施内容
     1 日程:
           (CSII)科内発表会終了後6月5日(火)
                                               (CSIII)留学生交流会発表終了後5月 14 日(火)
     2 場所:第2講義室
     3 対象生徒:
               (CSII) 2年生 30 名(CSIII) 3年生 32 名
     4 概要:実施に当たっての準備
         当日までにポートフォリオを配付し、自己評価を行っておく。評価項目を自身で判断し評価
       (◎・○・△)するとともに、具体例もあわせて記入させる。
       評価当日の流れ
 
               形態      時間                                  内容
               全体      5分      アイスブレイク
               全体      2分      簡単な説明(導入)
                                   研究の過程を振り返って、成功体験と失敗体験を互いに挙げる
         ペアワーク     2分×2
                                   (story telling)
               1名      3分      自己評価を書き足す部分があれば記入(3分)
                         1分      グループ作り
                                   フィードバックのルール説明(Active Listening)
                                   教員と生徒によるデモ
                                       デモ1 防衛反応の例/攻撃の例
                                       デモ2 状況から聞いていく/相手の行動のみ指摘
                                         長所→改善してほしいところの順に話す
          研究班別
                         8分        フィードバックのポイント
                                       1人格ではなく具体的な行動を指摘する。
                                       2状況から聞いていく。
                                         (あの時は何があったの?/何があれば解決したの?)
                                       3フィードバックしている人にとって良いのではなく、フィー
                                     ドバックされている人にとって良い、という姿勢が大切
 
 
 
 
                                                43
                                 フィードバックの実施
                                   1長所→改善してほしいところ の順に話す
                                   21名につき、6分ずつ
                      6分×5     3他者からの評価を違う色で自己評価表に書き込んでいく
                                   4フィードバックが深まらないときには green、
                                     防衛反応や攻撃性が出ている時は、yellow のカードを挙げる
                                   5一人目終了時、何か困ったことがないか聞く
 
                                 感想を記入
               個人    2分      他者の目線から気づいた自分の強みや改善点、フィードバックの感
                                 想
 
 
 生徒感想一部抜粋
   ●他者に指摘されることで気づくことがあり、このような経験がこの先いきてくるのだと思った。
   ●人の改善点を見つけるのは難しく、反対に自分の長所を見つけるのも難しい。でも、人から言って
     もらうことで自分では気づかなかったことを気づけるし、人に話すことで人に新しいことに築いて
     もらえることが互いのためになった。
   ●言いたいことがあっても、それを言語化するのが難しく、相手に指摘するとき傷つけないように言
     うのは難しかった。グループ内での自分の役割を把握し行動できるようになりたい。
 (3) 成果
   フィードバックを行うことで普段見ることが無い自分を客観的に見ることが出来たことが実施後の
 感想よりわかる。生徒は自己評価と他者評価に違いがあることがあり、自分の短所だと思っていたこと
 が、他者から見ると長所であったりなど、様々な気付きがあった。
   他者への改善を促すことはなかなかうまくいかなかったようだ。しかし、その困難さと大切さを認識
 することができた。今後、様々な場面で他者に対してただ単に指摘するのではなく、改善を促すよう行
 動をとることができるよう指導を行っていきたい。
 
 
 
 
                                               44
 第3章 実施の効果とその評価
 A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
   Creative SolutionsI・II・IIIでの探究活動や実践科学実験の実施による効果を検証する。授業終了
 時に実施した生徒アンケートとともに、自主的な活動としての科学オリンピックをはじめとした校外の
 発表会等への参加結果から“科学的な思考や創意工夫を楽しめる資質”が育成できたか評価する。
 CSIアンケート
 ※選択肢【1強く思う、2思う、3あまり思わない、4まったく思わない】                            単位は%
 
                            1年生 308 名対象                                 1    2    3      4
  【1】物事を原因と結果の関係など論理的に考えるようになった。                 30   59   11     0
  【2】参考資料を引用したり、要約する力がついた。                             29   56   15     1
  【3】物事を様々な角度から考える力がついた。                                 31   60   8     0
  【4】様々な場面で、ふとした疑問に気づけることが多くなった。                 31   49   19     1
  【5】ブレインストーミングやマインドマップでの発想法を扱えるようになった。   30   45   23     2
  【6】普段の生活でも CSIで学んだ技術を積極的に使おうとしている。             29   38   29     4
  【7】CSIの授業内容に満足している。                                          47   47   5     1
  【8】CSIIでの探究活動が楽しみである。                                       53   35   10     2
 生徒感想一部抜粋
 ●普通の授業ではできない体験がたくさんできてよかったです。特にディベートは準備も練習も大変だ
   ったけれど、自分たちで考えてできたのが楽しかったです。
 ●今まであまり深く踏み込んでこなかったところに深く踏み込むことができたので楽しかったです。
 ●授業でグラフや資料、発表の方法、読み取りかたを学んだので本番で発表するときにとても参考にな
   りました。 クラスの人と協力して物事を進めたこともおもしろかったです。
 ●パワーポイントやプレゼンテーションやグラフのことなどについて、普段の勉強では勉強できないこ
   とも学べてよかったです。
   9割以上の生徒が CSIの授業に満足していると答えており、CSIIでの探究活動が楽しみであると答え
 ているので生徒の探究活動に対する思いを強くすることには成功したと考えることが出来る。また、CS
 Iの授業の目的である「探究活動で必須となる力の育成」に関しては否定的な回答をしている生徒がい
 る。来年への課題として実践をもう少し取り入れるなどカリキュラムの見直しを考えなければならない。
 CSIIアンケート
 ※選択肢【1強く思う、2思う、3あまり思わない、4まったく思わない】                            単位は%
 
                           2年生 119 名対象                                  1    2    3      4
  【1】現状を分析し、課題を明らかにする力が身に付いた。                       29   63   7     0
  【2】原因と結果という関係で物事を考える力が身に付いた。                     35   57   7     1
  【3】従来にない新しい考え方や視点を導入し、物事を解決する力が身に付いた。   24   59   16     1
  【4】未知の課題に対して粘り強く取り組む力が身に付いた。                     39   46   15     0
  【5】自分の考えを表現し相手に伝える力が身に付いた。                         34   55   11     0
  【6】人と協力して課題に取り組む力が身に付いた。                             43   45   8     5
 
