早期の文理分けで学力の剥落が起きる
「分数のできない大学生」が話題になったことを覚えているでしょうか。日本
数学会がかつて実態調査をしたことがあり、一部だけ公開しています。その全容については、私が独自の情報網で聞いたことがあるのですが(インテリジェンス風に言えばヒューミント経由での情報ですね)、中学3年生の学習指導要領に載っている問題を大学生に出したところ、記述型の
数学入試をしている大学の学生は、9割を超える正答率でした。
しかし、マークシート方式の学生は3割、
数学を受験しなかった学生の正答率は1ケタだったようです。先に述べたように、早期の文理分けで偏った学び方をすることで学力の「剥落」が起きてしまったわけです。
大学で長年いろいろな学生を見ていると、そのあたりのことは手に取るように分かります。私が主催する「すずかんゼミ」には、毎年、さまざまな大学生が参加してきますが、率直なところ、論述試験の勉強をしないで入学してきた学生で目立つのは本の読み方が検索型になっています。
つまり、固有名詞などの情報を拾って何が掲載されているかは分かるが、文面の背景にあるキーメッセージやコンテクストを読み取れないのです。
数学も出来ないので論理的思考力が鍛えられていない。すると論文を書いたり、ゼミで発表したりする際も、論理の飛躍が目立ってしまうわけです。
政治家時代にたくさんの新聞記者から取材を受けましたが、政策課題の背景や制度の意義について散々説明しても「一言でわかりやすく言ってください」と言われることが多々ありました。
そんな彼らと親しくなって、大学入試で論文試験や
数学のあるところを本命で受験していたか? マークシート中心入試勉強ばかりしていなかったか? と聞いてみると、私の勘はあたって、マークシート型入試勉強に追われていた人こそ、もっとわかりやすく説明してくれという記者が多いのです(苦笑)。
ttp://diamond.jp/articles/-/49381?page=5
学生の学力、理解力だけが原因なんでしょうか?
早期の文理分けの話から、中学の
数学の問題を大学生が解けるかの話になって、正答率が低いのは文理分けが早いせい??もう少し分かりやすく論理の飛躍が無いように説明お願いしますって思われてるかもしれませんよ。
高校2年に文理分けする高校
高校3年で文理分けする高校
つまり、上の2つの高校出身の大学生を比べた場合に、高校2年でクラス分けした高校出身者の方が、中学の
数学のテスト結果が悪くなるということなんでしょうか?
例えば、旭丘高校出身と岡崎高校出身の名古屋大学生を比べた場合は、明確に岡崎高校出身の大学生の方が、中学の
数学のテスト結果が悪くなるんでしょうか?高校
数学ならまだしも、意味が分かりません。
「一言で分かりやすく言って欲しいです」
愛知県の「管理教育」は、悪い意味で愛知県を有名にしてしまった。「してしまった」と過去形で書いたのは、おおっぴらな管理教育は行われなくなったからであるが、実際には色々なところに管理教育の「なごり」はあると思うのだ。
例えば、管理教育で有名だった公立高校ではいまだにその「風習」が残っているようだ。勉強,勉強で追いまくり、何が何でも大学(国公立大学?)に現役合格させようというのも残っている「風習」の1つのようである。そもそも高校と予備校はイコールではない(部分的に重なるところはあるにしてもね)。ところが、そういう高校ではまるで「当校は予備校のかわりをしている」とでも言いたげだ。
高校生にもなって追いまくらないと勉強できないような者に、私は大学に進学して欲しくないし、合格することだけを目標にした「他人のひいたレール」を突っ走って合格したとして、その先に何があるのか私には理解できない。こういう管理教育高校に期待する保護者の意見にも驚くばかりである。「予備校に通わなくてもいいからコストパフォーマンスが高い」だなんてね。学校教育をコストパフォーマンスで語る人間がいることに私はたまげた。
まあ、考え方も色々あるし、高校に求めるものも様々であってよいのだろうが(笑い)、最後に、私の知る事実をここに書いておこう。
県内のある国立大学の理工系学部のある学科のことである(管理教育が最も盛んであった時代なので現在はどうだか知らないが)。国立大学といえども愛知県内の国立大学には愛知県出身者がとても多い(地元志向が強いのである)。そして愛知県内の国立大学には、たいてい公立伝統校から管理教育進学校まで色々な愛知県の高校出身者が入学してくる。その学生達の大学入学後の学習姿勢が出身高校によって随分と違っていて興味深いのである。管理教育進学校出身者は、ほぼ例外なく、授業をさぼる・勉強しないで単位を取ろうとする・成績は低空飛行・という状態である。それが客観的数字で出るのが落第率である。1・2年の教養課程から3年以降の専門課程に上がる段階で、取得単位の足りない者(つまり成績の悪い者)は進級できない。つまり落第する。この落第者に占める管理教育進学校出身者の比率が大変高い。また、大学4年を終えて大学院に進学する者の数でも違いが見られる(理工系の専門職を希望するのであれば大学院修了は必要条件であると思う)。この大学院進学者の中に管理教育進学校出身者は皆無なのである(大学院入試の合否以前に大学院受験者--つまり進学希望者--が皆無なのだ)。
大学に入ることだけを目標として、いわゆる「受験勉強だけ」を「やらされた」学生は、大学入学後の目的・目標を見いだせず、また、狭く浅い勉強は「学問」へ発展できないのが原因ではないかと思う。
ttp://www.school-net.ne.jp/rensai/MrR/197.html