校長4室
大分県立大分舞鶴高等学校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
校長6の ”久保田圭二” と申します。当校で勤務することをたいへん嬉しく思います。
本校の伝統、舞鶴魂「しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ」には、高校生活のみならず生涯のさまざまな場面で大切にしてもらいたい思いが込められており、それを体現することを目標としています。70年の伝統を大切に継承しつつ、時代の変化や社会の要請に適切に対応し、全職員がチームとなって「夢拓く舞鶴」の実現に全力で取り組みます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
入学式式辞
柔らかな陽の光を受けて大分川の川面はきらめきを増し、暖かな風が私たちを包む春が訪れました。正門を入ると聞こえてくる鳥のさえずりはまるで命あることへの讃歌であり、生命のエネルギーをわれわれに感じさせます。
本日ここにご来賓及び保護者の皆様方のご臨席を賜り、大分県立大分舞鶴高等学校第七十二回入学式を挙行できますことを心より感謝申し上げます。
ただいま入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎します。
本校は、昨年度創立七十周年記念式典を挙行し、これまでの伝統と実績を礎として、次なる十年、そしてその先へと歩みを進めているところです。現在では、大分県をリードする本校ですが、創立時からそうなることが約束されていたわけではありません。草創期の数々の苦難の中、生徒、教職員が励ましあい、支えあって前進した歴史があります。発展期には、数多くの若者が失敗から学び、立ち上がり、行動し、未来を切り開いてきた歴史があります。その舞鶴の歴史と学校文化を集約した言葉こそが「しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ」の舞鶴魂にほかなりません。本校で学び、巣立った先輩方はこの舞鶴魂を胸に、政治、経済、文化、学問、スポーツなどあらゆる分野の最前線で活躍しています。皆さんのこれからの3年間は、この舞鶴魂の意味を頭で理解するための日々ではなく、すべての活動を通してこれを体得し、体現して、21世紀をたくましく生き抜く力を自らの内に蓄える日々となるのです。
そのような3年間をスタートさせるにあたり、皆さんに三つのメッセージをお伝えします。
一つ目は、「自ら考え、行動すること」です。「夢拓く舞鶴」、この言葉には生徒一人一人の夢実現をサポートするという学校の強い意志が込められています。大分県で唯一の理数科設置校であり、普通科との併設による教科横断的な学び、学びのSTEAM化は本校の特色の一つです。18年間にわたって指定を受けるスーパーサイエンスハイスクールは全ての生徒に論理的思考や国際性などを育む教育プログラムを提供しています。しかし「夢拓く舞鶴」は、この環境で学べば誰でも夢が拓かれるという意味ではありません。環境が与え、提供するものをただ受け取るのではなく、自らが環境に対して積極的に働きかけ、それを活かすことこそが大切です。時には、自分たちでこの環境を変化させようとすることも必要です。身の回りの環境が自分のために何をしてくれるかではなく、自分が親に、友人に、先生に、学校に対してどのように振る舞うかを考え、そして行動してください。あなた方の「自ら考え、行動しようとする」強い意志こそが、必ず夢を拓くのです。
二つ目は、「何ごとにも疑問を持つこと」です。皆さんは「学ぶ」ということをどのように考えていますか。問題を正しく解けるようにすること、物事を正確に理解しておくことだととらえているかもしれません。「解くこと」「理解すること」を「学ぶこと」のゴールとした場合、できたような気になるとその先に進むことができなくなってしまいます。そこにとどまらず、「果たしてそうか」「どのような条件が必要か」などの疑問を持つことが大切です。疑問を持つことにゴールはありません。私たちの周りには疑問があふれています。疑問を見つけることで自分の興味があることも見えてきます。疑問を持つことは世界を開き続けることであり、自分を深堀し続けることです。ぜひ「物事を理解しよう」とせず、「疑問を持とう」としてください。
三つ目は、「よき友・生涯の友を見つけること」です。私は数学の教員ですが、皆さんには難解な図形の問題でも一本の補助線が解答への道筋を照らしてくれたという経験がきっとあるはずです。もとの図形にはなかった補助線の引き方は多様で、引き方によって物事の見え方が変わります。これは私たちの実生活でも同様です。どのような補助線を私たちが引くかで世界の見え方が変化し、それに応じて私たちの考え方も広がります。多様な補助線を引けるようになるのに必要なこと、それは自分とは異なる考えを持つ人との交流にほかなりません。私たちはいろいろな人と関わり、ともに学ぶことで、視野を広げ、感性を磨き、人間としての幅を広げることができます。本校での様々な活動を通して、ぜひ、「多くの友を見つけて」ください。
さて、保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。大分舞鶴高校では、お預かりした生徒一人一人に、これからの社会をたくましく生き抜く力を身に付けるため指導、支援してまいります。時には手を携え、時には手を放し、励まし、げきを飛ばしてまいります。いつか手が届かず、声の届かない状況になっても、自ら、考え、行動できる自立した若者へと成長させることが我々の使命です。成長には時間を要します。本人の粘り強さも必要ですが、それを支え、見守る周囲の大人にとっても我慢が必要となってまいります。学校と家庭とで思いを共有し、お子様の成長を支えていきたいと思います。ご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
さあ、新入生の皆さん、いよいよあなたの高校生活が幕を開けます。どのような3年間を送りますか。そのためにどのような1年にしたいですか。明日を、今日一日をどのように過ごしますか。大分舞鶴高校でのあなた方の一歩一歩の先に、自分が考える以上に視野が広く、自分が思うよりたくましく、見つけた夢を実現できるあなた方の姿があることを心から願い、式辞といたします。
令和四年四月九日
大分県立大分舞鶴高等学校
校長7 久保田圭二