 
                                                        45
  【7】授業で学ぶ知識や考え方が、課題を解決することに利用できると感じた。    36       46   17   1
  【8】探究の方法として『仮説』『調査・実験』
                                           『検証』の流れが身に付いた。      29       55   16   0
  【9】CSIIの授業内容に満足している。                                        40       50   9   1
 生徒感想一部抜粋
 ●難しいテーマの中で、データの整理や仮説をたてて検証の繰り返しが求める結果を導くのだと気づく
   ことができた。大学での研究にも生かしていきたいと思った。
 ●2年で初めて会ったメンバーばかりだったが、1年間を通じていろんな観察や考察をしたことで仲が
   深められて良かった。最初から実験を組み立て、考察することの難しさを知った。1年間を通して研
   究するという貴重な経験ができた。
 ●普段の授業ではできない主体的な実験や、レポートの作成などかけがえのない経験ができた。まだ、
   化学の実験の難しさも学ぶことができた。大学でこの体験を活かしていきたい。
 ●今までしたことのない研究というものを通して、ただ我武者羅に実験を繰り返すのではなく、ちゃん
   とした理由に基づいて仮説を立てて実験し、反省を繰り返すことが大切なのだと分かった。
 ●1年間で主体性を重視して行う研究はとても面白く、学びへと繋がったと思います。更に研究を深め
   たいと思いました。
   アンケートの結果・生徒の感想から CSIIの授業に満足している生徒が非常に多いことがわかる。
   課題研究を通して、課題・仮説設定し研究を行わなければ効率の良い研究を行うことができないこと
 や、協力して作業することでより効率よく素晴らしい研究をすることができることを知ることができた。
 また、アンケートでは「主体的に学ぶことの楽しさを実感することができた。」や「普段授業で習ってい
 ることが課題研究で生かされた」と答えている生徒もおり、課題研究を行うことが普段の授業や学ぶ姿
 勢に良い影響を及ぼしていることがわかる。
 科学オリンピック参加者数の推移
 
      (人)
 
 50
 
 40
 
 30
 
 20
 
 10
 
  0
               H22   H23          H24   H25    H26          H27   H28       H29      H30   R1
                           生物         化学         物理         数学        情報
 
 
   今年度の科学オリンピック等への参加者は前年度より大幅に増加し、近年は高水準で推移している。
 さらに物理チャレンジでは2名が予選を突破し本選に出場し、1名が銅賞を受賞した。これは SSH の事
 業が本校全体に浸透し、理数系への興味が全体に広がっている結果と考える。
 校外の発表会等の企画への出場歴
   外部の発表会等への企画へ多数参加している。また、理科系のクラブは校内で発表会を行っている。
   これにより理科的な知識を深め,今後の活動・研究の発展に繋げていく。
        ・SSH 生徒研究発表会へ参加(
                                  「制汗剤による蚊の忌避効果」
                                                            )
 
                                                        46
     ・大阪府生徒研究発表会(大阪サイエンスデイ)へ参加(理化部、天文部、生物部)
     ・京都・大阪数学コンテストへ 19 名参加
     ・大阪府学生科学賞へ参加(物理分野1班、化学分野2班、生物分野2班、情報分野1班)が参加
     ・大阪府立泉北高校課題研究発表会に参加
     ・第 71 回大阪府生徒生物研究発表会へ参加
     ・第 36 回高等学校・中学校化学研究発表へ参加
 校内発表会アンケート結果                                                                          単位は%
 
                                                                                   4        3   2          1
  校内発表会に参加して,科学的な興味・関心はどうなりましたか?
                                                                                   12        85   3          0
  4:すごく強まった 3:強まった     2:弱まった 1:すごく弱まった
 
  校内発表会に参加して,科学的な知識は深まりましたか?
                                                                                   15        83   2          0
  4:すごく深まった 3:深まった     2:あまり1:全く
 
  校内発表会という機会があって良かったと思いますか?
                                                                                   39        54   7          0
  4:すごく良かった 3:良かった     2:あまり 1:全く
 
   以上より、科学的な思考や創意工夫を楽しめる資質をもった生徒の育成が行えていると考え、実践科
 学実験を始めとした取組みの開発を今後も進める。
 B. 高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
   体感三丘セミナーおよび科学体感校外学習の実施による効果を検証する。
 体感三丘セミナーのアンケート結果(肯定的意見)
 実施テーマI.海と生物 II.薬学への誘い III.理系プレゼン入門 IV.せいめい誕生
            V.整形外科のお仕事 VI.暮らしに関わる植物化学 VII.金属資源の世界
 回答項目【1】講義の内容は理解できましたか。
 【2】講義を通して科学や技術に関する興味・関心が高まりましたか。
 【3】講義で学んだ内容について、さらに自分で深めようと思いますか。
 【4】自身の理系の進路に向けて考えを深めるきっかけになりましたか。
 【5】三丘セミナーの内容は充実していましたか。                                                        単位は%
 
          I(64 名)    II(54 名)      III(63 名)   IV(86 名)   V(61 名)   VI(47 名)    VII(28 名)
 
 【1】       98             96              97              93          100            96               96
 
 【2】       97             94              92              97           97            98              100
 
 【3】       83             87              83              87           90            87              100
 
 【4】       75             94              92              86           90            87               96
 
 【5】       100            96              97              100         100            100             100
 
   アンケートの結果全体を通してほとんどの生徒が体感三丘セミナーに満足していることがわかる。
 「自身の理系の進路に向けて考えを深めるきっかけになりましたか。
                                                             」の回答も肯定意見が高いので理
 工系ビジョンを明確化する効果があるといえる。また、講師に来ていただいた先生も生徒の態度、質
 疑応答の内容など非常に高い評価をいただいている。
 体感校外学習のアンケート結果(肯定的意見)
 回答項目【1】研修の内容は理解できましたか。
 
                                                        47
 【2】研修を通して(その分野)に関する興味・関心が高まりましたか。
 【3】研修で学んだ内容について、さらに自分で深めようと思いますか。
 【4】自身の理系の進路に向けて考えを深めるきっかけになりましたか。
 【5】事前学習は今回の研修に役立ちましたか。
 【6】全体を通して今回の研修は充実していましたか。                                                       単位は%
 
    質問      生物分野(16 名)   物理分野(14 名)   化学分野1(59 名)        化学分野2(14 名)   海外研修(26 名)
 
   【1】             100               100                                            93                   100
 
   【2】             94                 95                  100                       93                   100
 
   【3】             100                95                   85                       100                  100
 
   【4】             75                 95                   89                       100                  100
 
   【5】                                95                                                                 100
 
   【6】             100               100                   96                       100                  100
 
