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取得日:2024年03月22日[更新]

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                       広島の高校で学び,次年度開陽高校で実践したいこと
                                                                          国語科   近藤   美希
 
 
   11月26日火曜日,秋とは名ばかりの鹿児島から,少しだけ肌寒い広島へ,一路新幹線で向かった。
 鹿児島中央駅から広島駅まで2時間半の旅,祇園北高校と広高校の予習をしながら,町並みの変化に
 身を委ねた。職場としてでない高校への訪問は,肩の力も抜け,質問したい内容も次々に頭に浮かん
 だ。広島駅に到着すると,次はローカル線に乗った。右手に瀬戸内海,左手には趣のある落ち着いた
 町のすぐ後ろに山がある。指宿枕崎線で鹿児島市内へ向かう喜入と似ていた。目指す駅に正午頃到着
 し,4時間目の時間が終わるまで,学校の周りを散策した。小高い丘の上にある祇園北高校。鹿児島
 で言うと,桜ヶ丘の半分の高さほどか。住宅街を門下に従えた様相。丘の周りにはコンビニが一つ。
 静かな高台にあるため,閉塞感もない。敷地内を巡り,駐輪場に電動自転車が多いことに,ご家庭の
 愛情を垣間見た。校舎より一段高いところにある校庭は広々としており,体育の授業の掛け声には圧
 倒されるほどだった。
   そして,図書室へ案内され,主幹教諭から学校の取り組みを伺った。「主幹教諭」耳慣れない言葉で
 あるが,教頭,4部主任とは別の配置で,国から指定された研究県としての増員の一環か。先生方の
 生徒への思いを具現化し,統合していただく任務だとすると,何ともうらやましい。
 
 
        祇園北高校では,ICEモデルの先進実践校としての取り組みと課題についてお聞きする
      と同時に,1各教科の具体的な授業デザインと指導方法,授業研究について詳しくお話を
      伺うことができた。
        本質的な問いを投げかけることによって,生徒の思考力を深めるために,定期考査に
      おいて必ず「活用問題」をすべての教科・科目において導入し,それを考査3週間前まで
      に 主幹・教頭に提出し,それが「活用問題」として適切であるかを点検し,差し戻すこ
      ともあるという。学校全体としてシステム化し,個々の先生方に留まらない機能に驚嘆
      した。
 
 
        この取り組みを教務主任の先生(前任校の教育困難校では,前校長“ICEモデルの著者
      ”とともにICEモデル実践の成果を上げられた)からお話を伺うことができた。具体的
      には,留年の生徒が100名近くいる状態だったものを,2外部(大学教授等)の先生方
      の出前授業で新しい風を入れた。そこに,ICEモデルの実践を取り入れたりしたことで,
      生徒に表情が生まれたり,先生方の研修になったりと変革することができたそうだ。その
      熱意と実行力に感銘を受け,本校での取り組みにつなげられたらと考えた。実際の授業デ
      ザインや活用問題のマル秘資料をいただけた。
 
 
   そしてその夜,平和記念公園の近くのビジネスホテルに泊まるという有り難い機会をいただき,夜
 の平和公園をランニングした。夜の闇でも,その存在の大きさを肌で感じた。ドームの上空で原爆が
 光ってしまった事実を,広島の中心地に落とされた痛ましさを,ただただきちんと脳裏に焼き付けた。
 感情的にだけではなく,きちんと次世代へ語り継ぐために。
   11月27日水曜日,柔らかな朝の日差しの中,朝の原爆ドームを見たくて,再びランニング。白日に
 さらされたドームは,よりその意味を明確に訴えてきた。平日の早朝,鹿児島市内と同じうように市
 電の走る,朝の通勤,通学の喧噪の中で,平和の尊さを実感した。
   宿から広島駅までの3Kmを歩いて町の佇まいを味わった。“お好み焼き”の看板がやっぱり多いなあ
 と思っていると,ある一角には,お好み焼き屋さんだけが入ったビルも発見。そして,広島カープの
 “赤”が町のあちこちの点在。心躍る町。広島駅から2時間ほどローカル線に揺られ,広駅に到着。
 驚いたことに大きな駅ではないのに,広高校までの直線に学校が3つもあり,私立の高等学校も隣接
 しており,高校の生徒募集1にも競争があることを目の当たりにした。広高校は,平地で交通のアクセ
 スもよい好立地に,存在感を漂わせていた。
 
 
        広高校では,ベネッセに大きく掲載された3総合的な探究の時間の取り組みについて,
      主に伺うことができた。生徒の主体的かつ深い学びのために,一大プロジェクトとして,
      呉市長からの高校生へのミッションの形でのスタートも魅力的だった。
        そこでは,生徒の主体的な学びに向けて,指導者の助言法など,実際に試行錯誤しなが
      ら,深い探究を目指していらした。対外に向けて発信し続け,教職員も生徒も緊張感をも
      ってゴールを目指している様子に驚嘆した。
        担当の先生が,生徒が自主性を重んじ,課題を見つけるところから,教職員は「待つ」
      ことに徹した,とおっしゃった。しかしそこには生徒のSOSを見逃さず,要所要所に適切
      な指導助言によって,生徒を導いている気概があられた。
        訪問した前日に生徒の発表があったようだが,失敗も前提にあり,その反省点から,そ
      こからがスタートだと述べられ,常に授業に変化をつけながら,生徒に身につけさせたい
      力を探り,実践につなげられていて,感慨深かった。
 
 
   果たして,広島の二つの高校で大いに刺激を受けたのだが,それをどのように開陽高校で展開すれ
 ばいいかを考えた。単位制高校であり,なおかつ同じ校舎で定時制課程と通信制課程の生徒も全日制
 課程の生徒と一緒に学んでいる本校において,多様な生徒に対して個に応じた指導とともに,社会に
 適応できる力も身に付けさせなければならない。そのために,次年度に向けてその大きな取り組みの
 始まりとして,
       1     各教科の具体的な授業デザインと指導方法,授業研究の深化
             まずは,授業観察シートを作成・活用し,互いにコメントを述べ合う。先輩の先生方に学
           ぶことはもちろん ,若手の先生方のICT活用等を聞き合うなど ,取り組みを進めていきたい 。
       2     外部(大学教授等)の先生方の出前授業の実施
             総合的な探究の学習とリンクさせながら,進路選択はもちろん,学習への意欲の喚起を目
           標として,上級学校の授業を体験させたい。
       3     総合的な探究の時間の取り組みにおいて生徒の主体的な学びの誘発
             生徒が自分のこととして捉える機会を作り,待ち,助言する。主体的に取り組ませたり,
           適切な助言をしたりする共通理解も必要だ。
   以上の123点を次年度への進路指導部からの提案事項として,計画を進めたいと考えている。