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取得日:2024年03月20日[更新]

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令和2年度       重点教科の研究報告2<数学科>
 
 【教科のテーマ】
 
   ICT 機器を活用した論理的思考力、表現力の育成と基礎学力定着による学びへの意欲の向上
 
 1.     はじめに
        本校は、1学年に普通科240名、生活文化科80名の計320名で構成されており、生徒の卒
      業後の進路1は多岐に渡る。学校の雰囲気は落ち着いており、生徒は真面目に授業を受けられている。
      数学の授業においては、授業の内容を理解でき、その場で扱う問題演習を正解できる力を持つ生徒
      が多い。
        その反面、「どうしてその答えになるのか」という、答えに対して自ら深く考え判断する力が不
      十分であると感じられる。正解だけを求めたり、公式を丸暗記したりするだけでなく、そこまでの
      プロセスを重視し、自らの考えを表現し意見を交わし合う場面を多く設けることで、論理的な思考
      力や表現力の育成に直結させたい。
        また、予習・復習する習慣が身についている生徒が限られている。自宅で学習するための課題を
      与えても、問題に対する取り組み方が甘かったり、1度解けなかった問題を解き直す時間を確保で
      きなかったりするため、基礎学力が定着されていないケースが目立つ。そのため、定期考査におい
      ても直前に知識を詰め込むように学習し、そのまま進級していき、3年次において1、2年次の基
      礎的な内容をもう一度学習し直さなければならない場面も見られる。生徒に数学を意欲的に学習し
      ようとするきっかけを与え、解ける問題を1問でも多く増やすことで、数学を学ぼうとする意欲を
      向上させたい。
 
 2.     研究の目的
        ICT 機器を用いた授業を行うことで、生徒が問題の答えや公式が成り立つプロセスを吟味し、その
      考えを表現できる機会を積極的に設ける。それにより、論理的思考力や表現力を伸ばす。また、生
      徒が復習をしやすい環境作りを行い、基礎学力の定着を図る。更には、コロナウイルス感染拡大の
      影響による再度の臨時休校時における生徒への学習支援の環境を充実させる。
 
 3. 研究準備及び方法
 「2. 研究の目的」を達成するための具体的な手だては以下の通りである。
    1 毎授業、黒板に板書する内容を事前に PowerPoint でスライドを作成しておき、それを授業で投
        映することで板書する時間を削減する。生徒アンケートや定期考査の基礎問題の正解率から結
        果を考察する。(数学I)
    2 必要に応じて Studyaid ビューアを活用し、授業時間内では解説しきれなかった問題の解説の
        データをビューア上にアップロードし、それを生徒がスマートフォンから見ることで理解を深
        める。(数学III)
 4. 研究の内容
     ICT 活用により以下のことが期待できる。
    1 PowerPoint を用いた授業について
     ・前回の授業で学習した重要な問題を解く(前時の復習)時間を確保できる。それにより、基礎
       学力が定着する。
     ・小テストを実施する時間を確保できる。それにより、基礎学力が定着する。
     ・生徒が解き方について意見を交わし合う時間を確保でき、主体的・対話的な授業展開に繋がる。
       それにより、論理的思考力や表現力が育成される。
     ・視覚的な理解ができる。
    2 Studyaid ビューアの利用について
     ・解説の用紙を印刷する必要がなくなり、時間とコストの削減に繋がる。
     ・解説の時間を自宅にまわすことで、授業内で生徒に解かせたい問題を増やすことができ、学力
       向上へと繋がる。
     ・臨時休業にせざるを得ない状況1となった際も、Studyaid ビューアを通じて適宜問題やその解説
       の配布ができ、学習支援ができる。
 5. 研究の検証
    「4. 研究の内容」で期待された内容が得られたかどうかを検証するために、生徒アンケートの実
  施と定期考査における基礎問題の正解率の分析を行った。なお、基礎問題とは教科書に掲載されて
  いる「基本例題」と「応用例題」のうち、「基本例題」に準ずるレベルの問題を指す。
 
      1 PowerPoint を用いた授業について
         普通科の特定のクラスにおいて、数学Iの授業を全て PowerPoint で実施した。また、次のよう
       な授業アンケートを配布し、生徒からの回答を集約した。
 
                                          授業アンケート
           I. 前時の復習問題を解く時間が毎授業あることについてどう思うか
           あった方がよい         ←        どちらでもよい        →        ない方がよい
                5               4               3               2               1
           II. スクリーンに投影された図や文字は見やすかったか
             見やすかった         ←        どちらでもない        →        見にくかった
                5               4               3               2               1
           III. 授業内でクラスメイトと意見を交わし合うことで、学びを深めることができたか
              そう思う            ←        どちらでもない        →        そう思わない
                5               4               3               2               1
           IV. IIIでそう思う理由を教えてください。
 