   アンケートの結果から研修が充実していると考える生徒が多いことがわかる。また、研修を通して
 その分野に対する興味・関心が高まったと考える生徒が多い。同じ分野で継続して行うプログラムを
 企画すれば、その分野に関してより深い興味関心を得ることができるのではないか、その検討も行っ
 ていきたい
 SSH活動の評価
   SSH の取組みみが「理工系としてのビジョンの明確化」への影響があったのかを評価する。教員対象
 に SSH の各事業が生徒の意識の変容に効果があったと思うかを調査し、検証する。また、SSH 事業が及
 ぼす教員自身の変容も調査した。
 生徒の変容の教員対象アンケート結果
 「理工系ビジョンを明確化するため」に以下の SSH の活動は効果があったか。                                  単位は%
 
                                                           とても                     あまり                 わからな
                                                                      あった                     なかった
                                                           あった                    なかった                     い
 
 (a).探究活動(CSI・II・III)                                50            50           0           0           0
 
 (b).三丘セミナー・研究室訪問                                43            57           0           0           0
 
 (c).体感校外学習・米国(NASA・FIT)海外研修                 71            29           0           0           0
 
 (d).理系の授業(実践科学実験を含む)                        7            79           0           0           14
 
 (e).課題研究発表会                                          29            57           0           0           14
 
 【自由記述】
 ●海外研修に参加することで航空宇宙工学を志望する生徒が多数出た。
 ●「進路選択」や「理工系研究者」としての目的意識や意欲向上に貢献していると面談等で感じる。
 ●推薦入試や志望理由書、面接等で SSH の活動に関する体験を書いたり、述べたりしている生徒が多く
   みられる。
 ●研究室訪問の引率時、生徒にとって漠然としていた理工系研究の対象や領域が、具体化したと感じら
   れた。
 ●直接自分がめざしたいものではなくても、研究というものが「○○の△△における□□について」細
   かい条件設定の下、繰り返しデータを集めることで進めることができるということ多くの生徒に理解
                                                      48
   された。
 ●参加後の面談で「漠然と興味があり申し込んだが、参加することで具体的に何に興味があるのかを築
 くことができた。」と言っている生徒がいた。
   アンケートの結果により現在行っている取組みが「理工系ビジョンを明確化するため」効果があるこ
 とが確認できた。しかし、効果がわからないとの回答もあるので、取組みの目的を明確にするなどの改
 善を行う必要性がある。また、自由記述から、研究室訪問を行うことで研究の本質が理解できるなど、
 1 つの取組みが他の取組みに良い効果を与えていることが確認できたので、それぞれの取組みを関連付
 けてより効果が出るような方策を考えたい。
 
 
 教員の変容の教員対象アンケート結果
 以下の SSH の活動は自分自身の変容に効果があったか。                                    単位は%
 
                                                    とても            あまり                わからな
                                                             あった              なかった
                                                    あった            なかった                 い
 
 (a).探究活動(CSI・II・III)                         55       45       0         0          0
 
 (b).三丘セミナー・研究室訪問                         44       33       0         0          23
 
 (c).体感校外学習・米国(NASA・FIT)海外研修          44       33       0         0          23
 
 (d).理系の授業(実践科学実験を含む)                 66       34       0         0          0
 
 (e).課題研究発表会                                   33       56       0         0          11
 
 【自由記述】
 ●海外研修の引率を行うことで現地の価値観に触れ自分の視野を広げることができたと感じることが
   できた。また、世界情勢に敏感になり今まであまり触れてこなかった分野に興味を持つようになり書
   籍等で知識を深めるようになった。
 ●課題研究を進めていくことで必要なスキル・考え方を自分自身再確認でき生徒に伝えるようになった。
 ●三丘セミナーで伺ったお話は、自分の知らない世界を知ることができる良い機会で、またそこで伺っ
   たお話を自分の授業で関連付けをし話すことができた。
 ●授業や実験において、以前は一方的な知識の伝授の割合が多かったが、生徒が主体的に考え表現する
   授業への転換の良い契機になった。
 ●医学部体感校外学習に参加し、実際の医療現場や研究施設を見学し様々な研究分野からの医療への貢
   献や臨床の現状を体感することができた。このことは進路指導の場面においても、より具体性をもっ
   て指導を行うことができると感じた。
 ●様々な取組みに参加することにより知見が広がった。探究を指導することにより生徒だけでなく自分
   自身ポスターやプレゼンテーションの手法、複雑な実験指導法など普段の教材研究では身につけるこ
   とができないスキルを身に付けることができた。
 ●生徒に接するとき、従来の事柄だけでなく新たな知識等で多面的な指導ができるようになった。
   アンケートの結果・自由記述より SSH の取組みは生徒だけでなく、教員の変容にも大きな効果があっ
 たと確認できた。三丘セミナーや研究室訪問に参加することにより知識に深みが出て、それが普段の授
 業に良い影響を及ぼしている。また、授業において生徒が主体的に学ぶことができる授業を意識的に行
 うことができるようになっている。
 
                                               49
 第4章           成果の普及
   探究活動や科学系部活動で得られた成果とともに、本校での SSH としての研究活動成果を校外に普及
 する活動を示す。
 1.科学系部活動の成果
     校内行事の体感校外学習での牽引役としてだけでなく、小中学生に向けた科学教育普及の取組みも
   実施している。理化部・天文部・生物部は、年間3回(学校説明会2回、文化祭1回)の三丘科学教
   室を開催し、様々な実験の実演、自作プラネタリウムの上映などを通して地域の小中学生に成果を普
   及している。
   ・文化祭での発表
         日 程:令和元年6月8日(土)9日(日)
         場 所:三国丘高校
         内 容:1) 理化部『ルミノール反応』、
                                            『テルミット反応』、
                                                              『ニトロセルロースの燃焼』
                                                                                      、
                             『炎色反応』、
                                         『人工イクラの合成』
                                                           『酸素火山』、
                                                                       『時計反応』、
                                                                                   『信号反応』
                   2) 天文部『星座の解説冊子を作成、配布』、
                                                           『プラネタリウムを作成、上映、解説』
                   3) 生物部『1年間の活動内容をポスター展示する。』
                             『顕微鏡プレパラート展示   オオヒゲマワリプラナリア、ボルボックス』
                             『押し葉・押し花を使った栞制作』
   ・三国丘科学教室
         日 程:令和元年 11 月9日(土)・11 月 16 日(土)
         場 所:三国丘高校
         内 容:理化部 「三丘化学教室」化学実験の紹介・体験
                   天文部 「星の世界へようこそ」自作プラネタリウムの鑑賞
                   生物部 「三丘生物教室」光合成色素の単離
 
