近畿大学附属高等学校 - 大阪府 私立

テストの古文の現代訳です！

これも今となっては昔のことだが、
山科への道筋で、四の宮河原という所に、袖くらべという商人の集まるところがある。
そのあたりに身分の低い者がいたが、（その男が）地蔵菩薩を一体お造り申し上げたのを開眼供養もしないで、櫃（ひつ）の中に入れて、奥の部屋と思われる所にしまっておいて、暮らしの仕事に紛れて月日がたったので、忘れてしまっているうちに、三、四年ほど過ぎてしまった。
ある夜、夢の中で、大通りを通る者が声高に人を呼ぶ声がしたので、
「何事か」と思って聞いていると、「地蔵さん」と高らかにこの家の前で言う。
すると、奥のほうから「何事か」と返事をする声がするようだ。
「明日、帝釈天が地蔵会（地蔵菩薩を供養するための法会）をなさいますのには、おいでになりませんか」と言うと、
この小家の中から、「参りたいとは思うけれど、まだ目が開かないので、参れそうになくて…」と言う。
すると、「必ずおいで下さい」と言うので、
「目も見えないので、どうして参れましょうか（いや参れません）。」という声がするようである。
（ここで）はっと目が覚めて、どうしてこんなことが夢に見えたのかと思案して、変に思い、夜が明けてから、奥の方をよくよく見ると、この地蔵を納めて置き申し上げたことを思い出し、見つけ出したのであった。
これ（地蔵）が（夢に）お見えになったのだと驚いて、急いで開眼供養をし申し上げたということである。
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