細田学園高等学校 - 埼玉県 私立

序盤から全開だった。細田学園の高橋優希主将（３年）はサーブで攻めて相手を崩し、第１セット１−１から４連続得点。つかんだ流れは手放さず、「キャプテンとしての役割を果たせたかな」と胸を張った。

痛み止めを飲みながら出場している。夏に足の小指を疲労骨折し高校総体と国体を欠場。完治はしていないが、第２セット１３−１７の場面で体を投げ出してボールを拾うなど、劣勢をひっくり返す原動力にもなった。

「仲間と一つのボールをつなぐ絆は一生の宝物」。開会式の選手宣誓で、高橋は力強くこう言った。宣誓は前回まで前年優勝校の主将が務めていた。生まれ変わった今大会は平成２２年度にあやかり、抽選で２２番を引いた細田学園が務めることに。「自分の気持ちを伝えよう」。本番前に高まった仲間との結束力を宣誓の思いに込めた。

「仲間」を意識するきっかけがあった。昨年１１月末の県予選優勝の際、歓喜で飛び上がった伊藤潔美監督が右アキレス腱（けん）を断裂。３日前まで入院生活で、大会までの約１カ月は選手だけで練習した。「最初は何をしても空回りだった」と高橋主将は苦笑する。

思い出したのは「全員で声を出し、全員で走れ」という指揮官の教え。基本に戻って常に声を掛け合いながら練習を積み、一体感を育んだ。ギプス姿で試合を見守った伊藤監督は「すごい成長です」と目を丸くした。大切な仲間とともに指揮官を驚かせ続ける。（青山綾里）

◇春高バレー ５日の結果（SANSPO.COM）