 
 2.学会等への参加
   ・大阪府学生科学賞に出展
         テーマ:『チェス AI』、『ポルターガイスト現象を起こそう!』、『バイオエタノールを作ろう』
                  『コンブを越えろ!わかめ出汁』、『アントシアニンによる花の青色化』
                  『モンシロチョウの季節型を人工的に変えよう』
   ・第 36 回高等学校・中学校化学研究発表会
         日 程:令和元年 12 月 25 日(水)
         場 所:大阪科学技術センター
         テーマ:『過飽和が起こる条件』、
                                       『地震対策に!家庭で作れる衝撃吸収』
   ・第 71 回 生徒生物研究発表会
         日 程:令和元年 11 月 23 日(土)
         場 所:大阪市立自然史博物館
         テーマ:『プラナリアの研究』
   ・SSH 生徒研究発表会(8月9日・10 日)
 
                                                50
        日 程:令和元年8月7日(水)、8日(木)
        場 所:神戸国際展示場
        テーマ:『制汗剤による蚊の忌避効果』
  ・大阪サイエンスデイ第1部
        日 程:令和元年 10 月 19 日(土)
        場 所:大阪府立天王寺高等学校
        テーマ:『ストレス発散による発電』、
                                          『尿素樹脂合成時に起こった気体発生の原因究明』
               『地震対策に!家庭で作れる衝撃吸収材』、『過飽和が起こる条件』
               『sinθ Rocket Project』
                                     、『でっかい彩雲が見たーい』、『宇宙線を見てみよう』
               『プラナリアにおける飢餓と移動速度の関係について』
  ・大阪サイエンスデイ第2部
        日 程:令和元年 12 月 15 日(日)
        場 所:大阪工業大学梅田キャンパス
        テーマ:
              『sinθ Rocket Project』
 
 
 3.外部との情報交換
  1 京都教育大学 村上忠幸      教授⇒課題研究の進め方についての情報交換
  2 SSN 担当者会議に出席し、大阪府の SSH 校と情報交換
  3 大阪サイエンスデイに審査員として出席し、大学の先生方や他校の先生方と情報交換
  4 北海道大学(視察)
  5 令和元年度 SSH 情報交換会に出席
 
 
 4.本校HPへの掲載
    SSH としての主な活動は PDF 形式でまとめて本校 HP に逐次掲載しており、入学生の約 80%が入学
  時に本校の SSH 活動を認識している。
 
 
 
 
                                               51
 第5章        研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方針
 A.「科学を感じ、自ら考え、行動する」機会の創出
 1学校設定科目「Creative SolutionsI・II・III」
                                            (CSI・II・III)
   今年度は2学年全員が文理学科となり 320 名が探究活動を行うことになった。前年度から人数が増加
 することへの準備を十分に行ってきたので、生徒たちの CSIIの授業に対する満足度は高かった。しかし、
 すべての生徒が自分の希望する分野での課題研究を行えず、動機付けが弱い生徒が若干ながら出てきた。
 また、2年生全員が課題研究を行うことになり、一人の教員が受け持つ生徒の数も増加し指導が行き届
 かない状況になっている。したがって、生徒がより主体的に活動し自走できる指導技術の開発および環
 境作りを考えていかなければならない。自走できる環境づくりの観点から、TA の体制や関わり方につい
 て検討を行う。
   課題研究の質を高める指導の一環としてルーブリックの改訂を行うとともに、運営指導委員会から実
 験ノートの重要性の助言をうけ、実験ノートも評価対象に入れた。しかし、実験ノートの書き方の指導
 が十分でなかったため効果は限定的であった。実験ノートの書き方を指導する方法を研究する必要があ
 る。そのため実験レポートに関する見直しを行う。
 2実践科学実験
   生徒が実験をデザインすることによる効果(主体性の向上、理解の深化)は課題研究や普段の授業へ
 良い影響を及ぼしている。しかし、実施のための時間・設備の確保により実施不可能な場合があるので
 短時間で行うことが出来るものなど、さらにテーマの開発を行っていきたい。また、開発した教材等の
 普及へ向け手法の検討を行う必要がある。そのため、教員向けの指導例、生徒の実践例を集める必要が
 ある。
 B. 高校生と自身の将来や世界とつながる取組みの開発
   体感三丘セミナーはとても満足度の高いプログラムである。現在は大学との連携が主であるが、開催
 時期や、規模、内容等を考え大学だけでなく民間企業等での講演や体験プログラムを取り入れることで
 より多くの生徒が自身の将来に活かせる企画になると考える。
 C.生徒が互いに成長し合えるシステムの構築
   フィードバックは非常に高い効果を得ることができる。今後フィードバックを行う対象生徒を拡大す
 ることが望まれる。そのため、指導を行うことができる教員の増加と技術の向上のため研修等を行う。
 
 
 
 
                                              52
 第6章 校内における SSH の組織的推進体制
 
 
 
 
                        53
 関係資料
 運営指導委員会の記録
 運営指導委員会メンバー
 【運営指導委員】
 喜多 一 教授(京都大学    国際高等教育院)
 橋爪 章仁 教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 片桐 昌直 教授(大阪教育大学 教育学部教育協働学科 教授/科学教育センター長)
 古屋 秀隆 准教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 瀧上 健一 指導主事(大阪府教育センター)
 【管理機関】
 梅村 尚弘 指導主事(大阪府教育庁 教育振興室         高等学校課)
 【本校】
 校長、教頭、田中首席、恩智指導教諭、駒井 SSH 主任、吉田 SSH 副主任
 
 
 第1回運営指導委員会 (日時:令和元年9月7日(土)11:2012:40)
 実践科学実験(生物)の授業、化学、数学の授業を見学していただいた後開催
 出席者
 喜多 一 教授(京都大学    国際高等教育院)
 橋爪 章仁 教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 古屋 秀隆 准教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 瀧上 健一 指導主事(大阪府教育センター)
 梅村 尚弘 指導主事(大阪府教育庁 教育振興室         高等学校課)
 校長、教頭、駒井 SSH 主任、吉田 SSH 副主任
 