 
 
 
           V.     その他、授業についての意見・要望等あれば自由に書いて下さい。
 
 
 
 
       アンケートから得られた結果は以下の通りである。(匿名、回答数78)
        数値          5          4           3          2           1            平均値
        質問I         59       9          10       0          0           4.63
        質問II        37       12        16       10        3           3.90
        質問III       28       35        12       3          0           4.13
 
       IV.「IIIでそう思う理由を教えてください。」への回答
       〇皆で意見交換ができて、気付かなかった解法を発見でき、解き方の視野が広がった。
       〇自分の中で出てきた疑問について話し合うことですぐに解決できた。
       〇口にすることで、教える側も教えられる側も記憶に残り、身に付くと実感できた。
       ●解けたか解けなかったなどの表面的なことしか話せなかった。
 
       V. 「その他、授業についての意見・要望等あれば自由に書いて下さい。」への回答
       〇前時の復習問題を解くことで、本時の授業に入りやすかった。
       〇小テストが頻繁にあって力が付いた。
       〇スクリーンの図や文字に動きがあり、分かりやすかった。
       ●授業スピードがやや早い。
       ●文字が小さくて見にくかった。
       ●時々、スクリーンに光が反射して見にくいときがあった。
 
       また、定期考査の基礎問題の正解率は73.2%であった。
      2 Studyaid ビューアの活用について
         客観的な検証は実施していないが、「4. 研究の内容」で期待されていた要素は時間とコストの
       削減と授業で扱える問題の増加は実現できている。生徒も Studyaid ビューアの活用方法を認知し
       ているため、臨時休業になった際も活用できることが期待できる。
 
 6. 研究のまとめと今後の課題
  ・授業アンケートの質問Iについて、平均値が 4.63 であることから、前回の授業の重要問題の復習
    は行った方がよいと考える。
  ・授業アンケートの質問IIについて、平均値が 3.90 であることから、生徒は概ねスクリーンの図や
    文字は見やすかったと感じているため、ICT を用いた授業展開を行うことでの大きな支障はないと
    考える。その一方で、文字のサイズが小さいと感じたり、反射する光を眩しく感じたりする事例
    も見られたため、映し方を工夫する必要がある。(フォントサイズが 32 未満の文字は見づらいと
    感じる生徒が一定数いる。)
  ・授業アンケートの質問IIIについて、平均値が 4.13 であることから、生徒は対話的な授業展開を望
    んでいることが確認できた。意見を述べ合うことでお互いの理解が深まるという意見が非常に多
    く、効率的に授業を進めることで生徒同士の議論の機会を積極的に設けたい。
  ・基礎問題の正解率が 73.2%であったことから、生徒は概ね基礎知識を身に付けることができたと
    考えられるが、ICT 使用時と非使用時の比較は未実施であるため、実際の伸び率については検証で
    きていない。
  ・生徒の視覚的な理解を狙いとする際、文字や図形に動きを自在に付けられる「軌跡」というアニ
    メーションが効果的である。
  ・授業を PowerPoint で行った際、型通りに授業を進めがちになってしまうため、生徒から様々な解
    答が出た際、それに対して柔軟に対応することがやや難しく、今後の課題である。
  ・授業を PowerPoint で行うことで効率的に進めることができ、復習する機会は十分確保することが
    できた。しかし、板書時間の削減によって発生する空き時間も限度があり、生徒が対話する機会
    を十分に確保できない場面も感じられた。復習時間の確保と生徒の対話的な授業展開を完全に両
    立させることは板書時間の削減だけでは困難であると感じられたため、どのように両立させてい
    くか今後の課題である。また、スライドの準備に膨大な時間を要してしまうため、準備のことを
    考慮すると費用対効果が高いとは言えない。
  ・生徒が授業で問題を解き、Studyaid ビューアを通じて自宅で解説を見て答え合わせを行った後、
    生徒がその答え合わせをしたノートの写真を撮り、ロイロノートを利用して送信することで生徒
    の解答の状況2を把握できる。
  ・臨時休業になった際、Studyaid ビューアを通じて問題と解説のデータ配信を行っても、配信され
    たことが自動的に生徒へ通知されるわけではない。そこで、学校ホームページ上に問題が配信さ
    れたという情報を載せることで生徒へ情報の通達ができる。