脳の特性
・ 生命の維持に必要な知識は覚えやすい。
・ 生命の維持に直接関係のない知識(例えば英単語)は覚えにくい。
・ 好ましいと感じることは覚えやすい。
・ 繰り返し覚えようとすることで、脳はそれが重要な知識だと認識する。
・ 知識はネットワークでつながるため、記憶が増えるほど覚えやすくなる。
意外に感じるものはありましたか?思い起こしてみると「確かにそうだ。」と感じる内容が多いのではないでしょうか。それでは一つ一つ説明していきましょう。
・ 生命の維持に必要な知識は覚えやすい。
・ 生命の維持に直接関係のない知識(例えば英単語)は覚えにくい。
これは分かりやすいと思います。人間も動物ですから生きるために必要な知識は忘れにくいのです。例えば「これは危ない」と感じた事はいつまでも覚えています。逆に言うと、生きるために必須ではない知識はなかなか覚えられません。だから勉強は大変なんですね。
・ 好ましいと感じることは覚えやすい。
脳内には好悪(好き嫌い)の判断を担当する扁桃対(へんとうたい)と呼ばれる部位があります。そして扁桃対は記憶の取捨を担当する海馬(かいば)の近くにあります。「これは好きだ、楽しい」と感じて扁桃対が活発化すると、海馬はそれを重要な知識であると判断し記憶に留める選択をします。
「楽しかった思い出」はその人の記憶に長く残るのですね。このことから言えることは「英語を好きだ」と感じる人は、より英単語を(英文法も)覚えやすいということです。まさに「好きこそものの上手なれ」です。英語は英文が読めるようになると楽しくなります。そうすれば英語の勉強の能率もあがるんです。
・ 繰り返し覚えようとすることで、脳はそれが重要な知識だと認識する。
「覚えるまで何度も繰り返し復習しなさい。」なんか嫌な言葉ですね。でもこれは脳科学の観点からも正しいと言えます。残念ながら人の脳は「生命に関わること」や「好ましいこと」以外は繰り返さないと覚えられない仕組みになっているのです。
これは脳の記憶容量に理由があります。見聞きしたことを全て覚えていったら、すぐに脳はどうでもいい記憶で一杯になってしまいます。そこで脳は重要な情報のみを取捨選択して記憶に留めるようにしているのです。
コンピューターにデータを保存するように、記憶することを意識的に選択できれば良かったのですが、残念ながら私たちの脳はそういう仕組みにはなっていないようです。
ちなみに脳はあなたが寝ている時に活発に働いて情報の取捨選択を行います。その状態を「レム睡眠」といい人はレム睡眠の時に夢をみます。人はしっかり睡眠をとらないと、学習内容を覚えられません。