 
 【運営指導委員会での指導・助言】
 1授業見学を行った実践科学実験について
 ●自由度の高い実験を行うと、よく動けるグループとそうでないグループの差が大きく、指導方法が課
   題である。
 ●生物では単位のことをどのように指導しているか。量を[値]×[単位・次元]で考えると計算間違い等に
   気づきやすく、特に物理分野ではこのように考えていることが多い。
 ●実験実習としては、例えば準備として、
                                     「実験器具(今回は顕微鏡)を扱える集団」
                                                                           「収縮を数える集
   団」など、スペシャリストとして班ごとに学習する機会を作った後、それぞれの集団から集めた班で
   実験させるとスムーズに行えるのではないか。
 ●実験器具はちょうどいい具合に使いにくいぐらいが良い。あまり良い顕微鏡だと物の扱いを理解でき
   ないことが多い。ただし、実験そのものの時間はもう少し多く確保できると良い。
 ●どうやったら定量的に正しいデータをとる工夫をよく考えていたグループも見られ主体性が見られ
   た。
 ●実験レポートは大学でも問題。どういう風にまとめたらいいか。良い評価のレポートを写させるのは
   どうか。実際に書かせる機会を確保できないか。
 
                                                54
 ●大学生の実験では、正解を出そうとする傾向がある。そのため、エラーに対する解釈・考察を行わず、
   正解を求めることが多かった。しかし、教員が例を示すと、実験レポートの質が飛躍的に向上した。
 2SSH の活動について
 ●SSH の指定をもらっている間に、費用がかからない校外学習の開発(近隣の施設など)
                                                                               、実験の方法な
   どを開発していく必要があるのではないか。
 ●読み書きそろばんの力をまずつけるべき。国語力が低下しているのだろうか、大学生でも実験レポー
   トを書くことができない。論理的に考える、発表する下地を作れないか。きっと探究活動のベースに
   なる。
 ●科学オリンピックでの成果が見られるが、もっと受けさせるとよいのではないか。思考力を試せる問
   題が多く刺激になるはず。
 ●近隣の大阪市立大学で行われる「日本動物学会 大阪大会」や SEEDS などの活動は入試だけではなく、
   生徒の好奇心を大きく刺激すると思う。
 ●令和4年度から新カリキュラムとして、理数探究や、共通教科としての理数が始まるが、それに対す
   る準備を順次していく必要がある。
 
 
 第2回運営指導委員会(日時:令和2年2月1日(土)11:3012:50)
 課題研究発表会に参加していただいた後開催
 出席者
 喜多 一 教授(京都大学       国際高等教育院)
 橋爪 章仁 教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 古屋 秀隆 准教授(大阪大学大学院 理学研究科)
 小山田 敏 指導主事(大阪府教育センター)(瀧上指導主事の代理)
 真田 誠 主任指導主事(大阪府教育庁 教育振興室 高等学校課)
 校長、教頭、田中首席、恩智指導教諭、駒井 SSH 主任、吉田 SSH 副主任
 
 
 【運営指導委員会での指導・助言】
 ●物理のテーマが理屈をきちんと通さずにやっている。そこは先生方が指摘しないといけない。筋の通
   っている考え方を学んでほしい。
 ●全体会のプレゼンテーションが洗練されていてよかった。指導が実ってきている。課題研究は物質感
   がない。化学式を調べていなかったりして、目の前の現象と学問の化学式が結びついていない。
 ●生物の性質をあまり理解していないままやっているので、考察が浅く、生物をとらえられていない。
 ●全体発表は 2 年生とは思えない出来であった。今まで蓄積したものを感じた。数学の発表の中に、統
   計学などあったが、数学の新しいトピックに注目してほしい。生徒は身近な問題からスタートするの
   で仕方がないかもしれないが。
 ●大学の真似をしなくてよい。What’s new だけでなく、指導要領にはないところの勉強だけでもいい。
   「計ってみる」という課題を出して見るなどを試してもおもしろい。計測は想像力が必要。
 ●自走できるように産業界の OB と結びつきを強めてほしい。認めてもらえるカリキュラムを作る。SSH
   は進学率も高い。大学でも面白い学びをさせてほしいとアピールすればよい。
 
 
                                                 55
 56
 (別紙様式11)                                                                                          学校整理番号                                              3024
 
                   平     成        31     年    度            大     阪    府       立       三    国         丘         高       等      学        校
              全     日        制    の     課     程        文         理    学     科          教        育          課     程       実        施       計       画
 
      (入学年度別、類型別、教科・科目等単位数)
 
                                      入学年度                                       31
                                          科
                                                                 文科                                     理科
                                      (コース)                                                                                                                     備     考
                                      学     年    I        II          III     計        I          II          III          計
      教 科             科目\標準単位数\学級数                                     8
             国語総合                      4        5                                       5
        国語 現代文B                      4                 3           3      17                    2           2           14
             古典B                        4                 3           3                            3           2
             世界史A                      2        2                                       2
             世界史B                      4                            ☆4                                      ☆4
             日本史A                      2                 2                  10                   ▽2                      4
    地理歴史                                                                                                                         B科目選択はA科目履修者に限る。
             日本史B                      4                            ☆4     14                               ☆4          8
             地理A                        2                 2                                       ▽2
             地理B                        4                            ☆4                                      ☆4
             現代社会                      2                 2                                        2
                                                                                2                                             2
        公民 倫理                          2                            ☆2                                      ☆2
                                                                                6                                             6
             政治・経済                    2                            ☆2                                      ☆2
             数学I                         3                                                                                         学 「SS数学」・(学)「SS数学I」により3単位代替。
                                                                                3                                             0
 普     数学 数学II                        4                            3                                        ○3
                                                                                5                                             3
             (学)数学演習                                             ○2
             物理基礎                      2        2                   □1                 2
 通
             物理                          4                                                         ★3
             化学基礎                      2        2                   □1                 2
 教     理科 化学                          4                                    10                    3                       12
             生物基礎                      2        2                   □1                 2
             生物                          4                                                         ★3
 科
             地学基礎                      2                 2          □1
             体育                         78        3        2            2                 3         2           2
    保健体育 (学)体育演習                                  1                  10                                            9
             保健                          2         1       1                            1           1
             音楽I                         2       △2                                    △2
        芸術 美術I                         2       △2                          2         △2                                 2
             書道I                         2       △2                                    △2
      外国語 コミュニケーション英語I 3                                          0                                             0      「英語」・「総合英語」により3単位代替。
        家庭 家庭基礎                      2                 2                  2                     2                       2
        情報 情報の科学                    2                                    0                                             0      「探究」・「Creative SolutionsI」と「CS情報」により2単位代替。
 
    学       (学)三丘スタテ゛ィハート゛                               ※1                                      ※1
                                                                               01                                            02 選択履修
      三丘学 (学)三丘ドクター                                                                      *1          ※1                 ※1「三丘スタテ゛ィハート゛」「三丘ト゛クター」の同時履修不可。
 
    学 高大 (学)                                                                                                                     (他)
                                                   02      02         02       06         02         02       02             06
    連携講座     大学の各講座科目名                                                                                                  大学の講座科目名で最大6単位認定。
                   総合英語                 216     4                                       4
                   英語理解                 28               2           4                            2           4
                   英語表現                 210     2        2           2      18          2         2           2
           英語                                                                                                               18
                   異文化理解               26               2                  20                    2
                   (学)英語演習I                                      ○2                                                          「英語演習I」と「英語演習II」
                   (学)英語演習II                                     ○2                                                            の同時選択不可。
 
 専          (学)SS数学I                        4                                       4
             (学)SS数学II                                3                                        3
    学       (学)SS数学III                                                                                   ●4
 門 SS数学 (学)SS数学A                                                                                                 16
                                                    2                           12          2
                                                                                                                              19
             (学)SS数学B                                3                                        3
 教          (学)SS数学C                                                                                    ●3
             (学)SS数学演習                                                                                  ○4
    学       (学)SS物理                                                                                      ■4
 科                                                                                                                                  「(学)SS物理」選択は「物理」、
    SS理科 (学)SS化学                                                     0                                  4          8
                                                                                                                                     「(学)SS生物」選択は「生物」の履修者に限る。
             (学)SS生物                                                                                      ■4
    学       (学)言語文化演習                                           ○2
             (学)CS情報                           1                                       1
             (学)Creative SolutionsI               1                          36           1                                34
      探究
             (学)Creative SolutionsII                       1                                        1
             (学)Creative SolutionsIII                                 ※1                                      ※1                 選択履修
 
      教     科    ・     科    目     の    計 3335 3335 3135 97105 3335 3336 3135 97106
 
      特別活動   ホームルーム活動                   1        1           1      3           1         1           1           3
      総 合 的 な 探 究 の 時 間                    1        1           1      3           1         1           1           3      「三丘総合探究」「志(こころざし)学」
 
      総                                     計 3537 3537 3337                103111     3537 3538 3337                     103112
 
 
                                                         △2より1科目選択                     △2より1科目選択
                                                         ☆より8単位選択                        ☆より4単位選択                         選択履修科目(「三丘学」「探究」)
                                                         ○2より2科目選択                     ★より1科目選択                            *1より01科目選択
                    選択の方法
                                                         □1より2科目選択                     ▽2より1科目選択                           ※1より02科目選択
                                                                                          ○3+○4または●4+●3選択
                                                                                              ■4より1科目選択
 
 
 
                                                                                                            57
 (別紙様式11)                                                                                          学校整理番号                                               3024
 
                   平     成        31    年      度          大      阪    府       立       三     国         丘         高       等      学        校
              全     日        制    の     課     程       文          理    学     科          教         育          課     程       実        施       計       画
 
      (入学年度別、類型別、教科・科目等単位数)
 
                                      入学年度                                       30
                                          科
                                                                 文科                                      理科
                                      (コース)                                                                                                                      備     考
                                      学     年     I       II          III     計         I          II          III          計
      教 科             科目\標準単位数\学級数                                     8
             国語総合                      4        5                                       5
        国語 現代文B                      4                3            3      17                    2            2           14
             古典B                        4                3            3                            3            2
             世界史A                      2        2                                       2
             世界史B                      4                            ☆4                                       ☆4
             日本史A                      2                2                   10                   ▽2                       4
    地理歴史                                                                                                                          B科目選択はA科目履修者に限る。
             日本史B                      4                            ☆4     14                                ☆4          8
             地理A                        2                2                                        ▽2
             地理B                        4                            ☆4                                       ☆4
             現代社会                      2                2                                         2
                                                                                2                                              2
        公民 倫理                          2                            ☆2                                       ☆2
                                                                                6                                              6
             政治・経済                    2                            ☆2                                       ☆2
             数学I                         3                                                                                          学 「SS数学」・(学)「SS数学I」により3単位代替。
                                                                                3                                              0
 普     数学 数学II                        4                            3                                         ○3
                                                                                5                                              3
             (学)数学演習                                             ○2
             物理基礎                      2        2                   □1                 2
 通
             物理                          4                                                         ★3
             化学基礎                      2        2                   □1                 2
 教     理科 化学                          4                                    10                    3                        12
             生物基礎                      2        2                   □1                 2
             生物                          4                                                         ★3
 科
             地学基礎                      2                 2          □1
             体育                         78        3     ▽3▼2          2                 3    ▲3□2            2
                                                                                                                                9
    保健体育 (学)体育演習                                 ▼1                 10
                                                                                                                               10
             保健                          2         1        1                           1           1
             音楽I                         2       △2                                    △2
        芸術 美術I                         2       △2                          2         △2                                  2
             書道I                         2       △2                                    △2
      外国語 コミュニケーション英語I 3                                          0                                              0      「英語」・「総合英語」により3単位代替。
        家庭 家庭基礎                      2                2                   2                     2                        2
        情報 情報の科学                    2                                    0                                              0      「探究」・「Creative SolutionsI」と「CS情報」により2単位代替。
 
    学       (学)三丘スタテ゛ィハート゛                               ※1                                       ※1
                                                                               01                                             02 選択履修
      三丘学 (学)三丘ドクター                                                                       *1          ※1                 ※1「三丘スタテ゛ィハート゛」「三丘ト゛クター」の同時履修不可。
 
    学 高大 (学)                                                                                                                      (他)
                                                   02      02        02        06         02         02       02              06
    連携講座     大学の各講座科目名                                                                                                   大学の講座科目名で最大6単位認定。
             総合英語                     216       3                                       3
             英語理解                     28                 2           4                          2              4
             英語表現                     210       2        2           2                  2       2              2
                                                                                18                                             17
        英語 異文化理解                   26        1     ◎1◆2                            1    ▲1□2
                                                                                20                                             18
             (学)英語演習                                 ◎1
             (学)英語演習I                                            ○2                                                           「英語演習I」と「英語演習II」
                   (学)英語演習II                                     ○2                                                             の同時選択不可。
 専          (学)SS数学I                        4                                       4
             (学)SS数学II                               3                                         3
 門 学       (学)SS数学III                                                                                    ●4
                                                                                                                               16
    SS数学 (学)SS数学A                       2                           12          2
                                                                                                                               19
             (学)SS数学B                               3                                         3
 教
             (学)SS数学C                                                                                     ●3
             (学)SS数学演習                                                                                   ○4
 科 学       (学)SS物理                                                                                       ■4
                                                                                                                                      「(学)SS物理」選択は「物理」、
    SS理科 (学)SS化学                                                     0                                   4          8
                                                                                                                                      「(学)SS生物」選択は「生物」の履修者に限る。
             (学)SS生物                                                                                       ■4
    学       (学)言語文化演習                                           ○2
             (学)CS情報                            1                                     1
             (学)Creative SolutionsI              1,#1                        38         1,#1                                36 1単位は全員履修。1単位は選択履修。
      探究
             (学)Creative SolutionsII                     1,*1                                      1,*1                             1単位は「探究」として全員履修。1単位は選択履修。
             (学)Creative SolutionsIII                                 ※1                                       ※1                 選択履修
      教   科      ・     科    目     の    計 3336 3336 3135 97107 3336 3336 3135 97107
 
      特別活動   ホームルーム活動                   1       1            1      3           1         1            1           3
      総 合 的 な 学 習 の 時 間                    1       1            1      3           1         1            1           3      「三丘総合学習」「志(こころざし)学」
 
      総                                     計 3538 3538 3337                103113     3538 3538 3337                      103113
 
 
                                                       △2より1科目選択                       △2より1科目選択
                                                        ☆より8単位選択                         ☆より4単位選択                          選択履修科目(「三丘学」「探究」)
                                                        ○2より2科目選択                      ★より1科目選択                             #1より01科目選択
                    選択の方法                         □1より2科目選択                       ▽2より1科目選択                            *1より01科目選択 (*1の同時履修不可)
                                                     ▽3または▼2+▼1選択                 ○3+○4または●4+●3選択                         ※1より02科目選択
                                                     ◎1+◎1または◆2選択                     ■4より1科目選択
                                                                                          ▲3+▲1または□2+□2選択
                                                                                                            58
    (別紙様式11)                                                                                                     学校整理番号                                          3024
 
                 平      成      31             年        度         大          阪         府        立     三        国       丘     高      等        学       校
                 全      日      制          の        課        程          普          通        科          教        育       課     程      実        施       計        画
 
    (入学年度別、類型別、教科・科目等単位数)
 
                                      入学年度                                                      29
                                      類    型                              文型                                         理型
                                                                                                                                                                              備    考
                                      学          年        I         II           III        計          I         II          III      計
    教 科              科目\標準単位数\学級数                                                     4
             国語総合                             4         5                                             5
         国語現代文B                             4                    3           3          17                    2           2        14
             古典B                               4                    3           3                                3           2
             世界史A                             2         2                                             2
             世界史B                             4                            ☆4                                            ☆4
             日本史A                             2                    2                      10                ▽2                      4
    地理歴史                                                                                                                                    B科目選択はA科目履修者に限る。
             日本史B                             4                            ☆4            14                              ☆4        8
             地理A                               2                    2                                        ▽2
             地理B                               4                            ☆4                                            ☆4
             現代社会                             2                    2                                            2
                                                                                               2                                         2
      公民   倫理                                 2                            ☆2                                            ☆2
                                                                                               6                                         6
             政治・経済                           2                            ☆2                                            ☆2
             数学I                                3         4                                             4
             数学II                               4                                3                                          ○3
                                                                                              12                                         9
      数学   数学A                               2         2                                             2
                                                                                              14                                         12
             数学B                               2                    3                                            3
             (学)数学演習                                                    ○2
 普          物理基礎                          2            2                  □1                        2
             物理                              4                                                                ★3
 通          化学基礎                          2            2                  □1                        2
                                                                                                                                                「(学)SS物理」選択は「物理」、
      理科   化学                              4                                              10                    3                    12
                                                                                                                                                「(学)SS生物」選択は「生物」の履修者に限る。
             生物基礎                          2            2                  □1                        2
 教
             生物                              4                                                                ★3
             地学基礎                          2                       2       □1
 科          体育                             78        3              3         2                       3          3           2
    保健体育                                                                                  10                                         10
             保健                              2        1              1                                 1          1
             音楽I                             2        △2                    ○2                       △2
             音楽II                            2                      ▲1      ○2                              ▲1
             美術I                             2        △2                    ○2                       △2                             2
      芸術                                                                                 25                                                   II科目選択はI科目履修者に限る。
             美術II                            2                      ▲1      ○2                              ▲1                      3
             書道I                             2        △2                    ○2                       △2
             書道II                            2                      ▲1      ○2                              ▲1
                 コミュニケーション英語I       3            4                                             4
     外国語      コミュニケーション英語II      4                       3                      11                    3                    11
                 コミュニケーション英語III     4                                   4                                            4
             家庭基礎                          2                       2                       2                    2
         家庭                                                                                                                            2
             (学)家庭演習                                                    ○2             4
        情報 情報の科学                   2                 2                                  2          2                              2
    学       (学)三丘スタテ゛ィハート゛                                      ※1                                            ※1
                                                                                           01                                           02 選択履修
      三丘学 (学)三丘ドクター                                                                                     *1        ※1               ※1「三丘スタテ゛ィハート゛」「三丘ト゛クター」の同時履修不可。
 
    学 高大 (学)                                                                                                                                (他)
                                                        02            02       02          06            02     02            02        06
    連携講座     大学の各講座科目名                                                                                                             大学の講座科目名で最大6単位認定。
             英語表現                                       2          2           2                      2         2           2
             (学)英語演習                                            1                       7                                                「英語演習I」と「英語演習II」
        英語                                                                                                                             6        の同時選択不可。
             (学)英語演習I                                                   ○2             9
                 (学)英語演習II                                              ○2
             (学)SS数学II                                          3                                            3
 専 学
             (学)SS数学III                                                                                                ●4        7
    SS数学                                                                                   3
 門          (学)SS数学C                                                                                                 ●3        10
             (学)SS数学演習                                                                                               ○4
 教 学       (学)SS物理                                                                                                   ■4
                                                                                                                                         4      「(学)SS物理」選択は「物理」、
    SS理科 (学)SS化学                                                                    0                                4
 科                                                                                                                                      8      「(学)SS生物」選択は「生物」の履修者に限る。
             (学)SS生物                                                                                                   ■4
    学       (学)言語文化演習                                                  ○2
             (学)Creative SolutionsI                       #1                                            #1                                    選択履修
      探究                                                                                 05                                           03
             (学)Creative SolutionsII                                *1                                            *1                          選択履修
             (学)Creative SolutionsIII                                        ※1                                            ※1               選択履修
 
    教      科    ・     科      目     の        計 3336 3336 3135 97107 3336 3336 3135 97107
 
    特別活動   ホームルーム活動                             1          1           1           3          1         1           1        3
    総 合 的 な 学 習 の 時 間                              1          1           1           3          1         1           1        3      「三丘総合学習」「志(こころざし)学」
 
    総                                            計 3538 3538 3337                       103113        3538 3538 3337                 103113
 
 
                                                                 △2より1科目選択                            △2より1科目選択
                                                                 ▲1より1科目選択                            ▲1より1科目選択
                                                                 ☆より8単位選択                              ☆より4単位選択                      選択履修科目(「三丘学」「探究」)
                   選択の方法                                    ○2より2科目選択                        ○3+○4または●4+●3選択                    #1より01科目選択
                                                                   □1より2科目選択                          ★より1科目選択                        *1より01科目選択 (*1の同時履修不可)
                                                                                                            ▽2より1科目選択                        ※1より02科目選択
                                                                                                             ■4より1科目選択
 
 
                                                                                                                           59
 (別紙様式11)                                                                                            学校整理番号                                              3024
 
                   平     成        31     年     度            大     阪    府       立        三     国         丘         高       等      学        校
              全     日        制    の     課     程         文         理    学     科           教         育          課     程       実        施       計       画
 
      (入学年度別、類型別、教科・科目等単位数)
 
                                      入学年度                                        29
                                          科
                                                                  文科                                       理科
                                      (コース)                                                                                                                        備    考
                                      学     年     I        II          III     計         I           II          III          計
      教 科             科目\標準単位数\学級数                                       4
             国語総合                      4        5                                        5
        国語 現代文B                      4                  3           3      17                     2            2           14
             古典B                        4                  3           3                             3            2
             世界史A                      2        2                                        2
             世界史B                      4                             ☆4                                        ☆4
             日本史A                      2                  2                  10                    ▽2                       4
    地理歴史                                                                                                                            B科目選択はA科目履修者に限る。
             日本史B                      4                             ☆4     14                                 ☆4          8
             地理A                        2                  2                                        ▽2
             地理B                        4                             ☆4                                        ☆4
             現代社会                      2                  2                                         2
                                                                                 2                                               2
        公民 倫理                          2                             ☆2                                        ☆2
                                                                                 6                                               6
             政治・経済                    2                             ☆2                                        ☆2
             数学I                         3                                                                                            学 「SS数学」・(学)「SS数学I」により3単位代替。
 普                                                                              3                                               0
        数学 数学II                        4                             3                                          ○3
                                                                                 5                                               3
             (学)数学演習                                              ○2
 通          物理基礎                      2        2                    □1                 2
             物理                          4                                                           ★3
             化学基礎                      2        2                    □1                 2
 教
        理科 化学                          4                                     10                     3                        12
             生物基礎                      2        2                    □1                 2
 科          生物                          4                                                           ★3
             地学基礎                      2                  2          □1
             体育                         78         3        3            2                3           3            2
    保健体育                                                                     10                                              10
             保健                          2         1        1                             1           1
             音楽I                         2       △2                                      △2
        芸術 美術I                         2       △2                           2          △2                                  2
             書道I                         2       △2                                      △2
      外国語 コミュニケーション英語I 3                                           0                                               0      「英語」・「総合英語」により3単位代替。
        家庭 家庭基礎                      2                  2                  2                      2                        2
        情報 情報の科学                    2                                     0                                               0      「探究」・「Creative SolutionsI」と「CS情報」により2単位代替。
 
    学       (学)三丘スタテ゛ィハート゛                                ※1                                        ※1
                                                                                01                                              02 選択履修
      三丘学 (学)三丘ドクター                                                                         *1          ※1                 ※1「三丘スタテ゛ィハート゛」「三丘ト゛クター」の同時履修不可。
 
    学 高大 (学)                                                                                                                        (他)
                                                   02       02         02       06         02          02       02              06
    連携講座     大学の各講座科目名                                                                                                     大学の講座科目名で最大6単位認定。
                   総合英語                 216     3                                        3
                   英語理解                 28                2           4                             2            4
                   英語表現                 210     2         2           2                  2          2            2
                                                                                 18
           英語    異文化理解               26      1         1                              1          1                        17
                                                                                 20
                   (学)英語演習                             1
                   (学)英語演習I                                       ○2                                                            「英語演習I」と「英語演習II」
                   (学)英語演習II                                      ○2                                                              の同時選択不可。
 専          (学)SS数学I                        4                                        4
             (学)SS数学II                                 3                                         3
 門 学       (学)SS数学III                                                                                      ●4
                                                                                                                                 16
    SS数学 (学)SS数学A                       2                            12          2
                                                                                                                                 19
             (学)SS数学B                                 3                                         3
 教
             (学)SS数学C                                                                                       ●3
             (学)SS数学演習                                                                                     ○4
 科 学       (学)SS物理                                                                                         ■4
                                                                                                                                 4      「(学)SS物理」選択は「物理」、
    SS理科 (学)SS化学                                                      0                                    4
                                                                                                                                 8      「(学)SS生物」選択は「生物」の履修者に限る。
             (学)SS生物                                                                                         ■4
    学       (学)言語文化演習                                            ○2
             (学)CS情報                            1                                      1
             (学)Creative SolutionsI              1,#1                         38         1,#1                                 36 1単位は全員履修。1単位は選択履修。
      探究
             (学)Creative SolutionsII                      1,*1                                       1,*1                             1単位は「探究」として全員履修。1単位は選択履修。
             (学)Creative SolutionsIII                                  ※1                                        ※1                 選択履修
      教     科    ・     科    目     の    計 3336 3336 3135                 97107       3336 3336 3135                      97107
 
      特別活動   ホームルーム活動                   1         1           1      3           1          1            1           3
      総 合 的 な 学 習 の 時 間                    1         1           1      3           1          1            1           3      「三丘総合学習」「志(こころざし)学」
 
      総                                     計 3538 3538 3337                 103113      3538 3538 3337                      103113
 
 
                                                          △2より1科目選択                     △2より1科目選択
                                                          ☆より8単位選択                        ☆より4単位選択                           選択履修科目(「三丘学」「探究」)
                                                          ○2より2科目選択                     ★より1科目選択                              #1より01科目選択
                    選択の方法
                                                          □1より2科目選択                     ▽2より1科目選択                             *1より01科目選択 (*1の同時履修不可)
                                                                                           ○3+○4または●4+●3選択                          ※1より02科目選択
                                                                                               ■4より1科目選択
 
 
 
                                                                                                              60